盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和5年12月8日)

令和5年12月8日(金曜日)
教育、科学技術・学術

キーワード

日本科学未来館の視察について、OECDによるPISA調査の結果、教員採用試験の複数回実施について

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和5年12月8日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年12月8日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和5年12月8日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭1件、発言をさせてください。
 今週の水曜日一昨日6日でありますが、お台場の日本科学未来館を視察させていただきました。科学未来館は、浅川智恵子館長が2021年に発表した「Miraikanビジョン2030」に基づき、約7年ぶりとなる大規模リニューアルを行い、先月11月22日に公開しました。これらの常設展示を視察し、浅川館長と、インクルーシブな社会を実現するための取組等について意見交換を行いました。新たな展示は、「地球環境」、「ロボット」、そして「老い」をテーマにしたもので、「老い」をテーマにした展示では、老化現象の疑似体験を通じて、老いを身近に感じられるなど、私の場合には現実に感じているわけでありますが、来館者にとってわかりやすく、親しみが持てる展示の工夫がなされておりました。ぜひ、多くの方に訪れていただき御体験いただきたいと考えます。今回の視察も踏まえまして、引き続き、関連施策の充実に取り組んでまいります。
 私からは以上です。

記者)
 5日に公表されました学習到達度調査の結果についてお尋ねしたいと思います。日本は読解力が過去最高の3位となり、前回から大幅に順位を上げるなど、国際的なトップ水準を維持いたしました。日本はコロナ禍の休校期間が他国より短いなどの要因も指摘されておりますが、大臣は今回の結果をどのように受け止めておられますでしょうか。また、アンケート結果では、授業や探究学習へのICT活用頻度はOECD加盟諸国より低い傾向が出ています。学校のデジタル環境整備が進む中で、今後ICTの活用を促す必要性や方策についてお考えをお聞かせください。

大臣)
 先日5日に、OECDからPISA2022の結果が公表されましたが、今おっしゃられたとおり、我が国は、数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシーの3分野全てにおいて世界トップレベルとなっており、今回の調査結果からは、我が国の生徒の学習状況はおおむね良好な状況にあると認識しております。これまでの取組が一定の成果を上げたものと考えていますが、調査結果から明らかになった課題も踏まえつつ、引き続き、1人1台端末も活用しながら、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善を進めていきたいと考えています。そして、今これも御指摘ありましたが、今回の調査結果の背景には、コロナ禍にあって、頑張って学び続けた子供たちの頑張りや、対面による学校ならではの学習機会を確保した先生方の努力、こういったものが背景にあると思います。持続可能な形で学校教育の質の向上を図っていくためには、先生方の献身的な取組のみに頼ることなく、質の高い教師を育成・確保していくことが不可欠だと思います。引き続き、学校における働き方改革、処遇の改善、学校の指導・運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めます。また、もう1点、ICTの活用についてでございますけれども、令和元年度の補正予算からはじめまして、小学校そして中学とGIGAスクール、端末ですね、タブレットの支給というのを進めてきたわけでありますが、高等学校については令和4年度からということでちょっと遅れて、そして3年間かけて段階的に今整備を進めているところでございます。今回の調査は2022年の調査でありますから、整備の初年度において、調査対象である1年生に1人1台端末が行き渡っていない時点で実施されたものであることが御留意いただきたいところであります。他方、当省としては、義務教育段階小中学校で1人1台端末環境で学んだ子供たちが、高校へ進学した後も、ICTを活用した学びを発展的に継続できるようにすることが大事であると考えています。そのため、当省では、あらゆる機会を通じてICTの積極的な活用を促すとともに、効果的な実践事例の横への展開、国費によるアドバイザーの派遣、省内に設けた特命チームによる伴走支援を実施しているところですが、今回のOECDのPISA調査の結果を踏まえて、取組をさらに加速化させていきたいと考えています。

記者
 今のPISAの読解力に関連してなのですけれども、順位こそ過去最高の3位に改善しましたけれども、依然として複数の資料から情報を探し出したり自分の考えを根拠を示しながら説明したりする問題では、今回も前回と同じ問題が出題されたにも関わらず正答率が前回のOECD平均を下回るような結果になっていましたけれども、日本の生徒が特に苦手とするこういった分野での課題を克服するにはどういった取組が必要だとお考えになりますか。

大臣)
 なかなかお答えづらい、簡単にね、対応できない課題だと思います。読解力につきましては、PISAの調査の中ではPISAの調査の中心分野ではなく、精緻な分析を行うのは難しいというふうに言われていますが、その御指摘に対しましては、児童生徒の言語能力の確実な育成に向けて、現行の学習指導要領に基づく国語科における指導や各教科横断的に取り組む言語活動の充実などを促進してきておりますが、それらを踏まえて学校現場で今後とも着実にですね、授業の改善こういったものに取り組んでいただければなと考えています。

記者)
 今、PISAの関係で質の高い教師の確保、献身的な取組に頼ることなく質の高い教師の確保が大事であるというお話があったと思うのですけれども、質の高い教師の確保の観点で少し伺いたいのですが、教員採用試験に関してなのですけれども、文科省としては複数回実施等も促しているところだと思うのですが、それで本年度複数回実施する都道府県なんかも結構あるのですけれども、その中で、夏に1度やった後に秋にもまたまとめてある程度の人数を採用すると、その際に夏に不合格になった方のチャレンジも認めるというような自治体がございます。それから、従前からこれはあったことなのですけれども、不合格になった方に講師登録を促すと、学校現場で臨時的任用をやってみないかということを促すという取組も行われているわけですが、こういう形で不合格になった方に教壇に立つことを進めるような取組というのは、質の高い教師の確保という観点でいかがなものかという御意見もあるのですけれども、この点はどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 当省では、今年の5月に教員採用選考のあり方に関して、各都道府県・指定都市の教育委員会に「方向性の提示」というものを行っております。その中で、採用選考の早期化や複数回の実施についても取組を進めるべきである旨示しているところです。御指摘の夏に加えての秋・冬等の追加の選考については、受験機会を複数回設け、意欲ある教師志願者を確保するための工夫として有効な取組であると考えています。ただそうは言っても秋・冬の選考においてどうであるかということの問い合わせでありますが、教師として必要な資質能力の確認は適切に行われるものと我々は考えています。また、臨時的な任用につきましては、産休・育休の取得者の代替に充てるためなどに行われるものであり、採用の選考で正規採用には至らなかった教員免許保有者などの中から、各教育委員会の判断により、適切に任用を行っていると考えています。いずれにせよ、お尋ねの教員の質を確保することはもちろんですが、合わせて現下の採用倍率の低下や受験数の減少という状況も踏まえつつ、教員採用選考試験の工夫改善を進めていくことが重要と考えており、地域の実情に応じて積極的な検討・対応が行われるよう、我々当省としてもこうした取組を促進しているところであります。

(了)

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