盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和5年12月1日)

令和5年12月1日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化

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JAXA法の一部を改正する法律の成立、江戸川区立小松川中学校夜間学級の視察、博士人材の社会における活躍促進に向けたタスクフォースの開催、JT-60SAの運転開始式典への参加等、日本大学から提出された改善計画について、JAXAの中枢サーバーへのサイバー攻撃、日本大学アメリカンフットボール部の廃部、ユネスコ「世界の記憶」への推薦、札幌市の冬季五輪招致について

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和5年12月1日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年12月1日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和5年12月1日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。冒頭、今日は4件ございます。
 まず第1件目です。今国会に提出しておりました「国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法の一部を改正する法律」が、11月29日の参議院本会議において可決、成立いたしました。今回の法改正は、国際的な宇宙開発競争が激化する中、我が国の産学官の総力を結集し、経済・社会の変革を加速するため、JAXAに基金の設置等を行い、民間企業や大学等の主体的な研究開発を強力に推進するものです。国会審議の場での指摘も踏まえ、今後、基金の速やかな執行に向けて、内閣府などの関係府省とともにしっかりと取り組んでまいります。
 2件目です。今週の火曜日に、江戸川区立小松川中学校夜間学級を訪問しました。 様々な背景を持つ生徒の多様な学びを保障する場である夜間中学に伺い、生徒の学ぶ意欲の高さや、先生方の温かく丁寧な指導を直接拝見することができました。特に、外国籍の生徒に合わせた日本語指導や、多様な背景を持つ生徒同士の交流など、様々な工夫をしながら教育活動が行われており、教育を受ける機会を実質的に保障する重要な役割を果たしていることを改めて感じました。今回の視察も踏まえ、夜間中学がすべての都道府県・指定都市に少なくとも1校設置されることを目指し、 引き続き、各自治体の取組を促してまいります。
 3件目です。昨日、私を座長とする「博士人材の社会における活躍促進に向けたタスクフォース」の第1回を開催しました。この会議では、博士人材の強み・魅力を可視化し、社会の多様なフィールドでの活躍を後押しするための方策を検討することとしており、昨日は3名の有識者から御意見を伺いました。文部科学省としては、令和5年度補正予算や、大学ファンドによる助成も活用し、博士課程学生の経済的支援とキャリアパス整備を安定的・継続的に行うこととしております。社会人の方を含め、博士課程に進学するか迷っている方、現在博士課程に在学中の皆さまに、 安心して進学・進級し、存分に御活躍いただけるよう、さらに議論を重ね、来年の春頃を目途に施策パッケージの取りまとめを行いたいと考えております。
 最後4件目です。 本日、今日はこのあと参議院本会議で法案の審議がございますが、そのあと、茨城県に出張し、先日初めてプラズマの生成に成功したJT-60SAの運転開始記念式典に参加するとともに、同式典に出席予定のシムソン欧州委員、バラバスキ機構長と会談を行い、日欧の研究開発の見通し等について意見交換を行う予定です。文部科学省としては、昨日の総理の発言も踏まえ、国際連携も活用し、原型炉に必要な基盤整備を加速するとともに、 小型化・高度化等の新興技術の開発支援を実施することで、フュージョンエネルギーの早期実現に向けて、取り組んでまいります。
 以上、私からの発言4件でございました。

記者)
 日本大学アメフト部の薬物問題について伺います。日大は昨日の11月30日、文部科学省に再発防止策などを盛り込んだ改善計画を提出しました。計画の内容について大臣の受け止めをお願いいたします。また、この計画の提出を受けて、文科省が今後どのように対応していくかも併せてお聞かせください。

大臣)
 今おっしゃられたとおり、昨日、日本大学から、アメリカンフットボール部の薬物事案を受けた学校法人としての対応に関する改善計画が提出されたところです。計画の内容については、現在、事務方が精査しているところですが、事案の再発防止策や管理運営体制の再構築を含む改善の方向性、及び関係者の責任の所在について記載されているものと承知しております。日本大学においては、実行に向けた具体的な対応方策やそのロードマップ等の策定を進め、全ての関係者が一丸となり、当事者意識をもって改善に向けた取組を推進していただきたいと思っています。文部科学省としても、日本大学が改善計画を踏まえた取組を確実に進めるよう、 引き続き指導・助言を徹底していくとともに、改善計画の取組状況については、有識者によるフォローアップ体制を新たに構築して対応したいと考えております。
 以上です。

記者)
 宇宙関連で1点お願いします。今年の夏頃にJAXAへのサイバー攻撃があったという報道があったと思います。これに対する大臣の受け止めをお伺いしたいのと、今後どのように文科省が対応していくのかということについてお伺いできればと思います。お願いします。

大臣)
 今おっしゃったとおり、JAXAに対して外部機関から、サイバー攻撃の可能性に関する情報提供があり、JAXA内部で調査を行った結果、外部からJAXA内の業務用イントラネットの管理用サーバーに不正アクセスが行われた可能性が高いということがわかりました。JAXAからは、調査を直ちに開始するとともに、不正アクセスに関係しうる一部ネットワークの遮断などの初期対応を実施したこと、当該イントラネットではロケットや衛星の運用などの機微な情報は扱われていない旨の報告を受けているところです。 現在、JAXAにおいて内閣サイバーセキュリティセンター等の専門機関の専門的な知見と協力も得て、詳細調査を進めていると承知しております。文部科学省としては、JAXAにおいて詳細な調査・確認を早急に進めるとともに、必要な対策を取っていただきたいと考えております。
 以上です。

記者)
 日大の改善計画書に関連してなんですけども、日大は検討が間に合わなかった部分については、追って補充なり提出するっていうふうに昨日の報告書の中で書いてありましたけども、大臣から見て、現段階で改善計画の中で足りないですとか不足だと感じる部分があれば教えてください。

大臣)
 まだ詳細について事務方が精査している最中でございまして、内容について詳しい報告は私の方にはまだ上がってきておりません、この段階で。

記者)
 もう1点だけお願いしたいんですけども、アメフト部の存続をめぐって廃部の方針決定っていうことなんですけども、部内外から賛否の声がありますけれども大臣のお考えがあれば教えてください。

大臣)
 日本大学がアメリカンフットボール部を廃部とする方針であることは、昨日提出された改善計画にも記載されているところです。 具体的には、改善計画においては、「廃部に伴い、在学生及び入部希望の新入生に対し、教育的配慮として不利益が生じないよう対策を講じる」とされているところです。部活動を含め、大学における個々の教学面での活動については、それぞれの大学の判断に基づくものであり、今回の取扱いについても、日本大学としての判断によるものとなりますが、文部科学省としても、日本大学において、しっかりと学生に配慮した取組を進めていただきたいと考えています。
 以上です。

記者)
 28日に推薦候補を決定した「世界の記憶」についてお尋ねします。 原爆の写真の動画及び増上寺の仏教聖典を候補とされたわけですが、その理由や登録を目指す意義、登録に向けた意気込みをお聞かせください。

大臣)
 今お話がありましたとおり、先日、ユネスコ「世界の記憶」事業への登録に2件推薦することが決定されました。これを受けて、29日に文部科学省からユネスコに申請書を提出したところでございます。これらの案件は世界的にも重要性が高いものであると認識しておりますので、2025年春の登録に向けて、適切に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。

記者
 ありがとうございます。重ねてで恐縮です。一方で、「世界の記憶」は関係国からの異議が出た場合は事実上登録できないよう、近年制度が変更されております。 原爆関連では広島の原爆ドームの世界遺産登録をめぐって米国などが反発した過去がありまして、外務省さんとの連携の側面もあるとは思うんですが、そうした懸念の払拭に向けてのお考えがあれば教えてください。

大臣)
 仮にということですが、他の加盟国から異議申し立てがあった場合には、外務省をはじめ、関係省庁と連携して、適切に対応してまいります。
 以上です。

記者)
 IOCが冬季五輪の開催地を、30年・34年をフランスとアメリカ、38年をスイスを優先ということで決めましたが、札幌の可能性がもうほぼなくなったんですけど、その受け止めと今後の対応についてお願いします。

大臣)
 今御指摘がありました、29日に開催されたIOC理事会において、2030年と2034年の冬季オリンピック・パラリンピックについて、候補都市が絞り込まれ、 2038年についても優先的な候補地の選定ということは承知しております。こうしたIOCの動きを受けた対応については、札幌市において、JOCや地元関係者等とも相談しつつ、検討されるものと理解しております。当省としては、引き続き札幌市やJOCとコミュニケーションを取りつつ、その動きを見守ってまいります。
 以上です。

(了)

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