盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和5年11月7日)

令和5年11月7日(火曜日)
教育、文化、その他

キーワード

総合経済対策の閣議決定について、基金を活用したマンガ文化の支援について、日本大学に対する私立大学等経常費補助金の交付の判断について、国立大学法人法の一部を改正する法律案における運営方針会議について、旧統一教会の動向に関する報道について、国立科学博物館のクラウドファンディング結果について

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和5年11月7日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年11月7日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和5年11月7日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から1件ございます。
 先週2日木曜日の臨時閣議で、新たな総合経済対策が決定されました。今回の総合経済対策には、「科学技術の振興及びイノベーションの促進」のための「博士後期課程学生の処遇向上」や「フロンティアの開拓」のための「JAXAへの宇宙戦略基金創設」、「文化芸術によるソフトパワーの形成・展開」に向けた「クリエイター・アーティストの育成と文化施設の次世代型機能強化」のための独立行政法人日本芸術文化振興会を活用した弾力的かつ複数年度にわたる支援、「公教育の再生」のための「GIGAスクール構想の端末更新に向けた基金の創設」や「不登校児童生徒等の早期発見・早期支援と学びの継続」、「防災・減災、国土強靭化の推進」のための「学校施設等の耐災害性の強化、老朽化対策」や「文化財を守る修理・防災対策」などの喫緊かつ重要な施策が盛り込まれています。文部科学省としては、今回の総合経済対策に、必要な事項を盛り込むことができたと考えています。これらの実現のため、必要な予算をしっかり確保できるよう、引き続き、文科省一丸となって取り組んでまいります。
 以上です。

記者)
 今、冒頭大臣の発言にありました総合経済対策の中に、マンガ等のコンテンツ産業について弾力的かつ複数年度にわたって支援するというふうにされております。また、先日1日には岸田総理もマンガ議連、これは古屋圭司氏が会長を務めるものですが、と面会した際に、マンガ文化を支援する基金を創設する考えを表明されました。この基金に対する大臣の期待等についてお聞かせください。

大臣)
 我が国のマンガ、アニメをはじめとするコンテンツは、海外でも高く評価されておりまして、我が国への理解や関心を高める役割を大きく果たしてくれていると思います。今般の総合経済対策においては、次代を担うクリエイター・アーティストの育成や、作品や資料などのデジタルアーカイブ化を含めた博物館等の機能強化について、独立行政法人日本芸術文化振興会を活用して弾力的かつ複数年度にわたって支援することが盛り込まれたところです。当省としては、基金を活用した複数年度にわたる支援を通じて、マンガ、アニメ、音楽等のクリエイター・アーティストを育成するとともに、マンガ原画などのアーカイブ化を含む博物館等の機能強化を進め、「文化と経済の好循環」の実現に向け取り組んでまいります、というところであります。今日のところはここまでです。

記者)
 旧統一教会の問題についてお伺いします。今日の午後に旧統一教会側が会見を開く予定でして、被害補償が今後必要になった時の原資として最大100億円ほど国に供託する意向を示すと思われます。実際こういう供託はできるのかも含めて今後の文科省側というか、文化庁側の対応を含めて大臣の受け止めを教えてください。

大臣)
 報道でそういうことをおっしゃっておられるということは承知しております。しかしながら、詳しいことはまだ何も、記者会見をまだされていないと思いますし、我々も承知しておりません。それから一般論として、当省として、旧統一教会の動向について逐一コメントすることは差し控えさせていただきたいということでありますが、そういうことができるかどうかというところについて、これは法的な検討をですね、関係者でしてもらわないといけないのではないかと思いますが、いずれにせよ詳しい内容は何も分からないものですから、それ以上のコメントはちょっとできません。

記者)
 日本大学の件で2点あります。アメフト部の薬物事件を巡る第三者委員会の報告書が先月31日に公表されました。一方で、日大に対する2023年度の助成金を全額不交付にするという決定は報告書が公表される1週間ほど前に決定されたと思います。この全額不交付という決定が、報告書が公表される前に決まった理由を教えていただきたいのと、今、日大が改善計画を策定しているかと思うのですけれども、この提出を大臣としていつまでに提出してほしいというのを求めるかというのがあればお願いします。

大臣)
 まず最初の点でございますけど、私立大学等経常費補助金の交付の判断、これは補助金交付に係る手順の一環として事前からですね、決められたスケジュールでやっているものであります。それ自体を判断したのは、日本私立学校振興・共済事業団でございます。ですから、今回の問題と直接連動するものとは考えておりません。その上で、この事業団ですよね、の判断というのは事業団が判断されるこのタイミングの前においてもですね、令和3年度に不交付措置となった理由でありますガバナンス不全、これが再発していることが明白であったからということであろうかなと思っております。その判断については妥当な判断だろうと我々も考えております。
 それから2点目でございますけれども、第三者委員会の報告書は提出されたわけでございますけれども、日大自体からの報告というのは我々はまだいただいていないところでございます。彼らの立場を考えると大学側でですね、第三者委員会の報告書の内容をきちんと受け止めて、どういうふうに対処するのかお考えなんだろうなというふうに想像しているところではございます。ただ、そうは言いましてもですね、いつまでもぐずぐずというようなことではいけないと思っておりますので、二度とこのような事態が生じることがないよう、再発防止あるいは運営管理体制の再構築、こういった改善計画の策定ですとか、関係者の責任の所在の明確化、これを速やかに進めていただきたいと思っております。速やかにとはいつなんですかということになろうかと思うんですけど、我々としてもずっとお待ちし続けているところでありまして、なかなか何も、第三者委員会のが出てからということであったのでここまで遅くなっているわけでございますが、第三者委員会も出ましたので、我々としては少なくとも今月中にですね、可能な範囲での報告、仮にそれが最終報告ではなくてもですね、今月中にはちゃんとした報告をですね、何らかしなさいといったようなことをお願いしたい、お願いしたいというかいただきたいと我々は考えているということです。

記者)
 国立大学法人法の改正案について2点お伺いします。運営方針会議の委員の選出方法について、文部科学大臣の承認を得た上でという一言が入っていることについて、アカデミアの方から政府の意向を意識した人選をせざるを得ないだとか、学術会議の任命拒否の時のように拒否をされるのではないかといった懸念の声が上がっています。このような懸念点についてどのように説明されるのかという点が1点目です。2点目が運営方針会議の設置対象となる大学は国際卓越研究大学に選ばれた大学だけではなかったという点についても疑問の声が上がっています。その点についてどういうふうに説明されるのか、以上2点よろしくお願いします。

大臣)
 まずなぜそのようなお声が上がるのかが我々としては正直理解できません。今回の法案につきましては、運営方針の委員は大学の申出に基づき、我々の承認を受けた上で、学長が任命する、つまり私たちがこうしろということでは決してありません。ただ、承認に当たっては、大学の自主性・自律性に鑑み、申出に明白な形式的な違反性、違法性がある場合、あるいは明らかに不適切と客観的に認められる場合を除き、承認を拒否することはできないものとなっておりますので、御指摘は全く当たらないと考えております。
 それから、国際卓越研究大学以外のところまでということでありますが、それにつきましてはガバナンス強化の議論の契機となりましたのは国際卓越研究大学に求められるガバナンスの議論において、大学ファンドからの支援を受け、自律的な成長をする大学は、経営に係る意思決定機能や執行に関する監督機能の強化のために合議体を設置することが必要とされたところです。その後、具体的な法律案を検討する過程で、国際卓越研究大学であるか否かに関わらず、大学の活動の充実に必要な運営機能を強化するという観点から、事業規模が特に大きい国立大学法人については、運営方針会議の設置を義務付けるとともに、その他の国立大学法人については、大学からの申請を踏まえ、文部科学大臣の承認を受けて運営方針会議を設置することができるとしております。この点については、本年9月以降、科学技術・学術審議会 大学研究力強化委員会やCSTI有識者議員懇談会、国立大学協会の会議に改正の方向性をお示しながら検討を進めているところでございますので、そういう御懸念は当たらないと我々は考えますし、少し古い話ですが、平成26年に会社法の改正をしてですね、監査等委員会ですとか、そういうものを設けたりしております。株式会社とですね、大学を一緒に見るというのは不適切かもしれませんですけど、上場している株式会社等についてもそのように経営とですね、監督・監査というのを分けてというようなことでもありますので、全体の流れとしては何らおかしくないと私どもは考えております。

記者)
 先ほどの日大の改善計画についてなのですけれども、大臣が先ほど少なくとも今月中にとおっしゃいましたが、それは例えば高等教育局長名などでの事務連絡なり通知とか、書面できちんと大学側に求めるのでしょうか。

大臣)
 形式についてはまだ何も考えておりません。いずれにせよ、大学とのやり取りで、大学側がどう考えているのかよく分かりませんが、網羅的に多くの論点について検討するのに時間がかかるのだというようなことをおっしゃるかもしれませんが、だからといって何も出ないというような状況ではいい加減に困るでしょうと、第三者委員会の報告も出たわけなのだから、やっぱりそれは然るべきタイミングでちゃんと報告しなさいということを大学側に連絡をして大学側からの回答を求めるということで、形式は問わないのだろうと思います。

記者)
 日大の関係で、ガバナンス体制といった場合にいわゆる理事会とか理事長、学長というところ以外に第三者委員会の報告書ですと競技スポーツ部とか、競技部そのものといったところのガバナンスというか、組織のあり方みたいなものを批判されていましたけれども、今回の改善計画にはそういった理事会とか執行部の管理運営体制以外にいわゆる競技部、運動部活動みたいなところの体制整備、刷新というものも入るべきだと大臣はお考えでしょうか。

大臣)
 第三者委員会から報告されていること、指摘されていること、それに対してはやはり何らかの形でですね、明らかにしてもらわないといけないのではないかと思います。

記者)
 そうすると幹部の処分というものだけではなく、今月中に求めるかどうかは別にして競技部のあり方みたいなところにも踏み込むべきだということでしょうか。

大臣)
 やっぱりこれだけ根が深くて、何年にもわたってこういうふうな状態できている、やっぱりそれはもう少し大学側にですね、責任感を持ってですね、真剣に考えていただきたいところですね。私どもの耳に入っている言葉も、他の大学その他の関係者の方からという意味ですが、大変厳しいものが多いですよ、うちは違いますけれどという感じで。

記者)
 一昨日、科学博物館のクラウドファンディングが終了しました。昨日、正式に9億2千万円が集まりましたということがありました。科博の訴えられていたことは、とにかく収蔵する余裕がなくて集めてもスペースが足りなくて保管が十分にできないということで、専門家の方はこれはやはり全国の博物館がみんな抱えている課題で何とかしてほしいとおっしゃる方もいらっしゃいます。大臣は視察もされていると思うのですけれども、こういった収蔵庫の現状と、あと今後文化拠点として活用するためにはそういったインフラも大事だとおっしゃる方もいらっしゃるのですけれども、そういった点についてどう思われるかをお聞かせいただけますでしょうか。

大臣)
 科博について、最終的に9億2千万円の高額の御寄附を頂戴したということに対しましては、まず多くの方々に科博の在り方ですとかね、存在意義を御理解していただいて、御寄付をしていただいたということで、本当にありがたいことだと感謝申し上げたいと思います。文科省としてはですね、博物館による自主的な予算獲得の取組と、国からの予算措置等を合わせて、安定的で優れた博物館運営がなされるよう、引き続き取り組んでまいりたいというふうには思っているのでございますけど、ここから先はまだ今後の検討になりますけれど、今御指摘がありましたように、多くの有志の方々からの御寄付というものを今後どういうふうに考えていくのか、我々が本当はもっと頑張って予算措置をしないといけないわけなのですけど、それが不十分だからこそこうなっております。それに対してどうしていくべきなのか、これはですね、相当大きな課題でございますので、検討しないといけない問題ではないかなと思います。科博の場合にはですね、例えばお子さんを連れてですね、行かれたりして親しみを持たれている方が多いのではないかと思うのですけど、博物館、美術館というのはそういうところだけではないと思うんですね。割合地味で、地味でという表現がいいかどうかは分かりませんですけど、でもやはり日本の伝統や文化も含めて残さないといけないというようなところもあるでしょうから、そういうようないわゆるクラウドファンディングなんかのお金が集まりにくい分野についても、どう支えていくのかといったことも含めて、あるいは寄付ということについてですね、もっと一層寄付を促進できるような施策がないかですとか、検討するべき課題は多々あると思っておりますので、今後の大きな課題の一つであると私は考えております。

(了)

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