盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和5年10月24日)

令和5年10月24日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

私立大学等経常費補助金の一次交付、日本大学の私立大学等経常費補助金の不交付並びにガバナンス体制について、今後の国立大学法人等の施設整備の方向性、自治体における教育職員の在校等時間の上限指針の未整備、フュージョンエネルギーの実現に向けた今後の取組、文科省における今後のがん研究の取組、旧統一教会の財産保全を巡る動き

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和5年10月24日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年10月24日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和5年10月24日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から2件ございます。
 まず最初ですが、今年度の私立大学等経常費補助金の一次交付につきまして、昨日、日本私立学校振興・共済事業団において、昨年度、減額・不交付措置となった6法人の取り扱いについて、判断が行われました。その中で、学校法人日本大学につきましては、令和3年度に不交付措置となったことを受け、ガバナンス改革を進めている最中にもかかわらず、今般のアメリカンフットボール部の事案への対応等において、ガバナンス不全が再発していることが明白となったことを踏まえ、不交付措置を継続するという判断がなされたと承知しています。当省としても、この判断は妥当なものと受け止めており、これに基づいて、交付手続きを進めていくこととします。日本大学に対しては、引き続き、学校法人としてのガバナンスの強化を含む、管理運営体制の再構築を強く求めてまいります。これが第1点目です。
 もう1点、本日、国立大学法人等の施設整備について、全国知事会や経済団体からも御参画いただいた有識者会議において、今後の方向性が取りまとめられましたのでお知らせをいたします。現在、国立大学法人等の施設は老朽化が深刻であり、安全対策が必須となっています。また、地域・社会の課題解決やイノベーションの拠点としての機能強化も急務です。これらを両立するため、自治体や産業界を含む多様な担い手とともに創造的な活動ができる「共創拠点」へと、ソフト・ハード両面から転換することを推進しておりますが、今般の報告書では、その具体化に向けて、DX・GXなどの成長分野やグローバル化などに対応できる環境整備の方策等を御提言いただいております。文部科学省としては、この報告書を踏まえ、国立大学法人等のキャンパスの質と魅力の向上に向けて、引き続き取り組んでまいります。
 以上、2点です。

記者)
 冒頭でも出ましたけれども、日大の経常費のことなのですけれども、これは日大規模の大学で3年連続ということは、他の大学ではあると思うのですけれども、日大規模になると異例だと思います。それについて大臣の所感をお伺いしたいと思います。それに加えまして、文科省側が指導で求めておられる検証方法について、日大側との折衝状況をお聞かせください。

大臣)
 これぐらいの規模の大学かどうかはともかくとしてですね、こういうふうな形で不交付措置が続いていくということ、それ自体が大変残念なことであると思います。やはり社会が大学側に注目をしているわけでございますから、ガバナンスと言いますか、社会から見てですね、さすがにここの大学というか、学校法人はしっかりしているなというふうに思われるような行動をとっていただきたいとまず思います。
 それからもう一つの質問でございますけども、現在、当省は、日本大学に対して、学校法人としての対応の適切性についての、徹底的な調査・検証を求めているところであります。何度もお話をしておりますとおり、現在、日本大学において、第三者委員会による調査・検証を実施中であると聞いております。日本大学からは、報告書を10月中に提出したいとの連絡でございまして、具体的な日時というのはまだ我々は承知しておりません。いずれにしても今月中に提出されるものというふうに考えております。

記者)
 教員の時間外勤務を定める上限指針について伺いたいと思います。先日の文科省の調査で、 上限指針を守るために必要な教育委員会の規則をまだ整備していない自治体が43市町村あることが分かって、その名前を文科省で公表されました。43市町の中にはかなり人口の大きな県庁所在地なども入っています。この上限指針は告示されてから既に3年半経ちまして、まさに教員の働き方改革の1番大事なガイドラインになる内容なのですけれども、それがそれだけ時間が経ってもまだ多くの市町村で整備されてないことについてどう受け止められて、また今後、指針の徹底のためにどういうふうに取り組んでいかれるのか、お考えを伺いたいと思います。

大臣)
 今御指摘があったとおり、改正給特法は令和元年、そして翌令和2年に「指針」が定められたところであります。そこから大分時間が、3年以上経っているじゃないかと、こういうことで御指摘のとおりであります。我々は、各教育委員会において、これは「指針」でそれを具体的なところを定めるのは各教育委員会ですので、そこで規則等で教育職員の在校等時間の上限等の方針を定めることを求めているところでございます。しかしながら、今年の8月時点の調査で、未だ43の市町村でまだ策定できておりません。(注)我々は引き続き、未整備の教育委員会に対して、上限方針を規則等で整備いただくことを求めていきます。そして、これらの取組を含めて、働き方改革、処遇の改善、学校の指導・運営体制の充実を一体的に進めることで、教師が教師でなければできないことに全力投球できるような環境を実現すべきであると考えております。都道府県教育委員会を通じて早急な整備について改めて求めていくということに尽きるかと思います。
(注)「未だ43の市町村でまだ策定できておりません」は、正しくは「未だ43の市町村で令和5年度中に策定する予定がない」です。

記者)
 この教員の働き方改革が難しいのは、文科省が指針を定めても人事権を持っているのは都道府県で、そこの監督権を持っているのは市町村なので、言わば三層構造になっていて、結果的にGIGA端末の整備などもそうですけれども、学校行政の場合というのは、どうしても国がやると言ってもそれが現場まで上手に下りていかなくて、それは結果的に市町村の中の取り組みの違いとか、いろんなところに出てきてしまうという構造があると思います。結局、文科省は市町村に、言葉は悪いですけれども言うことを聞いてもらうためには県を通じてやるという形を取っているのですけれども、例えば先日の中教審の審議でも出ていたのは、県のほうでもなかなか対応に困っているということを言っているので、いわば県のほうにもう少し強い姿勢を取ってもらうとか、ないしは文科省のほうからもう少し市町村のほうにも何かやるとか、何か取り組み方の工夫というものがないと、これはなかなか、3年半も進んでいないので、この先もなかなか進まないところが出てくるのではないかと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。

大臣)
 大変厳しい御指摘であります。しかしながら本質をついた御指摘だと思います。地方分権等の関係その他、我々文部科学省に与えられている権限、そして地方の独自性といったところがありますので、これにつきましては今後の課題ということにならざるを得ないと思います。急に私ども文部科学省のほうだけでですね、一方的にこれはこういうふうにしていくということは、ちょっと今の制度の上では困難だと思います。ですから、ぱっとしないお答えで繰り返しになりますけれども、都道府県教育委員会を通じて求めていくということを我々は続けていくという予定であります。

記者)
 冒頭の日大への私学助成金交付についてなのですけれども、これで3年連続での不交付となって、第三者委員会による検証が続いてはいますけれども、日大に対して具体的にどのようなガバナンスの強化ですとか改善を求めていきたいのか、お考えをお聞かせください。

大臣)
 それにつきましては、まず日大側からの報告、これを待ってということになりますので、今ここで申し上げるという段階ではないと思います。ただいずれにせよ、やはりこれだけ深刻な問題というのですかね、何年も続いている問題になっている、そしてまたアメリカンフットボール部だけの話ではないと思うのですけれども、そういうところにおいても芳しからぬと言うのでしょうか、逮捕されるような事態が起こっている、そういうようなことに対してのやはり自覚というか反省というかですね、あってはならないことが続いて行われているわけでございますので、学校法人として、教育を行うという学校法人の在り方としてそれでいいのですかと、我々は良くないと思っているからこういうふうに不交付につながるわけなのですけれど、そこのところをやはりよく大学側にはお考えいただいて、そして報告書が出てからの話になりますけど、若干先走っているのかもしれませんけれど、その上でどうすれば教育法人として最低限守らなければならないような体制に変えていくのかということをお考えいただくということなのではないかと思います。

記者)
 核融合の技術開発について伺います。今月19日の核融合の挑戦的な研究の支援の在り方に関する検討会が開かれまして、ムーンショット制度を活用して2050年までに核融合エネルギー、フュージョンエナジーが実装される社会を目指すという目標案が示されました。この件に関して大臣の所感をまずお願いします。

大臣)
 正直あまりこの核融合自体についてそれほど詳しくはないわけなのですが、先日の有識者会議において、ムーンショット型研究開発制度として提案する新目標案を含め、最終取りまとめが行われました。そして、フュージョンエネルギーは、エネルギー問題と環境問題を根本的に解決し得る次世代のクリーンエネルギーと期待されているところですし、また国際開発競争が激しくなっている分野であると承知しております。当省としては、南フランスにありますITERの計画ですとか、茨城県にありますBA活動の推進、あるいは原子炉(注)開発の加速に加えて、新たに小型化・高度化等の新興技術の開発を強化することを検討しておりますので、フュージョンエネルギーの実現に向けて、しっかりと取り組むというところでございますが、それ以上のところはなかなか私自身ではあまりよく承知してないということで、2050年の目標ということについても議論があると伺っているところでありますが、有識者会議のほうでは挑戦的な研究開発を支援するムーンショット型研究開発制度の趣旨等を踏まえて、そういうような目標が設定されたものと伺っているところですし、それが実現されていくことになることを期待しているというところであります。
(注)「原子炉」は、正しくは「原型炉」です。

記者)
 追加で1点なのですけれども、目標の年を2060年に設定するという選択肢も議論されていたのですけれども、今回、2050年に目標を設定するということで、実現が難しいのではないかというような意見もあったと思うのですが、2050年までというスケジュール感について大臣はどのような狙いがあるというふうに考えていらっしゃいますか。

大臣)
 多分ですね、若干の想像を含めてになりますけれども、2050年カーボンニュートラルというのが政府の方針でございますので、そういったことを含めて実現したい社会像というものからバックキャスティング、逆算ですか、をして2050年までにフュージョンエネルギーの実装というのを提言されることになったのではないかと思います。ですから目標というのがやっぱりなければなかなか物が進まないというのは事実ですし、目標が簡単にできる目標となかなかできない目標といろいろあるわけでございますけど、有識者会議のほうではですね、そのようなことも判断された上で2050年というふうに明記されたのではないかと思います。

記者)
 先週の金曜日に今後のがん研究の在り方について有識者会議の報告書がまとまりました。大臣としては今後のがん研究についてどういう分野で強くしていくべきか、お考えを教えてください。

大臣)
 なかなかどういう分野でというところまではあまり私考えが至っていないのですが、今現在、二昔、三昔前と違って結核だとかいろんな病気ではなくて、今はがんが死亡原因の第1位でありますので、国民的に解決しなければならない1番大きな医療の課題であるとまずは思います。それで今お話があったように今月20日に今後のがん研究の在り方に関する有識者会議で報告書がまとめられたということです。この報告書を踏まえて、当省では、次世代がん治療の創成に向けて、免疫学や遺伝子工学、データサイエンス学などの多様な分野の先端技術を融合させた、質の高い基礎研究を戦略的に推進していくということで、それぞれ研究開発がこれからどうなっていくのかということとも関係すると思うのですけれども、なかなかどの分野と我々のほうからですね申し上げるのは難しいのではないかと、今はちょっと肺がんが減ったのですかね、大腸がんですとかね、そういうものは増えたと聞いておりますけど、やはり医療の発展とともに、何て言うのですかね死亡原因というかまだまだ分からずに、そして残念ながら死亡につながるという病気、がん、これが変わっていっているのも事実ですから、多分研究者の皆様方が今、それぞれの分野でそういった死亡が多いところを中心にですね、 研究され、そして医療の手術、その他の医療の手段であり、あるいはそれに対応する薬ですね、こういったものの開発につなげていかれることになるのではないかと思います。すみません、ぱっとしないお答えで。

記者)
 旧統一教会に係る教団の財産保全に関しまして、昨日、自民党の茂木幹事長が声高に財産面の被害者支援が必要だということで、法的支援のほうにも舵を切ったと報道されているところであると思います。改めて大臣の財産保全に関してのお考えをお聞きしたいと思います。また、それに関しまして韓国の教団本部が先日声明を出したということが報道されておりまして、各国の法人の財産が各国の法律に基づいて管理されるものであって、各国の法人は独立して実質的に運営されているものだと韓国の本部から各国の教団支部に向けて通達をしたということが報じられております。これに関しても大臣の受け止めも合わせてお伺いできますでしょうか。

大臣)
 まず1点目に関しましては、前にここで、12日ですか、13日にお話をしたとおりでございますけれども、我々は教団の財産ということについては、まず民事保全の手続きに則って個々の被害者が主体的に債権を確定させ、そして請求や保全の手続きに入るということが基本である、そういうふうに考えております。そしてそれに対して我々政府ができることは法テラスその他ですね、そういう被害者の方の請求の手続きのお手伝いをするというところでそれに取り組んでいるというところです。他方では今御発言がありました野党がもうすでに、先週20日金曜日に議員立法を立憲さんと維新さんが出されて、そしてそれに対して与党のほうで、自公でですね、議員立法の動きを進められているということは我々は承知しているところであります。私たちとしては、各党のこの作業これが早くうまく調整されてですね、法的な救済手続きが議員立法で成立されることを期待しているということであります。
 それから2点目の話につきましては、これはちょっと我々のほうではあまりよく分からない話であります。韓国の教団本部がどういうふうに、どう思っておられるのかであり、そして日本の法人がですね、どういうふうにしているのか、これはまだそれぞれの法人に対して我々がどうこうという段階ではないものですから、これはそういう報道があるというのは我々承知をしているところでありますが、これも先日お話したところでありますが、先々週か、13日金曜日に東京地裁に請求の申し立てを行ったところでありますので、今司法の場で判断というところになっておりますので、その判断ができるだけ早く出ることをこちらは期待をして協力をするということではないかと思います。
 すみません、ちょっと私間違ったようです。与党はまだ議員立法の動きではないようであります。被害者救済に向けた検討をという、そういうようなことだそうです。大変失礼しました。訂正いたします。

(了)

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