盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和5年10月20日)

令和5年10月20日(金曜日)
教育、スポーツ、文化、その他

キーワード

児童生徒等に対する性暴力等の防止に係る大臣メッセージ、日本大学アメフト部員の違法薬物事件への対応、東近江市長の不登校に関する発言への見解、旧統一教会の財産保全に関する与野党の動き、「ライドシェア」導入に対する見解、佐渡市長ほか新潟県関係者との面会

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和5年10月20日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年10月20日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和5年10月20日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 私から1件、冒頭御説明をいたします。
 本日、児童生徒などに対する性暴力等の防止を徹底するため、全ての学校関係者に宛てた、大臣メッセージを発出することといたしました。教育職員等が、子供たちに対し、性暴力などを行うことは断じてあってはなりません。他方で、令和4年以降、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」に基づく取組が進められてきたものの、残念ながら、未だ教育職員等による児童生徒性暴力等の事案が相次いでおります。性暴力等は子供たちの尊厳と権利を踏みにじるだけでなく、ごく一部の者の行いにより教育職員全体に対する社会からの信頼が毀損されかねず、このような事態が生じていることは誠に遺憾です。このため、メッセージでは、学校設置者などに対し、改めて教育職員等に対する研修や、相談体制の整備・周知等の速やかな実施を求めるとともに、児童生徒等に対する「生命の安全教育」に取り組むことをお願いしております。本メッセージも踏まえ、学校関係者の皆様におかれては、今一度、法の趣旨を御確認いただき、適切な対処をお願いしたいと思います。文部科学省においても、子供たちを守るため、引き続き全力で対策を進めてまいります。
 以上です。

記者)
 日大アメフト部の薬物問題について伺います。一部報道で大麻を使用した可能性のある学生が11人いると大学側が把握されているとしています。これまで大学側から大麻使用の学生について報告がありましたでしょうか。また、なかった場合は11人使用の可能性という重大な事態を速やかに報告していない日大の体制についてどのように思われるかをお伺いできますでしょうか。

大臣)
 文部科学省が日本大学に対して発出した指導通知におきましては、まず事実関係を明確化した上で、法人としての判断や対応について、調査・検証し、報告することを求めています。日本大学においては、今回の件に関して自ら調査を行っているほか、警察への捜査の協力などを行っており、文部科学省も必要に応じて報告を受けているところです。その上で、お尋ねの「11人の部員が大麻使用の可能性がある。」との報道については、現在、調査を継続中の事案であります。ということで、文部科学省としては事実関係を含めコメントを控えさせていただきたいと思います。

記者)
 滋賀県の東近江市長の発言に関してちょっと伺いたいのですけれども、3日前の17日に公式な会で、文部科学省がフリースクールを認めたことに愕然としていると、国家の根幹を揺るがしかねないというような趣旨の発言があったというふうに聞いているのですけれども、これに関して、文部科学省に対する批判のような気もするのですが、省として、大臣としてどのように受け止めて、どう考えているかということを伺いたいというのと、文科省としては不登校の児童生徒に対する支援のあり方は改めてどういったものが望ましいと考えているのか伺えればと思います。

大臣)
 不登校児童生徒への支援に当たっては、教育委員会や学校が責任を持って、学校内における校内教育支援センター、そして学びの多様化学校や地域における教育支援センターの整備を進めるとともに、子供の状況によっては、支援の知見や実績を有するフリースクールなど民間団体等との緊密な連携のもと多様な学びの場を確保していくことが重要であると考えています。本年3月に策定したCOCOLOプランも踏まえ、不登校によって学びにアクセスできない児童生徒をゼロにすることを目指しております。学びの場の確保や児童生徒の困難の早期発見・支援の観点から、教育委員会や学校における体制の整備や民間団体との連携強化に取り組むとともに、何よりも学校をみんなが安心して学べる場にすべく「公教育の再生」に取り組んでまいります。
 ちょっと長くなりますけれども、もう一言申しますと、その市長に対してどう考えるかという御質問だったかと思いますけれども、義務教育は、個々の児童生徒の社会的自立のための基礎を培うとともに、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養う、こういうことを目的として、国及び地方公共団体の役割分担と協力の下で、必要な環境の整備が行われてきております。日本国憲法や教育基本法等では、保護者に対して、子供に普通教育を受けさせる義務を課しておりますが、子供によっては学校に通うことができない状況もあるということを我々も承知しております。ですから、様々な事情により学校に通うことのできない不登校児童生徒は約30万人に上る中で、何よりも、学びにつながることのできない子供をゼロにするため、児童生徒の学習機会を確保するとともに、安心して学べる学校づくりに取り組むことが大事だと私たちは考えているということです。

記者)
 フリースクールの存在を認めているということがよろしくないかのような発言だと思うのですが、その点はいかがですか。

大臣)
 今申し上げたことの繰り返しになるわけなんですけれども、国と地方公共団体が協力しながら義務教育をしている、そしてその教育を受けるという親御さん、保護者に義務は課してはいるわけなんですけど、なかなかそれができない子供が増えてきているというのも事実ですから、そういう子供に対して私たちが安心して学べる学校づくりですとかね、そういう受け皿を考えているわけで、それが一つにはフリースクールということにもなりますし、またそれ以外の学びの多様化ということで私たちはやっているわけですから、我々としてはやはり全てのお子さんに学びの機会を享受していただけるように努力をしていくということではないかと思います。

記者)
 この発言というのは国の見解とはどうなのでしょうか。整合しているものなのでしょうか。その点をお伺いできますか。

大臣)
 市長の発言に対してどういうふうに考えるのかというのを私のほうからですね、適不適を述べるということはどうかなと思いますけれども、繰り返しになりますけど、私たちとしては、親御さん、保護者としては子供に義務教育ですから、義務教育ということでお子さんに学びの機会を提供するというかですね、そういうふうにする義務はあると思っていますが、だからといってみんながみんな行ける状況でないというのも、これも事実ですから、それに対して私たちはいろんなことをしているわけです。それに対して市長が、そういう発言をするような市長がおられるということなんでしょうね。それに対しては私たちとしては望ましい発言とは当然考えていないわけですよね。ですから今繰り返し申し上げたようなことを御説明してるということで御理解を賜りたいと思います。

記者)
 教育新聞さんの質問にも関連することなのですけれども、今回の市長の発言は内容としては大変不適切で、一つ一つ例示することはお子さんや保護者、現場の方々を傷つけることにもなると思いますのでこの場では引用は控えますけれども、今回の会見自体を不登校の状況にあるお子さん、保護者、日夜現場でそういう子供たちと向き合っている現場の方々も見ていると思うのですが、市長へのコメントというよりもそういった子供とか親とか現場にいる方々に、不登校になっている子供や親、支援者に対して大臣からメッセージがありましたら、正面にもカメラがあると思うのですが、元気の出るメッセージと言いますか、お言葉をいただけたらと思います。

大臣)
 うまくお答えできるかどうか、心構えが十分できていませんですけれど、やはりお子さん方、あるいは保護者の方に言いたいことというのは、我々国、あるいは地方公共団体とも協力をしてもらいながらなんですけれども、学びの場というか、すくすくと育てられるような、学べるような、そういう環境づくりを私たちはやっていくということではないかと思います。私も子供がおります。また孫もおります。孫はちょっと離れているので何とも言えないですけど、自分の子供を育てた経験から言いますとですね、いくら親子といったって別人格ですよね、別の生き物ですよね。そうすると、こっちがこうだと思っても子供が全然やらない、勉強しないも含めてですよ、いろんなことを子供の判断で動くわけですから、それを強制的にいろんなことをしていくというのはこれは難しいと思います。ただ、私は子育てはあまりうまくできたとは思っていませんし、昭和の時代の父親でありますからほとんど妻任せでございました。そういうような私があんまり発言できる資格はないのかもしれませんが、子供が関心を持つこと、あるいはそういうところを伸ばすような、やりたいということをある程度させる、ただそうは言っても何でもかんでもしたいものを全部させるというわけにはね、経済的にも時間的にもいきませんから、そんな中で取捨選択というか、子供と話し合いをしながらですね、これはちょっとまずいんじゃないかと、これはこうしたらといったようなことで子供がどこまで納得してくれるかですけどね、そういうようなことで子供に接して、そして学校で、私だって自分が子供の時、いじめっ子がいてですね、いじめられた経験がありますし、私の子供だってやっぱり行きたくないだとかですね、あの子が嫌だとか、そんなことを言ったりしていました。そして、それに対して励ましたり、場合によったら先生にも相談したりだとか、そんなことをして、そんな中である程度のお子さんは自分の力で乗り越えていくことができるのではないかと私は思います。ただ、みんながみんなそういうようなお子さんばかりではないと思いますから、そういう方々に対してどうやって社会が手を差し伸べていけるかということなんじゃないでしょうか。私が子供の頃は、それこそまだ戦後の香りが残っている時代でしたので、近所のおっちゃん、おばちゃんというかですね、関西弁で言うとですね、そういう人がお前何やってるんだろうとか、こんなことしたらあかんやないかとかね、お節介と言えばお節介なんですけど、色々口も出し手も出してくれました。原っぱもあってですね、そんなところでいろんな遊びもすることができました。そういう中で、子供としての、子供の世界の中での社会的なトレーニングや何やらができてきた、そういう時代だったのかなと思います。ただ私の子供を見ていて、孫になったらもっとそうですけど、なかなか外で遊ぶことができない、あるいは学校でも暗くなるまで遊んでてですね、母親がですね、もうご飯ができてるんだから早く帰っておいでなんてね、言われるような、そんな時代じゃなくて、外へ出ると自動車が危ないからだとか、あるいはゲームだって私たちは子供の頃は石と棒で遊んだりだとか、ボール一つで三角ベースをやったりだとかしていたのが、今はみんなゲームを使ったりだとか、だいぶ遊びも変わってきている、それからスマホや何やもね、持つようになって、だから環境が変わっているので、そんな中でどうやってお子さんにすくすく育っていただくのか、あるいはそういうような環境を我々が整えていけるのかということだと思います。ただ、タブレットも去年の4月から、小学校1年生から1人1台で支給された(注)わけで、これも使ってですね、SOSがあったらばタブレットでですね、御相談もしていただけるような環境も作っていますし、あるいはタブレットで自分の好きなもの、音が出たり色が出たりを含めて、私たちの頃のように紙の教科書しかなかった時代とは違うようなこともありますから、今の良さもあるわけでして、そういうような中でいいお答えにはなっていないと思いますけれども、我々ができることはお子さんがすくすく育ち学べるような環境を国、地方公共団体、我々教育の関係者がですね、整えていくということではないかなと思います。
(注)「去年の4月から、小学校1年生から1人1台で支給された」と発言しましたが、正しくは、「令和2年度末時点で、全国の公立小・中学校で1人1台端末の整備が概ね完了した」になります。

記者)
 先ほども話に出ました日大アメフト部の問題なのですけれども、林理事長が警察に聴取されると補助金が交付されない可能性が高いとして、沢田副学長に対して辞任要求されました。現段階での日大の補助金交付について大臣としての見解をお願いいたします。

大臣)
 今の補助金ということに関してはですね、私立大学等経常費補助金、これの一次交付については、来週、日本私立学校振興・共済事業団が判断すると伺っておりますので、現時点では何も決定したものはありません。

記者)
 立憲民主党が本日午前、旧統一協会の財産を保全する特別措置法を衆院に提出しました。加えて自民党の世耕幹事長も17日の記者会見で財産を保全する法整備が不可欠だとの認識を示されました。大臣は以前の会見で、財産保全については政党間でどのような動きが出てくるのかを見ながらの対応になるというふうにおっしゃっていたと思いますが、与党の動きも出てきたということで今のお考えをお聞かせください。

大臣)
 先日申し上げたことで基本的には変わりありません。立憲さんだけではなくて他の党もね、今日出すと言っておられる党があるわけですから、与党・野党ともにですね、そういうような動きをしていただいているということではないかと思います。被害者に対する救済策をですね、国会のほうで各党で御議論をしていただけるというのは大変ありがたいことであると私どもも思っておりますので、今後の検討の進展、こういうのを見守っていきたい、期待していきたいというところであります。

記者)
 ライドシェアについてお伺いします。岸田総理大臣が臨時国会の所信表明演説にライドシェアの導入の検討を盛り込むという報道がありました。一方で盛山大臣は17日にタクシー・ハイヤー議連の中で、導入に反対というような意見を述べられているということなのですが、これについて閣内不一致ということが指摘されています。改めて内閣の一員としてこの件についてどのようにお考えかお聞かせください。

大臣)
 17日に、私が幹事長を務めております自民党のタクシー・ハイヤー議連に一議員として出席をいたしました。私が発言したのはですね、安易なライドシェアは認めるわけにはいかないという趣旨の発言をしました。ライドシェアが絶対に駄目だということを言っているわけではありません。この場でね、文科大臣として答える場ではちょっとふさわしくないのかなと思うんですけど、安易なライドシェアは認められないというのはどういうことかというと2、3点だけ言いますとね、まずは普通のタクシーというのは、バスもそうですけど、道行法の2種免許を持っている人でなければ運転できないわけです。やっぱりそれは安全性の問題ね、普通の免許ではなく2種免許を取る、そういうようなハードルがあって、そういう人でないと人の命を預かる仕事ですから駄目だということ、それからもう一つ大きいのはですね、事故が起こった時の補償なんですね。個人タクシーも含めてですね、いわゆるタクシーであれば会社、タクシー会社が補償するということになります。ライドシェアの場合にはアプリというんですかね、マッチングをするところは自分たちは場を提供するだけであるから、それについては万一事故があったらば運転をした人との問題であるというふうに言っています。そこのところで補償といったような点でも問題があります。それから、普通のタクシー、バスもそうですけど、運行管理者というのをおいてですね、飲酒ですとか健康状態ですとか、そういうことをチェックする、あるいは自動車の整備ですね、そういうことも含めてやっているわけで、そういったことはやっぱり安全運行のためには必要な、基本的なところだろうと思うので、そういうようなことを十分検討の上でですね、ライドシェアというものがうまく進むのであれば、それは何ら問題はないと思いますよ。ただ、安易なライドシェアを認めるわけにはいきません。そして特に、例えば東京で言いますとね、車は余っているわけです。運転手さんが足りないわけです。なぜ足りないのか、これはコロナの間に運転手さんが減ってですね、1万人ぐらいかな、戻っていないんですよね。じゃあ、なぜ戻っていないのか、結局それは処遇ですよね。仕事の勤務時間や収入や、そういうところを含めて考えないとですね、それはまずいんじゃないですかということで、さらにもう一言言うと、タクシーも、バスだけではなく、タクシーも公共交通として位置づけられているわけですね。みんなが生活をしていくために必要な足というのをですね、運賃料金だけで、民間の私企業が営利をあげてやるという仕組み自体がもうそろそろ時代に合わなくなってきているんじゃないですかということを私はその場でも申し上げました。つまり、人口がこれだけ減っています。文科で言うとね、私立の大学や何かは大変になっていくわけなんですけど、そういうような状態の中で儲かるという前提でやる交通事業というのをいつまで日本は守っていくんだろうか、海外ではタクシーは別かもしれませんが、バスも鉄道も全て税金を入れて運行しているというのが当たり前ですからね。日本だけが例外なんですよね。そういうことを含めての見直しが必要ではないかということで申し上げたということで、すみません、ちょっと脱線をしました。

記者)
 水曜日にありました佐渡市長との面会についてお尋ねします。佐渡金山の世界遺産登録実現に向けた要望というところで理解しておりますが、その際の面会の内容についてお話しください。

大臣)
 18日、一昨日ですね、佐渡市長をはじめ「佐渡島の金山」の世界遺産登録に取り組む関係団体の方と面会いたしました。皆様のほうからは、来年の世界遺産登録に向けた関係者の強い思い、これを伺いまして、来年の世界遺産委員会において登録が決定されるよう、外交上の取組を強力に進めてほしいという御要望がありました。私のほうからは、外務省をはじめ、関係省庁とも連携をして、しっかり取り組んでいきたいと、そういうふうにお答えをしたところでございます。先日もここで御説明しましたが、何日だったかな、現地を訪問して、9日の祝日の月曜日だったですかね、スポーツの日、「佐渡島の金山」の高い価値というものを私自身も実際にこの目で見てまいりましたので、新潟県、佐渡市だけではなく、関係省庁とも連携しながら全力で取り組みたいと考えています。

記者)
 関連して、要望の内容、先ほど大臣もおっしゃられたように外交上の取組を強力に進めてほしいということになると思うのですが、その点についてこれまでも外務省さんと連携されて行ってこられたとは思うのですが、お話しいただける範囲でどのようなことを進めていきたいというところがありましたらお願いいたします。

大臣)
 ユネスコというかICOMOSというか、そこに対して丁寧に御回答する、そして、その委員会の関係者の方々に対してですね、よく御説明をし御理解をいただくべく、外務省と協力しながら今、活動しているところです。

(了)

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