盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和5年10月17日)

令和5年10月17日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化

キーワード

「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」、東京工業大学の視察、第38回国民文化祭「いしかわ百万石文化祭2023」、日本大学アメリカンフットボール部をめぐる違法薬物事件、沖縄県教育委員会における教員免許状取得見込み者への臨時免許上の交付、国際リニアコライダー(ILC)計画、子供の性被害を防止するための法制度創設の検討、学術論文のオープンアクセス化に関する取組、札幌市の2030・2034年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致、旧統一教会の解散命令請求に係る協会側の主張について、文化庁の京都移転

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和5年10月17日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年10月17日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和5年10月17日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から3件ございます。
 まず第1点目であります。昨日、官邸におきまして、不登校対策推進本部等の合同会議が開催されました。会議におきましては、総理から、現下の不登校やいじめ重大事態の状況を踏まえた緊急対策を取りまとめ、経済対策にも盛り込むよう指示がありました。本日、文部科学省として、「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」を策定いたしました。具体的には、校内教育支援センターの設置促進や「心の健康観察」の推進などのCOCOLOプランの取組を前倒しするとともに、いじめの早期発見・支援に向けた自治体へのサポートチームの派遣などの取組を速やかに進めていくこととしています。加えて、本パッケージの策定を踏まえた大臣メッセージを、本日、子供たちと教育委員会・学校に向けて発出いたします。文部科学省としては、子供たちに寄り添いつつ、教育委員会や学校と連携して不登校・いじめへの対応の緊急強化に取り組んでまいります。
 それから続きまして2件目です。先週13日の金曜日ですが、東京工業大学に視察に伺いました。当日は、東工大の益学長や学生のほか、来年の統合に向けてともに準備を進めておられる東京医科歯科大学の田中学長や東京医科歯科大学の学生の方にもお会いし、学生さんとの懇談、あるいは医工連携による研究成果の視察に加え、両学長をはじめ、執行部の方々との意見交換、こういったことを行いまして、統合に寄せる両学長の意気込みあるいは期待についてお話を伺いました。今回の視察も踏まえ、文部科学省としても、両大学に伴走しながら両大学をしっかりと支えてまいりたいと考えております。
 最後、3点目であります。一昨日15日の日曜日でございますが、天皇皇后両陛下の御臨席のもとで開催されました第38回国民文化祭「いしかわ百万石文化祭2023」の開会式に出席してまいりました。開会式では、石川の文化や歴史を歌や踊りなどで表現するステージなどを拝見し、石川県の方々をはじめ、全ての大会関係者の皆様がこの大会に向けて準備をされてきた強い思いが伝わってまいりました。11月26日まで開催されます本大会におきまして、地域や世代を超えた交流を通じ、豊かな文化芸術活動が展開されることを期待しております。また、国民文化祭の開会式への出席に合わせまして、石川県金沢市にあります国立工芸館と石川県立美術館を訪問いたしました。両館が共同で開催する「皇居三の丸尚蔵館収蔵品展」の視察をさせていただきまして、文化財を守り伝えていくことの大切さを、改めて強く感じました。その想いを今後の施策に生かしていきたいと考えております。
 私からは以上、3点です。

記者)
 日本大学のアメフト部の薬物問題で昨日、新たな逮捕者が出ました。一連の問題では改めて大学のガバナンスの問題が問われているかと思いますが、日大側へは今後どのように対応される予定でしょうか。また、8月に報告を求めていたと思いますが、こちらについては10月が期限になっているかと思います。何か進捗はありますでしょうか。

大臣)
 日本大学アメリカンフットボール部に所属する学生1名が、麻薬特例法違反の容疑で新たに逮捕されたとの報道は承知しております。日本大学において様々な不祥事が発生していることについて、大変残念に思う次第です。現在、文部科学省としては、日本大学に対して、アメフト部の薬物事案に関連する法人としての対応の適切性について、徹底的な調査・検証を求めているところです。これを受けまして、日本大学におきましては、先ほど御指摘・御発言があったように、第三者委員会で調査・検証を行っており、日本大学からは報告書を10月中に提出したいとの連絡を受けているところです。現段階では、具体の提出の日時についてはまだ御連絡をいただいていないと思いますが、今月中に提出されるものと考えております。日本大学におかれては、警察の捜査への協力はもちろん、様々な不祥事の再発防止、あるいは学校法人としてのガバナンスの強化を含む管理運営体制の再構築を行い、社会から求められる責任をしっかり果たしていただきたいと考えているというところでございます。

記者)
 沖縄県の教育委員会が教員免許を取得予定の大学生に臨時免許を交付して、公立の小中学校の非常勤講師として任用するということについて伺いたいと思います。現在、沖縄県では、その候補者の募集を開始したところなのですけども、まだ教員養成課程をきちんと修了していない学生に臨時免許という形であっても教員免許を与えまして交付するということはあまり例がないと思いますが、教員免許法の趣旨なども踏まえまして、こうした運用には問題がないとお考えなのか、大臣の御意見を伺いたいと思います。

大臣)
 沖縄県教育委員会におきましては、今年度中に普通免許状を取得予定の大学生などが、段階的に学校現場に慣れ、今後の教職経験に生かしていくことを目的として、当該学生に臨時免許状を授与し、非常勤講師として任用する取組を始めようとしていることは承知しております。文部科学省としては、この取組のように、大学における教職課程の授業と、現場での体験や実習等を相互に往き来し、学びを深めていくことは、教師としての資質能力を身につける上で大変有意義であると考えています。他方、教育職員免許法上、臨時免許状は、普通免許状を有する者を採用することができない場合に限り授与することができるものとされております。このため、文部科学省から沖縄県教育委員会に対しまして、臨時免許状の制度の趣旨、そして特別非常勤講師制度の活用等について助言を行ったところであります。臨時免許状の授与の要否については、それを踏まえた上で、沖縄県教育委員会において改めて検討するものというふうに承知しています。

記者)
 今のお答えを伺いますと、要は文部科学省としては教員免許の付与、臨時免許の付与について沖縄県教育委員会に見直しを求めているということでよろしいのでしょうか。

大臣)
 見直しを求めているというか、沖縄県教育委員会の制度の趣旨・理解がちょっと不十分なのではないかということで助言を申し上げたということですから、我々の助言を踏まえてですね、何らかのアクションが教育委員会側から出てくるものと期待しているところです。

記者)
 加速器の国際リニアコライダー、ILC計画について伺います。ILC誘致を推進する研究者コミュニティがILCの立地候補地として北上山地が最適だと発表してから、今年の8月で10年が経ちました。それから日本への誘致実現への兆しというのがほとんどない状況だと思うのですけれども、この機会に改めてILC計画に対する盛山大臣の見解を聞かせていただけるとありがたいです。

大臣)
 ILC計画は、巨額な経費を要する国際プロジェクトであると思います。国際的な費用の分担、技術的成立性など、様々な課題が解決されるとともに、国内外の幅広い理解と協力が必要だと考えます。一方、欧州の関係国は、ILC計画に対する投資にかなり慎重な姿勢を示しています。昨年2月のILCに関する有識者会議の報告書では、計画の進め方の再検討、あるいは関係国の研究機関との協力の下での技術開発などについて提言をいただいているところです。このような状況を踏まえれば、まずは、必要な技術開発を着実に進めるとともに、関係国が参加できる環境の醸成が必要であると考えております。国内外の研究者間においてしっかりと議論いただくことが重要ではないでしょうか。文部科学省としても、国内外の研究者コミュニティの動向を踏まえつつ、対応していきたいと考えています。

記者)
 日本版DBS制度の法案提出が来年以降に先送りとなることが昨日明らかとなったかと思います。対象職種を保育所や学校に限定したことなどに異論が相次いだことを踏まえての先送りと見られていますが、大臣としては学校や保育所だけでなく学習塾や放課後児童クラブなど、法的な監督の仕組みが整っていない施設にもこの日本版DBSを義務付けるべきとお考えかどうかを教えてください。

大臣)
 御指摘のとおり、昨日の会議におきまして加藤こども政策担当大臣から、いわゆる「日本版DBS」を創設する法案については、「可能であれば次期通常国会以降のできるだけ早い時期にということで法案を提出できるよう、早急に制度設計を行っていく」という発言がございました。ということで、「日本版DBS」の制度化に向けた検討は、こども家庭庁において引き続き行われるものと理解しております。今回の制度は、我々当省の学校教育等にも大きく関わるものでございます。教職員等による児童生徒性暴力等防止法に基づく取組を推進する当省としても、より実効性のある仕組みとなるよう、こども家庭庁の検討にですね、これから協力をしてやっていきたいと思っております。今の段階ではこの程度のお答えとなります。

記者)
 先週なんですけども、大学図書館コンソーシアム連合が世界最大の学術出版社エルゼビア社と転換契約提案で合意して、それを受けて東北大学も来年1月から転換契約を行うと公表しました。今回の合意について大臣の御所感をお願いします。

大臣)
 学術論文のオープンアクセス化を含むオープンサイエンスの推進は、今年5月に開催されたG7科学技術大臣会合においても、重要な課題として取り上げられているところです。一方、現状におきましては、学術論文の購読料のほか、論文公開料も高騰しております。大学や研究者等の負担が増大するなど、オープンアクセスに関して、様々な課題があるというふうに承知しております。今回の大学図書館コンソーシアム連合とエルゼビア社との間で新たな転換契約の提案について合意されたと、まだ提案の合意だと承知しております。また、東北大学は2024年からの同提案への参加を表明したというふうに承知をしているところです。一般論として言うと、転換契約により、購読料から論文公開料への転換が進めば、オープンアクセスに寄与するものと認識してはおりますけれど、当省としては、引き続き、オープンアクセス化を含むオープンサイエンスの推進に向けて、内閣府等ほかの関係者と連携して取組を進めていきたいと考えています。

記者)
 旧統一教会の解散命令請求のことについてお伺いします。昨日、教団が記者会見を開きまして、解散命令請求に関しまして法人に対する死刑の求刑だという表現をして全面的に争うという姿勢を示したとのことです。この中で、先日の解散命令請求の時に御説明いただいた2009年以降のコンプライアンス宣言以降も献金被害があるという説明について、教団のほうはそうではなくて、クレームが減っていて、あとは政府の主張は具体的な資料がないから反論できないとか、あとは献金マニュアルは確認できていない、あとは宗教法人法の何条に相当するかの説明が全くないということで政府の主張に関しましては今回反論している格好になっておりますけれども、これに関して大臣の受け止めをお伺いできますでしょうか。

大臣)
 昨日、旧統一教会が会見を行ったことについては承知をしております。ただ、動向について逐一コメントをすることは差し控えたいと思います。今、司法の場に移っている段階でございます。今回の我々が出しました解散命令請求は、報告徴収・質問権の行使やその他の情報収集・分析を行った結果、請求するに足るだけの、具体的な証拠等を伴う客観的な事実が明らかになったことから、宗教法人審議会の意見を伺った上で、判断しております。当省としては、解散命令が相当と認めて請求を行っておりますので、今後の裁判所における審理等、こちらへの対応に万全を期していきたい、その中で争いたいというのですかね、我々の考えをまた明らかにしていきたい、そんなふうに考えているところです。

記者)
 札幌の五輪招致の件で伺わせてください。IOCが今月30年と34年の冬季大会を同時に開催地を決定すると決めまして、札幌は34年も絶望的であるという報道があるのですけれども、大臣は現状をどう認識されていて、今後の五輪招致の方向性についてどうお考えでしょうか。

大臣)
 報道が出たというところについては承知はしておりますけど、我々も報道でですね、IOCが冬季オリンピック・パラリンピックについて、2030年と2034年の大会の開催地を同時決定する方針を決定したというふうに我々も報道で承知したところであります。ただ、札幌市としては、先日11日に公表した2034年以降の、つまり2034年を含む大会の開催可能性を探っていくという立場に変わりはない、今のところ変わりはないと承知しております。今後、札幌市におかれては、JOCとの相談の上、今後の進め方を検討されるものと我々は認識しますので、私たちとしてはその動きを見守っていくということかなと思います。

記者)
 先ほど大臣から発表いただいた不登校いじめ対策についてですけれども、今回、緊急対策のパッケージを取りまとめていただきましたが、その中で1人1台端末の活用を進めていこうという文言が、不登校であったりいじめ対策にも活用していくということが書かれていますが、この1台端末の予算、更新費用、回収費用の予算措置をどうしていくのかというのはまだ明らかになっていないところだと思うのですが、補正予算の案を作っていかないといけない御意識で大臣から基金という言葉であったりとか、補正予算で各年で取っていくのか、どちらかお答えを、すみません、ちょっとまとまっていないのですけれども、改めて基金という方向性についてお答えいただけますと幸いです。

大臣)
 今のお話の「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」の中で、1人1台端末を活用して、つまり学校に行ったり人に会わない形でですね、色々御相談をするということで今、パッケージの中には入れているところでございます。他方、今合わせて御指摘があったというのですかね、お尋ねのあった1人1台端末の更新については、これはまた別の問題ですから、更新は更新で今、来年度予算要求として出しているところでありまして、それがまだ今月末にまとめようという緊急経済対策、ここのところにどういうふうにまとめていくのかについても現在検討中ということでございますので、基金というお言葉もありましたけれども、それも一つのお考えだろうとは思いますけど、現在まだ当省内で検討を進めているところでございますので、それ以上のことは今ここでお答えできるものはございません。

記者)
 文化庁の移転の関係でお伺いいたします。統一教会への対応を理由に宗務課の移転が延期されていると思います。今回解散請求をされてすぐ移転ということはないとは思いますけども、解散命令請求の裁判がどういう状況だと、地裁決定が出るとか、結論が確定するとか、どういう状況になれば宗務課が移転するべき、できるとお考えでしょうか。

大臣)
 これはやっぱりこれからの裁判の様子を見ていかないと、先週金曜日に請求を提出したばかりでございますから、今ちょっとまだ判断できる段階ではございません。何らかのなんて言うのですかね、進展と言うのですかね、区切りと言うのですかね、そういうようなところが出たところでですね、判断をしていくことになるのではないかなと思います。ですから、今の段階ではお答えできるものはありません。

(了)

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