盛山正仁文部科学大臣臨時記者会見録(令和5年10月12日)

令和5年10月12日(木曜日)
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旧統一教会の解散命令請求

盛山正仁文部科学大臣臨時記者会見映像版

令和5年10月12日(木曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の臨時記者会見の映像です。

令和5年10月12日盛山正仁文部科学大臣臨時記者会見

令和5年10月12日盛山正仁文部科学大臣臨時記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣臨時記者会見テキスト版

大臣)
 先ほど宗教法人審議会が終了し、宗教法人世界平和統一家庭連合に対し、解散命令請求を行うことについて、解散命令請求は相当であるとの全会一致の御意見でありました。私としましては、明日以降、準備ができ次第、速やかに東京地方裁判所に対し解散命令請求を行いたいと考えております。
 請求の判断に至った経緯や理由について御説明をいたします。解散命令事由は、宗教法人法に厳格に定められており、この事由に該当するかの判断にあたっては、法人の活動に係る十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げが不可欠でした。そのため、文化庁では昨年11月以降、7回にわたる報告徴収・質問権の行使のほか、全国霊感商法対策弁護士連絡会や被害者の方々からの情報収集等の対応を丁寧に進めてまいりました。例えば、被害者からの情報収集では、170名を超える全国の被害者等の方々から個別の経緯や被害状況を伺うなどしてきましたが、長期間にわたり被害を受けられている場合や御自身の気持ちの整理に丁寧に向き合う必要がある場合など、様々な御事情がある中、文化庁として個々の心情に最大限配慮しながらの対応を行ってまいりました。
 次に解散命令の請求の理由について御説明いたします。旧統一教会は、遅くとも昭和55年頃から長期間にわたり継続的に、その信者が多数の方々に対し相手方の自由な意思決定に制限を加え、相手方の正常な判断が妨げられる状態で献金や物品の購入をさせ、多くの方々に多額の損害を被らせ、親族を含む多くの方々の生活の平穏を害する行為を行いました。被害の規模という点で申し上げますと、不法行為として旧統一教会に対する損害賠償請求を認容する民事判決は、文化庁において把握した限りでは32件であり、一審で請求が認容されるなどした被害者の総数は169人、認容等をされた総額は約22億円、1人当たりの平均金額は約1,320万円におよびます。これに訴訟上の和解、訴訟外の事案も加えると、全体として約1,550人につき、解決金等の総額は約204億円、1人当たりの平均額は約1,310万円にのぼります。さらに言えば、被害はその金額が示すものに留まりません。人により様々ではありますが、献金のために保険金や退職金など、将来への蓄えを費消してしまい、あるいは家族に無断で貯金を使ってしまうなど、家族を含めた経済状態を悪化させ、将来の生活に悪影響を及ぼし、また献金しなければならないとの不安に陥ったり、家族関係が悪化するなど、本人や親族に与えた精神的な損害も相当甚大であると考えられます。このような旧統一教会の行為は、民法の不当行為に該当し、その被害も甚大であることを踏まえると、宗教法人法第81条第1項第1号に定める解散命令事由に該当すると認めました。また、宗教法人が公益法人である理由は、宗教活動によって不特定多数者に精神的安定等を与えて社会に貢献すると期待されていることにあります。ところが、旧統一教会の行為は、財産的利得を目的として献金の獲得や物品販売にあたり、多くの方々を不安や困惑に落とし入れ、その親族を含む多くの方々に財産的・精神的自制を余儀なくさせて、その生活の平穏を害するものでした。したがって、これらの行為は宗教法人の目的を著しく逸脱するものであり、宗教法人法第81条第1項第2号前段に定める解散命令事由にも該当すると認めました。そして、これらの献金勧誘行為等は、旧統一教会の業務ないし活動として行ったものであり、宗教法人世界平和統一家庭連合の行為と評価できるものです。
 これらの理由に基づきまして、冒頭申し上げたとおり、旧統一教会は文化庁が収集し精査した事実によれば、宗教法人法第81条第1項第1号及び第2号前段に定める解散命令事由に該当することから、所轄庁として解散命令請求を行うことと判断したものでございます。
 なお、本解散命令請求を行うに当たって、文化庁では収集した証拠を報告書として体系的に整理して分析を行い、それを基に検討を加えて申立書を作成しました。収集・分析し裁判所に提出する証拠は約5,000点におよびます。解散命令請求を行う判断については、審議会終了後、先ほどですが、総理に電話で一報いたしました。より詳細につきましてはこの後、総理に報告に伺う予定です。今後、裁判所で審理が行われますが、文部科学省として万全の対応を取ってまいる、そんなふうに考えております。
 私のほうからは以上です。

記者)
 先ほどお話にありましたが、今なぜこのタイミングで解散命令請求に至ったのか、このタイミングについてお伺いできますでしょうか。

大臣)
 それは昨年11月以来、7回にわたる報告徴収・質問権の行使や全国弁連の方々、被害者の方々からの資料・情報の収集・分析を行った結果、旧統一教会の活動に係る実態が十分明らかになり、解散命令事由に該当するものと判断されるに至ったため、宗教法人審議会の意見も伺った上で、今般、解散命令の請求を行うこととしたものです。

記者)
 今御説明があった行為については、今年、去年に起きたものではなくて、30年、40年以上前から言えるようなことがたくさんあったように思いますが、この悪質な行為を繰り返していた宗教団体と住民思想の有力な政治家が長い間関わりを持っていたわけですが、どうしてなのか、どうして自民党と宗教団体と深いつながりがあったのか、この件をお聞きしたいと思います。

大臣)
 報道されている自由民主党の有力な議員と今おっしゃいましたけど、そこにつきましては、個々の議員に聞いていただくしかないのではないかと思いますが、我々が今回このような解散命令請求を行う、そういったことは先ほど来御説明したとおりでございますけれども、昨年の夏以降ですね、この段階で旧統一教会に対してやはり報告徴収、その他をするべきであると、そういう声が高くなったからそれで行ったということでございます。

記者)
 これまで解散請求された違法行為に基づいて行われた2件については、刑事的な処分を受けた上での解散命令請求となりましたが、今回は刑事責任を問われていない上での解散命令請求となります。これについて、質問権も500項目質問した上で100項目に回答拒否があるなど、十分な証拠の積み上げができたのかというふうに疑問が残ります。その点について教えてください。

大臣)
 先ほどの繰り返しになりますけれども、我々といたしましては、昨年の秋以降ですね、いろいろ情報の収集であり、あるいは資料を提出していただいたところで十分に判断できるに至ったと考えたことから、こういう解散命令請求をするということにしたということでございます。

記者)
 内閣支持率について、いろいろな評価があり、衆院が解散なんかも噂される中で解散請求という決断に至っています。非常に高度な政治的判断があったのではないかという指摘もあるんですが、そこらへんについて大臣はどうお考えでしょうか。

大臣)
 解散の有無、その他については私は判断できる立場ではございません。我々としては、淡々と昨年の夏以降の報告徴収・質問権の行使、その他の情報収集、分析を行った結果、このタイミングで十分客観的な事実が明らかになったということで、この解散命令請求をするということでございますので、政治日程を考えて何か判断をしたということでは決してありません。

記者)
 財産保全法案のことについてお伺いします。ただいま被害の総額が204億円に上るかもしれないという見積もりを示されましたけれども、こういった多数の額が韓国の教団に何かの形で逃げてしまうのではないかということを全国弁連や野党が訴えているところでありますが、大臣としては秋の臨時国会などにこういった財産保全の特措法や、あるいは立憲民主党や維新の会が進めている宗教法人法の改正ですとか特措法の提出など、そういったことに対してどう対応していくかということをお伺いしてもよろしいでしょうか。

大臣)
 明日以降ですね、速やかに東京地裁に請求をするということを今日決めたばかりでございますので、この先のことについては今何も決めている、決まっているというものはございません。まずは、我々としてはこの請求ということを裁判所にお認めいただくための必要に応じてやり取り、そういうことがこれから出てくるのだろうと思いますけれども、今後の動きを見ながら判断をしていくということしか今の段階では言えることはありません。

記者)
 昭和55年からという先ほどのお話だったんですけれども、これはヒアリングをされた方の一番古い事例がやっぱりそのくらいからということなのでしょうか。あと一番古い例と一番新しい、最近だと何年ぐらいまでの被害なのかということをちょっと伺えればと思います。

大臣)
 基本的にですね、その方向で結構かと思いますけど、詳しくはですね、後で事務方のほうから御説明させたいと思います。

記者)
 先ほどの御発言の中で、教団の活動と判断できるという評価がございました。教団のほうはこの点、一部信者の活動などのように説明をしていると承知しておりますが、教団の活動とこれらの行為を判断した、その辺はどのようなことからそのように判断されたのでしょうか。

大臣)
 それはこれまでの報告徴収・質問権の行使、こういったことを通してですね、信者による献金の勧誘などが相手方の自由な意思決定に制限を加え、正常な判断が妨げられる状態にするなど、共通する方法により行われているということで、これらの行為は宗教法人である旧統一教会の業務、活動として行われている、組織性があると我々は判断しました。それから、これまでの旧統一教会の損害賠償を認容する民事判決といたしまして、32件の判決がすでに出ております。その他、和解や示談による解決も含め約1,550人の被害者の事案が把握されており、それらの解決金等の総額は約204億円に及ぶなど、財産上の影響はもとより、その親族の平穏を害するなど、多数の者に様々な悪影響を及ぼしたという悪質性、そしてもう一つ、これらの行為は遅くとも昭和55年頃から継続的に行われている継続性があるということからそのように判断したということです。

(了)

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