末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年8月8日)

令和4年8月8日(月曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化

キーワード

全国高校野球選手権大会開会式の出席及び「佐渡島の金山」の視察、英語教育・日本人の対外発信力の改善に向けて(アクションプラン)、イプシロンロケット6号機の打上げ、トビタテ!留学JAPAN、世界基督教統一神霊協会から世界平和統一家庭連合への名称変更手続について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年8月8日(月曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年8月8日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年8月8日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から3件でございます。
 週末の6日から7日にかけまして、阪神甲子園球場及び新潟県佐渡市を訪問をいたしました。阪神甲子園球場では、第104回全国高等学校野球選手権大会の開会式に出席をしまして、祝辞を申し上げたところであります。本大会は、高校球児にとりまして、まさに夢の舞台でございます。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開会式は主将のみ参加する形式となりました。あと、プラカードを持って、女子生徒の方が、一緒に入場行進に参加いただきました。各校を代表する堂々たる入場行進や選手宣誓、しっかりと、長文を紙を見ずお話をなさっておられまして、感銘を受けました。また、主催者におきましては、大会の開催のために、検温、消毒等の基本的な対策に加えまして、選手の健康観察やPCR検査の実施など、きめ細かな感染症対策を講じていると感じたところでございます。選手の皆さんは、コロナ禍の厳しい環境の中で、精一杯の練習、努力を続けてまいられました。日頃の練習の成果を大いに発揮されまして、それぞれが満足のいくベストなパフォーマンスを発揮されることを大いに期待をいたしております。続いて、新潟県佐渡市では、渡辺竜五市長及び伊貝秀一副市長に面会をするとともに、相川金銀山や西三川の砂金山、こちらなどを視察をいたしました。終日、ずっと向こうにおりました。渡辺市長はオンラインでの面会となりましたが、お二人に対しまして、私から「佐渡島の金山」の推薦書を改めて提出をするに至った経緯をご説明を申し上げました。あわせて、9月末の推薦書暫定版の提出をはじめ、世界遺産登録の実現に向けた取組について、佐渡市の協力をお願いを申し上げたところでございます。また、相川金銀山、そして、西三川の砂金山の視察では、実際に坑道跡を花角知事と歩くなど、現場などを体感することによりまして、伝統的手工業によります測量技術や掘削など、高い文化的価値があるということを、自分の目で見て確認をすることができました。この視察を終えまして、私から事務方に改めて、新潟県や佐渡市と緊密に連携をし、9月末の推薦書暫定版の提出に向けた作業に万全を期すということ、そして、推薦書の改訂作業にあたりましては、世界文化遺産に関する外部の専門家の協力を得る体制などを強化するということ、この2点につきまして、指示をいたしたところでございます。今後とも、新潟県や佐渡市、そして関係省庁と連携を一層強化しながら、佐渡市の金山の登録実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。島内に入りましたら、世界遺産への登録ということでのぼりやあらゆるポスターとか、あらゆることで市内全域で力のこもった活動をされておるということを認識をいたしたところでございます。塩見次長も一緒に、職員4人も同行いたしましたし、知事は西三川の金山からずっと一緒でございましたので、夜まで一緒でございましたので、いろんなご予定がある中、1日を使っていただきました。しっかりと取り組んでいきたいと思います。
 次に2つ目でございます、2件目であります。この度、「英語教育・日本人の対外発信力の改善に向けて」のアクションプランを取りまとめをいたしました。グローバル化が進展をする現在におきまして、英語力や対外発信力がこれまで以上に求められるところでございます。各種データでは課題が指摘をされておりまして、英語教育に関する様々な改善に関する提言が打ち出されているところでございます。折しも次期教育振興基本計画の検討が開始をされまして、海外との交流が再開されたことを受けて、ポストコロナを見据え、我が国の未来を担う若者の英語力や対外発信力の改善について検討すべきだという判断をいたしました。そこで、私の下にタスクフォースを設置し、英語教育や日本人の対外発信力の改善に向けて取り組むべき事項について検討を進めてきたところでございます。本アクションプランでは、取り組むべき項目として、1つは学校英語の教育の底上げ、2つ目は教員採用・研修の改善、3つ目は大学入試と社会との接続、4つ目は国際交流体験活動・文化発信の推進、そして柱の最後、5つ目、海外留学の促進の5本の柱を掲げまして、英語教育・日本人の対外発信力の改善を進めていきたいと考えております。具体的な取組といたしましては、英語教育改善に向けた取組状況の一層の可視化と好事例の横展開、2つ目はデジタル教科書・教材等によります学びのDXの促進、そして3つ目はALT経験者などの特別免許状を活用した英語教師の登用の促進、4つ目は4技能の総合的な英語力評価も含めた入試の好事例の公表、そして5つ目、留学生との国際交流のキャンプなどの実施、そして、最後に海外留学の拡大と段階に応じた留学支援の強化などを進めていきたいと思います。詳細につきましては、後ほど、事務方から説明をさせますが、文部科学省としましては、本アクションプランを踏まえまして、必要な取組に向けまして、来年度予算をしっかり確保するとともに、さらに検討を要する事項については議論を深めていきたいという、そのように考えているところでございます。
 冒頭、最後でございます。JAXAの開発中のイプシロンロケット6号について、10月7日(金曜日)に打ち上げることを決定をいたしましたのでご報告を申し上げます。今回のイプシロンロケット6号機には、JAXAの「革新的衛星技術実証プログラム」を通じまして、公募・選定されました、大学・企業等が開発する7種類の革新的な部品を備えた衛星と、5種類の超小型衛星(キューブサット)を搭載し、軌道上での技術実証を行うことを予定をいたしております。また、これに相乗りする形で、イプシロンロケットで初となります民間衛星、具体的には国内のQPS研究所が開発しました小型の観測衛星も打上げをいたします。今回の打上げが無事成功し、衛星技術の実証が開始されること等によりまして、我が国の宇宙技術の国際競争力強化や宇宙産業の発展につながることを大いに期待をいたしております。文部科学省としましては、引き続き、我が国の宇宙活動の自立性確保や宇宙利用の拡大に向けまして、基幹ロケットの開発や、衛星技術の開発支援等をしっかりと進めてまいります。
 以上でございます。3件、今日は報告されていただきました。

記者)
 1点、質問がございます。先週の5日に「トビタテ!留学JAPAN」第2期の概要を公表されたかと思います。第1期と比較すると規模が縮小している中で、どのように海外留学を推し進めていくのか、大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 「トビタテ!留学JAPAN」につきましては、この前の、過日でありますけれども、経団連の十倉会長のところに参りまして、この「トビタテ!留学JAPAN」についての要望もいたしてございます。文部科学省では、2013年度から、社会総がかりで海外留学を推し進めるべく、官民協働の海外留学キャンペーンであります「トビタテ!留学JAPAN」を推進をいたしてまいりました。この度、2023年度から2027年度において、これまでの成果等を踏まえまして、次期「トビタテ!留学JAPAN」を実施をすることをいたしました。次期トビタテにおきましては、これまでの成果等を踏まえまして、官民協働の海外留学支援制度であります「新・日本代表プログラム」におきまして、日本の未来を創るグローバルリーダーを輩出するためのプログラムの実施、そして高校生段階から派遣の拡充を行っていくこと、そして高校生段階からグローバルの人材育成に取り組み「拠点形成地域」の展開等、こういったことに取り組むことといたしてございます。これに加えまして、海外留学の機運醸成に向けまして、産業界とか自治体等によります留学支援の取組を可視化し、情報発信する「留学プラットフォーム事業」、また、本制度によります留学経験者のコミュニティを社会につなげ、社会にインパクトを生み出す「価値イノベーション人材ネットワーク事業」などを新たな事業として実施をしたいと思います。これまでご指摘のトビタテにおいてですね、2013年度から2020年度までに200億円の寄付を目指しましたが、実際に120億円の寄附をいただいたことを踏まえまして、次期トビタテでは、一つの目安として100億円を目指してより多くの企業・団体の支援・ご協力をいただけるように努めてまいりたいと思います。あわせまして、次期トビタテを推進していくとともに、文部科学省としましても、これまでのトビタテの成果を生かしつつ、日本人留学生(注)・生徒の海外留学の支援の充実に取り組んでまいりたいと思っております。文科省としましては、新型コロナウイルス感染症の影響により減少しました日本人学生や生徒の海外留学を回復させまして、我が国の未来を担いますグローバルな人材を育てていくため、海外留学の支援や若者の海外留学の機運醸成に、引き続き、努めてまいりたいと思います。若干長くなりましたけれども、お答えとさせていただきたいと思います。
(注)「日本人留学生」と発言しましたが、正しくは「日本人学生」です。

記者)
 旧統一教会の名称変更に関連してお尋ねします。金曜日に野党の国対ヒアリングが行われ、前川元次官が説明されました。宗務課長でもあった前川氏は、1997年に認証できないので申請は出さないで欲しいと伝えたと証言し、宗教法人法の解釈として、変更しようとする規則が実態と合っていなければ認証すべきではないといった主張をされました。また、2015年当時も認証しないことは可能だったとしています。これについて、文科省として把握している事実関係と大臣のご見解についてお聞かせください。

大臣)
 前回も少し触れさせていただいたと思います。所轄庁への規則変更の認証申請につきましては、宗教法人上、申請書の必要記載事項に不備がなく、必要な書類が添付されるなど、形式上の要件に適合する場合におきましては、受理する必要がございます。このため、申請書を受理するに当たりましては、形式上の要件以外のことを理由として受理を拒むということは、行政上の不作為として違法性を問われる恐れがあるものと認識をいたしております。これは、前回お話申し上げた通りでございます。平成27年6月の旧統一教会からの名称の変更に係る規則変更の認証申請につきましては、法人から要件を満たした申請書が提出をされたために、所轄庁として受理をしたものでございます。また、宗教法人上ではですね、これも前回申し上げましたが、宗教法人から規則変更の認証の申請を受理した場合、所轄庁は、同法第28条の規定に基づきまして、変更手続が、同法の規定に従いなされていること等を審査しまして、要件等を備えていると認めたときは認証する旨の決定を行う必要がございます。このため、元次官がお話しているような、法人の実態が変わっていないということを理由といたしまして名称変更に関する規則の変更の認証をしないということは考えにくいことでございます。本件規則変更の認証申請につきましても、当該申請の内容が法令に規定された要件を備えていることを確認をいたしまして、認証の決定を行ったものと認識をいたしております。省内で、十分慎重に話し合いを行いまして、事実確認を行った上で、ここで今、ご答弁を、私の知る限りの答弁を申し上げているところでございます。

記者)
 同じく旧統一教会の名称変更の件について、大きく2点伺わせてください。今の質問にも関連するんですが、まず、申請段階に関してですね、前川元文部科学事務次官は、先日の野党合同ヒアリングで、実態が変わっていないのに名前だけ変えることはできないとして認証できないというふうに教会側に訴えて、申請は出さないでくださいという対応をしたと、それは相手方も納得していたと記憶しているというふうに述べられています。一方、末松大臣は、先週の記者会見で、宗教法人法上、申請受理に当たって、形式上の要件以外を理由として拒むことは行政上の不作為と、今おっしゃられたことですけど、述べられました。これら2つ、いずれも両立すると思うんですけれども、もしそれぞれの、正しいとするならば、申請書を出さないことに平成9年以降ずっと教会側が納得していて、それが27年になって申請書を出されてきたということは、その27年に、何か先方の方から、より強い、申請書を出したいというような申入れといいますか、強い要求があったということなんでしょうか。ちょっとそこの関係を教えてください。

大臣)
 平成27年に申請書を提出することとした判断はですね、先方がですよ、当該法人が行ったものでございまして、その理由につきましては、私は承知をいたしておりません。これは文化庁の方も、承知はいたしてございません。ただ、付け加えるべしは、当時の担当者に確認をいたしましたところですね、申請に当たって、旧統一教会側から弁護士に確認したところ、文化庁が申請を受理しないことはおかしいのではないかということ、受理しないことの違法性についての指摘であったということでございました。これは、そういうことが事実としてわかってまいりました。

記者)
 それは、教会側から、受理しないのはおかしいんじゃないかと。

大臣)
 ということを弁護士さんは言ってますよというような話だったと。

記者)
 教会側の弁護士がということですか。

大臣)
 そうですね。担当者がおりますから説明はできます。

記者)
 お願いします。

事務方)
 今の、質問された方からもご指摘がありました通り、この件につきましては、彼ら、旧統一教会側が弁護士に意見を聞いたところ、文化庁が受理しないのはおかしいのではないかというような意見をもらいましたということで申請に当たってこちらにもそのようなお話があったということでございます。当時の担当者によれば、ということでございますけれども。

記者)
 なので、それまであまり向こうが言ってこなかったことが先方から更に強く言われたということですね。

大臣)
 弁護士さんと相談なさって行政不作為のことを暗に指摘をされていたということですけども、我々、そのことはともかく横に置いてでも、規定に沿って、1つの申請が、出してきたことについて、これを精査してそれを認めるかどうかを、認証するかどうかを決定していくだけでございますので。これは、一つの手続に沿ったものでございます。何らの問題もございません。

記者)
 ありがとうございます。あと、もう1点、認証団体のことで、前川元事務次官は先日の野党合同ヒアリングで、先ほどもちょっと質問が出ていましたけれども、申請内容に実態が伴っていない場合は認証しないという判断をして、宗教法人審議会にかける道があったはずだというふうに述べられています。これは、大臣が先ほどおっしゃられた、法人が実態が変わっていないことを理由に認証しないということは考えにくいというご発言と、ここは明確に食い違いがあるかと思うんですけれども、実態が伴っていない場合に審議会にかけるという選択肢、これはあり得るんでしょうか。

大臣)
 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたんですが、宗教法人法上ですね、宗教法人からの規則変更の認証申請を受理した場合、所轄庁は同法第28条の規定に基づきまして、受理の手続が同法の規定に従いなされていること等を審査しまして、要件を備えていると認めたときは認証する旨の決定を行う必要がございます。このため、元次官が話しているような、法人の実態が変わっていないことを理由として名称変更に関する規則の変更の認証をしないということは考えにくいということは、先ほど、今、お話を私申し上げました。本件規則の変更の認証申請につきましても、当該申請の内容が法令に規定された要件を備えていることを確認しまして認証の決定を行ったものと認識をしておりまして、不認証とすべき事案ではなくて、宗教法人審議会にかける案件ではなかったというように認識をいたしております。形式的要件を満たしておりまして、そもそも宗教法人審議会に諮る必要はないものでございますので、そこのところは、今ご指摘ありましたけれども、間違いないようにご説明を申し上げさせていただきます。

記者)
 引き続き、統一教会関係で申し訳ないんですが、97年当時の前川さんの対応ということで前川さんが証言されているのは、前川さんも積極的に出さないでくれということを働きかけて向こうは納得してその当時は名称変更の届け出がなかったという話をされているんだと思うんですけれども、文化庁とか所管する担当者として、そういったいわゆる認証申請に関して出さないでくれというようなことを立ち入ることというのは、例えば法律上、可能、前川さんが言っている通り、可能なのかという話にもなってくるんだと思うんですけれども。それで、プラス文化庁というのは、宗教法人に対していわゆるその他の、いわゆる監督官庁とかと言われるようなものとはちょっと宗教法人に対する距離・性格が違うものなのかなという気もしているんですけれども、そこら辺の考え方も含めて、ちょっと整理していただければと思います。

大臣)
 出さないでくれということをですね、私は、そういうことをその場所では言わないと思うんですよ。話合いをして、ここのところが書類が整ってないとかですね、こういう書き方はおかしいんじゃないかという、そういうやりとりはあったと思うんですけれども。出さないでくれということは想定していないんですけれども。
 担当課長から答弁させます。

事務方)
 基本的に、実際に申請が出てきた、これはあくまで一般論でございますけれども、いろいろな内容できたときに、相談というのは、事前にあるというのが一般的なことでございます。その中でいろいろお話を聞いてる上で、これは別に規則を変更しなくてもいいんじゃないかということもあれば、もう一度手続を取ってもらう必要あるんじゃないですかとか、いろいろとこちらも相談に応じてですね、アドバイスをすることはございます。その結果としてですね、出ないと、これは必要ないですねということがあって出ないということはございますが、こちらから出さないで欲しいというようなことは基本的にはないということでございます。当時の状況はちょっと分かりませんので、前川氏が言ってたことがどうかというのは我々も今のところ分からないんですけども、宗教法人法の立て付けとして、こちらからやめてくれというようなことはないということでございます。

大臣)
 今話したとおりです。誤解がないように、宗教法人審議会ですけれども、文化庁は宗教法人審議会を諮問するわけですから。ですから、法人に不利益になった場合です。認証されているわけでしょ、これは。こういうことが審議会に諮問されることはまずないと、私はそう思っております。そういうことなんです。だから、どういう趣旨かということかはわかりません、話が。

事務方)
 一応補足しますけれど、宗教法人審議会に諮問する場合というのは、基本的に宗教法人に不利益になるような職務をするということで、国、文科大臣の場合だけですけど、不認証にする場合であるとか、あるいは収益事業の停止命令を発するとか、認証を取り消す、1年以内なら取消しでありますとか、あとは報告聴取の質問権を行使するということに限られているということでございますので、認証するという法人の申し出通りの処分をする、認証する場合には、審議会に諮問することはそもそもないということでございます。

(了)

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