末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年7月29日)

令和4年7月29日(金曜日)
教育、文化、その他

キーワード

新型コロナワクチンの3回目接種促進、令和4年度全国学力・学習状況調査、「佐渡島の金山」の世界遺産登録に向けた推薦について、教育委員会から公立学校に対する半旗掲揚の通知について 、世界基督教統一神霊協会から世界平和統一家庭連合への名称変更手続について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年7月29日(金曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年7月29日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年7月29日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から2件でございます。
 新型コロナのワクチン接種について申し上げます。現在、10代から30代など、若い世代を中心に新型コロナウイルスの感染者が急増いたしております。一方で、若い世代の方の約8割の方々が2回目接種を終えておられますが、3回目の接種率は3割から5割台にとどまっております。このため、特に若い世代の3回目接種を推進するために、8月までを「ワクチン推進強化月間」としまして、積極的な広報が図られるよう政府全体で取り組んでおります。文部科学省では、これまでも大学拠点接種や、学生のワクチン接種機会提供に対する経費支援などの取組を進めてきたところでございますが、今般、教育委員会や所管する団体等に対して、教員や職員に対する積極的な広報や会員団体へ働きかけなどを改めて依頼をしたところでございます。若い方であっても重症化をしたり、症状が長引いたりする可能性もありますが、また、ワクチン接種はご自身だけではなくて、家族、友人、高齢者など、大切な方を守ることにもつながります。先々週(7月14日)に総理からもお願いしておりますが、できるだけ早い3回目接種を私からも重ねてお願いを申し上げます。
 次に、2つ目でございます。昨日、令和4年度全国学力・学習状況調査の結果が、公表をいたしました。各教育委員会及び学校におかれましては、感染症対策を徹底されながら、調査の実施にご協力いただきましたことに改めて感謝を申し上げます。今年度の調査では、毎年度実施をいたしております国語、算数・数学に加えまして、4年ぶりに理科を実施をいたしました。また、今年度の調査は、中学校で昨年度全面実施をいたしました新学習指導要領の下で初めての調査となっております。また、生活習慣とか学習環境等に関する質問紙調査について、公立学校を含めた約20万人の児童生徒を対象にしまして、端末を活用したオンラインでの回答方式で実施をいたしました。今年度の教科調査の結果からは、学習指導要領での改善・充実された内容に係る出題に関し、例えば、1つ目、自分の考えが伝わる文章になるように根拠を明確にして書くこと、2つ目、データの特徴や傾向を読み取ること、3点目は、科学的な探求の過程での考察の妥当性を検討して改善することなど、課題も見られたところでございます。また、質問紙調査の結果からは、理科に関する興味・関心等について、前回の平成30年と比べまして、特に中学校の生徒で肯定的な回答が増加していることや、観察や実験の授業を行った頻度が減少した一方で、観察や実験に関する指導改善の取組が進んでいること、2つ目には、ICTの授業で活用頻度や、ICTに関する研修機会や専門スタッフの配置などのサポート体制が増加していること、更には3つ目としまして、新型コロナウイルス感染症の影響については、ほとんどの学校におきまして、令和3年度の臨時休業等の日数が10日未満でございまして、臨時休業等の日数と平均回答率(注)の間に相関は見られなかったということなどの結果が、これが見られたところでございます。調査結果を踏まえまして、文部科学省としましては、引き続き必要な支援を、努めてまいります。また、各教育委員会及び学校等におかれましては、本調査の結果を十分活用しまして、児童生徒の学力・学習状況の把握・分析及び教育施策の成果と課題の検証を行っていただくとともに、学校における児童生徒の教育指導や教育政策の改善・充実に活かしていただけるようにと強く考えているところでございます。
 私からは以上でございます。
(注)「平均回答率」と発言しましたが、正しくは「平均正答率」です。

記者)
 1点、ご質問がございます。佐渡金山の世界遺産登録の手続について、地元の自治体からは、推薦書に対してユネスコから不備の指摘がありながら情報共有がなかったことを疑問視する声もあがっているかと思います。これまでのご対応について、大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 今のご質問は、情報の共有の話でございますか。

記者)
 そうです。

大臣)
 昨日、総理に報告をいたしまして、総理からも指示がございました。ぶら下がりの会見もさせていただきまして、その後、文化庁の職員からブリーフがあったと思います。今のご質問ですけれども、今般、「佐渡島の金山」の推薦書を改めて提出をする判断に至ったことにつきましては、地方自治体や関係者への報告や説明に先んじて公表前に報道によりまして伝わることになりましたことにつきましては、誠に申し訳なく思っております。今回の判断は、ユネスコ事務局との議論をこれ以上続けても審査が前に進まないという、そういう状況にあることを踏まえまして、誠に遺憾ながら、ユネスコにおける審査をできる限り早期かつ確実に進めて、登録を実現するために苦渋の選択をいたしました。苦渋の判断でございます。この間、ユネスコの事務局との議論がまさに継続しているところでありまして、仮にその途中段階で議論の内容などが明らかになれば、ユネスコ事務局が態度が硬化するなど、議論の動向に影響を与えることが懸念されたことから、関係者への報告を差し控えていたところでございます。今後、9月末までの推薦書暫定版の提出に向けました諸準備を進めることになりますけれども、自治体と協力しまして、総理からも特にそこのところは連携を密にするようにということでご指示もございます。当然のことであります。そこのところをよく念頭に置きまして、全力で取り組んでまいりたいと存じます。以上です。

記者)
 冒頭発言にございました学力調査に関連して2つほど教えてください。1つの特徴は、授業での1人1台端末の活用が一気に広がってきたことが分かりまして、ただ、それはよかったんですが、その一方で、5%の子供はですね、授業で端末を使う機会というのが月1回未満だったと答えています。言わば20人に一人の子供が、GIGAスクール構想で端末が配られてから1年経ってもまだ端末を使った授業を受けられないままでいるということになるかと思います。やっぱり、この状態をどういうふうに受け止めて、どのような対応をされるかというのが1つ。もう1つは、ずっと近年言われていることですけれども、平日に子供がゲームや、今回の調査では更にSNSや動画の視聴を長時間やっている子供がとても多くて、それによって、結果的に学力が20ポイントくらいの差が出ている、長時間やっている子供はゲームを短くやっている子供に比べてやっぱり20ポイントぐらいですね、平均正答率が低かったという結果が出ているんですけれども、そうしたことも、やっぱりそのまま放っておいてはいけないのではないかなと思います。こうした点につきまして、大臣のお考えと受け止めですとか、対応について伺えればと思います。

大臣)
 大事な点をご指摘をいただきました。1人1台端末のこのICTの環境につきましては、多くの自治体で、令和2年度末を持ちまして整備が完了いたしております。令和3年度から、徐々にですけれども、本格的な活用が始まってきているとそういう認識に立っております。多くの学校にとりましては、1人1台端末の活用は、コロナ禍という未曾有の困難に直面をする中で初めての取組でありまして、ご存知の通り、手探りで活用が進められてきたことはご覧の通りでございます。今回の調査結果は、このような現場の尽力の成果が、私は一定程度表れているとは思います。一方で、ご指摘の通り、端末の活用状況につきましては、学校間で格差が見られるところです。中にはネットワーク環境とか、あるいは研修機会が不足しているんじゃないかという、そういう学校もあるんではないかということを承知をいたしております。各教育委員会におきましては、今回の調査結果も踏まえまして、端末の利活用を進める上での課題を把握・分析をしまして、計画的に教育指導の改善に取り組んでいただきたいと、そのように考えます。文部科学省といたしましては、全ての学校で1人1台端末の日常かつ効果的なこの利活用が実現されますように、端末やネットワークのトラブル対応等、学校への支援を広域的にワンストップで担う「GIGAスクール運営支援センター」の整備などを進めてまいります。まだまだこれからのところがございますが。また、今回の調査結果を精査しまして、活用が十分進んでいないと思われます教育委員会とか学校に対しましては、省内の特命チームが個別にきめ細かなアドバイスをしながらプッシュ型で伴走支援を行っていきたいという、そういう強い考えを持っております。それと、テレビゲーム等を行うことによって、例えば試験の正答率が低いんじゃないかという関連性の話ですけれども、今回の調査結果からはですね、テレビゲームとかSNSとか動画視聴をする時間が多いほど教科の平均正答率がですね、低い傾向が見られるところです。その要因といたしましては、テレビゲームやSNS・動画の視聴が多いほど可処分時間が短くなりまして、結果的に学習にかけられる時間が短くなってしまっているという、そういう事実が散見されます。テレビゲームとかインターネットの長時間の利用につきましては、生活習慣の乱れであるとか不適切な利用から学校生活や日常生活へ悪影響を及ぼすことが懸念をされているところでございます。文部科学省といたしましては、インターネットの利用につきましては、生活習慣の乱れであるとか不適切な利用によって学校生活や日常生活に影響が及ばないように学校あるいは家庭にルール作りが重要であると考えておりまして、引き続き、教師向け指導資料の提供とか、家庭への普及啓発に取り組んでまいりたいと、そのように考えております。丁寧に答えたらそういうことでありまして、この問題につきましては、通常国会でもたくさんの先生方からもご質問をいただいたところでございます。とりあえず今答えると言ったらこの内容でございます。そのように、私、考えております。

記者)
 北海道の帯広市教育委員会が安倍元総理の国葬に合わせて学校に半旗を掲げるように要請したことについて、改めて大臣の受け止めをお願いいたします。

大臣)
 時々ご質問を、この件でいただきます。ご指摘の帯広市の教育委員会の対応につきましては、実は、私自身は、詳細を把握いたしておりません。なお、一部の教育委員会におきましては、安倍元総理の逝去に際しまして半旗掲揚の通知を学校に発出したところもございます。そのことは承知をいたしております。元内閣総理大臣の逝去に際しまして、半旗を掲揚するか否かは、これは各自治体において適切に判断すべきであるという、私はそういう認識でございまして、現時点でこの対応について、実は調査をするという、今、帯広はやられているという話だったんですけど、調査をする予定はございません。考え方につきましては、今般の国葬云々については、遅れる話になりますので、議論をせにゃいけませんから、国民一人一人に喪に服することを求めるものではありませんで、私はそういうように承知をいたしておりますけれども。今後ですね、どのように葬儀を行っていくかということも含めまして、政府全体で検討されるものと承知をいたしておりますから、その決定に従って、決定した全体の方針に沿って対応を考えていきたいということ、そのように思います。従いまして、帯広では今そういう対応をされました。兵庫県の三田市教育委員会もそのようなことを対応されたことも聞いておりますし、大阪の吹田市もそういうことされたことは聞いておりますんですけれども、全国的な教育委員会のですね、判断というのは調査をいたしておりませんけれども。あくまで、これは敬意を表するということで、決して強制するものでは、私はないというふうに、そういう認識でございます。

記者)
 旧統一教会の名称変更についてお尋ねします。全国霊感商法対策弁護士連絡会が、2015年の名称変更の直前に、統一教会の活動について裁判所が教団の組織ぐるみの違法性の責任を信教の自由の侵害などを認定していることなどを詳しく説明し、名称変更を認証しないようにという申入書を、当時の下村大臣、文化庁長官、文化庁宗務課宛てに出したとして、その申入書を27日に公開しました。この申入書を読むと、当時の文化庁は統一教会の組織ぐるみの反社会的行為を十分に認識した上で名称変更に応じたとしか考えられません。また、26日には自民党の茂木幹事長も、会見で旧統一教会を社会的に指摘されている団体と言及されています。2015年の名称変更にあたって、政治的に圧力があったのか、あるいは官僚の忖度によって行政が歪められたのかについて再調査をするお考えがあるかどうかを教えてください。また、大臣におかれましては、旧統一教会の宗教法人の認可取り消しについては全く考えておられないのか、またそのための文科省、文化庁としての独自に調査を行わないのでしょうか。また、過去には霊感商法事件の摘発を受けて文化庁は解散命令を請求した事例もありますが、なぜ旧統一教会は見逃されているのか、宗教法人の認可の取り消しを含めて、実態を把握し反社会的な要素があれば、監督官庁として刑事告発をしないのかという点についても大臣のお考えをお聞かせください。よろしくお願いします。

大臣)
 ご質問をいただきましたんですけれども、事前の、ちょっと通告をいただいておりませんで、今ご質問いただきましたんですけれども、ざっくりとしたですね、お答えになりますけれども、平成27年8月26日に、世界基督教統一神霊協会から世界平和統一家庭連合へ名称変更に係る規則変更の認証の決定を行ったことは事実でございます。で、宗教法人から規則変更の認証の申請があった場合、所轄庁は宗教法人法第28条に基づきまして、その規則や手続が法令の要件を備えているかどうかを審査しまして、これらの要件を備えていると認めたときは認証する旨の決定を行う必要がございます。本件につきましては、申請の内容が法令の要件を備えていることを確認をしまして認証の決定を行ったものでございまして、現時点では、特定の政治家からの働きかけがあったものではないというように聞いてございます。とりあえず、今お話あったので、そこまででございまして。ちょっと今日、今、最後にご指名して、質問いただきましたんですけれども、事務方が今日来ておりませんので、事務方がおりましたら担当の宗務課の方から説明をさせますんですけれども、機会があったときに、またお話申し上げたいというふうに思います。とりあえず今日は、ちょっとそういうふうにお答えをさせていただきたいと思います。

(了)

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