末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年7月26日)

令和4年7月26日(火曜日)
教育、スポーツ

キーワード

高等教育を軸としたグローバル政策の方向性、特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議、学校における政治に関する教育、学校現場における生徒指導と児童生徒の健康について、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の元理事が家宅捜索を受けた件

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年7月26日(火曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年7月26日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年7月26日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から1件でございます。
 高等教育を軸といたしましたグローバル政策の方向性の取りまとめについてでございます。コロナ禍で大きく停滞いたしました国際的な学生交流を立て直すために、文部科学省として今後の政策の方向性を示すべく、高等教育を軸といたしましたグローバル政策の方向性「コロナ禍で激減した学生交流の回復に向けて」を取りまとめましたのでお知らせをいたします。コロナ禍の影響によりまして、外国人留学生が減少し、日本の外国人留学者数が激減をいたしました。また、外国人留学生が入国できなかった状況が続きまして、日本への就職率も減少することとなりまして、我が国を支える優秀な人材の確保に深刻な影響を与えるということになったわけであります。そのため、5年後の2027年を目処に、激減した外国人留学生の受け入れ、日本人留学生の海外留学を、少なくともコロナ禍前の水準に回復させることを目指して、政策の方向性を打ち出しました。政策の方向性といたしましては、1つは、戦略的な外国人留学生の確保、2つ目は、産学官を挙げてのグローバル人材の育成でございます。そして3つ目は、大学等の真のグローバル化を進める基盤のルールの整備、この3つの柱を中心に進めていきたいと考えております。具体的な取組として、例えば外国人留学生の受け入れ等に当たっての重点分野、重点地域の再設定、「トビタテ!留学JAPAN」の発展的推進、オンラインによります新たな国際交流を活用した大学の更なる国際化の推進、こうした点を中心に取り組んでまいりたいと思います。詳細につきましては、後ほど事務方から資料を配付して説明をさせますので、文部科学省としては、本施策の方向性に基づきまして、停滞した国際的な学生交流の立て直しのため、各施策を強力に推し進めていきたいと、そのように強く考えています。
 以上でございます。

記者)
 幹事社から2点質問させていただきます。1点目は冒頭発言にあったグローバル政策のとりまとめについて、これまで外国人留学生の受け入れが停滞していた状況の受け止めと、今後のグローバル政策への意気込みをお聞かせください。

大臣)
 これは、一番の原因は、当然、コロナ禍の影響によりまして外国人留学生が減少したと、日本人の外国留学者数も激減をしたということでありまして、外国人留学生が入国できなかった状況が続きまして、日本への就職率も減少することとなりまして、我が国を支える優秀な人材確保に深刻な影響を与えております。他方、外国人留学生全体の入国状況を見れば、入国希望者に対しまして相当数がこれまで入国しまして、概ね順調に進んでいるものと考えておりまして、日本人の海外留学についても、徐々に再開に向けた準備が進められていると伺っております。国際的な学生交流の回復の兆しが見えてきた中で、その立て直しに、今後の政策の方向性をお示しすることが、今まさに必要であるという、そういう認識に実は達しました。今年2月までは全く外国人留学生を受け入れることができませんでしたけれども、ゴールデンウィーク明けから、すいません、3月から一気に受け入れを前に進めてまいりましたので、自分の記憶では11万何千人かの方々は順次入国、そして、入学が可能となったというように記憶をいたしておりますので。これから、まさに、日本からまた外国の方にですね、交流ということ、他国で学ぶということの大切さを重視してですね、どんどん推し進めていきたいという認識です。リセットしたということですね。リセットをするぐらい、大きくリセットをしないと、この交流、停滞した分を一気に打開することができないという、そんな気持ちで進めております。

記者)
 もう1点、特定分野に特異な才能ある児童生徒への指導支援を検討する有識者会議が25日に審議まとめの素案を公表しました。今後どのように政策に反映していくのか、大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 担当課からも説明を丁寧に受けてございます。特定分野に特異な才能のある児童生徒の指導支援の在り方につきまして、昨年7月から有識者会議において、専門的な検討が行われてきております。昨日の会議におきまして、審議まとめ、素案が示されたと承知をいたしております。素案では、特異な才能のある児童生徒への支援策について、多様な一人一人の子供に応じ、よく使っておりますけれども、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実の一環として考えることを基本的な考え方としまして、今後、取り組むべき具体政策をお示しをいただいております。特異な才能のある児童生徒は、その才能や認知の特性に由来して、学習上、また、学校生活上、困難を抱えている場合があると報告をされております。そうした困難の解消を図るとともに、個性や才能を伸ばしていくことが必要でございます。有識者会議の議論も踏まえまして、これはもう、来年度の予算の概算要求において、実証研究等の経費をしっかり盛り込んでまいりたいという、そういう強い考え方を持っております。なお、同会議では、今後、意見募集という形で国民の皆さんから広くご意見を頂戴したいという、そういう考え方で進めていきたいと思っております。以上でございます。

記者)
 2点伺いたいんですけど、それぞれ別件で。6月29日に参議院議員選挙の仕組みなどを記し、選挙啓発を呼びかける内容のポスターを貼ったところ、先生に、学校での政治的活動は禁止しているから剥がせと言われたと、そういう事案が仙台二高であって、高校生がそれをツイッターに投稿したんですね。これに対して、大臣もこのツイートに「政治的中立を確保した上で、選挙の仕組みなど政治的教養を高める活動は大変素晴らしい」と返信する形で投稿されていました。どういう意図でこの投稿をされたのか、まずお聞かせください。

大臣)
 6月のいつでしたか。

記者)
 6月29日の事案です。

大臣)
 選挙中ですね。仙台市内の高校におきまして、学校に貼ったポスターが教師によって政治的活動であると指摘されて剥がすよう指導されたという高校生の声とか、学校側がその後、貼り出しを認めたという報道については、承知をいたしてございます。高等学校等の生徒によります政治活動につきましては、平成27年の通知において、政治活動を特定の政治上の主義や、もしくは施策又は特定の政党や政治的団体を支持し、又はこれに反対することを目的として行われる行為であって、その効果が特定の政治上の主義等の実現又は特定の政党等の活動に対する援助・助長・促進又は圧迫・干渉になるような行為をすることと定義するとともに、高等学校等の生徒の政治的活動は無制限に認められるものではなくて必要かつ合理的な範囲で制約を受けるとしております(注1)。こうした定義に照らしますと、一般論としては、選挙制度の仕組みを紹介するポスターを校内に掲示する行為が直ちに政治活動に当たるとは考えにくいという認識をいたしております(注2)。なお、政治的中立性を確保した上で政治的教養を育むことは重要と考えておりまして、文部科学省としては、総務省と連携して作成している主権者教育の副教材を各学校に配布することなどを通じまして指導に努めているところであります。引き続き、政治的な教養というものは、教育の推進に、政治的教養を育む教育の推進には努めてまいりたいというように、そういう思いで対応いたしております。
(注1、2)「政治活動」と発言しましたが、正しくは「政治的活動」です。

記者)
 ある意味、この選挙や政治のせの字に言及しただけで教員にやめるよう言われてしまうというのは、教員側もいろいろどれが政治的なものなのか分からないのかもしれないんですけど、生徒さんの政治や選挙への関心を萎縮させてしまうのではないかと思うんですが、今回、一般論としてとおっしゃってましたけど、教員の指導というのは適切だったとお考えでしょうか。

大臣)
 現場のまさに状況をですね、的確に把握しないととは思うんですけれども、どういった指導が実際に行われていたかということについての詳細は、把握は、実はいたしておりませんで、この点については、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしましても、政治的中立性を確保した上で政治的教養を育むことが重要であるという、そういう考え方でございます。

記者)
 それとすみません、2点目なんですけど、同じく6月29日の件で、泉大津市立の中学校で修学旅行の際、ルール違反を犯した生徒に対してクーラーのついていない場所に2時間半待機させるという事案があって生徒が体調不良になる出来事がありました。バスの運転手はエンジンをかけられないので教員に伝えていたそうなんですけど、大臣は、かねてから会見などで熱中症の危険性を繰り返し訴えられてきましたが、こうした指導についてどうお考えになりますでしょうか。

大臣)
 考えられないですね。やっちゃいかんことだと思っています。

記者)
 わかりました。ありがとうございます。

大臣)
 常識を働かして、まず、生徒の健康というものを前提に掲げるのは当たり前のことではないかと思います。

記者)
 直近のことで恐縮なんですけれども、本日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の元理事の高橋元理事が代表を務める会社が、大会スポンサーだったAOKIホールディングス側からコンサルタント料として数千万円受け取っていたことを受けて、東京地検特捜部が元理事の自宅やスポンサーの宣伝に関わっていた電通など、関係先を捜索し強制捜査に乗り出しました。この件につきまして、東京オリンピック・パラリンピック担当大臣としての受け止めと今後の事件への対応について教えていただけますでしょうか。

大臣)
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の元理事が大会のスポンサー企業から資金提供を受けていた疑いによりまして、東京地検特捜部が家宅捜査を始めた報道があったことは承知をいたしてございます。本件につきましては、必要に応じ、清算法人であります同組織委員会において適切に対応するものと伺っております。本件につきましては、今ご質問がありましたんですけれども、捜査の状況を見守りたいと思っておりますので、仮に事実であれば大変遺憾ではありますけれども、文科省としては、現時点においては、恐縮ですけれどもコメントは差し控えておきたいと思います。事実であれば、大変遺憾なことでございます。

記者)
 特異な才能の件で追加でお伺いしたいんですけれども、弊社でもちょっと、これを先日報道したときに、結構、一般読者やネットの反応が大きくて、その中で賛否両論という感じだったんですけれども、公教育でやるべきことなのか、要はエリート教育よりもできない子の関わりとかが重要じゃないかというような意見も結構あって、なかなか理解を得られるのが難しいテーマなのかなというふうに思いました。文科省としては、今回の特異な才能支援というのがエリート教育ではないというのははっきり打ち出していて、それは私も理解しているんですけれども、国民の理解を得ていくためにはどのような打ち出し方が必要とお考えでしょうか。

大臣)
 そういう指摘があることは承知をいたしております。エリート教育といったときにですね、想定されるものは人によって様々なイメージがあると思いますが、文部科学省としては、有識者会議の議論も踏まえまして、特定の基準や数値によって選抜された子供たちのみに対してプログラムを提供することはラベル付けにつながったりとか、あるいは過度な競争を招いたりすることから、そういった意味でのエリート教育を推進することはいたしません。特に、義務教育段階を始めとする学校教育におきましては、先ほども使いました言葉ですが、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実しながらですね、子供たちに対して、知・徳・体のバランスの取れた全人的な発達成長を保障することが大変重要だと思うんです。文部科学省では、有識者会議の議論の方向性にあるように、特異な才能のある児童生徒が、その才能のゆえに学習上、学校生活上のですね、困難を抱えている場合に着目をして、その解消を図るということ、そして、個性や才能を伸ばすという基本的な考え方に立って対応を進めてまいりたいと思っております。なお、これまでに取り組んでいる科学技術や芸術、スポーツなどの分野における才能を伸ばすですね、この支援策等につきましては、個性や才能の伸長に当たって有効でありまして、引き続き、これは推進をしていくということであります。真ん中辺りで申し上げたところが一番大事なところでございます。そのように考えております。いずれにしましても、これから国民の皆さん方からもいろんなご意見を頂戴していかなきゃいけないと思っておりますので、皆さんからの指導もよろしくお願い申し上げたいと存じます。

(了)

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大臣官房総務課広報室