末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年6月28日)

令和4年6月28日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

日本人宇宙飛行士第0次選抜結果、外国人留学生の入国状況と中国人留学生の免税措置について、児童生徒の近視実態調査、義務教育未修了者と夜間中学の設置・充実について、改正教育公務員特例法に基づく指針改正案及びガイドライン案、教員免許更新制の廃止

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年6月28日(火曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年6月28日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年6月28日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭は、私から1件でございます。
 昨年よりJAXAが実施をいたしております、新たな日本人宇宙飛行士の選抜につきまして、5月から6月にかけて、英語やSTEM分野の能力試験、小論文等の5つの試験からなる、これ、第0次選抜が実施をされました。その結果、受験者2,266名に対しまして、205名が合格をされましたのでご報告を申し上げます。今回の選抜では、最初の募集者総数から20分の1の人数まで絞られる結果となりましたが、合否に関わらず、幅広い試験科目に対しまして多大な努力をされ、挑戦された受験者の皆様に健闘を称えたいというように思います。第0次選抜を通過された方は、対面による試験等を通じまして、個々の経験や、あるいは能力をより細かく審査していく段階に進んでいただきます。そこで存分に力を発揮されることを期待をいたしております。今後、数次にわたる選抜を経まして、来年2月頃、将来の月探査を担う優秀な方が選ばれることを期待をいたすものでございます。私からは以上でございます。

記者)
 2点、お伺いします。3月にコロナの水際対策が緩和され、留学生の受け入れが再開されましたが、現在の留学生の受け入れ状況を教えてください。

大臣)
 現在の外国人留学生全体の入国状況につきましてですが、本年4月に文部科学省が夏頃までの入国希望者について調査を行いましたところ、実数では約9万人が入国を希望していることが確認をいたしているところでございます。実際には、速報値になりますけれども、出入国在留管理庁より4月1日から6月23日までに約9万人が入国したと聞いておりまして、入国希望者に対しては、相当数がこれまで入国し、概ね順調に進んでいるということはかねてから聞いておるところでございます。

記者)
 もう1点。先日、中学人留学生に適用されているアルバイトの給与の免税措置が撤廃されるとの報道が出ましたが、それについて、文科省が、この5年後までに留学生の数を回復するというような方針を掲げていますが、その方針に何か支障が出るとお考えでしょうか。

大臣)
 今のところ方針に支障がきたすか云々ということについては、まだ、十分に話合いを行っておりませんけれども、推移を見たいと思います。今おっしゃったのは、日中、例えば租税協定に関する規定につきましては、これは両国間の人的交流を促進する観点で設けられているところでありまして、留学生が受け取る給与については、居住している国におきまして、課税を受け取る(注)こととするのが国際的なスタンダードとなっておりまして、日中租税協定を含めまして、このような免税を規定しているものにつきましては、関係省庁において、租税条約の改正の機会を捉えて適切な見直しが必要になってくるものと存じます。外交防衛委員会で審議をよくしています、この話は。私も入ったことがありますけれども。
(注)「受け取る」と発言しましたが、正しくは「受ける」です。

記者)
 視力の実態調査について伺います。初めて実施された調査で、子供たちの視力低下が著しいことや、眼軸長が伸びていることが明らかになりました。学校現場では、GIGAスクール構想などでデジタル機器の利用が増えていますが、休日もスマホなどの使用時間が長くなっています。今回の調査結果の受け止めとともに、子供たちの目を守るため、学校でのデジタル機器の利用時間を制限するなど、今後の対応についてどのようにお考えになるか、大臣の見解をお聞きします。

大臣)
 担当課から報告を、課長から受けました。文部科学省では、令和3年度、児童生徒の視力の低下の実態を詳細に把握するためにですね、児童生徒の近視実態調査を実施をしまして、先日6月23日に、その結果を公表いたしました。それで今のご質問だと思います。本調査は、改めて申し上げますが、全29校、8,600名の小中学生を対象といたしまして、目の屈折異常の状況や眼軸長等の測定をするとともに、生活習慣等に関するアンケートを実施をしまして、近視との関連性を明らかにしようとするものでございます。今回の調査におきましては、裸眼視力1.0以上の児童生徒の割合は、小学校1年生で約8割あるものの、学年が上がるにつれまして減少しまして、中学校3年までには約4割まで低下をすること、それと、眼軸長は学年が上がるにつれて長くなりまして、その伸びが緩やかになること、小学生の間は、乱視の進行度は小さいということなどが明らかになっています。特徴的なところを、今、申し上げました。ここ数十年、小中学生の視力は低下傾向が続いておりまして、学校教育におきましては、子供の目の健康に配慮することは大変重要な課題と認識をいたしてございます。文部科学省としましては、本年度を、近視実態調査を継続して実施することとしておりまして、ICT機器の使用状況と近視との関連性等も含めまして、児童生徒の視力低下の実態について把握・分析を行って、有効な対策の検討に役立ててまいりたいと思います。あわせて、ICTを活用する際の健康上の留意事項をまとめたガイドブックや啓発リーフレットの周知を図るなどですね、今後とも、子供たちの目の健康に配慮した取組をしっかりと進めてまいりたいというように考えております。そういう状況で、調査はずっと続けていこうと思ってございます。

記者)
 少々旧聞に属することですが、先月下旬に公表された国勢調査の結果で、最終学歴が小学校卒業である人がおよそ80万、あと、未就学の方を含めると約90万人が義務教育を終えていないという結果が出ています。この結果について、大臣がどう受け止められるかということと、文科省で、それにあわせて、多様な学びの場としての夜間中学校整備を促す通知を出しましたが、こういった学ぶ機会を確保するために今後どういった施策を打っていくべきか、夜間中学校を含めて大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 重要なご指摘だと思います。総務省が5月27日に公表しました令和2年国勢調査の就業実態等基本集計(注1)におきまして、未就学者が約94,000人、また、最終卒業学校が小学校の方が804,000人おられるということが明らかになりまして、このうち9割(注2)が80歳以上の日本人の方となってございます。国勢調査では回答に当たっての理由まで求めていませんが、これは、戦前の義務教育が6年とされていたことや家庭教育によりまして就学義務の代替が認められていたことなどが、戦後しばらくの混乱にあったことなどが要因ではないかと、そのように考えております。また、こうした方々以外にも、様々な事情によりまして十分な教育を受けられなかった方や、外国籍の方もおられるということもわかりました。今回の調査によりまして、義務教育を修了しないまま学齢期を経過してしまった方などが再び学ぶ場として、今ご指摘あったように、夜間中学校がますます重要な役割を果たしてきますし、その期待も高まってくると考えます。このため、6月1日で、各都道府県・指定都市の担当課宛に事務連絡を発出をいたしまして、各自治体別の調査結果を共有することなどを通じまして、夜間中学校の更なる設置・促進をお願いをしたところであります。文部科学省としましては、引き続き、予算事業や説明会の開催などを通じまして、夜間中学校の設置や教育活動を支援するとともに、全ての都道府県・指定都市に夜間中学校が少なくとも1つ設置されるように、自治体の取組というのを促していきたいと思います。前もお話申し上げましたけれども、私の地元の姫路も夜間中学校を設置する予定です。校名は「あかつき」と言っておられましたか。それと、視察も行かせていただいたんですけれども、江戸川区にある小松川中学校でも、やはり、82歳の方が一生懸命掛け算の九九をやっておられて、やはり、それだけは、自分の人生において知って生きていたいというお話がありましたので。そういった方々の例を見ますと、私は、今のご指摘、大変重要な指摘で、学ぶ権利はありますし、学ばなきゃならないと思っております。
(注1)「就業実態等基本集計」と発言しましたが、正しくは「就業状態等基本集計」です。
(注2)「9割」と発言しましたが、正しくは「約9割」です。

記者)
 ありがとうございます。ちょっと、重ねてで恐縮ですが、今、大臣がおっしゃったように、1都道府県・政令市に最低1個という目標がある一方で、現状だと15都道府県に40校にとどまっているということですが、なかなか設置が進まない理由としてどのようなことが考えられるか、大臣のお考えを伺えればと思います。

大臣)
 当然、手を上げていただく自治体に意欲を持っていただかなきゃならんというわけですから、私としては、もっともっとこの必要性をですね、各自治体に説明をして、設置をする意思を固めていってほしいという、教育に対する、私はやっぱり、理解だと思うんですよね。そこに姫路に1つ作ったって言って、じゃあ、その1つだけですから、引っ越してくるのかどうするのかとか、いろんなことを、私もやっぱり考えてしまうこともあります。あらゆる面が、やはり想定されることがあるんですけれども、私は、まず、そういう夜間中学を作ってですね、そして広く、学ぶ権利を、きちっとやっぱり、生涯学習というのは、やっぱり学びたいときに学ぶ、いつまででも学び続ける権利があるわけですから、そういうものに対しての温かい理解というのを自治体が持っていただくということがまず大事だということ、その認識がございます。
 補助的なものは、率的にどうなっていますか、補助率的なものは。補助事業、夜間中学の。国庫補助が入ってますよね、当然。補助金。

事務方)
 開設前2年間400万、各年、1年ごとに400万と、開設後に3年間250万円を、一応、補助事業としてお出しすることは可能でございまして、実際にお申込みいただいているところでございます。

大臣)
 今は、設置要望は決定したところを大きく上回っていますか。そこまでは至っていない。そこまでは手は上がっていない、自治体は。

事務方)
 まだ、全部ではないということでございます。

事務方)
 まだ、未設置のところでも、今相談を、引き続き受けているというところは、当然、複数あるわけですよね。

事務方)
 はい。ご相談はいただいております。

大臣)
 という状況ですね。

記者)
 昨日の中教審の合同会議で示された教員研修の指針の案について、2点ほど伺いたいと思います。まず一つは、指針の案の中では、研修成果を確認するテストの実施ですとかレポートの作成ですとか、そういったものも盛り込まれていてですね、管理が、結構厳格になるのではないかという指摘が中教審の委員の方からも出ていました。せっかく教員免許更新制を止めてもですね、学校現場の教員にとってですね、管理が厳しくなってしまったんだという印象を与えてしまうのは逆にもったいないんじゃないかと、私なんかは思うんですが、こうした管理についての批判や懸念についてどのようにお答えになるかというのが1つです。もう1つは、校長先生の能力の問題なんですけれども、アセスメント能力とかはファシリティ能力というのが新たに求められることになっていますが、求められる校長像というのが、大きく、やっぱり変わってきたということがよくわかります。ただ、これまで校長先生の中にはそうした能力はあまり磨いてこなかった、重視してこなかった方も多いというのと、もう一方で、校長先生の研修の相手になる市町村の教育委員会の幹部の方にもですね、そもそもアセスメント能力とかファシリティ能力という考え方が、実はあまり浸透していないという現実もあるんじゃないかと思うんですが、そういう中でですね、新しい校長先生の像というものをですね、どのように浸透させていくのか、実効性をどのように担保していくのかということについて伺えればと思います。

大臣)
 まず、昨日の中央教育審議会特別部会で、改正教育公務員特例法に基づきます指針改正案とガイドライン案につきまして、ご審議をいただきまして、その取扱いについて、部会長一任となったいうように聞いてございます。で、今回のガイドライン案で示しました、研修履歴を活用しました対話に基づく受講奨励は、管理強化を目的とするものではございません。教師と学校管理職等が過去の研修履歴を活用しながら対話を繰り返す中で、何度もここでお話申し上げたんですけど、きちっと校長と管理職と先生とが話のキャッチボールを行っていくということ、教師が自ら研修ニーズと、自分の強みやあるいは弱み、今後伸ばすべき力や学校で果たすべき役割などを踏まえながら、必要な学びを主体的に行っていくということを基本と考えております。今後、「アセスメント」とか「ファシリテーション」といった校長に新たに求められる資質能力を明記する指針の改正案とともにですね、昨日の議論を踏まえまして、パブリックコメントを行って、教育委員会への説明会や意見交換などを通じて、その趣旨を丁寧に周知をしてまいりたいと、そのように考えております。だから、少なくとも私からはですね、管理という、そういう、いわゆる管理という、そういう認識ではないんですね、これは。それと校長先生の能力についての、今の話につきましては、今回、教師ときちっとした話し合いをしながら、その先生の資質、あるいは十分な能力を持っている側面と足らざる側面というのはきちっと把握する、そういう力というのは一層求められるということは確かだと思うんです。要するに、眼力ですよね。そういうものがないと、やはり、単に形だけということなってしまうかどうかというのは校長の責任は大きいので、私は、非常に校長の管理職の力量を問われている、今回の研修制度であるというように認識しています。

記者)
 すみません、繰り返しになるかもしれませんけれども、まさに、校長の眼力ってすごく大事になってくるということなんだと思うんですけれども、その眼力をどういうふうに養うか、また、ずっと学校の中だけで育ってきた方だけをですね、校長先生が管理職になっていくわけですけれども、学校の先生が管理職になって校長になるわけですけれども。校長先生をどういうふうに養成するのがいいのか、どうやって眼力を養うのがいいのか、そのあたりについてもしお考えがあれば伺えればと思うんですが。

大臣)
 当然、校長先生も、校長先生になられるときには研修を受けられるわけでございます。ただ、おっしゃる点、非常にこれは、現在までと言うんでしょうか、過去ずっとそれを見た場合に一番気になるところなんです。要は、人間としての力量、幅のある人物かどうかといったら、そういう職種に校長先生はあるのかどうかというようなことは、聞かれるところは、私、たくさんあるというふうに思いますから。当然にして、ユニークな校長先生とかですね、非常にこう、あそこの校長先生、非常に、なかなかのやり手ではないかというような話を聞きますけれども、やはり異業種の方とよく話をされたり、外に出ていく校長先生、時間の使い方、人との付き合い方、学び方、非常に多角的ですよね。そこに閉じこもって、学校の中に閉じこもって校長先生の仕事を果たすというわけじゃないんですよね。だから、これから、予測困難な時代であるとか、あるいは回答が準備されていない時代でありますので、そういう意味では、いろいろなところに目を向けれる、そういう方がやはり、私は立派な校長先生、強い社会に耐えれる、これからの社会と向き合って、そして、そのことを学校現場に下ろしていける強い校長先生かなというように、私なりに思っているだけです。

記者)
 免許更新制廃止の関係なんですけれども、先月、ある民間調査で、免許更新制の廃止についてどう思うかという民間の調査アンケートがあったんですけれども、それで現役教員の9割は廃止に賛成する一方で、免許を持っていない層では廃止に反対が6割を占めるというような結果になっていて、特に保護者が、自分の子供たちが教育を受ける際の先生の質の低下に懸念を示すような傾向にあります。このギャップを、今後どういうふうに埋めていけばいいとお考えでしょうか。

大臣)
 教員免許の更新制を導入した平成19年、そして21年でしたか、施行から、その時はですね、教師そのものが10年に1度きちっとそのときその社会の最新の知識を学んでいってもらうということで、改めてリセットして新しいものをきちっと受け取るという、そういう一つの機会に捉えてもらいたいということ、そのことが一番の大きな目的であったと思います。ある面では振り返りと言うんでしょうか、ある面では将来のための学習という、そういう思いで作ってはいきましたんですけれども。ご存知の通り、オンライン化が進んだりとかしましたり、いろいろと、教師が、平成21年時点で考えていたよりもいろんなツールとかいろんな雑誌もそうですけれども、いろんな知識をですね、得る機会がずいぶん増えてまいりました。そういう点で、これから教員免許の更新制を廃止をすることによってですね、別のやり方をとっていこうじゃないかということになったわけなんですけれども。その中に、一つは、大きな前提として、教師はやはり常に磨いていっていただかなきゃいけないという、そういう意味で研修という重きをおいたわけであります。ですから、教員免許の更新制が廃止されたら教師の質が良くなくなるのではないかということについては、そうならないような仕組みを作りつつあると、と同時に、一層私は、校内の研修とか自己研修というのは確かに大事になってくるというふうに認識をいたしておりますので、でも、必ず10年に1回30時間、2年2か月前から受講できますよということになっているんですけれども、それを受けなくても、きちっとリセットして新しい知識を得られるような、そういう機会を捉え、かつ今申し上げたように、校内研修、自己研修というものをですね、非常に高価なものと、価値の高いものとして位置付けまして教師を磨いていっていただきたいと思います。そういうご批判に対しましては、そうならないような努力をいたしてまいります。

事務方)
 1点、補足させていただいて、冒頭、租税協定に関するご質問のところで、大臣からの外交防衛委員会というお話がございましたけれども、正しくは決算委員会でございますので、補足させていただきます。いずれにせよ、外務省を中心に担当しているところでございます。

大臣)
 そう。あの案件につきましては決算委員会なんですけれども、通常の租税条約を決めるときは外交防衛委員会で決めるということなので。でも、指摘は正しいご指摘でした。ありがとうございます。

(了)

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