末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年6月14日)

令和4年6月14日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

令和4年版科学技術・イノベーション白書、「地域とともにある学校づくり推進フォーラム2022兵庫」及び「体験活動の推進に係る経済界との意見交換会(関西)」への出席、インターンシップの推進に当たっての基本的考え方、福井大学研究者に係る不公正な論文査読疑惑、ランドセル用スティックキャリー「さんぽセル」、参議院委員会室におけるパソコン等の使用について、入学定員充足率と私学助成配分の在り方について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年6月14日(火曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年6月14日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年6月14日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭は、私から3件ございます。
 本日6月14日、「令和3年度科学技術・イノベーション創出の振興に関する年次報告」、いわゆる令和4年版科学技術・イノベーション白書が閣議決定がされました。今回の白書の特集テーマは、「我が国の研究力 ~科学技術立国の実現~」でございます。岸田内閣の成長戦略の柱であります科学技術立国の実現に向けまして、我が国の研究力を強化することが喫緊の課題であります。そのためには、我が国の研究力の現状と課題を分析することが不可欠ということであります。こうした観点から、白書では、例えば、我が国の論文数が増減する要因として、教員の研究時間や教員数、博士学生数といった要因が影響するという科学技術・学術政策研究所の分析などを紹介しておるところであります。こうしたエビデンスを有効に活用しながら、研究力強化に向けた取組を推進してまいりたいとそのように考えております。また、本白書では、イラストとか、あるいはコラム等も用いながら、科学技術・イノベーションの取組や成果を紹介しております。メディアの皆様のご協力もいただきながら、この白書が、国民の皆様にとって科学技術・イノベーションの重要性や、関連施策への理解を深めるきっかけとなることを強く願っておるところです。
 次に2件目でございます。6月11日(土曜日)に神戸と大阪に出張いたしてまいりました。神戸では、コミュニティ・スクール推進のため「地域とともにある学校づくり推進フォーラム兵庫」に出席をしまして、また、大阪では、子供の体験活動を官民一体で推進するため、関西経済界の皆様と積極的な意見交換を行いました。まず、神戸のフォーラムでは、兵庫県内はもとより、全国からオンラインを含めまして、多くの自治体、学校、そして地域の関係者の皆様にご参加をいただきました。今回のフォーラムを契機といたしまして、すべての学校へのコミュニティ・スクールの導入を加速させまして、取組を一層充実していくことで、今後3年間でコミュニティ・スクールの倍増を目指していきたいと考えております。担当の安彦課長とお話をしまして、2万校は目指したいということで、申し上げました。また、大阪で行った関西経済界との意見交換では、私から、「子供の体験活動推進宣言」を宣言しまして、ご参加の皆様からご賛同いただきました。文科省としては、より一層、企業と具体的に連携した体験活動を推進して参りたいと思います。なお、16日(木曜日)、明後日ですけれども、東京で関東経済界の皆様と意見交換を行う予定であります。私が今年2月に打ち出しました「教育進化のための改革ビジョン」では、地域や企業の力を巻き込んだ学校運営や「リアルな体験」の機会の充実を図ることとしておりまして、今後も、学校、地域、企業等の関係者の皆様の協力をいただきながらですね、すべての子供たちの成長を社会総がかりで支えていきたいと思っております。
 3件目です。政府、文科省と厚生労働省と経済産業省の三省で合意をいたしております、インターンシップの推進に当たっての基本的な考え方につきましてです。この度、改正を行いましたのでご報告をいたします。本年4月に経団連と大学の代表者からなります産学協議会において報告書が取りまとめられまして、1つは、インターンシップをはじめとする学生のキャリア形成支援に係る取組が4つの類型に整理されます。インターンシップについても新たな定義が提案されました。さらに、令和5年度以降に実施されます一定の要件を満たしたインターンシップで企業が得た学生情報を、令和6年度以降の採用選考活動に使用できることが産学で合意をされたことが示されております。これは、主に現在の大学2年生の皆さんが、3年生になって参加する一定の要件を満たしたインターンシップにおきまして、企業が取得した学生の情報を、採用活動開始後に活用できるということを、産業界と大学で合意したことを示しております。この産学における合意を踏まえまして、政府としては、昨日、インターンシップの推進に当たっての基本的な考え方に関する三省合意を、改正をいたしました。今後は、新しい整理に基づくインターンシップ及び採用活動の実施に向けまして、産学官が連携しまして普及・啓発を進めてまいりたいと考えております。
 以上3件でございました。

記者)
 1点、お伺いします。福井大学で論文の不正の疑いがあると報道されていますが、このことへの大臣の受け止めと、文科省に大学から何か報告があったのか、そして、文科省として、何か対応することはありますでしょうか。

大臣)
 福井大学の研究者が、自らの論文の査読に関与した疑いがある事案につきましては、大学が事実関係に関する調査を開始した旨は、福井大学から文部科学省の担当課室に報告があったことを聞きました。5月末と聞いております。報道にありますように、論文執筆者が、自らの論文の査読に関与したことが事実であれば、このような行為というのは、国民の科学への信頼を揺るがしまして、科学の発展を妨げることにつながるということで、大変遺憾なことでございます。現在、事実関係につきましては大学が調査中でございまして、現時点で必ずしも詳細は明らかではありませんが、再発防止を含めまして、研究者コミュニティやジャーナルを運営する学会とか企業等におきまして、しっかりとした取組を行っていただきたいというように考えております。なお、文部科学省といたしましては、大学によります調査の結果等を踏まえまして、関係府省と連携して、適切に対応していきたいというふうに考えております。今の段階ではそこまででございます。

記者)
 大臣は、今、話題になっています子供たちが開発した「さんぽセル」についてお伺いしたいと思います。開発した子供たちがクラウドファンディングで集めたお金で、「さんぽセル」を新たに作ってですね、寄付先を募っているんですが、その対象に学校長だけでなくてですね、総理大臣や、まさにこの文科大臣も入っておりまして、大臣はこのクラウドファンディング、クラウドファンディングというか寄付に対して、応募するお考えがあるのかどうか、また、その理由もあわせて教えてください。

大臣)
 写真を拝見しました、「さんぽセル」。何か、こう、引くこともできるし背負うこともできるというような、非常に便利なものであると思うんですけれども。驚きましたのは、小学生自ら、この重いランドセルを何とかしたいと考えて発案した製品であるということでございます。それであの、子供たち自身が課題を発見して、試行錯誤して、大人たちの協力を得て、こうした一つの解決策を生み出すということは、私は素晴らしい取組であると思っています。文科省の人間は、皆そのように思っております。なお、私も寄付先として子供たちから募集の対象となっているようですけれども、販売元は注文が殺到しているというように聞いておりますので、まず、希望する方に製品が届けられてからが一番大事かなと思います。その後、これはどうするかということは、この様子をまず見守りながらですね、方針というか私の考えを述べたいと思います。総理何かおっしゃっていましたですか。

記者)
 ちょっとまだ、私は聞いていませんが。閣議で出ましたか、そういう話は。

大臣)
 いや、今日は出なかった。総理に聞いてみたいと思いますけれども。今日の話は出ませんでした。その上で申し上げましたら、文科省の担当者とも話したんですけど、子供たちの身体の健康などに留意して、ランドセルの児童生徒の携行の、やっぱり重さとか量への配慮をいただくことは大変重要でありますし、子供たちの問題提起というのはそこだと思うんですね。現にやっぱりタブレットを持って帰る、置いておくということについても、結構重くなってましたから、このコロナの感染時期におきましても、大変大きな問題でしたから。そういう意味も、おそらくこうした一つ提案に繋がっているんだと思うんですけれども、文部科学省としましては、かねてより、教科書やその他の教材のうち、今申し上げたように、何を持ち帰らせて、何を学校に置くのかということについて、保護者の方ともよく連携しまして、児童生徒の発達段階とか、あるいは学習上の必要性、通学の負担とか学校地域の実態を考慮して適切に判断をしたいという旨、事務連絡の発出などにつきまして、現場の方でお願いをしているところです。今後も関係の会議の場で周知するなど、引き続き、教育委員会とか学校にはその対応を求めていきたいと思います。子供たちからの貴重な問題提起でございますので、今一度、子供たちを第一に考えたランドセルなどの携行品の取扱いについて、各学校で考えていただくのを期待しております。一番の問題は、重たいのもあるんですけれども、安全性の確保、引きずられてしまうとかですね、事故につながることが絶対ないようにということで、その辺りのことも少し研究する必要があるとは思っております。非常に、あれは便利な物で、お年寄りががらがら引いている、あのキャリーバックとはちょっと違うんでしょうね、これは。まだ、現物はまだ見ておりませんが。

記者)
 今年の3月から参院の各委員会でタブレットなどを使った答弁が解禁されました。ただ、衆院では20年度からOKなんですけれども、衆院の委員会も含め、これまで文科委員会での政府側答弁の使用は0です。国会全体としても、2~3人しかいないので別に文科省だけ遅れているわけではないんですけれども、子供たちのGIGAスクール構想を進める立場として、こういうタブレットを使った答弁、GIGA答弁というか、そういうものを始めるお考えは、今後、ありますでしょうか。また、難しいとしたらどんなところが難しいんでしょうか。

大臣)
 今国会から、参議院の委員会室におきましてパソコン等の使用の試行が開始されたことは事実でありまして、許可が下りれば、政務三役、局長等の答弁者及び政務三役の秘書官は資料等の閲覧とか、あるいは作成のためのパソコン等の使用が認められることになったと伺っております。このことによりまして、紙媒体で答弁資料を準備する必要がなくなるなどの業務改善につながるということは確かだと思うんです。本件、会期の途中からの試行開始であったため十分な検討時間がなかったということで、私としては、現時点でパソコンの使用の許可申請をしたことはございません。いずれにしましても、業務改善の重要性の観点からは、パソコン等の使用のメリット、制約点を勘案しながら、次期国会以降における使用につきまして、これは検討していきたいというふうに思っております。慣れないことを始めるわけですけれども、慣れるようにしなきゃならんと、使う場合には、と思っているんですけれども。せっかく与えられた一つのツールと言うんでしょうか、よく前向きに考えていきたいなと思います。ただ、タブレット自体、国土交通副大臣のときは、幹部会議はタブレットだったんですけれども、やはり、当時の大臣も、皆、さっささっさめくっていくんですけど、たんっといったらぶうんと流れていきますんでね。後に戻ったりとか、なかなか慣れないと使いづらい部分もあるなと。しかし、それを言っていたらきりがないので、やっぱり慣れなきゃならんという点におきましては、今、記者の方からのお話の通り、必要に応じて考えたいと思います。

記者)
 冒頭もありましたけれども、福井大の論文不正についてお伺いします。まだ、大学は調査中ですけれども、今回の件は、出版社の、査読者の推薦制度の仕組みを逆手にとったですね、研究室の教授が部下の研究者を巻き込んでいて大変悪質なものです。適切に対応するということでしたけれども、文科省としてどのような対応を考えられるのかということとですね、査読制度についての大臣のお考えを教えてください。

大臣)
 今のところ、罰則というのは決まってないんですよね、これについては、ルールっていうのは。ですから、特定の不正行為というのは、捏造とか改ざんとか盗用と聞いております。ですから、査読のことについては、そういう意味においては、道義的な問題はあるでしょうけれども、罰則はないという点においてですね、これは新たな問題というように考えたいと思います。過去に例がないんじゃないかなということを言われてましたので。ですから、今このことについて、こうしようということについての考えは述べません。ただ、福井大学の方で内部調査してますので、報告が上がりましたらきちっとした対応はしたいと思ってございます。

記者)
 私立大学の定員管理の関係でお尋ねしたいんですけれども。先週、一部報道で、大規模私大の定員管理の厳格化が続いてきたものを柔軟化する方針であるという報道が出ました。まずこちらの検討状況と、定員管理を仮に柔軟化する場合、今までの経緯として、地方の大学への、地方創成の観点から、大規模私大が都市部に集中しないようにという部分で定員管理を厳格化してきた経緯があると思うんですけれども、地方創成の観点とか地方の大学への配慮というのは今後どうなっていくのか、どうなっていくべきかという部分で大臣のお考えを伺えればなと思います。

大臣)
 私立大学等の経常費補助金におきまして、教育条件の維持・向上の観点から、お話がありました、「収容定員充足率」、そして「入学定員充足率」によります補助金の不交付等の実施をしてきました。もうご存知だと思います。加えて、大都市圏における入学定員超過の適正化の観点から、平成28年度より、「入学定員超過率」によります不交付基準を段階的に厳格化してきたということです。他方、本年3月に中教審の部会で取りまとめました「審議まとめ」におきましては、大学が安定した見通しを持って新たな取組を進めることを促す観点から、基盤的経費の配分につきましては、「現行で入学定員に基づく単年度の算定としているものは、収容定員に基づく複数年度」への算定に改めるという方向性が示されました。文部科学省におきましては、現在、本「審議まとめ」を踏まえて、私学助成の配分の在り方の変更について検討を行っているところでありまして、現時点では、導入時期とか内容等について、決定している段階ではないということなんです。なお、仮に、収容定員に基づく複数年度の算定へと改めた場合でも、都市部における定員超過の適正化については、その趣旨が変わるものではないというのが文科省の認識であり方針でございます。現時点における方針であるというように、そのようにご理解をいただきたいと思ってございます。割と難しいテーマだと思います。

(了)

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