末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年5月24日)

令和4年5月24日(火曜日)
教育、科学技術・学術

キーワード

大学の構造転換と理系女子学生の活躍推進に関する大臣メッセージ、宇宙分野での米国との協力について、英語教育実施状況調査、学校現場でのマスク着用方針について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年5月24日(火曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年5月24日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年5月24日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から1件でございます。
 先日10日に取りまとめられました教育未来創造会議の第一次提言を踏まえまして、本日私から、大学の構造転換と理系女子学生の活躍促進に関しますメッセージを発表いたしたいと思います。メッセージ本体は後ほど事務方から配布いたしますので、メディアの皆様におかれましても、報道を通じてご協力いただければと思いますが、私から要点をご説明いたしたいと存じます。第一次提言を実現し、未来を担う人材を育成するために、これからの大学は大きく構造転換を図る必要がございます。中でも、理系を学ぶ場を抜本的に拡充をしまして、特に、女性の皆さんが理系で活躍できる社会を構築するためには、大学関係者のみならず、子供たちや、あるいは保護者や教職員、そして企業の皆様に広くご理解とご協力をいただくことが不可欠でございます。まず、これから大学進学を志す皆さん。5年後、10年後に向けて大学が大きく変わっていきます。文理の区別がない、広く深い学びが入試でも評価されるようになります。ぜひ、自分自身が興味を持てる分野を徹底的に追求していただいて、自らの可能性を広げていっていただきたいと思ってございます。次に、保護者の皆様に対してです。「理学部や工学部の女子は就職できない。」そのようなことはまったくございません。例えばIT系の人材は2030年で最大79万人不足するという予測がある中、理工系学部を卒業した学生さんが、男女問わず産業界では強く求められております。「女子は文系」という固定的な観念から離れて、子供たちの幅広い選択をお支えをいただきたいという、素朴なことを皆さんに申し上げたいと思います。続いて、教職員の皆様です。教職員の皆様に対しましては、子供たちの持つ可能性を最大限に引き出していっていただきたいと思います。特に、高校早期からの「文理分断」教育からの脱却を目指していただきたいと。特に、学校における男女の違いに基づく先入観を徹底的に排除していただいて、生徒の可能性を育むためにぜひお力をお貸しをいただきたいと、このことを切に訴えたいと思います。次に、企業の皆様に対してです。学生の大学での学び、成長を評価していただきたいと思います。学生がロールモデルに出会って、将来を思い描くための経験や体験を積むための場や、女性が活躍できる場をご用意いただきたいと思います。志高く羽ばたこうとする学生の挑戦をともに応援してやっていただきたいと、そのように強く願っております。今後、文部科学省、そして政府全体として、前に進もうとするですね、大学、変わろうとする大学を全力で後押ししてまいりたいと思います。今後、産学官総がかりで、学生を応援する社会の実現に向けた意見交換の場を設定することなども考えております。輝かしい子供たちの未来に向けまして、ぜひ皆様にも、ご理解・ご協力をお願いを申し上げたいと思います。冒頭、私から1件、以上でございます。ありがとうございました。

記者)
 1点、質問なのですけれども、23日に開かれた日米首脳会談で、宇宙政策について、アルテミス計画の協力について、バイデン氏から発言がありました。これに関する大臣の受け止めと、アルテミス計画に向けて、文科省が今年度注力する政策や支援する事柄がありましたら教えてください。

大臣)
 昨日23日、日米首脳会談が開催をされまして、宇宙分野での協力進展に関します共同声明が両首脳から発表されました。今、ご指摘の通り、記者会見の際に、バイデン大統領から、月と火星に向けましたアルテミス計画、ゲートウェイについて一緒に協力をしていくということの旨の発言があったことを、大変嬉しく思ってございます。今回の共同声明等も踏まえつつ、アルテミス計画につきましては、米国をはじめとする参加各極と連携しつつ、1つは、ゲートウェイの機器提供や補給、月を周回する節になってまいりますから。あとは、月面データの取得・提供、そして、これはトヨタなんかとも共同で開発しております、月面における有人与圧ローバに関する開発等ですね、こうした宇宙基本計画に基づきまして着実に進めてまいりたいと思います。引き続き、文部科学省としては、アルテミス計画をはじめとする国際宇宙協力にしっかりと取り組んでいきたいと思います。バイデン大統領から、かなりインパクトのあるお話もあったということを聞いてございますので、夢が広がると思います。まずは、月できちんと、日本人宇宙飛行士が、まず米国人の方に次いで、月面着陸と言うんでしょうか、そこで活動できるということを、まず目標を達成して、それから火星に向かって進んでいくということになってまいりますので。大きな夢を、ぜひ描きたいというように思っています。我々の後々の時代を生きていく今の子供たち、孫たちのためにも、しっかりと、今、足場を築いておきたいと思います。

記者)
 先週発表された英語教育実施状況調査と、学習指導要領や大学入試との関係について伺いたいと思っております。今回の調査ですと、学習指導要領が授業に求めている英語4技能を使った言語活動が、小学校では91%、中学校では71%、高校では50%と、学年が上がるとともに言語活動の授業の割合というのが下がっていっています。このことについては、こうした傾向は、別に、ずっと続いておりまして、2年半前に大学入試のあり方に関する検討会議で、文部科学省の初等中等局もですね、大学入試の影響があるのでそうした言語活動が授業で行われにくくなっている、そのことは否定できないということを指摘されています。で、伺いたいのですが、こうした大学入試の影響によってですね、学習指導要領が目指す授業改善というものが十分に行われていないという現状をどういうふうに受け止めていらっしゃるかということと、それから、2年半前に、大学入試共通テストにおける民間の英語検定試験の活用が頓挫して以来ですね、大学入試で英語4技能をどう扱うかという議論は中断されたままでおります。そうしますと、学習指導要領が目指す授業の改善というのは、なかなか実現は難しいんじゃないかということが言えると思うんですけれども、こうした点について、大学に対して、英語4技能に対応した入学者選抜の実施とか、また、更に高大接続改革を進めていくとか、そうしたことについて、大臣のお考えを伺えればと思います。

大臣)
 常盤木教育課程課長ともよくこの話をいたしてございまして、大変重要な問題でございます。先日公表いたしましたご指摘の調査では、小学校・中学校・高等学校、今お話があったように、学校段階が上がるにつれまして、児童生徒の英語による言語活動が低調になっているということが分かりました。正確に申し上げたら、今、92%とおっしゃったのかな、小学校が授業中の半分以上の時間で言語活動を行っている学級の割合は、小学校92%、中学校は71.3%、高等学校で、おっしゃる通り、がたっと下がって50.3%まで下がってしまうということであります。非常に、コミュニケーション能力が、なかなか、高めなきゃいかんけれども、高まっていないということがよく分かる数字だと思うんですね。この結果を受けまして、各学校関係者や英語教育の有識者に対しましてヒアリングも行いましたところ、1つは、理由として考えられるのは、新型コロナによる臨時休業などで授業時数が減少する中で、教科書を終わらせることに時間を費やしたということで、そこのところを中心に授業を展開してしまっているという実態が分かってまいりました。それと、学習内容や言語の難易度が上がりますと、生徒にとって英語で授業を進めることが大変難しくなってくる、そのものの理解にも難しいし、センテンスも全体に難しくなってきますので、そういうことで英語で授業を進めることが非常に難易度が高くなってしまうということがあります。といったような点が指摘をされました。また、特に高校の普通科では、正しい語彙や文法とか構文など、正確な習得に力点が置かれることの表れということも考えられているわけなんですけれども。しかしながら、今回の調査からは、言語活動の時間の長さが生徒の英語力の向上と関連していることが分かったわけですが、同時に、自治体別の結果を見ますと、中学校や高校でも言語活動をしっかり行っている教育委員会も多数見受けられております。文科省としましては、言語活動を通して、コミュニケーションを図る資質、あるいは能力を育成するという英語教育の目標がしっかりと達成されるように、言語活動の改善・充実に、引き続き、取り組んでまいりたいということ、このことは、切に我々も考えてございますのでよろしくお願い申し上げたいと思います。それと、大学入試についてですけれども、大学入試における英語4技能の評価につきましては、大学入試の「英語成績提供システム」の導入見送り等を受けまして、文部科学大臣の下に「大学入試のあり方に関する検討会議」を設置をしまして、約1年半の間審議を重ねまして、昨年7月8日に提言を取りまとめいただきました。この提言では、「読む」、「書く」、「聞く」、「話す」、この4つですけれども、この4技能に関しまして、総合的な英語力のですね、評価については、各大学の個別選抜で推進することが重要とされております。委ねる部分も多ございます。文科省といたしましては、提言内容も踏まえまして、各大学の個別選抜におけます「総合的な英語力の評価」に関する優れた取組を幅広く普及させていくために、好事例を認定・公表する準備を進めております。事例を、好事例を提供したいと思っています。また、改革意欲のある大学へ後押しができますように、基盤的な経費などの活用も含めまして、インテンシブの付与の方法につきましても検討を進めているところでありまして、引き続き、大学と高等学校等の連携をしまして、高大接続改革をしっかりと進めていきたいなという、そういう考え方でございます。一つの反省の上に立って検証をしておりますので、ご理解を、ぜひいただきたいと思ってございます。

記者)
 何回か質問をして恐縮なんですけれども、マスク着用についてお尋ねなんですけれども、厚生労働大臣の方と、昨日、政府の基本的対処方針でマスクの着用についての考え方が示されたと思います。学校については、基本的に「衛生管理マニュアル」の記述と変わりはないと思うんですけど、一応、国民に向けて学校でのマスクの着用の注意点など、大臣の方から改めて整理してお話しいただける部分があればお願いをしたいなと思います。

大臣)
 文科省の三木課長のところでずっと担当いただいているんですけれども、昨日23日に変更されました政府の基本的対処方針におきまして、マスクの着用の考え方等が明記をされたところでございます。これは、先週金曜日20日に厚生労働大臣から、マスクの着用は引き続き基本的な感染対策であることと共にですね、身体的な距離が確保できないが、会話はほとんど行わない場合のマスクの着用の考え方などが示されたことを受けての記載となってございます。それで、文部科学省では、従来、「衛生管理マニュアル」の中でマスクの着用が不要な場面についてお示しをしておりまして、その取扱いを変更するものでもありませんが、これから夏季を迎えるに当たりまして、学校生活の個々の場面に対して、個々のそれぞれの状況ですね、場面に対しまして、より適応した形でのマスクの取扱いを明確化するというこの観点から、本日付けで事務連絡を発出したいとそのように考えております。具体的には、地域の実情に応じまして、体育の授業の際には、屋外の運動場に限らず、プールや屋内の体育館等も含めて、マスクの着用は必要ないこと。そして次に、運動部活動につきましては、体育の授業の際に着用は必要ないとする取扱いに準じつつ、活動の実施に当たっては、各競技団体が作成するガイドライン等を踏まえて対応すること、その次、3つ目でありますけれども、熱中症リスクが高いこの夏場におきましては、登下校時に会話を控えるよう注意した上で、マスクを外すよう指導すること等について改めて周知をする予定としております。各学校現場におきましては、感染対策と学びの継続の両立はもちろんのこと、熱中症対策も命に関わる極めて重要な問題でありますので、そう捉えておりますので、子供たちが安全・安心な環境の中で学ぶことができるように、メリハリをつけたマスクの取扱いをお願いをしたいというふうに考えております。そういうことでございますので、かなり詳しいことは、また、担当課長、三木さんの方に、また、お尋ねいただいてもいいかと思いますけれども。

記者)
 英語教育実施状況調査の関連でお尋ねしたいのですが、中学、高校とも、教育目標の達成度で、都道府県、政令市間でかなりの凸凹があったというふうに思います。この原因をどうお考えになるのかと、公教育である以上、極端な差があるのは好ましくないと思いますが、どういうふうに是正を図っていくべきか、大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 今のご質問、生徒の英語能力について、特に中学生について、自治体間の格差が目立つというご指摘かと思います。今回の調査の結果、中学校卒業段階でCEFR A1レベル相当以上を達成した中学生の割合につきまして、全都道府県、指定都市のうちですね、20の自治体が第3期教育振興基本計画に掲げます5割以上の目標を達成した一方で、12の自治体で40%を下回るなど、自治体間での数字の開きが見られたということでございます。また、高等学校卒業段階でCEFR A2レベル相当以上を達成した高校生の割合につきましては、全都道府県のうち8都県ですね、8都県が第3期計画の5割以上の目標を達成する一方で、4県で40%を下回るという結果になったと聞いてございます。今回の調査からは、授業中に生徒が英語を使って活動する言語活動の時間の長さ、そしてまた、教師の英語力といった要因が、生徒の英語力の向上と関連しているということが分かってまいりました。各教育委員会に対しましても、今回の全国的な調査結果をフィードバックさせていただきましたが、言語活動の充実や教師の英語力の向上に関します取組状況を確認しまして、必要な改善を行うなど、今回の結果を活用して英語教育の改善・充実に努めていただきたいと思ってございます。先ほどもちょっとお話触れましたけれども、文科省としましても、好事例を全国に展開していくなど、各自治体における取組をしっかりと支援をしていきたいという、そのように考えております。ご指摘の通り、かなりの開きがあるということにつきましては、私も、少なからず、違いには懸念を持ってございます。

(了)

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