末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年5月20日)

令和4年5月20日(金曜日)
教育、科学技術・学術

キーワード

国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律、宇宙基本計画工程表改訂に向けた重点事項、大学等卒業者及び高校卒業者の就職状況調査、私立学校法改正法案骨子

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年5月20日(金曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年5月20日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年5月20日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 今日は冒頭、私から4件ございます。
 まず1件目であります。今国会に提出をいたしておりました「国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案」が18日、2日前、参議院本会議において可決され成立をいたしました。今後、法律の成立を受けまして、令和6年度の支援開始に向けまして、国際卓越研究大学の認定、そして助成等に関する「基本方針」等の検討を進めまして、年内に大学の公募を開始をしたいと考えております、年内です。大学自身の明確なビジョンの下に、研究基盤の抜本的強化や若手研究者に対する、長期的・安定的な支援を行うことによりまして、教育・研究・社会貢献にわたる大学の機能を大幅に拡張しまして、世界と伍する研究大学の実現につないでまいりたいと思ってございます。
 続きまして、2件目でございます。本日(20日)、宇宙開発戦略本部会合が開催されまして、「宇宙基本計画工程表改訂に向けた重点事項」が決定をされました。本部会合では、岸田総理より、基幹ロケットを含む我が国の打ち上げ能力の強化や、アルテミス計画の推進、そして日本人宇宙飛行士の月面活動の実現についてご発言がございました。文部科学省といたしましては、こうした総理の指示事項、さらには、抜本的な低コスト化を目指しました革新的将来宇宙輸送システムの研究開発であるとかですね、あるいは人類初の火星圏からのサンプルリターンの実現に向けて火星衛星探査計画(MMX)の推進など、着実に取り組むべく、必要となる予算を令和5年度概算要求に盛り込んでいきたいと考えてございます。
 次は3番でございます、3件目。令和4年3月に卒業しました学生等の就職状況の調査結果をご報告を申し上げます。大学生の就職率は昨年と比べて0.2ポイント低下の95.8%、高校生の就職率は昨年と同じ97.9%となりました。高校生の就職率は高水準を維持をいたしております。一方、大学生につきましては、昨年と概ね同水準ではありますものの、新型コロナ前の水準まで回復をしておりませんで、引き続き状況を注視していく必要性を感じております。文部科学省としては、学校関係者などと連携をいたしまして、未就職のまま卒業された方が一人でも多く就職できるように、引き続き、学校や自治体等に取組を促してまいりたいと思います。
 次は4件目でございます。学校法人のガバナンス改革につきまして、私立学校法改正法案骨子案を作成しまして、任意の意見募集を行っていましたところ、本日、法案骨子として公表いたしました。国民の皆様から329件のご意見をお寄せをいただきましたことに、心より感謝を申し上げます。誠にありがとうございます。頂いたご意見につきましては、法案骨子案に基づきまして適切な制度設計を行うべきであるということとか、改革の方向性に賛同するご意見のほか、十分な準備期間やきめ細かな経過措置を検討して欲しいなど、現場の実態に即した慎重な検討を求めるご意見も頂戴をいたしましたが、いずれも法案骨子案の大きな修正を要するものではございませんでした。我が国の公教育を支えます私立学校が社会の信頼と支援を得まして一層発展していくためには、社会の要請に応え得る、実効性のあるガバナンス改革を進めることが必要不可欠でございます。今回、私学関係者との間で一定の合意形成が図られたことは大変画期的なことでございまして、関係者の皆様方に対しまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。文部科学省といたしましては、意見募集の結果も踏まえつつ法制化作業を着実に進めまして、秋以降可能な限り速やかに法案が提出できるように、最大限の努力をいたしてまいります。以上でございます。

記者)
 冒頭にありました研究大学の法案の提出に関して、大臣の改めての受け止めをお伺いしたいのと、世界ではファンド益を使った研究だったり施設の創設などの成功例というのがあると思うんですけれども、大臣の描く日本の研究大学像というのを教えていただけますでしょうか。

大臣)
 世界の、ハーバードにしてもイエール大学も、どこもかなり大きな基金を持っていますので、最初は小さくスタートしましたけれども、最後は、独自に、やっぱり基金を、個人の寄付などを中心にしまして積み上がっていますので、相当大きな運用益を使って、今、学校運営がなされておるということは事実でございます。いずれは、将来そういう方向に持っていきたいというふうに、まず最初の最初は、この大学ファンドから始めたいと思いますけれども。それで「世界と伍する研究大学」につきましては、世界最高水準の研究活動を通じまして、国際的な頭脳循環のハブとなりまして、中心となってですね、世界中から集まった優秀な人材が新たな学問分野を創出をするということ、そして研究成果を次々と産み出すということ、それらの人材・研究成果に基づきまして、これはよく答弁で申し上げたのですけれども、やはり地球規模の課題解決への貢献、新たな産業及び社会的価値の創出など、大きな社会変革をもたらすような、その原動力、駆動力となることが期待されてございます。私自身は、大学というのは、これは地元の学長もよくお話に来られるんですけれども、国内外の人々が集まるということ、人を魅了するということ、そして人を育成するというこの3つが一番大事であると考えてございます。この3つがないと大学は育たないと。国際卓越大学におきましても、ぜひこの点を重視をしていきたいということで、何度かご答弁をさせていただきました。今般の国会審議では様々なご意見をいただきました。今申し上げました、国際卓越研究大学制度の趣旨等につきまして、大学等の現場の方々にご理解をいただけるように一層努めるとともに、世界と伍する研究大学の実現と、地域の大学等も含めた我が国の大学全体の研究力強化に向けて、引き続き全力で取り組んでいきたいと思います。互いに切磋琢磨するということがやはり大事であるということ、このことを思います。ここの意見は、各党からいろんなご意見が出ましたので、賛成多数で可決されたんですけれど、いろんなご意見を聞かせていただきながらですね、全体の大学の質へ、しかし、核となるのは、やはりこれから日本の研究を大きく引っ張ってもらいたいということで、この国際卓越研究大学がこれから存在するというように思っております。

記者)
 同じく国際卓越研究大学法に関連して質問します。大臣は、国会の審議で、ファンドの運用益による大学支援を長期的・安定的に行うと答弁されました。この長期的というのは具体的にどのくらいの期間を想定されているのでしょうか。また、支援対象は数校とのことですが、例えば5~7校など、想定している支援対象校の具体的な数やその幅はあるのでしょうか、お聞かせください。

大臣)
 今、質問をいただきました件ですけれども、具体的な支援期間につきましては、今後、関係府省とも協議の上、基本方針等で定める予定といたしております。これまでも、世界トップレベルの研究拠点プログラム、WPIですよね、金沢大学、ナノテクなどいろいろあるんですけれども、今年も3件ほど採択をすることになっておりますけれども、原則、そこでも10年間なんです、WPIでも。特に優れた成果を上げている拠点については延長も可能であったことを踏まえれば、少なくともこれらの既存の事業よりは長い期間を想定をいたしているということだけは申し上げたいと思います。だから、10年以上になってまいります、確実に。そして、世界における我が国の経済規模を考えますと、数校程度の大学が世界と伍する研究大学となることが期待されているんですけれども、数校というのは、5校か6校か何校だと言われるんですけれども、去年(注)、階先生からも質問を受けました、衆議院の方で。数校は数校と言っておりますので、具体的に、今何校ということはないので、数校とお書きいただいたらいいと思うんですけれども、少しずつ、運用益のこともありますのでね、少しずつ大学数を増やしていくということになりますから、いきなり何校だという決めつけ方は、おそらく、近々に、そういうご答弁は、ということはちょっとできないかなと思います。そういうことで、現時点では、支援大学の上限をですね、限定、設定するということは考えていないということでございます。恐縮です。
(注)「去年」と発言しましたが、正しくは「昨年度」です。

(了)

お問合せ先

大臣官房総務課広報室