末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年5月17日)

令和4年5月17日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

ウクライナ避難民への支援について、国立天文台などが参加する国際研究プロジェクトがブラックホールの撮影に成功した件、学校における教員の勤務時間管理、自民党「学校現場のいじめ撲滅プロジェクトチーム」による提言について、学校現場でのマスク着用方針について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年5月17日(火曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年5月17日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年5月17日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から1件でございます。
 ウクライナから避難されている方々への日本語教育の提供、あるいは子供の就学機会の確保の状況につきまして、簡単にご報告させていただきます。既にご存知の記者の方もおられるかもしれません。まず、日本語教育に関しましては、一時滞在先に滞在する者に対しまして、出入国在留管理庁と連携しながら、日本語教育コースを提供するとともに、2つ目は、各地域で定住を開始した方に対しまして、日本語教室を実施する自治体に補助を行っているところですが、今般これに加えまして、様々な事情で自治体が避難民の方への日本語教育支援を提供することが困難な場合への対応として、本日から、国によります、5月17日本日からです、国によるオンラインの日本語教育支援を開始することといたしました。また、就学機会の確保につきましては、自治体からの報告を取りまとめましたところ、5月11日時点で、44名の子供さんが幼稚園・小中学校・高校学校に既に就園・就学しているほか、50名の子供さんが、今、相談中であると、そのように承知をいたしております。なお、出入国在留管理庁からは、3歳以上18歳以下の避難民の方が225名おられると聞いておりまして、相当数の子供さんが、就園・就学に向けて相談中と、このように承知をいたしているところでございます。さらに、大学からの報告によりますと、27大学、合計106名が学生、研究者等としてですね、受け入れているとのことでございます。文部科学省としましては、引き続き、地方自治体等とも連携協力をしながら、避難民の方々に対しまして、日本語教育や子供たちの教育機会の確保に向けたきめ細かな支援に取り組んでいきたいと、そのように願ってございます。以上、1件でございます。

記者)
 先日、国立天文台をはじめとした国際プロジェクトが、天の川銀河にあるブラックホールの画像化に成功したというニュースがありました。世界では2例目となる快挙でしたが、大臣の受け止めと、そしてあの、天文学研究というのは、今、非常に研究者が少なくなっているとか、研究者の問題などいろいろ問題を抱えていますが、今後の文科省としての支援などがありましたら教えてください。

大臣)
 今月12日(木曜日)にですね、国立天文台を含む国際共同研究プロジェクトチームが、私たちが暮らします天の川の銀河の中心にありますブラックホールの画像を公表したと承知しております。今回のブラックホールの撮影は、2019年に同チームが史上初めて公開されたおとめ座銀河団にあるブラックホールの画像に続くものでありまして、極めて画期的で、研究成果であると、そのように承知しております。今回の観測には、日米欧で共同運用する「アルマ望遠鏡」等が用いられまして、日本から、国立天文台をはじめとする多くの研究機関が、研究者が、観測や解析に貢献しておりまして、大変喜ばしく思っております。文部科学省としましては、「アルマ望遠鏡」のような観測施設が安定的に運用できる環境整備が重要と認識をしておりまして、引き続き、基礎研究を支える重要な研究施設・設備の充実に努めてまいりたいと、そのように考えております。これは、日本の国立天文台、米国、欧州3者の国際プロジェクトというようにお聞きをいたしておりまして、伺いましたら、2017年に撮ったものなんですね、電波望遠鏡で。その後、観測をその年にして、解析・映像化して、そして見える形になったということでありますから、すごい、あらゆるものを飲み込んでしまうような黒い塊が真ん中に見えるんですけれども、この宇宙の誕生と同時に、大きな一つのロマンと言うんでしょうか、ブラックホールという言葉はあらゆるところで使われる言葉なんですけれども、そういうものを感じております。引き続き、こういう天文学については、文科省としては、重要な位置付けを行いまして、信用していきたいと、そのように考えてございます。

記者)
 学校の先生の時間管理について伺いたいと思います。先週の金曜日に、名古屋大学の内田教授たちが調査研究を発表しまして、書類上の勤務時間の書き換えを求められたことのある先生が6人に1人いたり、一方で、土日の勤務について、小学校の方で43%が申告しないと答えるなどですね、学校現場の先生たちも、時間管理に対する意識が非常にルーズであるということがはっきりしました。内田教授はですね、勤務時間の過小申告について、学校の管理職にも教員本人にも罪の意識がないんだということを指摘されております。文科省は、今年、働き方改革に向けて勤務実態調査を行うと思うんですけれども、勤務時間の申告がきちんと行われていないならば、一生懸命調査をやってもですね、実態を把握するということがなかなか難しいですし、その先も政策を作るということ自体がおぼつかないと思うんです。こうした学校現場の時間管理に対する意識についてですね、大臣は、どのように受け止めていらっしゃって、今後の働き方改革の実効性をあげるためにどのような対応が必要だとお考えでしょうか。

大臣)
 大事なご指摘かと思うんですけれども、オンラインによりますアンケートでございますかね、小学校の教員のですね、半数が、休憩時間がないということとかは聞いておるんですけれども。それと、教員の勤務時間が、今おっしゃったように、少なく書き換えることが求められたということがあるなど、調査結果が出たことについては、承知をいたしておるんですけれども、実は、新聞に出たんでしょうか、調査の詳細については、実はまだ承知をいたしてございませんので、これそのものについてのコメントは差し控えたいと思うんですが、その上で、当然、今、働き方改革を進めていますので、一般論として、休憩時間について、改正給特法に基づきます「指針」において、休憩時間や休日の確保に関する労働基準法の規定を遵守することを求めておりまして、適切に対応いただくよう求めてまいりました。これはもう、月45時間、年間360時間ですよね、これはもう絶対的なものでございます。また、勤務時間の正確な把握というのは、働き方改革を進めていく上での根本的なことでありまして、スタートラインであります。4月に改めて、各教育委員会に注意喚起をしたところですけれども、「指針」においても、ICTの活用であるとか、それと私たち神戸市でも、タイムカード等によりまして、客観的な勤務実態の把握を求めるとともに、虚偽の記憶を残すことがあってはならないということを示しております。このようなことがないように徹底してまいりたいというのが考え方でございます。また、「指針」のQ&Aにおきまして、万が一、校長が虚偽の記録を残させるようなことがあった場合には、信用失墜行為として、当然、懲戒処分の対象ともなり得ることを明示をいたしてございます。これは重要なポイントです。さらに、「指針」におきましては、今申し上げたように、1か月の時間外在校等の時間については、45時間以内を上限とすることとしておりまして、こういったことを踏まえまして、在校等の時間の長時間化を防ぐ取組を一層進めていきたいというのが考え方でございます。かなり、その面では、在校等の時間45時間、かなり収まってきていますということの調査結果は、一旦出ておりますんですけれども、いずれにしましても、校長先生や教育委員会が、教員の在校等の時間を上限の範囲内とすること自体を目的とするのではなくて、把握した勤務実態を踏まえて、業務とか、あるいは環境整備の状況を検証・改善して、在校等の時間の長時間化を防ぐということに努めていっていただきたいと思います。文科省としては、引き続き、各教育委員会に対しまして「指針」の周知とか取組状況のフォローアップを行うなど、様々な機会を捉えて、適正な勤務実態の把握が行われるように徹底していきたいというのが考え方でございます。

記者)
 1つフォローさせてください。今、大臣のご指摘にあった部分の多くはですね、校長先生、管理職の側が虚偽の申告を求めてはいけないという部分だと思うんですけれども、一方ですね、学校現場でもう一つ深刻なのが、やっぱり、子供たちのためという理由で、現場の学校の先生の方がですね、あまり時間管理を意識しないで、土日に自分で出勤して、それでもちゃんと自分が出勤したことを、ちゃんとその帳簿に付けないで、そのまま時間管理が曖昧になってしまうというところがあると思うんです。こういう、学校の現場の先生の時間管理に対する感覚、これについてはいかがでしょうか。

大臣)
 私も事実確認はしていないんですけれど、7時50分に学校に到着して執務を始めているということになっているんですけど、実際は7時20分に来ているみたいなお話も聞いたことがございます。同時に、事実確認はしていませんけれども、何気なしに、要は、タイムカードでこの時間で帰ることになっていますと。タイムカードを押します、最近はIDカードなんかでぴっという形でやるんですけれども、でも、現実はやっぱり、仕事を持って帰っているという、これってやっぱり、そういうつじつまを合わせるような、この状況では駄目だと思いますので、そういう意味では、内容においても、きちんと時間が守られるということ、このことを念頭に置かなければならないと思っていますけれども、ある面では、先生方が、そういうことをやっておられるとしたらそれ自体ですね、やはりきちんと学校内でですね、長時間勤務をすることがないような体制に持っていくための努力をですね、働き方改革の中で進めていきたいというのが狙いでございます。大変難しい話でありますけれども、そういう実態があるというようなことはたくさん聞きますね。

記者)
 学校現場でのいじめ対策についてお伺いいたします。自民党の文部科学部会のプロジェクトチームが、いじめを行った加害者側の児童や生徒に対して、校長先生の権限で学校の敷地に入らないことを命じるなどの新たな懲戒処分制度を創設するという提言をまとめました。この提言につきまして、大臣の受け止めとですね、今後、この提言を受けて、文科省としてどのように対応していくお考えかお聞かせください。

大臣)
 自民党で、昨年の12月に文部科学部会の下で、私が挨拶に行ったときだったかな、山本部会長が、学校現場のいじめ撲滅のプロジェクトチームを設置して、しかるべき改善案をまとめたいというお話をなさったことを覚えております。有識者とかですね、教育委員会、関係省庁へヒアリングなどを行って検討を進めて、私はまだしっかりは見ておりませんのですけれども、昨日16日に、いじめ対策に関する提言を取りまとめたというふうに伺っております。近く、お出ましいただけるのかなということを思っておるわけなんですけれども、本提言で述べられました「いじめ被害児童生徒を徹底して守り抜く」との基本姿勢は、まさに私どもと軌を一にするというものと考えておりまして、プロジェクトチームからは貴重な提言をいただいたと真摯には受け止めてございます。文部科学省としましては、今後、このいじめ防止対策協議会とか、あるいは中央教育審議会におきまして、今後のいじめ対策について、専門的なご意見も伺いつつ検討を進めていきたいというように、そのように考えているところでございます。まだ、内容等について細かくは把握をいたしておりませんけれども、今、お話があったところでは、加害者の子供さんを緊急分離措置として学校外に置くというようなお話でありますけれども、教育を受けさせる義務と言うんでしょうか、いろいろとありますから、この辺りのことについても、よく考えながら検討を進めていかなければならないと思ってございます。受けさせる義務でよろしいですね、教育を受ける権利と受けさせる、権利と義務の関係がございますから。3か月、4か月検討なさってきた結果でございますので、ポイントとしては、特に、いじめの加害行為を許さない新たな懲戒処分の創設という点がポイントなのかなと思っております。今のところ、私から申し上げられるのはそこまででございます。

記者)
 年内にその新しい懲戒処分制度を創設するようにということを求めているんですけれども、その辺りのスケジュール感についてはいかがでしょうか。

大臣)
 今申し上げたように、審議会とかですね、いろんなところもありますから、慎重に慎重を重ねて、その上での話でございますので、今ここでこれからのスケジュールであるとか、あるいはこう改善するんだということについては、とりあえずご意見、提言書をまず拝見して、お話聞いてからで、全く、まだ山本部会長とのお話は聞いておりませんものですから、電話もしていません。そういう状況です。

記者)
 学校でのマスクの着用方針についてお尋ねします。先週あたりから、政府部内の専門家の皆さんの間で、特に、屋外でのマスク着用について様々なご意見が出ていますが、今後、気温が上昇する季節を控えて、学校活動で児童生徒のマスク着用について、大臣はどのような方針で臨んでいくか、基本的なお考えをお聞かせください。

大臣)
 先週の木曜日の一般質疑でも質問が出ましたです、この話につきましては、コロナ禍での、この3回目の夏を迎えようとしている中ですけれども、東京都医師会から、10日でしょうか、幼稚園の外遊びとか、あるいは学校の体育・部活動においてのマスクを外す提案があったことをはじめ、先日来、マスクの着用につきまして様々なご意見が出ていることは承知をいたしております。私としても、本当に様々な我慢をしながら学校生活を送る子供たちのことを考えると、これはもう大変だと思います。子供たちが安全・安心な環境の中で学ぶことができるようにすることというのは我々大人の責任であり、あとは、文科省も、ある面では指針を出したわけですから、責任があると考えています。文部科学省では、従来からの、基本は「衛生管理マニュアル」の中でですね、これが中心になりますから、「衛生管理マニュアル」の中で、十分な身体的距離が確保できる場合や体育の授業ではマスクの着用は必要ないということ、気温とか湿度や暑さ指数が高い日には、熱中症への対応を優先させてマスクを外すこと、また、例えば登下校の場面で、小学生が、自分でマスクを外して良いかどうか判断が難しい年齢の子供たちは、気温・湿度や暑さ指数が高い日に屋外でマスクを外すよう、積極的に声をかけるなどの指導を行うこと、これについては既にお示しをしておりまして、この方針については、関係者の皆様に、引き続き、丁寧に説明をしていく必要があると考えています。なお、マスクの着用を含めた学校における感染対策につきましては、その時点の感染状況や最新の科学的な見地・知見をですね、踏まえて実施していくことが重要でありまして、今後も、引き続き、必要な対応を行ってまいりたいと思います。文科省としては、やはり熱中症で子供たちが命を落とすようなことがあっては大変なことになりますから、そこのところは、体育の授業では、基本的にはマスクを外して、この暑い最中は、そして、距離はとるような形でですね、体育の活動をしてほしいと、授業に臨んでほしいと、そのように考えております。

(了)

お問合せ先

大臣官房総務課広報室