末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年4月22日)

令和4年4月22日(金曜日)
教育、その他

キーワード

教師不足への対応に関する特別免許状等の活用について、ウクライナ避難民への支援サイトの開設、ウクライナ避難民の子供たちの教育機会の確保について、大学卒業後の所得に応じた「出世払い」型等の奨学金返還の在り方について、GIGAスクール構想による1人1台端末の適切な運用について、特別支援教育を担う教師の養成の在り方等

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年4月22日(金曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年4月22日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年4月22日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から2件でございます。
 まず1件目は「教師不足の対応に関する特別免許状等の活用」についてでございます。臨時的任用教員等の確保ができず、学校へ配置する予定の教師の数に欠員が生じる「教師不足」につきまして、昨年度、令和3年度ですが、初の全国調査を実施をしまして、始業日時点で小・中・高・特別支援教育で、学校で合計2,558人、不足率は0.31%と「教師不足」が生じているなど、憂慮すべき実態が明らかになりました。今年度の状況につきまして、複数の教育委員会にヒアリングをしたところでは、自治体によって状況は様々であるものの、昨年度と同様、依然として厳しい状況にあると聞いております。このような状況を受けまして、教師不足の解消に向けた一層の取組を促すために、一昨日、20日でございます、都道府県教育委員会に対しまして、特別免許状の積極的な活用などを依頼する事務連絡を発送をいたしました。私からも、来週中にでも、都道府県・指定都市の教育委員会の教育長に直接お話する機会をいただきまして、働きかけを行いたいと考えております。特別免許状につきましては、昨年5月に国の法指針を改訂しまして、授与にかかる審査基準や手続の緩和を行ってきましたが、一部の都道府県教育委員会では、授与基準が整備されていないとか、又は公表されていないなど、積極的に活用がなされておらず、結果的に、多様な経験を有する社会人の活用が進んでいるとは言い難い状況でございます。都道府県教育委員会におきましては、この特別免許状の積極的な活用も含め、あらゆる手段を講じて、教師の確保に取組んでいきたいと考えております。さらには、現在、中教審では、教員採用選考試験の早期化・複線化を含めた実施時期の在り方とか、特別免許状の授与手続・基準の透明化などによる多様な人材の確保なども含めまして、包括的な議論をいただいておりまして、文部科学省としては、今後、このような議論の結果を踏まえつつ、多様で質の高い教師の確保に向けた取組を加速させてまいりたいと思っております。
 次に2件目はウクライナからの、避難されている方々への支援サイトの開設についてであります。19日の会見におきまして、私から、ウクライナ避難民の受入れに対しまして、これに関してですね、文部科学省へご相談等をいただく際の窓口(文部科学省ヘルプデスク)を設けたことを報告をいたしました。事務方から資料を配付させていただきましたが、本日、文部科学省の相談窓口の電話番号(フリーダイヤル)や就学、日本語教育に関しまして、避難民や受入れ自治体、学校等で活用いただける資料を掲載しましたサイトをですね、、文部省、ホームページに開設をしますのでお知らせをいたします。文部科学省では、引き続き、ウクライナ避難民に対して、子供たちの教育機会の確保や日本語教育の支援を積極的に進めてまいりたいと、そのように考えてございます。以上でございます。

記者)
 冒頭発言にもありましたが、ウクライナ避難民の子供に対する学校での受入れについて質問します。学校の一部で始まりましたが、幼稚園や小中高校などでの受入れの、全国状況について把握している数字があればお示しください。また、今ご発言もありましたが、文科省はヘルプデスクを設けましたが、現状でどのような相談が寄せられ、どういった課題が浮かんできているのか、そういった課題に対して国としてどう支援していくのか、新規の対応策の検討も含めてお聞かせいただければと思います。

大臣)
 日本の学校で教育を受けることを希望するウクライナ避難民の子供が適切に教育の機会を得られているか把握すること、大変重要なことでございます。ご指摘の通りでございます。このため、避難民の子供の学校への受入れの実態について、部科学省といたしましても、係省庁と連携して、現在、把握に努めているところであります。また、これまでに文部科学省の相談窓口には計6件の相談がございました。うち1件は就学に関する相談、残りの5件は生活支援全般に関する相談でありまして、いずれも身元引受人からの相談であったと聞いております。受入れ人数の具体的な公表時期でございますが、これは実態把握を行うために、全国の地方自治体と連携・調整を行う必要がございまして、現時点においては、取りまとめた具体の時期がですね、取りまとめの具体時期を明確に申し上げることがちょっとできない状況でございます。今、把握に努めているところであります。とりあえず、今、そういう状況です。

記者)
 教育未来創造会議についてお尋ねしたいんですけれども、月曜日のワーキングで、「出世払い」型の奨学金についての、提言案の部分で、論点整理からそれほど大きな変更がなかったかなと思いまして、「出世払い」型の奨学金については、首相も検討を指示している状況だと思うんですけれども、これについて、大臣としてどういうふうなものが望まれるかであるとか、どんなものがあればいいかとか、大臣としてのお考えをお尋ねできればなと思います。

大臣)
 お尋ねの「出世払い」に関しましては、今ご指摘の通り、先日の教育未来創造会議ワーキンググループでも、第一次提言の素案として「大学卒業後の所得に応じて『出世払い』を行う仕組みに向けた奨学金返還の在り方の見直し」を示したところでございます。このため、具体的な制度設計については、これまでに出された委員からの意見を踏まえて、政府としても、今、検討を進めておりますので、大臣として、この時点で私の見解を述べることは差し控えたいと思います。いろんな考え方が、たくさんではないんですけど、いくつかございますから、多分、共同さんも取材をされている、お話もご存知かと思うんですけれども。いずれにしましても、まず、5月のこの第一次提言を取りまとめることに、全力を、集中したいと思っております。今日はこの辺でとどめたいと思います。今、非常にいろんなところで、瀧本さんや皆さんと相談をいたしているところでございます。

記者)
 冒頭発言にありました教師不足と特別免許状の活用について伺いたいと思います。大臣、まさにご指摘になったように、結局、問題は、それぞれの自治体がですね、特別免許状をどの程度活用するか、なかなかそれを実際活用していないというところがあると思うんですけれども。この中で、事務連絡の中では、結局、採用計画とかですね、数値目標を公表することなどで透明化を図っていくということなんですけれども、実際に任せっぱなしだと、やっぱりなかなか進まないと思うので、それを、この先文部科学省として、どういうような計画が作られたかとか、その実績がどういうふうに上がってきたかとか、そういうことを継続的に調べていったり、実際に特別免許の活用が実効性を上げるような方策についてどんなことをお考えか、伺えればと思うんですが。

大臣)
 特別免許状の発行は、前年度227件ぐらいだったのかな、確か、200件程度だったんですけれど、なかなか伸びないんですね。従って、それで、近く、全国都道府県の教育長にも、具体的にですね、せっかく緩和したんだからもっと活用してほしいということを直接呼びかけようと思うんです。その後、きちんと数字は追いかけていきたいということは思ってございます。しかし、毎年毎年、教師、かなり採用させていただいていますので、特別免許状のウエイトっていうのは、本当に、もう1%いかないぐらい小さなものですのでね、そこに全部頼り切るというわけにいかないと思うんですけれど、しかし、せっかく作っている制度でありますので、その真意をきちっと伝えて、どういう現場で下していただいたかということは確認をしながら、今のご指摘があった通り、努力してみたいと思ってございます。

記者)
 ちょっと、教育のデジタル化について、大臣のご認識を伺えたらと思うんですけれども。現在、中教審で、デジタル教科書の本格導入に向けた議論が進んでいるところでありまして、読売新聞でも、この度、全国の小・中学校の500校にですね、アンケート調査をさせていただいたんですけれども。そうすると、86%、9割近い学校がですね、全面移行に懸念を持っていると。86%ですね、はい、9割近くがですね、全面移行には、すべて紙に置き換わるということに懸念を持っているというふうになりまして。GIGA端末でゲームをしているというような声も聞かれて、授業中に注意してもうるさいと言われるとか、いろいろ深刻なことも浮き彫りになってきまして。そういう現場の懸念が強いことへの受け止めと、ゲームをはじめとする端末の目的外利用への対策についてお伺いできたらと思います。もう1点なんですけれども、中教審では、夏頃に、一定の方向性が出せる見通しで、検討事項案の中では、導入の在り方について、発達の段階とか教科特性とかを踏まえることとされておりますが、これについて、具体的な学年や教科を示すこともお考えであるかどうかお伺いできたらと思います。学校現場の意見をどのように踏まえて、デジタル教科書の学力向上の検証はできているのかという点も含めてお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いします。

大臣)
 GIGAスクール構想ですけれども、新しい学習指導要領が目指します、個別最適な学び、協働的な学びを実現するために大変重要だということは、もう文科省、みんな認識をしております。現場からも、そういうように評価と意見が多ございます。この構想につきまして、デジタル教科書は、今後大きな役割を果たすことが期待されておりまして、昨年6月の有識者会議においてですね、「令和6年度を、デジタル教科書を本格的な導入をする最初の契機として捉え」ていきたいと。着実に取組を進めるべきとの提言も頂戴をいたしております。現在、中央教育審議会にワーキンググループを設置しまして、学校現場におけるデジタル教科書の活用に関する実証研究なども踏まえつつ、今、ご質問がありました発達段階、教科の特性など様々な考慮要素を含めまして、デジタル教科書の今後の在り方について、いろんな角度から、今、検討をいただいているところでございます。従って、含まれてくるという可能性はあると思うんですね。デジタル教科書は新たな取組ですので、学校現場における意見等様々な受け止めがあるものと考えてございます。文科省としては、学校現場や関係者のご意見を十分丁寧に聞いていきたいと思います。端末の目的外使用についてですけれども、学校に対し、所属する児童生徒が「学習に関係のないサイト」を閲覧したケースの有無について聞いております。1人でも閲覧した子供さんがおられれば「閲覧有」ということで回答されるというケースもあるように聞いています。一方で、内閣府が令和4年2月に公表した「青少年のインターネットの利用環境実態調査」の結果によると、学校から配布・指定されたパソコンやタブレット等でインターネットを利用していると回答した満10歳から満17歳までの1,431人のうちですね、端末でのゲームの使用率は全体の3.8%であったというふうに聞いてございます。1人1台端末の活用に当たっては、これまで留意すべき事項とかチェックリストとか、保護者との間で事前に確認あるいは共有しておくことが望ましいポイント等を示してございます。令和4年3月に、このチェックリストからさらに更新・充実させまして、ガイドラインとして策定・周知をしたところでございます。GIGAスクール構想について、環境整備のフェーズから活用推進のフェーズに移行しておりまして、実際の授業における課題に対して、丁寧に耳を傾けたいと、そのように思ってございます。

記者)
 今のに関連して伺えたらと思うんですけれども、ゲームをしていると回答している方が3.8%ということなんですけれども、今回取材をすると、でも、プログラミングソフトがですね、これが結構ゲームの温床になっていて、Scratchというよく使われているゲームソフトがあるんですけれども、これで、いろんな方、一般の方が作って公開できるんですね。Scratchのそのサイトに入るとトップに有名なゲームを模したものとかがいっぱいアップされていて、これ、簡単にプレーができるわけなんです。ダウンロードをしなくてもできるようなもので、結構、これがその中心になっているようでして。それは、だからゲームではないというふうに言えるけども、実態としてはゲームという側面があるようで、そういうのを、お子さんがいろいろ探して、僕、こんなのがあるよとかやっているような現状も見えてきておりまして。そこのところですね、ゲーム、いわゆるゲームゲームしたゲーム以外にもあるということについてはどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 ご指摘の点も確かに問題点にもなってこようかと思いますので、全体として、文科省として一度把握に努めたいと思ってございます。Scratchは、私も見たことがございます。ああいう形があるんだなという認識はしてございます。

記者)
 若干、旧聞に属することで恐縮なんですけれども、先月、特別支援教育を担う教師、教員養成の在り方に関する検討会議の報告書について、全国都道府県教育委員会連合会が、ここに書かれている施策を実行するに当たって、教員の人事上の加配等で配慮してほしいという趣旨の要望書を出していますが、これについての大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 先月ですね、3月31日に、特別支援教育を担う教師の養成の在り方に関する検討会議の報告を取りまとめて、すべての教師を概ね10年以内に複数年特別支援教育を経験することについて関係者に通知をいたしました。全国都道府県教育委員会連合会から、報告の取りまとめに先立ちまして、国において特別支援学級への加配ですね、今おっしゃった、加配等の人的措置を講じるように明記すること、人事上の措置が困難な場合は地域の状況に応じて柔軟な措置や対応を実施するよう明記すること等のご意見が提出されたところでございます。これらの意見を受けまして、有識者による議論がなされた結果、報告においても、地域とか学校種の状況によって、すべての教師が特別支援学級の担任として配置することが難しい場合における柔軟な対応、国において、特別支援教育を担う教師、特別支援教育コーディネーター、外部専門家の活用等のための財源を確保する必要性ということが盛り込まれたところでございます。今お話しした通りでございますが、加配のことについてはしっかりと受け止めてございますので。お答え申し上げた通りでございます。

(了)

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