末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年4月19日)

令和4年4月19日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

ウクライナ避難民の子供たちの教育機会の確保について、イプシロンロケット初の民間衛星打上げ、令和4年度全国学力・学習状況調査、文理横断教育の推進について、靖国神社春の例大祭への参拝、旭川市女子中学生いじめ事案、AI戦略について、日本大学の不祥事対応等について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年4月19日(火曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年4月19日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年4月19日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 私からは3件でございます。
 まず1件目は、ウクライナ避難民の子供たちの学校への受入れについてであります。我が国へのウクライナ避難民の受入れに当たりましては、避難してきました子供たちに適切な教育機会が確保されることが大変重要でございます。避難してきた子供たちのうち、日本の学校で教育を受けることを希望する方々に関しまして、自治体及び大学等に対しまして、各学校での積極的な受入れや指導等に当たっての支援や配慮をお願いする事務次官通知を、昨日4月18日付けで発出をしたところであります。各自治体や学校におかれましては、適切な対応ができるようにお願いをしたいと存じます。また、この通知で、各自治体等から文部科学省へ具体的なご相談等をいただく際の窓口等もお示しをしております。関係省庁との連携・協力しつつ、受入れ自治体や学校への支援を積極的に行ってまいりたいと思います。
 2つ目です、2件目でございます。この度、4月18日(月曜日)、今年度の打上げを予定しておりますイプシロンロケット6号機につきまして、国内企業のQPS研究所が開発をします小型衛星を搭載することが決まりました。これは、イプシロンロケットを用いての初めての民間衛星の打上げということになります。この小型衛星は、政府衛星である「革新的衛星技術実証3号機」との相乗りによりまして、打ち上げられる予定で、今回の打上げが、イプシロンロケットの民間利用拡大の弾みとなりまして、我が国の国際競争力強化や宇宙産業の発展につながることを期待をいたしております。文部科学省としては、引き続き、我が国の宇宙活動の自立性確保のためにですね、基幹ロケットの開発を進めてまいります。
 次に、3件目でございます。本日、令和4年度の全国学力・学習状況調査を、小学校6年生、中学校3年生の全児童生徒を対象として実施をいたします。全国の学校・教育委員会等におかれましては、新型コロナウイルス感染症対策を徹底されながら、本調査にご協力いただき、感謝を申し上げます。今年度の調査では、毎年度実施をしております国語、算数・数学に加えまして、4年ぶりに理科を実施をいたします。また、今年度の調査では、中学校で昨年度全面実施となりました新学習指導要領の下で初めての調査となるわけです。また、生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査についてですね、約20万人の児童生徒を対象に端末を活用したオンラインによります回答方式で実施をすることとしておりまして、公立学校で初めての実施となります。本調査の目的は、国や教育委員会の施策や児童生徒一人一人の教育指導への改善・充実につなげることであります。まずは、本日の調査が円滑かつ確実に実施をされますように、全国の学校、教育委員会等と適切に連携しまして、対応に万全を尽くしてまいりたいと思います。以上3件が、私からでございました。

記者)
 昨日、教育未来創造会議のワーキング・グループで、提言の取りまとめに向けた議論が行われました。提言の素案には、文理横断による総合知創出や文理横断教育の推進などについての言及があります。文系・理系という区別を巡っては、かつて国立大に文系学部の再編を求めた文科省の通知が文系軽視だなどと批判を浴びたこともありました。一方、国は、230万人ものデジタル人材育成も掲げています。専門性を迅速に身に着けるための文理を区別した教育と文理の別にとらわれない統合的な教育の必要性について、大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 社会が急激に変化をしまして、それぞれの分野の学問知の高度化も進んでいる中で、いわゆるその文系、あるいは理系の別を問わず、高度な専門性人材の養成というのは、引き続き、大変重要でございます。その一方で、気候変動であるとか少子高齢化とか、エネルギーとか資源の問題といった、多岐にわたる困難な問題を解決しまして、人々の行動変容まで促すためには、自然科学的な知見と人文・社会科学的な知見の両方が必要不可欠になると認識をいたしております。また、例えば数理とか、よく言われます、データサイエンスとかAIのように、これらを専門とする高度人材の育成に加えまして、次代を担う若者が社会のどのような分野に進む場合でも、一定程度の素養を身に付けるとともにですね、これらの知識・技術を自身の専門分野に活用していくということが求められると考えてございます。このような問題意識から、現在、教育未来創造会議におきまして、あらゆる分野の知見を総合的に活用し社会問題への的確な対応を図る「総合知」の創出・活用を目指しまして、専門性を大事にしつつも、STEAM教育を強化し、そして、今おっしゃいましたけれども、文理横断教育を推進することについて議論が行われているところでございます。教育未来創造会議では、本年の5月中に提言をまとめていただく予定となっております。文部科学省では、その取りまとめの結果を踏まえまして、学生が一定の専門性を身に付けつつも、文理横断に学べる環境を推進してまいりたいという考え方でございます。これが、今、お考えに、質問に対する考え方です。

記者)
 文科行政というより閣僚としてのご予定をお尋ねしたいんですけれども、21日から22日の2日間で、靖国神社で春の例大祭が執り行われます。例大祭期間中ないしその前後に、末松大臣は靖国神社を参拝するご予定があるか。で、日程が決まっている場合はいつであるか、お尋ねいたします。

大臣)
 そのときに参拝をする予定はございませんです。私自身、そういうことです。私は、その日程では参りませんですね。

記者)
 北海道旭川市のですね、いじめ問題についてお聞きしたいんですけれども、先日、旭川市教委の第三者委員会が、女子生徒への性的な動画を要求するなどですね、6項目のいじめを認定して中間報告を出しました。最終的に、いじめと自殺の因果関係というのは今後の最終報告ということですけれども、まず、この中間報告に対しての大臣の受け止めをお聞かせいただきたいのが一つと、で、もう一つはですね、この問題、遺族の訴えにも関わらず、学校は、いじめの存在を否定して、道教委の、北海道教委の指導に対しても市教委が再調査をしなかったという。で、専門家からは、国の指導も弱かったのではないかというような声もあります。改めてですね、いじめ防止、あと、重大事態の調査に関する在り方について大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 昨年の3月にですね、北海道旭川市の中学校2年生の女子生徒さんが遺体で発見された事案につきましては、この15日(金曜日)ですね、旭川市いじめ防止等対策委員会が会見を行いまして、6項目がいじめと認定されたと、北海道教育委員会より報告を受けております。まず、いじめの対応に当たりましては、様々な関係行政機関が、それぞれの強みを生かして被害児童生徒を徹底して守り抜く必要がございます。その上で、今後は、こども家庭庁がですね、学校外でのいじめ防止とか、あるいは地方自治体の首長部局における体制づくりなどを担うこと等を踏まえ、文部科学省としては、同庁と密接に連携して、いじめ防止対策を充実させることが重要であるという認識をいたしております。今後、こども家庭庁が実際に設置されるまで、具体的な実施方法や連携方策について、内閣官房ともに協議しつつ準備を進めて、社会総がかりでいじめ問題を、これを取り組めるように努めてまいりたいと思っております。それとですね、今の受け止めのことなんですが、最初に、これからの考え方について全般のことを申し上げたんですけれども、旭川市がですね、いじめ防止対策の委員会の報告では、性的被害や複数回のおごり行為など、6項目がいじめと認定されたということで、今申し上げたように、報告を受けたわけです。これは、性的な言動や身体接触行為等とか、深夜の呼び出し行為とか、複数回のおごり行為であるとかいうようなことで伺っております。詳しい分析については最終的な報告を待ちたいと思います。しかし、当時、いじめ防止対策推進法等に基づいたいじめの認知がされておらずですね、いじめの迅速な対処の前提となるいじめの認知が不十分だったということについては、大変遺憾でございます。なお、重大事態に関わる調査の期間については、事案に関与した人数とか調査の手法によってですね、異なります。そのため、個別の事案の調査期間についてのコメントは差し控えたいと思うんです。被害児童生徒や保護者の心情に寄り添いながら迅速に調査を行うことが大変重要でありますから、少なくとも、遺族側が調査に時間がかかっているということに不満を持たれているということにつきましては、本当に重く受けとめなければならないというのが考え方でございます。本事案につきましては、旭川市のいじめ防止等対策委員会におきまして、最終報告に向けて調査が継続されると伺ってございます。文部科学省としましては、引き続き、北海道教育委員会からの状況報告を求めながら、必要な指導・助言を行ってまいりたいと、そのように考えているところであります。

記者)
 科学技術関連で1点、お伺いしたいんですけれども、4月下旬に開催予定の政府の統合イノベーション推進戦略会議について聞かせていただければと思います。前回の会見で量子関連の質問をさせていただいたんですけれども、今回、統合イノベーション会議での目玉として、量子とAI、人材育成が目玉というふうにされていますが、その取組について、大臣の受け止めとと、文科省として、この分野について今後どう関わっていくかということを教えてください。

大臣)
 統合イノベーション戦略推進会議の具体的な日程とですね、議題につきましては、内閣府において検討されていると承知をしております。その上で、私から質問にお答えできるとしましたら、AI戦略につきましては、内閣府に新AI戦略推進会議(注)が設置をされまして、関係省庁を含めて、戦略の見直しに向けた議論が重ねられていると承知をいたしております。文部科学省では、これまでですね、AIに関しましては、大学等における数理・データサイエンス、それとAIの優れた教育プログラムの認定制度を開始するなど、人材育成に積極的に取り組むとともにですね、理研のAIPセンターの研究環境整備を行いまして、AIの基礎・基盤的な研究開発にも集中的に取り組んではきてございます。今後、新たな戦略の内容も踏まえつつ、防災や医療分野等での社会実装を強化するなど、AIの研究開発と人材育成を、引き続き、推進してまいりたいと思います。また、いろいろとご指摘されておられます人材育成に関しましてなんですが、Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成の議論が、中央教育審議会の委員の参画を得つつ、総合科学技術・イノベーション、CSTIの下で昨年から実施されてきているものと承知をしております。文科省としましては、先日、私から「教育進化のための改革ビジョン」、これを示しているところですが、CSTIでの議論も踏まえまして、次世代の学校教育の在り方について、中央教育審議会において検討を深めて、誰一人取り残さず、よく言われる表現ですけれども、誰一人取り残さず、一人一人の可能性を最大限に引き出す教育の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと、そのように考えてございます。
(注)「新AI戦略推進会議」と発言しましたが、正しくは「新AI戦略検討会議」です。

記者)
 日本大学の問題についてお伺いしたいんですが、前理事長が、最終報告書の提出後も、日大に出入りしていて文部科学省から注意を行ったということがありました。これについての大臣の受け止めと日大に改めて求めることと、あと、今後、文科省として何か対応することがあればお願いいたします。

大臣)
 今朝の新聞に掲載されたんですかね、この話は。日本大学の前理事長でございます田中氏が、3日にわたって同大学の同窓会組織である校友会事務所に出入りをして、校友会の会長代理と、業務引継ですね、これを行っていたという報道は拝見をしました。日本大学から提出をされました最終報告書におきましては、健全な管理運営体制の構築等のため、田中氏をはじめ、本件に関わった者の法人運営からの将来にわたる排除を掲げられるとともにですね、校友会に対し、管理運営体制の改善を働きかけている旨の記載がございます。そう書いてあります。この件に関しまして、日本大学では大学への立入りを禁じる内容証明郵便を田中氏に送付するなどの対応をとっているものと承知をしております。しかしながら、文部科学省としては、田中氏との関係がいまだ継続しているのではないかという疑念を持たざるを得ないような行動がとられることは誠に遺憾でございます。日本大学に対しましては、今後、このような疑念が持たれることのないよう事務方から口頭により注意を行ったところですが、最終報告書に掲げられた再発防止策が適切に実行されまして、学校法人の信頼回復に向けた取組を着実に進められるように、引き続きの指導を行ってまいりたいと思います。きちっと、社会的な責任をですね、念頭に置いた対応をすべきではないかと私は思います。

(了)

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