末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年3月25日)

令和4年3月25日(金曜日)
教育、スポーツ

キーワード

第3次学校安全の推進に関する計画の閣議決定、第3期スポーツ基本計画、これからの高等学校教育について、学校法人制度改革特別委員会、公立特別支援学校における教室不足調査、「新たな教師の学びの姿」の実現に向けて

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年3月25日(金曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年3月25日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年3月25日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から3件お話をさせていただきます。
 1件目は、本日、閣議決定いたしました第3次学校安全の推進に関する計画についてでございます。本計画は、学校保健安全法に基づきまして、学校安全に係る取組を総合的かつ効果的に推進するための国が策定するもので、今回は令和4年度から8年度までの5か年の計画となります。第3次計画では、地域の多様な主体と密接に連携・協働しまして、子どもの視点を加えた安全対策の推進、そして、地域の災害リスクを踏まえました実践的な防災教育・訓練の実施といった施策の基本的な方向性とともに、安全教育、そして、施設・設備等の安全管理、そして、学校と関係機関が一体となった取組などに関します具体的な施策を示したところでございます。文部科学省としては、学校安全に関わる多くの関係者との連携・協力の下に、本計画に基づく施策について、全力を挙げて取り組んでまいります。これが1点目です。
 2件目でございます。本日、第3期スポーツ基本計画を決定しまして、先ほど朝8時15分からの閣議で、関係府省庁に対し、スポーツ立国の実現に向けた協力を要請をいたしたところでございます。計画では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会のスポーツレガシーを継承するとともに、今後のスポーツ活動の推進に向けた3つの視点でございます、1つ目、スポーツを「つくる/はぐくむ」、そして、スポーツで「あつまり、ともに、つながる」と、最後に、スポーツに「誰もがアクセスできる」を踏まえた、誰もがスポーツに親しんで、スポーツの力で活力のある社会の構築を目指そうというものでございます。関係府省庁、そして、地方公共団体、スポーツ団体、民間事業者といった関係者と協力しながら、第3期スポーツ基本計画に掲げました施策の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。
 第3点目でございます。令和4年度新学習指導要領のスタートがですね、成年年齢の引き下げ等、高校教育の節目となる年でございます。こうした節目を迎えるに当たりまして、本日、私から関係者に向けてメッセージを発信いたしますので、主な内容をご報告申し上げます。まず、新学習指導要領では、全ての教科を知識及び技能、そして、思考力、判断力、表現力、この3つの力ですね、そして3つ目、学びに向かう力、人間性等の柱で再整理するとともに、「情報I」「公共」の新設等、また、教科・科目の構成を見直しました。各高等学校におかれては、新指導要領の趣旨を改めて教職員の皆様や学校関係者とともに共有しまして、来年度からの教育活動に取り組んでいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。次に、新学習指導要領を着実に実施をしまして、個別最適な学び、そして、協働的な学びを一体的に実現するには、高等学校でも1人1台端末環境は必要不可欠でございます。学習の基盤となる資質・能力の一つとして位置づけられた情報活用の能力等を育成していく上でも、マストアイテムとして活用していくことが必要であります。文科省として、積極的な支援を続けてまいりたいと思います。次に、高校改革につきましては、令和4年度より、学校ごとにスクール・ポリシーの策定が義務づけられております。各高等学校では、それぞれのポリシーに基づきまして、関係機関と連携・協力をしながら、探究的な学びやSTEAM教育を推進する等、特色化・魅力化を進めていただくようにお願いをしております。最後に、成年年齢や裁判員等の対象年齢の引き下げに伴いまして、高校生が、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となります資質・能力を身に付けることが一層重要となってまいりました。文部科学省といたしましても、消費者教育や法教育の充実に取り組んで参りたいと思います。新年度を迎えるにという当たりまして、生徒を主語とした高等学校の教育の実現に向けて、今後とも、皆様の一層のご理解とご協力のほど、お願い申し上げます。若干長くなりましたけれども以上でございます。

記者)
 学校法人のガバナンス改革を検討してきた特別委員会が22日に報告書を了承して議論を終えました。評議委員会が理事会を監督するといった内容に対する大臣の所感をお聞かせください。また、これを踏まえて、私学法改正案提出のスケジュール感についても併せて教えてください。

大臣)
 昨日、先日ですね、3月22日ですか、第6回目の特別委員会で、これまでの議論を踏まえました報告書(案)につきましての議論が深められまして、主任一任(注)となったと承知をいたしてございます。報告書(案)では、執行と監視、そして監督の役割の明確化と分離、これを基本的な考え方としまして、今、お話にありましたけれども、理事・理事会、監事及び評議員・評議員会の各権限を明確に整理しまして、「建設的な協働と相互けん制」を確立することで、実効性のあるガバナンスを構築することとされてございます。報告書につきましては、現在主査の下で最終的な調整が行われていると聞いておりますが、学校法人の沿革や多様性に配慮し、かつ、社会の要請に応え得る、実効性のある改革案をおまとめいただいているものと受け止めておりまして、文部科学省としては、ご提言いただいた内容を踏まえて、しかるべき法案の提出に向けて、これからパブリックコメントの実施も必要でございますので、これらの手段によって広く国民の皆様のご意見も頂戴しながら、着実にその準備を整えてまいりたいという、そのように考えております。昨日も、自民党のこの問題に携わる中心的な皆様方にお越しをいただきまして、一応、概略のお話を伺ったところでございます。昨日、後でぶら下がりの会見をされたかもしれませんけれども、そういう状況です。従いまして、これからいろんな作業に入ってまいります。パブリックコメントも必要でございますし、時間につきましては、もう少し経過を見て皆さんにまたお話を申し上げなきゃならないかなということでございます。そんな状況です。

記者)
 少し前の話で恐縮なんですけれども、3月1日に公表されました特別支援学校の教室不足というのがあったと思うんですが、調査として。全国で3,740教室不足していて、前回調査から、1年半前ほどですか、前回調査から600教室近く増えたというような調査結果だったと思うんですけれども。ただ、ちょっと都道府県等に聞くとですね、割と、そういうような返答がある都道府県がございまして、実際には数え方をだいぶ変えていると、カウント方法を変えましたというようなところが結構ありましてですね、で、そういうふうに精緻に数えるというのはたぶん良いことだと思うんですが、その、調査結果としてですね、前回との比較は難しくなったりとか、都道府県間の比較が難しくなったりとかするというのは、政策決定をしていく上でのエビデンスとしては、ちょっと問題があるんじゃないかなという声もございまして、この調査の改善とか数え方が違っている問題というのは、大臣、どのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

大臣)
 政策決定をしていく上では、数字は非常に大切なものでありますから、一つの基準を示して、その数字を我々は求めて、それを参考しなきゃならないと思ってございます。ご指摘の点も十分踏まえなきゃならないと思います。それで、今回実施をしました公立特別支援学校における教室不足調査においては、全国における不足教室数が3,162室から3,740室へと578室増加するという結果が出てございます。この「不足教室数」は、前回の令和元年の調査と同様、児童生徒の増加に伴いまして一時的な対応をしている教室のうち、今後整備する必要がある教室数ですね、また、今後必要になることが見込まれることから、新たに整備することが必要な教室となっております。多分、誤差が出たというのはですね、これは、例えば増減で見ましたら、東京都がやっぱり308増ですね、そして、大阪493増、京都府92増でですね、これは令和元年5月1日と令和3年10月1日を比べた場合なのですけれども、どういうことなのかということは私も気になりまして、話を聞いてみましたら、結局、教室を間仕切りしたり、あるいは特別教室を転用したり、あるいはプレハブなどの仮校舎を用いたりということになっておりまして。実態としては、それをもって使用しておられるということもありますし、同時に不足しておるというですね、概念で捉えている自治体もあるということでございましたから、そういう面は、いささか分かりづらくしておったと私は思っていますので、そういう面では、きちんとした数字に整えるべきで、今回出てきて、今ご指摘いただいたのかなということを考えてございます。元に戻りますけれども、ご指摘の、一部自治体におけるですね、教室不足の急増については、特別支援学校の教育環境の改善を求める設置基準が、昨年の9月ですけれども、新たに制定されたことを契機として、整備の必要がある教室を改めて精査した自治体の調査の結果でございます、そういう意味では。きちんとやり直させていただいたというように、私はそういう理解をしています。いずれにしましても、文部科学省として、各学校設置者に対して、個別にヒアリングを実施しまして、教室不足の状況とか「集中取組計画」の進捗状況等をきめ細かくフォローアップするとともに、特別支援学校の新増築の施設整備に対する優先採択や、既存施設の改修にかかる国庫補助、前から申し上げているように、これ、2分の1への引き上げを通じまして、障害のある児童生徒が安心して学べる教育環境の整備を進めていきたいと思います。補足があったら、事務方。

事務方)
 大臣がおっしゃられたことの繰り返しになりますけれども、一部自治体の方にヒアリングをスタートしております。その中で、おっしゃられていたのは、やはり、設置基準が設置されたことを踏まえまして改めて精査をされたというような形で聞いております。今後ともしっかりとフォローアップをしてまいりたいと思いますので、状況、気になるところがありましたら、私の方に取材に来ていただければと思います。

記者)
 1点だけ。要は、設置基準ができてですね、精査した結果、増えたというのは、きちんと拾い上げたということで前向きに捉えたほうがいいんじゃないかというたぶんお考えだと思うんですけれど、設置基準ができてもまだ精査していない自治体もひょっとしたらあるかもしれないと思うんですが、その辺りを、周知徹底というか、そこはきちんと精査してくださいみたいな働きかけをするお考えはありますでしょうか。

事務方)
 今、ご指摘のところにつきましては、今後のフォローアップの中で、きめ細かに確認してまいるという形でございます。

大臣)
 よろしくお願いします。

記者)
 私、昨日、大臣が国会で趣旨説明をされた、教育公務員特例法と教育職員免許法の改正案について伺いたいと思います。趣旨説明の中で、これからの教師には主体的な学びが求められるということを指摘されています。一方で、教員が極めて多忙であるというのはよく知られていることでありまして、その中で、法改正によって、教員の研修教育の管理を義務付けるということになりますと、実態的に教育委員会が用意した研修をただ受講していくような、そういう受け身の研修を受けるというケースが多くなってしまって、結果的に、なかなか主体的な学びが、なかなか実現できないんじゃないかというですね、指摘が、先日開かれた日本教師学会とかですね、学校現場からはそういう指摘が出ているところであります。このように働き方改革がなかなか進まない現状で、教員の研修記録を管理しながら、一方で、教師の主体的な学びをどのように確保していくのか、大臣のお考えを伺えればと思います。

大臣)
 大事なご指摘をいただいたと思いますし、そういう話も出てくるんだなということを今つくづく感じました。それで、大義として、我々が考えとかなければいけないのは、先生、教師というのは、職務の遂行のために絶えず研究と修養に努めるということとされておりまして、教師の研修については自主性が重要であることは言うまでもないと。これは、教育新聞さんもご存知の通り、教育基本法の9条に「絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」ということが教育基本法に書いてございますので、それはやはり進めるべきであると。更新制が廃止になりましても、私はそう思っています。本法案では、校長等のですね、管理職が教師自身の過去の研修の記録を活用しつつ、今後能力を伸長させる必要がある分野などの研修について、一人ひとりの教員から相談を受けたり、情報提供や指導助言を行ったりするということを想定しております。だから、一人ひとり教師、これは設置者である教育委員会あるいは校長先生、一人ひとり対話を続けながら、あなたにはこうですよという形で、やはり、その先生に合った指導を細かくやっていくということが、私は理想の形だという認識をしています。これによりまして、教師が自らの学びを、振り返りという言葉はよく使いますけれども、現場では、学びを振り返りつつ、適切な目標設定と現状把握の下で、自ら必要な学びを行い、今申し上げたような主体的で個別最適な学びが実現されるものと考えておりまして、「教師の研修履歴の記録」と「主体的な学び」というのは、決して、私は相反するものではなくて、そういう意味では、そういう前提、過去のことによって、先生に、やっぱりこういう形でやったらどうでしょうかというのは、私はむしろ、濃密な話し合いができるという、そういうふうに思っています。研修履歴から一方的にこうしなさいという、そういう話では私はないと思いますから。はい。

記者)
 今の、対話をしながらという、大臣の、校長と現場の先生が対話をしながら研修をしていくという大臣のお答えで、非常に安堵した学校現場の人たちはいっぱいいると思うんですが、あえてそこでちょっと伺いたいんですけど、学校現場の人たちに話を聞いていると、ちょっと懸念するのはですね、研修の記録を管理するところに重点が置かれてしまって、なかなか、管理強化という印象になってしまうんじゃないかということに懸念する声があると思うんですが、今の話、改めて、その管理強化のところについてはどのようにお考えか。研修記録を、管理を強化することをちょっと懸念する声があると思うんですね。こういう現場の懸念に対して、大臣のお言葉をいただければと思うんですが。

大臣)
 その、先生も、やはり学習履歴があって、どういう勉強をなさって来られて、この分野において、まだ、ここのところを深掘りして勉強されたらどうかとか、いろいろと、やっぱり私あると思うんですね。むしろ、研修履歴そのものを校長先生もお知りにならないと、あと、教育委員会の方もそれを理解できていないということ自体の方がね、私は、むしろ、積極要因に欠けるというように、私はそう理解をしているので、これは、いろんな見方があったとしても、私は性善的に捉えていくための施策であるという、そういう理解を、私は求めていきたいですね、その辺のところは。確かに、何か、自分の過去も全部知られたら、一つ間違った判断をされれば、何か思いもよらないようなところで、自分が流されていくというような不安を覚えるかもしれませんけど、過度の負担をかけるとかそういうものじゃないです。きちんと過去の先生の履歴に合った、研修履歴に合ったことに基づいて、どういう展開がいいかということ、それを示唆するための、私は履歴であると認識していますので。そういうことです、私は。

(注)「主任一任」と発言しましたが、正しくは「主査一任」です。

(了)

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