末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年3月4日)

令和4年3月4日(金曜日)
教育、スポーツ、文化、その他

キーワード

公立小学校の視察、北京2022冬季パラリンピック競技大会、留学生円滑入国スキーム、映画制作会社を原告とする助成金不交付決定処分取消訴訟について、旭川医科大学長の辞任、教育進化のための改革ビジョン

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年3月4日(金曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年3月4日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年3月4日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から3件ございます。
 まず1件目は昨日、港区にあります白金小学校を訪問をいたしてまいりました。目的はGIGAスクール等々につきまして色々と実情を知りたいと思いました。白金小学校では校務の情報化を中心としたICT活用の現状を視察をいたしたところでございます。具体的にはICTを活用しまして、児童の健康チェックや欠席連絡をオンラインで実施することで、教職員や保護者の負担が軽減されている様子や教職員が職員室でシステムを活用して作業を効率的に進めている様子を拝見したところでございます。統合型の校務支援システムの普及状況ですが、全国で今73. 5%ですが港区は100%、昨日、武井区長さんもお越しをいただきました。また港区長さんや教育長さんや学校長とも懇談をしまして、今後、更に学校から保護者へ連絡文書の電子化を進めていくと伺ったところであります。今後は本視察の内容を踏まえまして私を本部長とする学校DX推進本部において校務の情報化をはじめとした学校の働き方改革を加速してまいりたいと思います。昨日8時前に行きまして校門指導もちょっと様子も伺いましたし、ご家庭で子どもさんの検温チェックをして、それが教師の持っておられるタブレットへ移りますから、全員の今日の朝の健康チェックがすぐできるということもありますし、色々と、勤務は何時に先生も自分が入られて何時に退校されたかということも全部パソコンの中に入ってますので、非常に教師の本務に集中してもらう意味で大変効率化が進んでいるということでありますから、これから一層努力をしていきたいと思ってございます。昨日は伯井局長さんとか板倉リーダーと一緒にまいりました。
 二つ目でございます。本日4日から北京冬季パラリンピック競技大会が開幕し、日本からは29名の選手が参加する予定でございます。大変遺憾なことでございますが、ロシアによるウクライナ侵略というですね緊迫した状況下で開幕を迎えることになりました。このような状況でありますが日本代表選手の皆さんがコロナ禍の厳しい環境の中でありますけれども、精一杯努力をしてこられたと思います。日頃の鍛錬の成果が多いに発揮されまして、それぞれの皆さんが、選手の皆さんが満足いくベストなパフォーマンスを発揮していただくこと、集中して頑張っていただきたいということ、そのことを願ってございます。私も国民の皆様と一緒に選手の皆さんを応援してまいりたいと思います。
 次に3件目でございます。昨日、総理からご発言がございましたように留学生のことであります。多くの留学生が入国を心待ちにいたしている状況に対しまして、入国が進むようにですね、全力を尽くしてまいりましたが、この度、留学生の受け入れを優先的かつ着実に実施するために「留学生円滑入国スキーム」を設けることになりました。今回のスキームはフライトごとの一般枠の外で平日月曜から木曜の空席を活用するものでございます。これによって1日7,000人を上限とする一般枠に上乗せしてですね、留学生が搭乗できるようになると、一般枠外、留学生の枠をとるということであります。なお、本スキームの搭乗は4月からの新学期を控え最も需要が高まる3月の中旬を目途に開始することを予定をし、当面5月末までの便を対象として受付することといたしてございます。文科省といたしましては本スキームをご活用いただくことなどによりまして、4月から開始される新学期に向けて留学生の皆さんが着実かつ円滑に入国できるように全力で取組んでいきたいと思ってございます。大きな一つの方向が定まりました。皆さん方からも色んなご意見をいただきましたことにお礼を申し上げたいと思います。しかしまだ始まったばかりであります。以上3件でございました。

記者)
 映画「宮本から君へ」の制作会社が文化庁所管の独立行政法人日本芸術文化振興会に対して起こした訴訟の控訴審判決についてお伺いします。映画の出演者が麻薬取締法違反で有罪判決を受けた後に芸能人が規制の観点から助成金の不交付を通知した件で、一審の東京地裁判決では不交付決定を取り消す判決が出ていました。昨日の控訴審判決では一審判決を取り消して制作会社側の請求を棄却しました。原告側が文化芸術の表現活動を萎縮させる判決だと批判しています。大臣の受け止めをお願いします。

大臣)
 判決の結果でありますから、映画「宮本から君へ」の制作会社が日本芸術文化振興会に対して起こした訴訟につきまして、昨日3日、日本芸術文化振興会が控訴審で勝訴したとの報告は受けてございます。いずれにしましても現時点で地裁、高裁でありますから、動きとしては、現時点で最終判決が確定したものではありませんので具体的なコメントというのは私からは現段階では差し控えておきたいと思ってございます。大変これはやはり司法の場で争っている話でありますので、そういうことで今しばらく見守っていかなきゃならないと考えております。

記者)
 北海道の旭川医科大学の吉田晃敏学長についてお聞きしたいんですけれども、昨日発表ありました依願免職ということで文科省から発表がございましたが、学長選考会議の解任の申し出を会議が取り下げたために吉田学長が出していた辞任届を承認したというふうに伺っております。解任の申し出があった吉田学長の不適切行為について、文科省の審査では結論が出ないまま幕引きということになりますが、これについての大臣の受けとめを教えてください。

大臣)
 今般、旭川医科大学学長選考会議から解任の申し出を取り下げる旨の書面が2月25日付で提出をされました。吉田学長からは既に辞任届が出されておりましたので、昨日の3月3日付で辞任を承認するということにいたしたわけでございます。今回の解任の申し出の取り下げは旭川医科大学として早期に新体制を発足させまして学生さん、そして患者さん、地域住民の皆様方からの信頼回復を最優先にするという判断であったと聞いております。なお、昨年の6月24日のですね、学長選考会議からの解任の申し出を受けまして、文科省では関係法令に沿って適切に手続きを進めておりました。が、学長選考会議がですね、退任の申し出を決議するにあたって吉田学長の反論を一切聴取をしていなかったこと、そして二つ目は吉田学長の意向を踏まえ、聴聞日程の変更に関する調整にずいぶん時間がかかってございます。このところにつきましては。念には念を入れなきゃならなかったということもあろうと思います。そして三つ目は聴聞手続きにおいては処分の根拠となる資料を全面的に被処分者に開示をすることが原則のところでございます。学長選考会議が限定開示に実は固執しました。全面開示をするとですね、開示しますと調整を大変要するということになったわけでございます。今申し上げたような3点、他にも色々ありますけれども、やむを得ない事情によりまして想定以上に時間を要しておったことは認めたいと思います。ただしこれらの手続きは解任という極めて重大な不利益処分の判断を行う上で欠かすことのできないことであったというように考えております。文部科学省としては旭川医科大学が今回の件に関して適切に説明責任を果たすとともに、新たな執行体制のもとで国立大学法人としての責務をしっかりと果たしていっていただきたいと、そのように強く願ってございます。大変ご迷惑をですね、ご心配なりをかけたことにつきましては私もいささか遺憾であると、特に周辺道民の方にはご迷惑をかけたことについては残念であったと思います。しかし新しい出発を胸を張って頑張ってやっていただきたいなと思います。信頼回復に努めていただきたいと思います。

記者)
 選考会議は文科省の判断に時間がかかって、非常に文科省の姿勢に温度差を感じたというような説明をされていますが、文科省としては遅滞なくやったという認識でよろしいんでしょうか。

大臣)
 私は全くそういうことは報告を受けておりませんで、こちらの事務方担当者は粛々と対応して、私はそれについてですね、遅れた対応をですね、したことはなかったと思っておりますけれども、もし今日、関係の人間もおりますが直接お聞きをいただいてもいいですけれども、私はそのように報告を受けていますから、それはちょっと選考会議の方、よくこちらの高等教育局ともよく話をしてほしいなということを思いますね。人事課ともよく話をしてもらったらなと思います。確認はしてみますけれども、そういうことをおっしゃってますか。

記者)
 昨日の記者会見で選考会議の議長がおっしゃっています。

大臣)
 文科省が審査が遅かったと。確認をしてみます。

記者)
 先週金曜日に大臣が発表された教育進化のための改革ビジョンというものについて伺いたいと思っております。先ほど、学校DX推進本部のお話がでましたけれども、もう一つそのビジョンの中で強調されていたのが子ども達のリアルな体験機会を充実すると、そのためにコミュニティ・スクールの導入を加速して経済界との直接対話というところを強調されていたと思います。この経済界との直接対話については大臣の所信表明でも言及されていたと思うので何かお気持ちがあると私拝見しているんですけれども、これまで初等中等教育の現場ではなかなか直接経済界と対話するということはあまり多くはなかった、なじみはなかったのではないかと思うんですが、経済界がどういうふうに学校現場と関わっていくということをイメージされているのか、大臣のお考えを伺えればと思います。

大臣)
 初等中等教育、高校まで、私は当然、高等教育も含んでくるというふうに認識をしておりますんですけれども、ただおっしゃったようにまずはきちっと初等中等教育の関係からお手伝いをいただけたらなと思うんですけれども、中教審の渡辺会長とも話しをよくしまして色んなご意見をいただくんですけれども、ぜひ企業にも大きな力を貸していただきたいと、ですから企業も確かに大企業もあれば中小企業もあれば小さな個人商店もありますけれども、あらゆる皆さんから色んなお力をですね、その地域において出てきていただいてですね、色んなアドバイスを頂戴できればなと思うんですけれども、先日お示した教育進化のための改革ビジョンですけれども、今後の施策展開の方向性の一つとしては、地域や企業の力を巻き込んだ学校運営やリアルな体験機会の充実を打ち出しました。これは学校運営とか体験活動の充実を進めるにあたりまして、教師や保護者、地域住民だけでは限界がございます。企業やNPOとも連携し、彼らの持つ教育資源を生かしていくことが必要であるという、そういうように考えております。これまでも都市部の大企業だけでなく、例えば地元に密着した会社・商店が職業体験プログラムの提供や、あるいは子どもの交流事業等に取り組んでおられ、それぞれが大きな成果を上げられていると聞いております。これらの動きにつきまして、一部の熱心な企業・地域だけの取組ではなくて、また一部の分野だけでもなくてですね、全国的な動きにしていきたいという、そういう思いが強うございます。私がこういう考えを持ったというのは地方議会時代に、例えばトライやる・ウィークというのが兵庫県にありまして、兵庫県教育において色んなちょっと問題・事件があった時期がございまして、そのために小学校の5年生・6年生でしたかね、を対象に5日間、どんなメニューを自分でも作っていいからその代わり社会を少し垣間見てくるという、例えば私の兄は医院を開業してますけれども、医院の受付を手伝ったりとか、あるいはローソンでですね、バーコードを打ってお店の手伝いをして実際の商品を棚に並べたりとか、新聞の配達を手伝ったりとか、何をやってもいいんですよ。ゴミを拾ってもいいし、要は色んな事業所でお手伝いをしていって、自分のお父さんやお母さんがどういうことをやっているのかということをきちっと学んでくると、大人がどういうことをやって悩んでいるのかなという、そういうことについてですね、トライやる・ウィークというのは始めまして大変大きな成果がありました。ただしその場合に企業が受け入れ体制をとってもらわないといけないわけですよ。お手伝いいただくにあたって。例えばあるメーカーがこの部分だけ君が手伝ってくれるかといったらですね、当然そこに行くまでに現場が会社に対して稟議を上げていって了解を取らないといけませんから、そういう意味では社会の協力が絶対に必要であるということ、そんなことを思いますし、コミュニティ・スクールそのものもですね、やはり小さなお店をお持ちの方だったら出て行くにしてもやはりそういった協力が社会として必要になってくるということもあります。トライやる・ウィークは中学校2年生でした。それとか、例えば土曜学習応援団というのがありまして、文科省では平成26年4月より子どもの豊かな学びを支えるために多様な企業・団体・大学に土曜学習応援団にご参画いただき、土曜日をはじめとして夏休み・冬休み、平日の授業の放課後の教育活動に出前授業の講師や施設見学の受け入れ等により参加していただくことで特色・魅力のある教育活動を推進しておるということなんです。令和2年。こういう形で色んなメニューもあります。マイスター・ハイスクール制度もあって、やはり企業の方が学校に行っていただく、学校で学ぶ生徒さんも企業に来て企業の会議室を借りて企業の方から講義を受けたりということがありますので、双方向であらゆる機会を捉えて企業を大きく巻き込みながら今の教育を推進していきたいということ、どういう人材が企業が一番求めているか、自分達が求めている人材というのはこういう方々だということを自分達でよく知っておられますから、そういう意味で子ども達の学びというのはどういうものかということを知っていただくという意味では私は民間と企業がですね、経済界が教育の現場に入って来ていただくということは歓迎すべきことであるという、そのように願ってございます。これからでございますけど、やっているんですけれどももっと進化させなきゃいけないと思います。

(了)

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