末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年2月4日)

令和4年2月4日(金曜日)
教育、スポーツ、その他

キーワード

北京オリンピックの開会、成年年齢の引下げ、新型コロナ変異ウイルス感染拡大と学校現場等での対応について、教師不足に関する実態調査、大学入学共通テストの不正対策について、高等学校必修科目「情報I」の教員不足について、選抜高校野球大会出場校の選考結果について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年2月4日(金曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年2月4日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年2月4日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から2件でございます。
 1件目は北京オリンピックについてでございます。一昨日(2日)から北京冬季オリンピック競技大会の競技が始まっており、本日4日開会式が行われる予定でございます。日本時間で夜9時からと伺っております。日本からは120名を超える選手が参加予定でございまして、国民の関心の高いフィギュアスケート、スキー・ジャンプ、スピードスケートなど、様々な競技でメダルの獲得が期待をされているところでございます。選手の皆さんは、コロナ禍の厳しい環境の中で精一杯努力をしてこられたと思います。日頃の鍛錬の成果を大いに発揮されまして、それぞれ満足いくベストなパフォーマンスを、ぜひ見せていただきたいと思います。また、選手の皆さんの活躍は、スポーツの素晴らしさや感動を国民の皆さまや世界の方々に伝えていただくものと思ってございます。この夏に開催されました東京大会の感動が再び味わうことのできるような、選手の皆さんの活躍に大いに期待をいたしたいというふうに思います。みんなでご支援のほどお願いを申し上げます。
 次に2つ目でございます。成年年齢の引下げでございます。本年の4月1日から、成年年齢を18歳に引き下げる改正民法が施行をされます。これは、若者の積極的な社会参加を促す、社会を活性化するという重要な意義を有するものですが、若者が一人でも契約を結べるようになることから、消費者被害の拡大も懸念をされているところでございます。こうした被害を防止するためにも教育が果たす役割は大変重要でございます。先月7日、総理の下で開催をされました「成年年齢引下げに関する関係閣僚会合」でも、私からも発言申し上げたんですけれども、「教育」を通じた若者の能力向上が、特に重要な取組であると確認をされました。本日はこのことに関する文部科学省の取組をご報告申し上げます。まず、今月の10日に「消費者教育フェスタ」を開催することといたしました。これは、4月1日の施行に向け、若者の消費者被害を防止する様々な取組を周知するとともに、学校とか、あるいは地域における消費者教育の一層の強化を関係者に改めてお願いをするために行うものでございます。また、高等学校教育では、新学習指導要領に盛り込みました「契約の重要性」、「消費者保護の仕組み」に関する指導内容を前倒ししまして、すべての高校生に指導を行ってまいり(注)ます。4月からは、新しい必履修科目であります「公共」、そして「家庭科」の新しい教科書で、一層充実した教育を進めてまいります。さらに、消費者教育の担い手であります教師の指導力を高める観点から、国が作成しました消費者教育教材(「社会への扉」)であります、これを活用した教員用の研修動画の活用も一層促進をしてまいります。本年4月の法律施行後も、こうした消費者教育の取組を着実に進めまして、若者が消費者被害を受けることがないような対策を強化をいたしてまいりたいと思います。マスメディアの皆さまにおかれましても、様々な報道を通じましてご協力をいただきますように心からお願いを申し上げます。私からは以上でございます。

記者)
 1問、質問させてください。新型コロナ対策についてお伺いいたします。学校や幼稚園などでの感染拡大が続いていることを受けまして、先日、全国知事会がオミクロン株の特性に応じた教育関連施設への感染対策の指針を早急に示すように求めました。こうした提言や10代以下の子供たちの間で感染が広がっていることについての大臣の受け止めとですね、文部科学省としての今後の方針について教えてください。

大臣)
 最近、オミクロン株の感染が10代以下に急拡大しているということ、学校における感染者も増加をしているということは認識をいたしてございます。このため、先週の記者会見におきましても、オミクロン株に対応をするための、特に留意をいただきたい点につきましては、専門家の意見を聴取した上で、周知徹底していただきたい旨申し上げたところでございます。文部科学省といたしましての考え方は、本日の新型コロナウイルス感染症対策分科会での議論を踏まえまして、近々に各学校設置者等に示してまいりたいというように考えてございます。早い時期にそうしたいというふうに考えておりますので、今日は、ここでのお話は、まだ煮詰まっていませんので、差し控えたいと思ってございます。

記者)
 教師不足についてお尋ねします。全国の公立学校の教員不足が2,558人に上り、1,897校で欠員が生じていることが文部科学省の調査でわかりました。学級担任の1割は非正規の教員で、小学校の採用倍率が過去最低の2.6倍であることも判明しました。こうした一連の調査結果をどのように受け止めていらっしゃいますか。また、こうした状況の改善に向けてどのように取り組まれるのか、お聞かせください。

大臣)
 我々が地方議員の県会議員になった昭和50年代と比べてえらい時代になったんだなというのが実感でありまして、平均倍率2.6倍、佐賀県は1.4倍というように記憶をいたしてございます。お答えにつきまして、臨時的任用教員等の確保ができていないということ、学校へ配置する予定の教師の数にも欠員が生じておると、「教師不足」が大きな課題となっていることを改めて認識をいたしております。一部の方々はですね、ブラックだというようなお話も出てくるぐらいですから、相当厳しい教育現場でございます。このため、年度当初における教師不足の全国的な実態を把握するため、初の全国調査を実施をいたしました。今おっしゃったように、その結果、令和3年度始業日時点での公立小・中学校の「教師不足」が、今おっしゃった、2,086人、不足率は0.35%生じていることが実態として明らかになったわけでございます。この中には一時的な欠員も計上されておりますけれども、中には小学校の学級担任も管理職が代替している例も見られたところであり、厳しい状況と受け止めております。学校長も、一生懸命教え子さんのところへ電話をかけたりとか、学校長が教壇に立つというような、そういう報告なりを私もお聞きをしております。こうした「教師不足」の背景要因としては、近年の大量退職・大量採用を背景としました、臨時的任用の候補者が正規採用されたことによる教師の成り手自体の減少であるということと、産休・育休取得者や、それと、昨日説明を受けたのですけれども、特別支援学級の見込み上の増加ということが挙げられてございます。また、近年、大量退職・大量採用の影響がある中で、公立学校の教員採用選考試験の採用倍率の低下傾向が続いているということは先ほど申し上げた通りなのです。2.6倍になっておるということで。これらの調査結果につきまして、懸念すべき状況として危機感を持って受け止めておりまして、文部科学省として、先ほども話をしておったのですけれども、まずやはり、学校における働き方改革、教職の魅力向上の取組を進めて参る、このことが一番重要だと思ってございます。教員の任用・再配置につきましては、各教育委員会において判断されるものでございますが、文部科学省としては、各教育委員会が見通しを持って正規教員の採用や配置が行えるように、小学校における35人学級や高学年の教科担任制の推進、これ、約束でありますし進めなければならない話になっていますので、定数改善を計画的に進めるとともに、より一層計画的な正規教員の採用・人事配置を行うように促してまいります。先生を増やそうということが決まったわけなのですけれども、なかなか来てくれないという、これでは、やはり何のために努力をしているか、財務省も前向きに考えてくださったかということもですね、無にしてしまうことになってしまいますので、精一杯、文部科学省として、働き方改革が一番の、これは、改善の優先施策であるということ、このことをですね、お話を申し上げておきたいと思います。

記者)
 2点、共通テストについてお尋ねします。先日の電子機器を持ち込んで画像が流出した事件に関して、電子機器が小型化・高性能化していることを踏まえて、手荷物検査であるとか電波の遮断措置が必要ではないかという声も一部にはあります。それについての大臣のお考えを伺いたいのと、試験科目に「情報」が追加されることについて、高校側の教え手が足りないという声があります。これについて、大臣のお考えを伺いたいと思います。

大臣)
 まず、手荷物検査につきましては、あの事件が起きましたときにですね、何らかの試験を受けるに当たって、敷地内に入る時、教室入る時にチェックが必要じゃないかということを思ったわけなんですけれども、例えばですけれども、テロ対策のためにボディスキャナのようなものを東京駅に付けて改札のところでできるか、やってはどうかというようないろんなご意見もあるのですけれども、相当、当日ですね、持ち物検査云々をやっていった場合には、時間が奪われるということ、しかも生徒さんが極度に緊張されていますのでね、果たしてそういうこともですね、実行可能かどうかという、そういう話が上がってございます。今のところ、とにかく試験そのものをスムーズに、公明正大にきちんと実施ができるということが一番大切なことでありますので、その中で、改めてそういうことの必要性があるのかどうかということは、検討していきたいということは、少し、会議の中で話が出ておったということは認めます。ただ、開始するとかいう話じゃないのですけれども。そういうことでございます。それと「情報」のことですね、「情報」のことにつきましてですけど、高校の情報科につきましては、学習内容を充実させた新学習指導要領が4月から実施されるということや大学入学共通テストが導入されることを見据えまして、これまで以上に指導体制等を充実していくことが重要と考えてございます。このご指摘の情報科担当教師の配置につきましては、昨年行った調査の結果、都道府県、政令指定都市におきまして、「情報」の普通免許状又は特別免許状を保有していないが、臨時免許状を授与されたり、免許外教科担任の許可を受けたりした上で、情報科が担当している教師が多く、1,200人存在しておりました。その一方で、情報の免許状を保有しているが情報科を担当していない教員も多く存在して、6,000人おられます。両者を比較すると、情報の免許状を有しているが情報科を担当していない教員の方が多いという実態もありました。文部科学省としましては、こうした実態を踏まえまして、昨年11月に、各都道府県教育委員会に対しまして、改めて情報科の担当教師の計画的な採用とともに、遠隔授業を含む複数校の兼務等による情報の免許状を保有する教師の配置の工夫や、文部科学省が作成しました研修教材等を活用して情報科の担当教師の指導力向上に取り組むことなどを強く働きかけたところでございます。また、情報の免許保有教員による複数校指導や外部人材の活用に関する手引き等のコンテンツを文部科学省の特設のページにおいて公開しまして各教育委員会へ周知したところであります。また、現在も、臨時免許状や免許外教科担任が多い自治体に対しまして、個別の指導・相談を実施しているところです。引き続き、研修教材の更なる充実を行いながら、高校情報科の指導体制の充実に積極的に取り組んでまいりたいと思います。

記者)
 3月に開幕する選抜高校野球大会の出場校の選考結果について、2点お伺いいたします。静岡の話で大変恐縮なんですけれども、静岡県の聖隷クリストファー高校という高校が、昨年秋の東海大会で準優勝して出場が有力視されていたんですけれども、結果的に東海地区選出2枠から外れまして、大会選考委員の方は、例えば、選ばれた高校が個人の力量で勝るだとか、甲子園に勝てる可能性が高いチームを選んだといった選考理由について説明をされていましたけれども、この説明に対して、有名な野球選手をはじめSNSなどでも疑問や批判の声が上がっていまして、高野連にも抗議の電話が殺到している状況です。選ばれた岐阜県の大垣日大高校への影響も懸念されますけれども、まず1点目の質問として、このことに関する大臣の受け止めをお願いします。2点目なんですけれども、この件に関して、文部科学省は、日本高野連から選考経緯の聞き取りを行ったりだとか、高野連が再度選考基準について説明する機会を設けるべきなのか、あるいは文部科学省から高野連に説明を促す、そういった働きかけを行うお考えはありますでしょうか。すみません、長くなってしまいまして。よろしくお願いします。

大臣)
 昨日、予算委員会がありまして、ある先生からこのことについて質問しようかなというお考えがあられたんですけれども取り消されまして、質問は出なかったわけですけれども、そのときに少しこのことについて考えるところがあったことでございます。後段のご質問の高野連からの説明は受けてはございません。ただ、ずばり申し上げまして、今日、毎日新聞さんがですね、選んだ経緯を詳しくお書きになってますので、静岡新聞さんから毎日新聞さんに聞かれるのが一番正しい情報の取り方だと思っていますので、私は、そのことをまず、ご提言だけ申し上げておきたいと思います。本当に詳しく書かれていました。それを踏まえましてですね、今年の3月に開催される予定の選抜高等学校野球大会につきまして、先日発表されました東海地区からの出場校として、昨年の秋に開催された東海大会で優勝した日大三島高校とベスト4に入った、今おっしゃった、大垣日大高校の2校が選抜されたことについては、スポーツ新聞なりいろいろなところでちょっと読みまして、承知をいたしてございます。「選抜」は野球を打ち込んできた高校生にとって本当に憧れの舞台だと思っております。私も、昔、三田学園というところにおりまして、ジャイアンツにおりました先輩の淡口さんとか近鉄の羽田さんとか、屋敷という、高校の後輩なんですけれど、それなりに頑張っておったんですけれども、どれほど甲子園に出ることが大変かというのは、承知をいたしております。その出場校に、一生懸命打ち込んで選ばれなかった生徒の皆さんには本当に残念なことであったと思うんです。一方で、出場が決まった生徒の皆さんには、万全の状態で臨んで、持てる力を存分に発揮していただきたいということ、このことは、質問に関係なくお伝えしていただきたいと思います。この大会の出場校が、主催者である日本高等学校野球連盟が、大会要領で定めます選考基準に基づき選考されるものです。公表されている選考基準では、試合成績ですね、並びに実力などを勘案するが、勝敗のみにこだわらずその試合内容などを参考とする、2つ目、秋の地区大会は一つの参考資料であって本大会の予選ではないということが、実は明記されております。私も、実は、秋の大会ですべて決まるのかなという頭がずっと続いていたのですけれど、明記されています。このような選考基準に沿って、主催者の選考委員会が責任を持って判断されたものと理解をいたしております。もとより、こうしたスポーツ大会の選考基準の策定や個々の選考につきましては、主催者の責任により決定されるものでございまして、国として何らかの働きかけを行うことは考えておりません。しかし、いずれにしましても、選考基準等については、必要に応じて、主催者においては学校に、やはり丁寧に親切に、私は説明すべきものであると、そのことは申し添えておきたいというふうに思っております。詳しくは、毎日新聞を購読されることを期待を申し上げたいと思います。

(注)「行ってまいり」と発言しましたが、正しくは「行っており」です。

(了)

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大臣官房総務課広報室