末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年1月7日)

令和4年1月7日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

学校法人制度改革特別委員会の設置、入学者選抜に係る無症状濃厚接触者の移動手段について、学校における新型コロナ変異ウイルス感染拡大に備えた対応について、米国の高速炉開発計画、文化審議会答申と今後の対応について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年1月7日(金曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年1月7日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年1月7日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から2件ございます。
 まず、学校法人制度改革特別委員会の設置についてでございます。昨年12月に策定いたしました「私立学校ガバナンス改革に関する対応方針」におきまして、「関係者の合意形成を丁寧に図る場」を設けることとしておりましたが、この度、大学設置・学校法人審議会学校法人分科会の下に「学校法人制度改革特別委員会」を設置しましたのでご報告をいたします。この特別委員会の詳細につきましては、事務方より後程お配りする資料をご覧をいただければと思いますが、有識者をはじめ、私立学校の関係者にも広くご参画をいただいてございます。また、第1回目の会議は来週12日(水曜日)に開催することといたしております。本委員会では、ゼロベースの議論を行うものでもございません。「学校法人ガバナンス改革会議」の報告書も一つの大きな参考にさせていただきますし、それを参考にしつつ、昨年12月の「対応方針」でお示ししました論点を中心に議論を進めさせていただきます。改革の旗は高く掲げながら、学校法人の沿革や多様性に配慮しつつ、かつ社会からの要請にも応え得る実効性ある改革を実現すべく、丁寧な合意形成を図っていきたいと、そのように強く願ってございます。その上で、成案が得られ次第、速やかに法案の提出に向けて最善の努力をいたしてまいりたいと思います。
 次に2件目でございます。入学者の選抜に係る無症状濃厚接触者の移動手段についてでございます。令和4年度大学入学者選抜に係る新型コロナウイルス感染症に対応しました試験実施のガイドラインでは、濃厚接触者の方の受験要件として、1 PCR検査が陰性であること、2つ目、試験当日も無症状であること、3つ目、終日別室で受験すること。4つ目、公共交通輸送機関を利用しないこと、この4つの要件を示してまいりました。このうち、4つ目の公共交通機関を利用しないことにつきまして、これまで、自家用車あるいは自家用車がない場合には親戚の方とか知人の方による送迎をお願いして参りました。同時に、こうした手段をとることが困難な場合もあるため、大学入学共通テストにつきましては、追試験を全都道府県で、各大学の個別入試についてもほぼすべて、99%です、すべての大学で追試験又は振替受験を実施予定であることを公表したところでございます。他方で、文部科学省といたしましては、中学、高校、大学等を受験する受験生の受験機会を可能な限り確保するため、一層の配慮ができないかという思いから、官邸はじめ、厚生労働省、国土交通省など関係省庁とも随分協議を重ねてまいりました。調整を重ねてまいりました。この結果、タクシー、ハイヤー、海上タクシーにつきまして、まず、感染対策を講じている事業者の車両を利用すること、2点目は、利用車両等が特定できるよう予約を行うこと、その上で、他の乗客と乗り合わせせずに利用をすることなどの対応を講じていれば利用可能であることを示すことにしました。このことにつきましては、本日中に、感染症対策ガイドラインのQ&Aを更新する形で、大学・高校関係者にも通知をするとともに、併せて国土交通省からも、今回の措置についてタクシー等の事業者にも周知させていただきます。また、地域の事情等で万が一予約ができない受験生のための相談窓口を文部科学省に設置をしまして、国土交通省と連携しながら、そうした受験生の受験機会の確保を図ってまいりたいと思います。来週15日から大学入学共通テストが始まります。受験生の皆さんには、これまでの努力の成果を十分発揮できるように、体調管理はもとより、基本的な感染対策の徹底をしていただきまして、試験場となる各大学におかれましても、感染症のガイドラインに則して試験の実施の準備に、引き続き、万全の対応をしていただくように心からお願いを申し上げます。私からは以上でございます。

記者)
 今、冒頭で受験生の話も出ましたけれども、感染者数が増えて第6波が始まったとの見方や今月中に8割がオミクロン株に置き換わるとの試算も出ています。学校においては新学期のシーズンともなりますが、感染力が強いとされるオミクロン株の感染拡大を受けて、改めて、文科省としての感染対策とかですね、何か方針に変更があったり通知を出されたりということは考えていらっしゃいますでしょうか。

大臣)
 大きな変更というのは、まだ考えてはおりませんけれども、現在、各地域で、オミクロン株の市中感染が確認されているとともにですね、ご承知の通り、感染者数が大きく増加をいたしてございます。大変心配をいたしております。オミクロン株につきましては、感染性が高いことなどが懸念されますけれど、基本的な感染予防策としては、今申し上げたように従来と同様です。3密の回避と、特に会話時のマスクの着用、手洗いなど、こうしたことを徹底して推奨したいと思ってございます。それと、こうしたことを踏まえまして、各学校におきましては、引き続き、文部科学省より示しております学校の衛生管理マニュアルですね、かなり分厚いものなんですけれども、これを参考にしていただきまして、感染症対策に努めていただきたいと思います。特に、今が冬であることを踏まえまして、換気の徹底ということが特に大事かなということ、そんなことも考えてございます。ご留意をいただきたいと思います。以上のことにつきまして、本日、速やかに各学校の設置者にお知らせをしたいと思います。

記者)
 原子力政策について質問します。年明けから報道などで、米国企業テラパワー社の高速炉開発計画に日本の原子力研究開発機構などが参加し技術協力するという話が出ています。この件についての事実関係と、こうした日米の共同計画が進むことへの大臣の所感があればお願いします。

大臣)
 新聞に、元旦、掲載されていた話だと思います。ナトリウムの冷却高速炉の開発を進める米国のテラパワー社より、原子力機構と我が国の民間企業に対して、研究開発につきまして協力要請があったことは承知をいたしております。具体的な協力の内容につきましては、原子力機構が国内企業とも相談をしつつ、日米の事業者間で調整中というように伺ってございます。本協力が実施されることになりましたら、日米原子力協力の深化や、高速炉開発に関する原子力機構及び国内企業の技術力の維持・向上につながるものと期待をいたしているところでございます。今後とも、本協力の調整状況を見守りつつ、国際連携を活用した高速炉開発の取組が着実に推進されるように、引き続き、資料エネルギー庁をはじめとする関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと思います。以上でございます。

記者)
 「佐渡島の金山」について、世界遺産の関連でお伺いいたします。文化審議会が国内の推薦候補に選びましたけれども、ユネスコへの推薦書の提出の期限が迫っておるわけですけれども、政府としてのご対応をどのようになされるのか、どのような対応をいつまでに行うお考えでしょうか、お聞かせください。もう1つ、関連してですが、この文化審の選定を受けて、韓国政府が、戦時中に「佐渡島の金山」で朝鮮半島からの労働者が強制労働に従事させられていたとして撤回を求めていますが、これに対する大臣の受け止めと、あと今後のご対応についてお聞かせください。

大臣)
 今日も新潟県の関係者の方がお見えになられる予定やに伺ってございます。今年度の世界文化遺産の国内候補の選定につきましては、文化審議会が、文化遺産としての価値の観点から検討を行いまして、先月の12月28日ですね、「佐渡山の金山」を推薦候補として選定するという旨の答申をされました。これを受けまして、今後、政府内で、今いろいろとお話ありましたけれども、現在においてですね、総合的な検討を行っていきたいと思ってございます。今、私から申し上げられるのはそこまででございまして、韓国の、ご指摘されている徴用工の問題ですね、このことにつきましても、総合的な角度から、総合的な判断をしながら協議を今しているところで、判断をして、考えていきたいと思ってございます。それ以上のことにつきましては、なかなか、今ここで、ちょっとご答弁というわけにはまいりません。

記者)
 大臣が冒頭にお話になった濃厚接触者の受験についての確認ですが、これは、見直しに至った背景というのは、つまり、例えば自家用車を利用できない家庭があるといった現場の声を踏まえてのものなのかというのが1つ、あともう1つ、利用できる事業者というのは、事前に国土交通省等から提示されるんでしょうか。そこの確認をお願いします。

大臣)
 ご質問は、あれですね、新たに公共交通機関に係る取扱いを見直したのはなぜかということでよろしゅうございますね。濃厚接触者の受験要件として公共交通機関を利用しないこととしていたのは、一昨年の10月に政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会にも諮りまして、試験場だけでなく、試験会場の行き帰りにおいても、公衆における感染拡大を防止する観点から、特例的な措置として決定されたものでございます。私としましては、こうした感染拡大防止の観点は、引き続き、重要なものであると考えていますが、その中にありましても、受験生は、一生の中でも非常に大事なことであり、受験の機会の確保のためにより配慮ができないかという思いから、事務方に検討を行うように指示をいたしたところでございます。そうですね、今回ですね、官邸をはじめ、厚生労働省、国土交通省などの関係省庁とも調整が整いましたので、タクシーやハイヤー、海上タクシーについて、一定の条件の下でこの利用を可能にするということを示したわけでございます。国土交通省と文部科学省と十分な協議をした上で、その上で、もちろん、厚生労働省からのご意見を十分に頂戴しております、そういう趣旨でありますので、どちらがどうであるということについてではございません、これについて。あくまで、1人でも多くの方、受験生を、受験させてあげたいという、一生に一度の大事な場面ですから、そのことからです。理解をいただきたいと思います。

記者)
 もう1点、利用できる事業者というのは事前に提示されるのかということなんですが。

大臣)
 現在のところ、提示する云々はまだ聞いてございません。後日、またご報告できるかと思います。ちょっと、事務方にどうぞ。

事務方)
 タクシー事業者については、今日、国土交通省から通知を出します。その、国土交通省を窓口としておりますので、受験生から問い合わせがあればそれを各地方運輸局にお伝えします。各地方運輸局からタクシー事業者、所管の地域のタクシー事業者へお電話して、そのタクシー事業者が予約できない受験生のための車を予約します。タクシー事業者が受験生にそのことを伝えるということで、地域全部の運輸局を対象にタクシーが予約できない受験生、これは濃厚接触者で、PCR検査が陰性で自分で予約したんだけどもできないという方からまずは文科省にお電話いただいて国交省につなぐと、こういうフローに。

事務方)
 また、その辺りは、事務局の方にお問い合わせいただければと思います。

大臣)
 かなり大事な、細かな話なので、担当ベースでちょっとお話をお願い申し上げたいと思います。

記者)
 冒頭ご発言のございました学校法人制度改革特別委員会の件なんですけれども、年末、大臣の方で、通常国会の方で私立学校法の改正を目指すということに関してお変わりはないというようなお話だったかと思うんですが、報道等でも出てますけれども今年はちょっと選挙もある関係だと思いますが、通常国会の会期延長も難しそうだということで、法案を絞るというような報道もあるんですけれども、通常国会での法改正を目指すという考え方にはお変わりはないんでしょうか。

大臣)
 変わりはございません。キックオフは、1月の12日にまず皮切りの会議を行ってまいります。今、お話申し上げましたように、ガバナンス改革会議の答申をですね、参考にしながら、新たに関係者に入ってですね、協議をいただくということでありますので、スケジュール等については答申がまとまればですね、速やかに提出をしたいと考えてございます。

記者)
 幹事社質問の関連になるんですけれども、昨年実施できずに延期した学校行事とか修学旅行をこれから迎える学校もあるかと思いますが、オミクロン株をはじめ新型コロナの感染の急拡大を受けて中止するかどうかなど、悩む学校もあるかと思います。修学旅行など、どう対応していくべきかご見解をお聞かせください。

大臣)
 修学旅行の実施につきましては、最終的には、各学校・学校設置者においてご判断をいただくことになりますが、文部科学省としては、修学旅行は、子供たちにとってそれはもうかけがえのない思い出になりますので、できれば私としては、それは実施をしてあげられればなということを願ってございますけれども、いずれにしましても、現場で十分状況を見てご判断いただきたいと思います。思い出となる有意義な教育活動であるために、適切な感染防止を十分講じた上でその実施に向けたご配慮をお願いしたいと思います。それと、併せてですね、教育委員会等の学校設置者においては、まずは、学校の所在地域や修学旅行の目的地の感染状況とか、関係自治体の方針も十分把握の上で、そして、基本的対処方針や衛生管理マニュアル等も十分踏まえて、保護者などのご理解を十分協力を得ながらですね、適切な判断が必要だと思っておりますので、非常に、あらゆる方々のご意見をできるだけまとめていただくということがやっぱり大事だろうということ、そのことを思います。

(了)

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