末松信介文部科学大臣記者会見録(令和3年12月24日)

令和3年12月24日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化

キーワード

令和4年度予算案の閣議決定について、第3回交通安全対策に関する関係閣僚会議について、令和3年度教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査の結果公表、学生等の学びを継続するための緊急給付金、いじめ対策に対するこども家庭庁との連携について、教科担任制、科学技術研究費の減少について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和3年12月24日(金曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年12月24日末松信介文部科学大臣記者会見

令和3年12月24日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から4件ご報告がございます。
 本日、令和4年度政府予算案が閣議で決定されました。鈴木財務大臣から説明がございました。厳しい財政状況の中でありましたけれども、先日の財務大臣との折衝を通じまして確保した教科担任制の推進等に伴う定数改善はじめ、教育、スポーツ、文化芸術、科学技術・イノベーションの各分野の振興に必要となる予算を一応にして確保することができました。先般成立をいたしました令和3年度補正予算に続きまして、人や科学技術への投資を重視する岸田政権の姿勢をしっかりと示すことができたと、そのように考えてございます。新型コロナウイルス感染症の影響等によりまして、我が国が依然として厳しい状況にございますが、文部科学省が担う行政分野は、我が国が切り開くための中核であり、今回確保した予算はまさに「未来への先行投資」でございます。我が国がコロナ禍を乗り越えまして、希望に満ちた社会となるように、私をはじめ省一丸となりまして、未来への先行投資で全力で取り組んでまいりたいと思ってございます。
 続いて、第3回の交通安全対策に関する関係閣僚会議についてでございます。2件目です。本日の閣議後に、第3回交通安全対策に関する関係閣僚会議が開催をされました。千葉県の八街市の事故を受けまして、全国の小学校を対象に通学路における合同点検を行いました結果、10月末時点において全国で72,000箇所につきまして対策を、必要であるということになりました。このうち、学校・教育委員会が対策を講じる必要がある箇所は約34,000箇所とされております。会議の場所でもこの報告を申し上げました。総理からは、令和5年度末までにおおむね対策を完了するように指示がございました。交通事故などの痛ましい事故によりかけがえのない子供の命が失われることがないように、関係省庁と連携をいたしまして、速やかに対策を講じたいと、そのように考えてございます。なお、本日11時50分より、内閣府におきまして4省庁の合同の記者ブリーフィングを行いますので、詳細はそちらでご説明をいたします。
 次に、令和3年度の教育委員会におけます学校の働き方改革のための取組状況の調査についてでございます。この結果の公表です。3件目でございます。本日、全国すべての教育委員会を対象にしまして、令和3年度の教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査の結果を公表いたしました。今回の調査結果からは、まず1番目に、時間外勤務は平成30年度以降おおむね改善傾向にあり、働き方改革の成果が着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教職員も多く、引き続き、取組を加速させていく必要があるということです。2つ目は、客観的な方法で勤務実態を把握している自治体の割合は、今年度も大きく伸びております。様々な取組の前提となります適正な現状把握が全国的に進んでいるということでございます。3つ目は、ICTを活用いたしました校務の効率化、そして教員業務支援員の活用など、学校・教師の業務の見直しにつきましては進んでいる項目も多いものの、一層実施を促進する必要があること、こういったことが明らかになってございます。こうした状況を総括いたしますと、改善は見られるものの働き方改革は引き続き急務であるということを認識をいたしております。国・学校・教育委員会が連携しまして、教師が教師でなければできないことに全力投球できる、その環境を整備するために、文部科学省が先頭に立って取組を加速していきたいと、そのように考えております。
 最後4件目でございます。令和3年度の補正予算におきまして、学生の学びを継続するための緊急給付金の入金開始についてでございます。4件目です。新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい経済状況にある学生等に対しまして、修学を諦めることのないように、1人10万円の現金を給付する「学生等の学びを継続するための緊急給付金」につきまして、令和3年度補正予算成立後、速やかに大学等へ周知するとともに、日本学生支援機構におきましても、頑張っていただきまして、対応を急いでいただきました。この結果、本日、補正予算の成立4日後であります本日、緊急給付金の最初の入金が実施されましたのでご報告をいたします。現在、各大学におきまして募集を行っておりますので、支援が必要な学生におかれましては、積極的にご活用いただきたいと、そのように考えております。引き続き、この給付金が1日でも早く必要な学生の皆さんに行き渡るように対応してまいりたいと考えます。とりあえず、4件ご報告させていただきました。以上でございます。

記者)
 ちょっと時間が経ってしまったんですけれども、21日、こども家庭庁の関係でお尋ねします。21日に基本方針が閣議決定されて、その中でいじめ対策について、教育委員会の方から、重大事案については、報告を受けたものをこども家庭庁と情報共有して連携して対応することが検討されることになったと思うんですけれども、ある種、2つの省庁が、いじめ問題については何かタッチしていくということになると、二重行政的になったり混乱があったりとかも懸念されるのかなと思うんですが、そのこども家庭庁と、いじめ対策における役割分担というか、どのように大臣の方で考えられているか、お考えをお聞かせいただければと思います。

大臣)
 21日(火曜日)に閣議決定されました、「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」でございますが、文部科学省が教育委員会や学校に必要な指導・助言とですね、調査を行うことを前提にしつつ、こども家庭庁も一定の関与を行うこととされています。そのようになってございます。具体的には、文部科学省におきましては、引き続き、教育委員会など学校設置者への指導・助言を所掌する一方ですね、こども家庭庁におきましては、どっちかと言ったら、学校外、地方自治体の福祉部局など首長部局における体制等を担うこととされております、こども家庭庁におきましては。そういう一定の、一つの住み分けということは考えておりますんですけれども。そして、こども家庭庁の創設後ですね、2つの組織の間で密接に連携を図りつつも、今ご指摘ありましたように、事務の重複とかですね、混乱が生じることのないように、やはり適切に役割分担の具体化を図る必要があると、そのように考えてございます。いずれにしましても、文科省として関係府省と連携をしつつ、いじめ防止対策の更なる充実に全力で取り組んでいきたいと思います。これは、やはり走りながら、どういう形が一番子供たちにとっていいのか、このいじめ問題を解消するにあたっていい策なのかということは、やはり、これからしっかりと、更に考えていかなきゃならない課題だと思ってございます。一応の住み分けは、そのように、お話申し上げました。

記者)
 教科担任制のことについて、水曜日の会見に続いて再度のお尋ねなんですが、その後の事務方の説明によると、週に減らせるコマ数の見込みが大体3.5コマ程度で、文科省が当初目指していた5コマには若干届かない状況で。で、今後それを実現するために、更なる加配を求めていくお考えなのか。あと、それと、実施教科の拡大ですとか、実施学年の拡大というのも、大臣はいずれ必要であるとお考えなのか、その2点についてお聞かせください。

大臣)
 先日、鈴木財務大臣と折衝をいたしまして、まず、小学校の35人学級をきちっと令和7年度まで進めていくということ、この話であります。そして、教科担任制の推進のために、お話ありましたように、加配定数950人を含む1,030人の教職員定数の改善を図るということになりました。それで、確かに5コマを目指しておりましたけれども、3.5コマになっておるということなのですけれども、これにつきまして、まずはそこからスタートさせなきゃいけないと。そして、4年間で、そのためにでも3,800人をですね、4年間で教職員の定数の改善を図っていかなきゃいけないということになりますので。5コマは単年度単年度の話し合いでありますし、状況がどう変わるかということもあるんですけれども、まずは、4年間で3,800人、全ての教師に3.5コマ減ですね、減になるように、その努力を行っていきたいというのが私の今の考え方でございます。やはり厳しい財政事情の中で精一杯の交渉でありましたので、理解するところもあるのかなということを、現時点では、そのように考えてございます。今回の措置によりまして4教科を優先的な対象として取り組むこととしておりまして、その取組状況を踏まえながら、今申し上げたように、今後の対応を考えていきたいと思ってございます。

記者)
 現状では、5、6年生で4教科を、改善の実現を目指すというお考えでしょうか。

大臣)
 それは確かに、そのことが、英語と理科と算数と体育ということでありますから、まずは専任、教科専任をですね、きちっとまずは固めていきたいというように考えてございます。

記者)
 すみません、あと1つだけ。大臣が冒頭でお話になった緊急給付金ですけれども、事務方に伺ったほうがいいのかもしれないですけれども、今日、朝、入金があった学生さんというのは何人くらいいらっしゃるんですか。

大臣)
 千何人だったと記憶をしておるんですけれども。1,021人ですね、はい。よろしくお願いします。できるだけたくさんできると思っておるんですけれども。

記者)
 冒頭ご発言がございました働き方改革の調査の関係で伺いたいんですけれども、中教審が2019年の1月に整備した、基本的に学校以外が担うべきというふうに整理している業務に関してなんですけれども。2年ぶりにこの取組状況を調べて、学校以外のところが主体的になっている、要は学校から外しているような取組をしている教育委員会というのは増えて改善はしているんですけど、微増に留まっていて、例えば24.1%しかですね、まだ、学校外に出せていないような業務もあるという状況なんですが、この数字を、大臣はどのように受け止めておられるのかというのが1つと、来年度、勤務実態調査をやって、給特法の改正の可能性も視野に考えると。それから、今後も教員の負担軽減のために定数改善も考えていくというようなお話かと思うんですが、財政当局と交渉する際に、中教審が学校の外に出してくれというふうに言っている業務をきちんと出せていない状態で予算が欲しいと言っても、なかなか財務省の理解を得られないような気がするんですが、その辺りの教育委員会の取組の後押しをどのようにしていかれるかという点も伺いたいなと思います。

大臣)
 望ましいご指摘を、今、されたと思ってございます。おっしゃる通り、本来教師でなくても担当できる業務というのはもっと地域の方にお願いしたいということを思うんですけれども、改善がなかなか図れていない、それでも相当頑張っていただいている地域もございます。ご指摘のように、基本的に学校以外が担う業務につきましては、今申し上げたように、学校において、地域住民とか保護者などの主体の協力を得る必要があると思うものが大変多ございます。で、調整に時間を要したり、教育委員会のみで実施することが大変困難であるという、そういう認識を今省内でも話をしたところでございます。で、文部科学省としては、こうした取組については実施を促す必要があると考えておりますんですが、本調査は、市区町村別の結果を、今お調べになった24.1というのは市区町村別の結果も公表をしたものでございまして、取組事例を積極的に展開することを通じて、実は、引き続き、各教育委員会に対しての実施を働きかけていきたいということを思っています。だから、要は教育委員会、地方に行きまして教育委員会だけじゃもうできないのですよね、これ。やはり、コミュニティ・スクールのようにやっぱり地域に分けて学校を支えていく、子供たちを支えていくという姿勢がないと、それは財務省もですね、おっしゃるように、それは定数改善をやってくれと言っても地域力を引き出さないことにはいきませんから、そのことは、文部科学省は怠っているとは全く思っていません。だから、やはりそれほど、国民の皆さんは忙しいとは思うんですけれども、やはり、子供は国の宝で国の礎ですからみんなで支えてやるという、そういう気持ちを持っていただきたいと。私は、コミュニティ・スクールとか、最近は子供会がずいぶん縮小されてきまして、活動が少し低下していると思うんですけれども、こういった方々に対して呼びかけていくということが必要かなと思うんですね。おっしゃる通り、登校時の対応でですね、学校以外の方々がスクールガードをやっていただくというのは、都道府県でも23.4、これはちょっと、県立高校とか、ああいう方が多いんですね、政令市では80いっているのですけれど、市区町村が61.1%とかですね、放課後から夜間の見回り、夜遅くの見回りなんかは都道府県で17%、政令市で20%、市区町村で24.3%という数字ですから、やはりもっと国民全体で、国民運動的に考えていただきたいというのが思いでございます。

記者)
 すみません、科学技術関連で1点お伺いしたいんですけれども、先日、総務省から配布された資料で、2020年度の科学技術研究費というのが4年ぶりに低下したという資料がありました。それに関する大臣の思いというのを聞かせていただけますでしょうか。

大臣)
 ご指摘の通りでございまして、今月の17日でしたか、金曜日に総務省が公表しました2021年の科学技術研究調査結果におきましては、2020年度のこの科学技術研究費の総額が4年ぶりに減少したということは承知をいたしてございます。2019年度が19.58兆円ですね、そして20年度が19.24兆円ということで、1.7%ほど減少しておるということで。研究費の支出源を見ますと、前年の2019年に比べまして、政府及び公的機関の研究費は2.1%増加しているんですね。民間の研究費が2.5%減少しておるということがわかってきました。新型コロナウイルス感染症の拡大等に伴いまして、やはり民間企業の厳しい経営状況を表しているのかなという、研究投資に対して、そういうことを推測をいたしてございます。文科省としましては、本日冒頭でご説明申し上げましたけれども、令和4年度予算及びこの前成立しました補正予算におきまして、必要となる科学技術の予算というのはまあ確保できたと思っているんですよ。ですから、科学技術とイノベーションの創出にはしっかりと取り組んでいくということ、このことを思います。出先の関係者の機関の方々も上京されたということでこちら立ち寄られてですね、ここ2日間ぐらいでも、ずいぶん本省に対してですね、温かい言葉を頂戴をしたということでございます。以上であります。

(了)

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大臣官房総務課広報室