末松信介文部科学大臣記者会見録(令和3年12月10日)

令和3年12月10日(金曜日)
教育、スポーツ、文化

キーワード

北京五輪への外交ボイコットについて、学校における新型コロナ変異ウイルス感染拡大に備えた対応について、令和4年度使用教科書の需要数集計結果、日本大学の不祥事対応について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和3年12月10日(金曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年12月10日末松信介文部科学大臣記者会見

令和3年12月10日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 本日は、報告はございませんので。

記者)
 1問ありまして、来年の北京五輪・パラリンピックにおいて、中国に対してですね、外交的ボイコットをする動きが、アメリカをはじめイギリスですとかカナダとかで起きております。日本政府は、今、対応を検討中ということですが、スポーツを所管する大臣として、どういった考えでこの対応を検討してほしいかお考えを教えていただきたいのと、また、政治とスポーツの関係ですね、どうあるべきかということ、大臣ご自身のお考えをお聞きできればと思います。

大臣)
 アメリカ合衆国ほか諸外国の発表については、承知をいたしてございます。北京の冬季大会につきまして、各国の対応についてのコメントは現段階では差し控えたいと思います。北京の冬季大会への日本政府の対応につきましては、スポーツ庁長官ですね、室伏長官の派遣も含めまして、現時点では何もまだ決まってございません。今後、適切な時期に総合的な判断を出していきたいと、そのように考えてございます。スポーツと、今おっしゃった、政治とおっしゃったんですかね、これはやはり平和の祭典でありますので、これにつきましては、その精神に則って、日本政府は、あるいは文科省ですね、文科省は、我々、その問題について判断を下していきたいとそのように考えているところでございます。

記者)
 オミクロン株への対応についてお尋ねします。今後、感染がもし拡大した場合にですね、入試シーズンを控えているということもあって、不安を感じている児童生徒や保護者の皆さんも多いと聞きます。学校現場でのそういった感染防止策について、改めて大臣のお考えを伺いたいのと、その関連で、学校での検査体制ですね、現在各学校に抗原検査キットを配布されていますが、それの拡充、例えばPCR検査の導入等のお考えがあるかないか、そういった点をお尋ねします。

大臣)
 記者の方もご存知の通りだと思うんですけれども、現時点において、オミクロン株については、まだ十分な情報が得られていない状況でございます。このため、今後の学校における感染症対策につきましては、状況を注視していくという、こういう認識でございます。頻繁に、水際対策云々でも話もいたしてございます。一方、国立感染研究所におきましても、基本的な感染症の予防策としては、これは、変異株であって、従来と同様に3密の回避、特に会話時のマスクの着用と、それと手洗いの徹底ということは、これはもう全く変わってございませんので、これをきちっと、学校現場でも対応いただきたいと思います。文部科学省としては、今年度の補正予算案におきまして、学校の感染症対策を支援していくということで計上しておりますので、引き続き、基本的な感染症対策については、適切に取り組んでいくということです。いずれにしても、厚生労働省と密に連絡を取り合っていますので、各省庁ですけれど、それに沿ってですね、対応を取るということは、これはもう、精一杯の努力をする決意でございます。

記者)
 一昨日発表された教科書の需要数集計について伺いたいと思います。これ、高校の現代国語で小説をたくさん取り入れた教科書が一番人気になりまして、従来の最大手の会社の出版社を抜いてしまったというちょっとした異変があったんですけども、一方で、新しい学習指導要領では、現代国語では実社会に必要な国語の知識や能力というものを非常に身に着けるということで、従来の小説を教えるというよりもむしろ実用的な国語力をつけてほしいというのが新しい学習指導要領の趣旨だと思うんです。そういうことを考えますと、今回の採択結果というのがですね、新しい学習指導要領の趣旨というのが、まだまだ十分に、その教科書を採択する教育委員会とか学校の先生たちのところにですね、浸透していないのではないかと。むしろ、従来型の小説を教えるほうがやっぱりいいというですね、そういう国語の先生が多いというようなことを感じるんですけれども、この辺りの大臣のお考えと新しい学習指導要領の狙いについてですね、いかにこれから、高校では来年の4月からはじまるわけですけれども、いかに浸透させていくのか、その辺りのお考えを伺えますか。

大臣)
 3月にわかったことなんですけれども、今月8日に公表しました令和4年度の使用教科書の需要数集計結果ですね、結果を見ましたら、一昨日、初等中等局長からの報告を受けました、現代国語(注1)に関しては、小説を掲載した会社の教科書が占有率1位になっているということであります。このことにつきましての受け止め方ですけれども、教科書の採択は、採択権者であります教育委員会等の権限と責任においてなされているものでありまして、その結果について、評価自体は差し控えたいと思うんですけれども、その一方で現代の国語に小説が盛り込まれるということにつきましては、実は、本来想定していなかったということです。ただ、「国語総合」をですね、「現代の国語」2単位と「言語文化」2単位に分けたというわけなんですけれども、本来は、これだけの情報社会ですから、評論とかですね、きちっと情報を分析していって読むことができるというのは、力を付けていってほしいと思ったところです。そこのところには、小説を予定していなかったのです。考えていなかったのですけれども、ここに書かれて、そしてそれが採択されたという結果でございます。現場においては、なかなかまだ、学習指導要領の趣旨ということについて十分浸透していないということでありますが、採択は採択ではありますんですけれども、これについては、やはりきちっと、もう一度丁寧に教育現場には話を下ろしていきたいというふうに、そのように考えてございます。誠にもってこの点(注2)につきましてはですね、説明が不足しておったということかと思います。学習指導要領そのものについては、法的な拘束力がございます。それをさらに深めた解説のところは、法的な拘束力がないというところがありますけれども、やはり、そのことは横に置いてでもですね、その考え方については、きちっと現場で、やっぱり理解してもらわなきゃいけないし、教科書を編集される方にもですね、その点は、やはり十分考えていただきたいというのが私の思いでございます。

記者)
 1つフォローアップさせてください。なかなか、現場の高校、国語の先生は、意識が変わりにくいというかですね、今、学習指導要領の点でよく指摘されていることなんですけれども、ここはいかがお考えですか。

大臣)
 やはり、小説を扱いたい先生はおられると思うんです、これは。使いやすいというのがあると思うのですよ、芥川龍之介の小説にしましても。やはり、時代が、ここのところは少しやっぱり変わってきていますので、先ほど申し上げたように、こういう情報化社会にあってですね、例えば評論文の中でいつ誰がどこでどういう話をしてこう受け止められてこういう形になっているという、そういうようなですね、的確な理解力をつけていくというのは、私はやっぱり国語文化に必要だということで、今回、学習指導要領の中で、この現代国語(注1)については、小説はできるだけ、できるだけというか手控えて欲しいという考え方に立ったということです。そのように、私、現場のというか、文科省の初等中等局の職員と話し合ったわけです。

記者)
 本日、日本大学が夕方に記者会見を開きます。一連の不祥事を受けての記者会見ですけれども、大臣、会見をこれまでも求めておられていたと思うんですが、記者会見を開くことについての受け止めと、どういった説明を期待されるかどうかお聞かせていただいてもよろしいでしょうか。

大臣)
 再三にわたって、日本大学に対しましてはですね、社会に対する説明責任を果たしていないということを申し上げておりました。従いまして、私は、今日、今まで報告は来られて、話はしておるんですけど、今日の会見では、問題の背景とか全体像が明らかでありませんので、説明も十分なされておりませんので、その点をはっきりとさせるべきだと思うんです。特に、アメリカンフットボールで事件がありましたけれども、あれについても決して好ましい会見の在り方ではなかったと聞いていますので、社会的な、やはり責任を果たす、大学としてはそういうことを求めていきたいと思います。いずれにしても、徹底した調査と説明責任を果たす考え方に立って、このことを強く望んでおります。

(注1)「現代国語」と発言しましたが、正しくは「『現代の国語』」です。
(注2)「この点」と発言しましたが、正しくは「そのような教科書を検定合格とした考え方」です。

(了)

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