末松信介文部科学大臣記者会見録(令和3年11月30日)

令和3年11月30日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化、その他

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GIGAスクール特別講座~教室から深海探査につながろう!~、文化庁の京都移転、日本大学理事長が脱税容疑で逮捕された件、H3ロケット試験機1号機の打ち上げ延期について、新型コロナ変異ウイルス感染拡大防止のための外国人の新規入国停止について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和3年11月30日(火曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年11月30日末松信介文部科学大臣記者会見

令和3年11月30日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から1件でございます。GIGAスクール特別講座につきまして、これまで「宇宙」あるいは「南極」をテーマに、2度にわたり実施をいたしてまいりました。これらの取組が、学校や子供たちに大変好評であったことから、今回、第3弾といたしまして「深海」をテーマに特別講座を実施することにいたしましたのでお知らせ申し上げます。日程は、来年1月18日(火曜日)14時から実施を予定をいたしております。「教室から深海探査につながろう!」というタイトルの通り、参加者には、GIGA端末を通じまして、教室からオンラインで深海探査を体験いただきます。リアルタイムで海深くの探査機とつながることができる、またとない機会ですので、全国の子供たちにぜひ参加をしていただきたいと、そのように願っております。私としては、本講座を通じまして、子供たちに深海の魅力を感じてもらうと同時に、海洋プラスチックなど、海が抱える問題に理解を深めていただきたいと思っております。また、本講座が、地球環境への関心を持つきっかけとなって重要な環境の機会(注)となることを大いに期待をいたしているところでございます。文部科学省といたしましては、1人1台端末の活用を通じまして、子供たちの可能性を拡げていくことが重要であると認識をいたしております。今後もこのような機会の充実に努めていきたいと思っておりますので、よろしくご支援のほどお願いを申し上げます。私からは以上でございます。

記者)
 文化庁移転についてお尋ねいたします。先週末に、22年度中にですね、移転部署の引越しを終えることは極めて困難であるとする発表がありました。担当部署の職員の方に大変ご努力いただいていると承知しておりますが、当初の予定から更に遅れることとなります。まずは、大臣の受止めをお願いします。その上で確認なんですけれども、22年度中の業務開始を目指すというですね、閣議決定事体は維持されるということのようなんですけれども、内容的には、本格的な業務開始は遅れることになると思うんですけれども、この点で、閣議決定の解釈というか、整合性をどのようにお考えかというのを、ちょっと、合わせてお願いいたします。

大臣)
 3週間ほど前に京都府知事もお見えになりまして、色々ご要望の中で、この点についてのお話もございました。今、話があったことですけれども、ご指摘の通り、文化庁の京都移転につきましては、閣議決定された第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、2022年ですね、令和4年度中の業務開始をするということになってはございます。本年8月、京都府より、移転先の新庁舎の工期を5か月延伸するということで、2022年(令和4年)の12月下旬の竣工となる旨の報告が実はございました。これを受けまして、文化庁におきましては、工程等を再検討し、今回、文化庁移転協議会において、工期延伸を踏まえた対応をいたしたところでございます。それで、今回のその工期延伸ですけれども、2022年(令和4)年度中に全ての移転予定部署の引越しを終えることは困難となりました。これは難しくなりました。一方で、移転後の文化庁において中核組織となるところにつきましては、2022年の令和4年度中の業務は、これは目指します。人数は、50人ぐらいになるかどうか、はっきりとはしておりませんけれども、中枢業務は、そこでもう開始をすると。2023年(令和5年)3月中に京都への引越しを、これを終えると、目指すということになろうかと思います。この決定は、新庁舎の工期再延伸やむなしという状況の中で、これまでの閣議決定の実施を図るものでありまして、引き続き、京都府・市はじめ、関係方面との連携・協力を更に強化しながら、移転に向けて着実に準備を進めてまいりたいという、そのように考えてございます。思わぬような、京都新聞さんでしたらご理解をされていると思うのですけれども、工事が終わりましてからでも、どうして遅れるんだという指摘を申し上げましたら、やはり、什器搬入であるとか設備点検等々、別途、結構、内装の工事等々が残っておるようでございますので、5か月の遅れをという報告を受けてございます。ご迷惑をおかけをいたしておりますけれども、よろしくお願いを申し上げます。

記者)
 日大の関係でお尋ねします。田中理事長、現職の理事長が特捜部に逮捕されるという事態になりました。この状況でも、日大は、まだ、大臣がずっとご指摘されているような説明責任というか、記者会見等を開いている状態ではなくて、対応に変わりがない状況が続いていると思うんですけれども、文科省として、この状況を受けてどう対応されるかというのを改めて伺いたいのと、あと、理事長が逮捕されたということでご本人の進退の問題も出てくるかなと思うんですけど、これに対する大臣のお考えも合わせて伺えますでしょうか。

大臣)
 日大の対応、早急に、もう一度、幹部の方にお越しをいただきたいというふうに指導をしたいと思います。まず、日本大学の理事長がですね、昨日の夕刊だったかな、5,300万円を脱税した疑いが強まったとして、所得税法違反容疑で昨日逮捕されたことは承知をいたしております。前も申し上げましたが、税の優遇等ですね、公共性が極めて高い学校法人において、元理事が2度起訴されたことに加えて、今回は法人を代表する理事長個人が逮捕されたということは極めて深刻な事態であるということで、極めて遺憾であるというふうに、そういう認識でございます。日本大学におきましては、捜査に全面的な協力をし、法人自ら真相究明の調査を徹底的に行って、二度とこのことが起こらないような改善方策を早急に策定されてですね、直ちに実行に移すことが不可欠であるということをまず申し上げたいと思っております。また、公共性が高い学校法人として、やはり、社会に対して説明責任を負っておりますので、そのことをきちっとやりなさいと、そのことを、まず、2つ目に申し上げておきたいと思います。そして、文部科学省からは、今般のこの事件につきまして、10月20日の文書で指導をいたしておりまして、11月24日(水曜日)に改めて強く指導したところでございます。そのことは、前回の記者会見でも申し上げました。特に、私はやはり、5つですね、私共の幹部が指導を行いましたけれども、5点目の「被害届を提出する意向の有無、及び仮に提出しない場合にはその理由の報告」ということで、被害届を出さないということについてもですね、今は出ていないはずなんですけれども、このことについてもどうなのかということは、やはり、きちっと説明する必要があるんだろうと思います。内部の捜査を進めているかもしれません、調査を進めているかもしれませんが。文部科学省としては、今回の理事長逮捕という事態を受けまして、早急に法人幹部の来省を改めて求めまして、法人内での徹底した調査、説明責任を果たすように、改めて強い指導をしたいと思います。その上で、その後の法人からの報告内容や、あるいは対応状況を踏まえまして、必要かつ極めて厳正な指導を行いたいと考えてございます。以上であります。

記者)
 宇宙関連で、1点、お伺いしたいんですけれども、今、JAXAで開発中のH3ロケットが、去年から打ち上げが今年度中に延期されております。その開発状況の進捗の状況と、その、今年度中に打ち上げということですが、打ち上げ時期の目途などについて、もしお話いただけるようでしたらお願いします。

大臣)
 H 3ロケットにつきましては、昨年、新たな開発をしておりましたエンジンにですね、タービン羽根の損傷等の技術的な課題が確認をされました。そのことから、その対応を確実に行うために、昨年度予定されておりました試験機初号機の打ち上げを、今年度中に延期するなどの計画の見直しを行ったところでございます。現在、説明を受けておりますのは、今年度中の試験機初号機を、打ち上げに向けまして、エンジンの課題を克服するために必要な開発や検証試験を今行っているところでございます。文部科学省としては、引き続きJAXAと連携しまして、H 3ロケットの開発に取り組んでまいりたいというふうに思います。故障した箇所につきましても、不具合は、燃焼室内内側の壁面が溶融しまして、穴が開いたということで、写真もちょっと拝見をいたしました。あるいは2つ目は、燃料を燃焼室に供給するターボポンプのタービンの羽根が損傷したということでありまして、この辺の不具合を、今、十分な検討をしながら修正を加えているところでございます。そういう状況です。

記者)
 留学生を含む外国人の入国が原則停止されました。このことへの受止めと、入国再開を喜んでいた留学希望者らに落胆の声も広がっていますが、今後、文科省として、どのように対応されていくのか、お聞かせください。

大臣)
 昨日、総理記者会見がございまして、お話を聞いておりましたんですけれども、総理が発表されました通り、オミクロン株への緊急避難的な予防措置として、本日11月30日(火曜日)に、午前0時以降、当面1か月の間、外国人の新規入国が停止をされました。また、日本人につきましても、南アフリカなど9か国を加えてですね、オミクロン株の感染者が確認された又はその疑いのある14か国から、地域から、帰国する場合に、リスクに応じまして、指定施設で厳格な隔離措置を実施をすることになりました。これに伴いまして、文部科学省の関係では、非常に懸念をしております留学生をはじめ、さらには文化やスポーツのイベントのために来日を予定しておられた方々につきまして、原則としてやはり入国が認められなくなったということであります。一方で、今回の決定、オミクロン株の詳細がある程度明らかになるまでの緊急避難的な措置でございます。文部科学省としては、オミクロン株の分析状況を踏まえつつ、外国人留学生や文化・スポーツ関係者の入国の可能性につきまして、引き続き、関係省庁と検討を進めてまいりたいと、担当の職員とも、今、話をいたしているところであります。で、今回の措置によりまして、地域経済や経済に大きな影響があると思います。急遽入国が叶わなくなった方々、その関係者をはじめ、多く国民の皆様に大変なご不便やご苦労をおかけをいたしますけれども、総理が昨日述べられているように、未知のリスクに対する緊急的な対応でありますので、ぜひ現時点で、ぜひご理解をいただきたいということ、そのことを強く願ってございます。色々と迷惑がかからないようにですね、できるだけの手配は、連絡は取りながらということでございます。来日される予定の文化団体の方々もおられると思いますので、開催できるかどうか、その辺のこともやっぱり気になるところでありますので、できるだけの対応はしたいというふうに、そのように考えてございます。

記者)
 日大の件で改めてなんですけれども、共同通信さんも伺っていたんですが、まず、田中理事長のですね、進退に関して、辞任等の在り方について、大臣、どのようにお考えなのかというのが1点と、それから私学の、私学経常費ですね、今年度の分に関しては交付が留保されている状態、日大はそういう状態だと思うんですけれども、今後、経営の改善状況、ガバナンスの改善状況を見て交付するかどうかの判断をなされると思いますが、近年の事例を見ると、例えば、理事長が着服事件を起こした大阪観光大ですとか、それから留学生の行方不明問題を招いた東京福祉大は不交付という判断になっているわけですが、そうした事例と比較しても、理事長や理事がこういった形で逮捕されるというのは相当重たい事案だと思いますけれども、日大に関して、交付されるという判断はどういう改善が行われれば交付されるという判断があり得るのか、その辺りのお考えを伺いたいなと思います。

大臣)
 理事長がお辞めになるかどうかにつきましては、まず、日大の中で十分な議論をしていただきたいという、大きな責任を負われていますし、これから、司法の方で色々とお調べになっていくと思いますんですけれども、それはまず、こういうことになってしまったということをですね、今までの過程、そしてどう改善をしていくか、そのときに理事長がどういう責任を負われるかということは、まず、内部でしっかり議論をされるのが筋であると思っております。大変、私が、我々文部科学省としてはですね、先ほど申し上げましたように、極めて遺憾であると同時に、非常に、社会から見ても納得のできる、今の、状態ではないですね、これは。それとですね、日本大学への経常費の補助金につきましてはですね、先月開催されました日本私立学校振興・共済事業団の運営審議会におきまして、一時交付を保留するとの決定がなされました。二次交付となったら来年になってくるのですけれども。これは、今回の事案の重大性に鑑みまして、今後の捜査の状況や法人の対応状況を引き続き確認する必要があるとの判断でございまして、来年1月に、今申し上げましたように、開催される運営審議会において、改めて、減額、あるいは不交付の要否等について議論をいただくことになります。日本大学としては、さっきも申し上げたんですけれども、捜査に全面的に協力して、法人自ら真相究明の調査を徹底的に行って、二度とこのようなことが起こらない改善方策を早急に策定をされて、直ちに実行に移すことが不可欠であるということは申し上げた通りであります。公共性が高い学校法人でありますので、社会に対して説明責任を果たすということが一番必要なことであります。経常費の補助金の交付につきましてはですね、大学からの報告も踏まえた上で、日本私立学校振興・共済事業団の運営審議会が判断することになりますけれども、私としては、今回の事案の重大性や明らかになった事実関係を踏まえて、極めて厳正な判断がなされることが重要であると認識をいたしてございます。深刻に受け止めておるということだけお話を申し上げておきたいと思います。

(注)「環境の機会」と発言しましたが、正しくは「環境教育の機会」です。

(了)

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