末松信介文部科学大臣記者会見録(令和3年11月24日)

令和3年11月24日(水曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

大学研究力強化委員会の開催について、学校におけるいじめの重大事態調査への取組について、大学における対面授業について、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた学生等の修学状況とその支援について、「こども庁」創設について、日本大学理事が背任容疑で逮捕された件

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和3年11月24日(水曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年11月24日末松信介文部科学大臣記者会見

令和3年11月24日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私からは1件でございます。この度、科学技術・学術審議会の下に新しく設置をされました「大学研究力強化委員会」の第1回会合を、12月1日(水曜日)に開催することになりましたのでお知らせを申し上げます。本委員会では、世界と伍する研究大学のみならず、多様な研究大学群の形成に向けまして、大学の強みや特色を伸ばす方策であるとか、地域の中核となる大学の支援策など、幅広い観点から議論を行っていただく予定であります。東北大学の大野総長を主査とします17名の有識者で構成をされまして、国立、公立、私立大学の関係者のみならず、若手研究者や産業界の方々などにも幅広く参加をいただく、そういう予定でございます。我が国の成長とイノベーションの創出に当たりまして、大学の研究力を強化することは極めて重要であると考えております。文部科学省として、本委員会での議論は、我が国の全体の研究力を強化していくということになりますので、皆さんのご理解のほどお願いを申し上げます。とりあえず、私からは1点だけでございます。

記者)
 先日開かれた「いじめ防止対策協議会」に関連してお伺いします。いじめの重大事態について、一部で、学校が問題を小さく捉えようとするという意識を背景として、重大事態調査に結びつかないケースがあるという指摘があります。先日の協議会の中でも、委員の方から、学校にとって、重大事態調査は心理的抵抗やハードルが高いという発言がありました。こうした学校現場の状況を踏まえて、重大事態を的確に把握するためにどのような取組が必要なのか、改めてお考えを教えてください。

大臣)
 大変重要なご指摘だと存じます。22日(月曜日)に「いじめ防止対策協議会」におきまして、重大事態調査は1~2年を要する事案が多いということ、しかも人員面とか予算面でも負担が大変大きいことから、各学校においても心理的ハードルが高いんじゃないかという、そういった趣旨の意見が出たと伺ってございます。その通りだと思うんです。「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」におきましては、公平性と中立性、確保した調査体制の構築が重要であるというように示されております。その際にはこうした人員・予算などの調整も含めまして、調査委員会の体制面や具体的な運用面の、特に体制面と運用面ですね、この2つの面も大変課題となっておるものと考えてございます。いずれにいたしましても、協議会におきまして議論が始まったばかりでございます。今後、更に審議を深めていただくために、学校や学校の設置者によるいじめの重大事態調査が、円滑に適切に実施されるように、学校現場の具体的な課題の解決に資する提言を行っていきたいと考えてございます。文部科学省としては、年度末に予定されております本協議会の審議結果を踏まえまして、重大事態調査における初期対応の改善や、いじめに対応する体制整備の更なる推進を図っていきたいという、そういう認識に立ってございます。

記者)
 大学の対面授業の調査結果が、先週末に公表されました。対面の割合が半分以下の大学や、学部、学年によって対面が少ない大学が依然としてあります。大臣の見解をお伺いします。併せて、こども庁の創設が2023年度に先送りされ、幼保一元化も見送りになるという見方が出ていますが、事実関係や見解についてお聞かせください。

大臣)
 まず、最初のご質問の、対面授業が著しく低下する、しているんじゃないかというご指摘でございます。先週のですね、19日(金曜日)に公表しました今年度の後期の各大学等における授業の実施方針に関する調査の結果では、回答のあった大学のうち、約98%が授業全体の半分以上を対面で行う方針を明らかにしてございます。そういうように報告を受けています。この結果は、各大学におきまして、感染対策を講じながら、学生がキャンパスで学ぶ機会を確保するための工夫に努めていただいていることを示すものと考えておりまして、各学校の努力を、これを了としたいとは思います。そして、一方で、これまで繰り返し申し上げておりますが、大学における教育の中でですね、豊かな人間性を涵養するには、やはり学生同士が語らったりとか、学生と教師の間で色んな議論をするということは、これは、人的交流というのは一番必要なことでありますので、これは、生きた学校現場の正しい姿だと私は思います。こうした観点から見ると、対面での授業の機会が十分確保されていないという、いない例とかですね、あるいは学年や学部によって学びの機会に差があるといった例も散見されることは事実でございます。依然として、学生が安心して学修に専念できる環境の確保に向けまして、課題も残っているものと考えてございます。文部科学省といたしましては、学生の、まず、学修機会の確保と感染対策の徹底の両立がやはり重要であるという認識です。地域の感染状況等を踏まえまして、やむを得ず対面授業の実施が難しいと大学が判断する場合であっても、生徒さんの学びをしっかりとフォローしていくということ、学生の皆さんが納得していただける、その説明責任は必要であるということを考えます。文部科学省といたしましては、今回の調査結果を踏まえまして、学生一人一人の立場に立って、そしてきめ細かな配慮をいただくよう、改めて、各大学に要請をしたところでございます。今後とも、感染対策を講じながら対面授業を実施する大学等の工夫の例の発信等を通じて、良い例があったら、どんどんこちらの方が拡散していって、ぜひそれを提供していっていただきたいと思うんですけれども、コロナ禍にありましても学生の学修機会を十分確保するように支援に努めてまいりたいと思います。
 それと、こども庁の設置でございます。先ほど閣議の前でばたっと野田先生と顔を合わせましたけれども、別に何があったわけじゃないんですが。こども庁の検討状況につきましては様々な報道が出ております。内閣官房からは、「こども庁の体制や発足時期について決定したとの事実」はまだございません。「予定通り、年末までに基本方針を決定する」と。可能であればですね、「来年の通常国会に法案を提出する」という、そういうスケジュール感を持って、今、検討を進めているというふうに伺ってございます。幼児期の教育につきましては、幼稚園はもとより、保育所や認定こども園で行われております保護者のニーズの高まりに応じまして、学習や生活の基盤となる力、いわゆる非認知能力ですね、点数では計りにくい、生きていくために必要な力ということが非認知能力と思うのですけれども、こうした育成とか教育的な要素がますます求められておりますので、小学校との接続が一層重要になってきているというのが文科省の判断でございます。文部科学省といたしましては、こども庁やこども関連施策につきまして、関係省庁との連携や制度の改善に一層努めていくべきであります。その際、福祉との連携を十分図りながら、教育の一貫性・継続性と、これを確保した上で対応する必要があると考えています。いずれにいたしましても、幼児教育の在り方につきましては、教育全体に及ぼす影響が大きいものでありますので、冷静な検討が必要であるという、慎重にも慎重を期した、そういう対応が必要であるというふうに考えてございます。以上が、私どもの、こども庁に対する現状の立ち位置でございます。

記者)
 日大の背任事件についてお尋ねします。先日、元理事が起訴されまして、大学のガバナンスに関する問題になっているにも関わらず、現在まで、田中理事長から何らの説明、釈明がありません。このことについて大臣のお考えを伺いたいと思います。

大臣)
 大変、我々も懸念はしてございます。日大の元理事の追起訴とか、今回の背任事件での損害額が4億2,000万円に及ぶということでありますので、まあ可能性があるということでございますので、田中理事長の税務申告漏れの疑いもあることも報道では承知をしているという段階でございます。それで、一応、公共性が極めて高い学校法人におきまして、元理事が二度も起訴されたことや、法人を代表する理事長個人の税務申告漏れの疑いが報じられる事態は、極めて遺憾でございます。文部科学省としては、既に、法人自ら、真相究明の調査を行い、説明責任を果たすことを指導しているところでございます。その指導を踏まえまして、内部調査につきましては、第三者としての弁護士を加えた体制で行っているという報告を受けてございます。調査は、元理事や理事長個人の問題にとどめず、法人全体の問題として、法人のガバナンスとか、あるいは経営体制の問題がなかったか、徹底的に調査することが不可欠と考えます。また、説明につきましては、ホームページでコメント等にとどまっていることは大変遺憾でございますので、捜査中であっても、調査で明らかになったことは、社会に対してしっかり説明する必要があるという、そういう認識に立ってございます。大学関係者の方々も色々と話合いに来られておりまして、日大だけの問題じゃないのですけれども、このことについては、同じ大学仲間として深い懸念と関心を持っておるという厳しいお言葉も頂戴いたしておりますので、その文科省が持つ空気感は十分伝わっていると思ってございます。捜査の状況は見守りたいと思います。

記者)
 先週、対面授業の調査結果公表の際に、当日に大学生の中退と休学についての発表もあったかと思います。その中で、コロナ影響を理由にした学生が前年度と比べてかなり増えていたかと思います。経済困窮や精神的な理由で休学される方も多かったと思うんですけれども、大臣の受け止めと学生が学業を続けるために必要な支援についてどのようにお考えか伺います。

大臣)
 先ほどの質問に関係するところだと思います。コロナウイルスの影響と、大学を中退、休学ということで、学生が昨年度期で大幅に増えているんじゃないかというご質問だと思うんですけれども、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた学生の各大学等における支援状況とそれと修学状況について調査を実施し、先日19日に公表したわけです。今、その質問だと思うんですけれども。主な結果としましては、中退者数につきましては、昨年度と今年度4月から8月までの状況を比較したところ、全体としてわずかに減少しておりますが、そのうちコロナを理由とした中退者数は、今年度は増加してございます。ご指摘の通りです。また、休学者につきましては、今年度、若干増加しておりまして、コロナを理由とした休学者数も増加しております。中退、休学の背景としては、これは、経済的な困窮が主な理由となってございます。それぞれ、中退が20.7%、休学が16.2%という数字であります。文部科学省といたしましては、コロナ禍の学生等への経済的支援につきましては、高等学校の修学支援新制度及び貸与型奨学金等につきまして、家計が急変した場合は随時申込みを受け付けるなど、きめ細かな支援を継続してまいったところでございます。これはもうホームページなりに出ておりますのでご覧をいただきたいと思います。加えて、19日に閣議決定された経済対策におきましては、厳しい状況にある学生等の学びを継続するための緊急給付金の支給を決定したところでありまして、スピード感を持って対応できるように努めてまいりたいと思います。また、調査結果を発表いたしました同日、各大学に対しまして事務連絡を送付しまして、経済的に困難な学生につきましては、授業料の納付猶予を考えてほしい、あるいはきめ細かな相談体制をとってほしいという、このことを要望を出しております。いずれにしましても、文科省は、大学独自の取組につきまして、利用者でございます学生等にわかりやすい形でホームページで周知したいと考えております。引き続き、経済的に困難な学生が修学とか進学を諦めることのないように、粘り強い支援をという、その考えでございます。補正予算の審議はこれから始まりますので、緊急の給付金については、大体お聞きの通りだと思うのですけれど、まだ、これから審議でございますので、ここでの詳しい話は差し控えたいと思います。

(了)

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