末松信介文部科学大臣記者会見録(令和3年11月19日)

令和3年11月19日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

公立小学校への視察、教員免許更新制の発展的解消、いじめ防止対策協議会、新たな日本人宇宙飛行士の募集開始、子供に対する新型コロナワクチンの接種について、GIGAスクール構想の実現に向けた1人1台端末の整備、新型コロナウイルス感染症と文化芸術団体への支援

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和3年11月19日(金曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年11月19日末松信介文部科学大臣記者会見

令和3年11月19日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から、数多いのですけれど4件ございます。まず、連雀学園三鷹市立第六小学校の視察につきましてです。昨日、連雀学園、三鷹市、第六小学校を視察をいたしました。この学校では、コミュニティ・スクールを導入しており、授業視察のほか、放課後子供教室においては、地域の方や学生たちが子供たちの学習を熱心にサポートをされておられる様子を見たところでございます。また、関係者の方々とご意見交換をしました。地域の協力で、教員の負担を軽減をすると、「子供たちの成長を支えていきたい」という声が出ました。コミュニティ・スクールがこれから学校運営に欠かせない仕組みであるということを実感をしたところでございます。今回の視察を踏まえまして、コミュニティ・スクールの推進に一層取り組むとともに、積極的に現場に出向いて、皆さん方の耳に声を傾けてまいりたいと思ってございます。国内で9,800校を超えるところで、このコミュニティ・スクールは、今、既に導入をされております。記者の皆さんもお詳しいと思いますけれども。
 次に2つ目は、教員免許更新制の発展的解消に関する制度改正のスケジュールについてでございます。今月の15日、中央教育審議会の特別部会におきまして、審議のとりまとめがなされました。内容は、「令和の日本型学校教育」を担う「新たな教師の学びの姿」が打ち出されたところでございます。この審議のまとめでは、1つ目、教員免許更新制の発展的解消、2つ目は、研修について主体性を有しない教師に対する対応などを明らかにするための国の指針の改正、3つ目は、公立学校教師の任命権者に対する、研修受講履歴の記録管理や、受講の奨励の義務づけなど、新たな教師の学びの姿を具体化するための提言がなされております。私といたしましては、この審議まとめを踏まえた新たな仕組みに早期に移行する必要があると考えたため、先日、事務方に対しまして、教員免許更新制の発展的解消、これが1つ。2つ目は、国の指針の改正について、次期通常国会で法改正をお認めいただいた場合、時間を置かずに速やかに施行する方向で検討・調整を進めるように指示したところでございます。仮にこうした内容を盛り込んだ法改正が実現した場合、来年度、法律が施行されて以降に免許の有効期限を迎える先生は、大学における免許状更新講習の受講や免許の更新の手続の必要がなくなります。各大学におかれましては、こうした状況を踏まえて、来年度の免許状更新講習の開講について、適切に判断をいただきたいと考えてございます。また、3点目、公立学校教師の任命権者に対します記録管理の義務付けにつきましては、都道府県等において準備が必要です。そのため、令和5年度から実施することを念頭に置いて、来年度、国会で法律改正をお認めいただいた場合、できるだけ速やかに実施いただけるよう、都道府県等に働きかけていきたいと思っております。文部科学省としては、省をあげて次の通常国会に向けた法改正や必要な準備を進めてまいります。
 次の、3点目の冒頭発言、いじめ防止対策協議会の開催についてであります。今般、いじめの重大事態への対応において、様々な課題が指摘されており、調査委員会の体制面や具体の運用面につきまして、いじめ防止対策推進法に基づく徹底した対応が強く求められていると認識をいたしてございます。このことから、各教育委員会等に対する指導助言を徹底することと並行して、来週22日(月曜日)より、いじめ防止対策協議会を開催し、重大事態調査における初期対応や調査体制の在り方等について、年度内を目途にご議論をいただくことといたしました。文部科学省としては、本会議の審議結果を踏まえまして、いじめに対応する体制整備の更なる推進も含め、いじめの対策に、引き続き、全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次は冒頭最後でございます。新たな日本人宇宙飛行士の募集開始についてでございます。本日より、宇宙航空研究開発機構(JAXA)において、新たな日本人宇宙飛行士の募集を開始をしますので、発表させていただきます。今回の募集では、多様な方々に応募いただけるよう、応募資格におきましては、学歴や専攻分野を問わないことといたしました。選抜試験におきましては、宇宙飛行士として必要となる自然科学系等の素養を審査することとなります。また、有人宇宙船への搭乗時に求められる身長等の身体的要件につきましても、大幅に緩和をいたしました。応募期間は来年3月までとしまして、その後約1年をかけまして、若干名を選抜する予定でございます。募集要項等の詳細につきましては、後ほどJAXAのホームページに掲載する予定であります。今回新たに募集する宇宙飛行士は、月周回有人拠点「ゲートウェイ」や月面が活躍の場となることが見込まれます。我が国の宇宙開発利用の未来を切り拓き、人類や社会への貢献を志す多くの方々に、積極的な応募を、お待ちをいたしております。以上、冒頭4件、皆様方にご報告をさせていただきました。よろしくお願いします。

記者)
 新型コロナウイルスの子供のワクチン接種についてお伺いします。先日、5歳から11歳のワクチン接種について、早ければ来年2月にも始める可能性があるというふうなことで、厚労省が、自治体に準備を要請しました。コロナ重症化リスクの低い子供のワクチン接種については、慎重な意見もあるほか、ワクチン接種の有無が新たな差別を招くのではないかというふうな懸念もあります。改めて、大臣のお考えと、文科省として、不安の払拭に向けて何か具体的に取り組んでいくことがあるのかどうか教えてください。

大臣)
 大事な点をご指摘をいただきました。5歳から11歳までの子供に対する新型コロナワクチンの接種につきましては、現在、厚生労働省の分科会におきまして議論をされていることは承知をいたしてございます。また、子供へのワクチンについて、様々な声もあるということも承知をいたしてございます。我が国におけるワクチン接種の対象者につきましては、厚生労働省におきまして、今お話があったように、今内部で議論をいたしておりまして、有効性と安全性を確認するなど適切に対応していただけるものと考えてございます。いずれにしましても、ワクチン接種を受ける又は受けないことによって、差別とか、あるいはいじめなどが起きることはあってはならないと強く考えてございます。文部科学省としては、厚生労働省における検討を注視をしながら、その結果を踏まえて、必要な対応をいたしてまいりたいと思います。慎重には考えてございます。よろしくご理解のほどお願い申し上げます。

記者)
 学校のICT環境整備について伺いたいと思います。GIGAスクール構想では、義務教育の部分は、全国100%、全ての学校にICT環境を整備するとなっていますけれども、今年春までに一気に進んだわけなんですが、ただ、足元を見ると、やっぱり100%の少し手前のところでちょっと足踏みしちゃっているかなという印象を受けています。その理由はですね、1人1台端末の部分は、まだ、数十自治体が未整備になっていて、一方で、通信インフラを見ると、光回線の整備状況がまだ多くの学校で不十分になっております。現実的に、個別の自治体や学校の実態がまだ十分に把握しきれていないというところもあるのかもしれませんが、この環境をですね、100%にするためにどういうふうに取り組まれるおつもりなのか。本日発表される経済対策ですとか、また、補正予算でもご対応があれば、それも含めてお考えを伺えればと思います。

大臣)
 今のご指摘の件です。これまで私もかなり現場を見てまいりまして、したところですけれども、これまで「GIGAスクール構想」の実現に向けまして、1人1台端末環境の環境整備を急ピッチで進めてきました結果、概ねですけれども、この全国の小・中学校におきまして端末整備完了の目途が立ったと思います。一方で、一部整備が完了していない自治体も残っていることから、今ご指摘の点につきましては、ICT環境整備に関する助言等を行うために「ICT活用教育アドバイザー」を派遣をするなど、きめ細かな伴走支援を行い、1日も早い整備完了を目指していきたいと思ってございます。確かに、100%でないと思っております。私も、省内でICT活用教育アドバイザーはどれぐらいいるんだと話を聞きましたら、100人以上の人間は、アドバイザーは確保いたしてございますので、できるだけの対応をして、100%に、限りなく100%に近い整備を目指したいと思ってございます。それと、今ご指摘の光回線の話ですね、通信インフラのことですが、高速大容量の校内通信ネットワークについて、ほぼ全ての学校で整備が完了したと思ってございます。しかし、今のお話の通り、実態調査を行ったところ、十分な接続速度を確保できていない自治体とか、ネットワーク環境の事前のアセスメントを実施する予定がないと回答した自治体が一定程度あることがわかりました。このことにつきまして、総理官邸で取りまとめられました「新しい資本主義実現会議」の緊急提言におきましても、「学校における通信環境の安定化の支援等に取り組み、新たな学びの環境の整備を推進する」こととされております。こうした状況を踏まえまして、文部科学省としては、民間事業者を活用して学校のICT運用を広域的に支援をする体制を整備したいと考えております。具体的には、学校への支援をワンストップで行う「GIGAスクール運営支援センター」を各都道府県に緊急整備するとともに、全国一斉に学校ネットワークの点検と応急対応に取り組みたいと思うところでございます。以上のことを考えてございますが、経済対策につきましても、引き続き、その中に盛り込まれるようにと、これからの審議が始まって参りますのですけれども、努力したいと考えてございます。

記者)
 1つフォローさせてください。一昨日のデジタル臨調の中で、デジタル臨調というのはデジタル庁を中心に政府で開かれたと思うんですけれども、その中で、萩生田経産大臣が、まさに学校の光回線の整備については、どこか1つの省庁、おそらく文科省だけでもやりきれない問題で、いわゆる光回線が届いていない島とか中山間地とか、そういうところ全てにですね、全ての学校に光回線を届けないとやっぱり令和の日本型教育の標準となるデジタル教科書を使ったような学びは完全にはできないんじゃないかという、それを国をあげて取り組んだ方がいいんだということをおっしゃっていました。つまり、今の現状みたいに、自治体で任せてやる形になっているとどうしてもやりきれないところが出てきてしまうというのが現状にあると思うんです。それについて、まさに国全体で他の省庁とも一緒になって、民間業者とも一緒になって何か新しい取組をしたりとかですね、また、予算措置等々をお考えになったりすることはありますでしょうか。

大臣)
 ご指摘の点、私の兵庫県の沼島とか家島とか、島が、離島がございます。地域格差が教育格差につながると、教育の環境格差につながるということは、私はあってはならないと思ってございますので、それは、きちっとした平等な感覚でですね、正しく判断をしてまいりたいと思っておりますので。萩生田大臣がおっしゃったことは、私もそのことは支持をしたいと思ってございます。念頭に置いて、今のお話、受け止めたいと思います。

記者)
 一昨日、芸能実演団体の方々が大臣のところに来られて、コロナによる公演中止などの打撃が長期に及んでいる現状を訴えられて、また、国からの更なる支援を要望されました。こうした要望に大臣はどのようにお答えになりましたでしょうか。また、今後お応えになっていかれるでしょうか。今後の文化芸術支援の在り方についての大臣のお考えと合わせてお聞かせいただけますでしょうか。

大臣)
 2つの団体の方がお見えになりました。狂言の野村萬先生、もう1つの団体は野田秀樹さんと、同時に劇団四季の吉田社長さんだったかな、お二人お見えになりました。ほかにもたくさんお見えになったのですけれども、私は、やっぱりこうしたコロナでですね、みんなストレス、フラストレーションが溜まっていく中で、やはりそういう場所が提供されていなかったと、イベントなり興行というのはできていなかったので。やはり、文化というのは大きな癒しになると思いますので、ぜひともに、それは、今の体制、感染状況を見ながら、早く興行を再開して、そして、人々に癒しをもたらしてほしいというご要望をしました。その話の中では、やはり、基本は雇用調整助成金があって、もう一つは5兆5,000億ですけれども、持続化給付金も対応、かなりのケース、件数は忘れましたけど、何百万件だったと思ってございます。これは柱です。ただ、やはり文化芸術の場合は、なかなか役者さんが、ご自分でその身を投じてお芝居なさるから、会社との関係は、非常に色んな、複雑な形態があるということを理解をいたしました。共済制度は作れないのかというご指摘などもありましたけれども、色んな観点で、確かに文化庁も考えないと、こういうような、予期しないような、災害のような感染症が起きた場合ですね、それはやはり、そのときに備える必要があるのかなとも思ったのですけれど、これは、しっかり時間をかけて勉強していきたいと思います。文部科学省におきまして、先方さんに申し上げましたのは、まずはARTS for the future!、AFFですね、ご存知だと思いますけれども、この事業を通じて、感染症対策を十分実施した上で、文化芸術団体による積極的な活動や、公演の中止に伴う費用の支援を行っていますということを申し上げました。また、こうした団体への支援を通じて、公演等に関わっておられる一番困った個人の皆さんにも支援を届けてほしいし、プラスされておられるというお話であったところでございます。現在、政府内で、予算編成で最終調整を行ってございます。令和3年度補正予算におきましても、いただいた要望を踏まえまして、継続的な支援を検討いたしてございます。然るべく、予算対応は、私は出来つつあると考えてございますので、色んな議員からも、文化団体に対する支援の声が高まっているということはここでお話を申し上げておきます。以上でございます。

記者)
 冒頭発言でございました教員免許更新制の関係なんですけれども、ちょっといくつか事実関係の確認を、まずさせていただきたいんですが。教員免許法の改正案を来年の通常国会に出されることを目指すということなんですが、まず、これは、仮に成立した場合はですね、成立日が教員免許更新制の廃止日になるようなイメージということでしょうか。教員免許法の改正案の成立日が、イコール、教員免許更新制の発展的解消とおっしゃっていますけれども、更新制度自体の廃止日になるということでよろしいんでしょうか。

大臣)
 それではございません。

記者
 そうではない。

大臣)
 それにはなりませんけれども、その日は、できるだけ速やかに実施はしたいと考えておりますけれども。成立日ではございません。

記者)
 成立日イコール廃止日という考えではないということなんですね。

大臣)
 ではないです。明確に記述が、まだ、内々で、省内で決めているわけではございません。しかし、私は、省内で、できるだけ速やかに実施に運ぶ、進めたいと思っております。

記者)
 新たな研修制度に関しましては、令和5年度からスタートするイメージというふうにおっしゃったと思うんですけれども、基本的に特別部会の趣旨としては、新たな研修制度の開始、スタートと教員免許更新制の発展的解消は同時だというイメージでおそらくこのご提言をまとめてらっしゃると思うんですけれども、そのあたり、こう、何かずれが生じるのか、一致させるおつもりなのか、そこがずれるとすればどういう意図でということになるんでしょうか。

大臣)
 大学で、やはり講習を、今までは10年間の免許更新でして、2年間の間に30時間講習を受けてくださいということでありましたから、そういう意味では、大学等で、やはり場所を提供していただかないといかん、その準備のこともあるので、そういう意味では、できるだけ早く対応した方がいいんじゃないかという考え方を持ってございます。それとですね、今あの、公立学校教師の任命権者に対する記録管理の義務づけについてですね、都道府県において準備が必要でありまして、そのため、令和5年度から実施することを念頭に置いて、来年度国会で法律改正をお認めいただいた場合ですね、法律改正をするには国会の了承がいりますので、そこでお認めいただいた場合、できるだけ速やかに実施をいただけるように、都道府県等に働きかけていきたいという、そのように考えてございます。だから、おっしゃる通り、令和5年から新たな研修ということでありますけれど、そこにタイムラグが生じるかどうかということについては、今、省内で検討を進めております。それは、ちょっと今、そこで明確なお答えは差し控えておきたいと思います。

(了)

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