末松信介文部科学大臣記者会見録(令和3年11月16日)

令和3年11月16日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

理化学研究所計算科学研究センター、クリエイティブラボ神戸、国際がん医療・研究センター及び神戸アイセンターへの視察,スーパーコンピュータ「富岳」のスパコンランキング4期連続1位獲得,新型コロナウイルス禍に実施した学校の臨時休業に関する私立大学の研究結果について,旭川医科大学長の解任と次期学長候補者の選出について,中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会について審議のとりまとめ

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和3年11月16日(火曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年11月16日末松信介文部科学大臣記者会見

令和3年11月16日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 どうもおはようございます。会見を始めさせていただきたいと思います。まず、私の方から、幹事社の方、よろしいですか。
 私の方からは、冒頭2件ご報告をさせていただきます。今月13日(土曜日)に、兵庫県神戸市のポートアイランドにございます研究施設を視察をいたしてまいりました。まず、理化学研究所、そして、計算科学研究センターでは、スーパーコンピュータ「富岳」の視察を行ったところです。本年3月の共用開始以来、「富岳」を用いまして、新型コロナウイルス感染症対策につながる様々な研究を進めてまいりました。この研究の成果についての説明を受けるとともに、その他にゲリラ豪雨の予測であるとか、線状降水帯ですね、あるいは航空機の実機フライト試験をシミュレーションで代替する研究などにも「富岳」が利用されているということです。こうした成果を上げていることが確認ができたところであります。今後も引き続き、「富岳」が産学官で幅広く活用できるように、また、新たな研究成果が生まれてくるように支援をいたしてまいりたいと思います。
 次に、クリエイティブラボ神戸、国際がん医療・研究センターですね、ここでは多くのスタートアップ企業が、世界との競争に臨んでいる様子を伺ったところであります。また、国際がん医療・研究センターでは、神戸大学と地元企業が共同開発をしました国産手術支援ロボットシステム「hinotori」を視察しまして、このロボットシステムの操作について体験することができたわけであります。日本もようやく、現場の話では、ダ・ヴィンチに追いついたという話でございます。両施設の視察や意見交換を通じまして、産学共同研究の重要性やスタートアップ創出に向けました支援の重要性を改めて感じたわけでございます。そして、最後に訪問いたしましたのが、神戸アイセンターです。神戸アイセンターでは、ロービジョンケア施設の視察を行いました。髙橋政代先生から、iPS細胞を用いました網膜の再生に関する研究成果を伺うとともに、今後の再生医療研究についての意見の交換を行ったところでございます。文部科学省といたしましては、iPS細胞を使った研究成果をいち早く国民の皆さんに届けることができるように、引き続き、支援をしてまいりたいと存じます。今回の神戸出張を通じて得られたことを、総理の掲げる「科学技術立国」の実現に向けて最大限活かしていきたいと考えております。引き続き、積極的に現場の声に耳を傾け、施設の充実に努めてまいりたいと思います。そして、今日、記事にもなっておりました、スーパーコンピュータ「富岳」のことでございます。日本時間の本日早朝に発表されました、スーパーコンピュータの性能を競います国際的なランキングにおきまして、我が国のスーパーコンピュータ「富岳」が、昨年の6月から4期連続で4部門で世界1位を獲得をいたしました。関係者の皆様のご尽力に心より感謝を申し上げます。そして、敬意を表します。「富岳」は、世界最高水準の計算能力、高い消費電力性能、高い汎用性などを目標といたしまして開発を進めまして、現在、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、幅広い研究に活用されております。今回のランキングで好成績を収めたことは喜ばしいことでありまして、「富岳」の総合力の高さを示したものと考えております。他方で、ランキングだけに留まらず、「富岳」が産学官で大いに活用されまして、重要な社会的・科学的な課題の解決につながる画期的な成果が創出されていくことが大事だと考えておりまして、引き続き、そのための支援を着実に実施をしてまいりたいと、そのように考えております。とりあえず、私から冒頭2つのご報告させていただきました。以上です。

記者)
 昨年春の小中学校の一斉休校の効果についてお伺いします。先日、学習院大の研究グループが、2020年春の小中学校の一斉休校は新型コロナウイルスの感染拡大を抑制する効果があったとは言えないとする研究成果を発表しました。休校することで、学習の遅れですとか子供の心身の健康の悪化を助長するというマイナス面の指摘もありますけれども、研究成果に対する大臣のご見解と、今後もし感染が再拡大した場合に、また一斉休校を要請する必要があるとお考えなのかどうか教えてください。

大臣)
 学習院大学の研究者のグループが、昨年の3月から6月まで実施をされました学校の臨時休業につきまして、コロナの感染を防止する効果がなかったのではないかという研究結果を発表されたことは承知をいたしてございます。ただ、文部科学省としては、今回の発表のあったものも1つの研究結果であるという、そのように受け止めてございます。これまで同様、地域一斉の臨時休業につきましては、まず大事なことは、児童生徒の、きちっと学びの保障をしてあげなければならないということが一点。それと、心身への、今お話がありましたけれども、心身への影響等の観点を考慮しなければならないという点がございます。学校の設置者としては、慎重な検討が必要であるとは考えてございます。今後、感染が再拡大した場合についてはどうかと言いましたら、こうした考え方を基本に置きまして、そのときの感染状況に基づいて適切な対応をしてまいりたいと思ってございます。去年、ずっと1月7日からと時系列を拝見しましたけれど、安倍前総理が要請をされたのは、一斉休業を要請されたのは2月27日の会見で、2月28日からでありました。あの当時というのは、どういう性格のウイルスであるかということが全くわからなかったのではないかと私は思ってございます。色んなやりとりがあったことは予算委員会でも拝聴いたしてございます。今のところ、私の考え方はそういう考えでございます。

記者)
 文科省として1つの研究成果の発表と受け止めているというご見解でしたけれども、文科省として改めて一斉休校の効果を検証するというふうなお考えがあるのかどうか、その点についてはいかがでしょうか。

大臣)
 今のところ、各方面からのご意見をですね、それと、どういう状況であったかということについては、ご報告を随時受けてございますので、それを、内部でまず分析をしてまいりたいと思っておりますので。今のところ、それで私は対応できているというふうに考えてございます。従って、学習院大学の研究グループにつきましても、大切な1つの資料であるというように、そのように考えてございます。

記者)
 昨日、旭川医大の次期学長予定者に西川祐司副学長が決まりました。旭川医大ではですね、吉田晃敏学長の解任手続を文科省が精査中で、ご本人も辞任届を提出されています。学内でも早く決着して大学を正常化したいという声が上がっておりますけれども、現状での吉田学長の解任手続の進み具合と今後の見通しについて教えてください。

大臣)
 まず、こちらの考えを、まず述べさせていただきたいと思います。今のご質問は、吉田さんの、現学長のことについてのお話でございますか。

記者)
 そうです。

大臣)
 西川さんのことではなくてということですか。

記者)
 どちらもお聞きできればありがたいです。

大臣)
 旭川の医科大学の学長選考会議が、昨日ですか、次期学長候補者の最終選考を行いまして、西川祐司さんが選出をされたということはお聞きをしました。次期学長候補者が選出をされましたが、文部科学省としては、まず6月に、学長選考会議から提出されました吉田学長に対するこの解任申出について速やかに手続を進めていきたいというふうに、そのように考えてございます。それでですね、あと、現時点での具体のスケジュールを、これはちょっと、お示しをすることは、これはまだできません。旭川医科大学におきまして、次期学長候補者が選出をされましたので、文科省としては、できるだけ速やかに手続を進めていきたいとは考えてございます。それと、その後に出てくる聴聞の話ですけれどもね、国立大学法人の学長の解任につきましては、行政庁が行う不利益処分に該当するために、行政手続法に沿って、則り、当事者に対する聴聞を行う必要がございます。人事のことでございますので、これ以上のコメントはちょっと差し控えたいというふうに思ってございます。これで、全てでございます。

記者)
 昨日の中教審特別部会で、教員免許更新制の発展的解消を盛り込んだ審議まとめが了承されました。その受け止めと法改正を含む今後のスケジュールについてご見解をお伺いしたいと思います。あと関連して、検討の方向性案も示されましたが、どのような議論を期待し、いつ頃に結論を得たいと考えているのでしょうか、お伺いします。

大臣)
 ご質問いただきましてありがとうございます。昨日、夕方か、お見えになったのは夕方でしたね、中央教育審議会の渡邉会長、加治佐部会長がお見えになりました。「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会についての審議のとりまとめがなされたということで、ご報告を頂戴をいたしました。まず、携わった、提出をいただきました先生方、関係された先生方に心から御礼を申し上げたいと存じます。この審議のまとめにつきましては、公立学校の教師の任命権者に対する、研修受講履歴の記録管理や履歴を活用した受講の奨励の義務づけ、そして、教師の資質能力に関する国の指針の改正など、新たな教師の学びの姿の実現に向けた方策を実施すると同時に、昨日、今日もだいぶ記事になっておりましたけれども、教員免許の更新制の発展的解消を検討するということが適当であるという内容が盛り込まれております。私といたしましては、その場所でも申し上げましたが、この審議まとめの内容を、スピード感を持って実現できるように、省をあげて次の通常国会に向けた法改正や必要な予算の確保を努めてまいりたいと思います。それと、法改正につきましては、現在、法制的な検討や関係省庁との協議も含めまして、具体的な検討・調整も行ってございます。この中で、教員免許更新制の発展的解消のタイミングについても取り扱われることになってございます。文部科学省としては、可能となった段階で、情報発信を皆様にさせていただきたいと思ってございます。国民の皆さんにそういうふうに発信をしたいと思ってございます。で、特別部会で示されました検討の方向性というのは、たぶんお読みになったと思うのですけれども、教師の養成、採用、社会人等の登用促進、研修について、今後、小委員会において専門的な議論を行うことが了承されたと伺ってございます。変化の激しい予測困難な時代でありますので、この点、養成・採用・研修の在り方について幅広く議論をしていただいて、来年の夏に、小委員会においても一定の結論を出していただきたいというふうに、そのようになっております。長くなりましたけれども、大事な昨日のまとめ案を頂戴いたしましたのでお話申し上げました。以上でございます。

記者)
 今の読売さんの質問に関連してなんですけれども、大臣がおっしゃられた免許更新制で、講習の履歴を活用した履行の奨励の義務づけとか、任命権者の中でですね、萩生田前大臣が、8月の時点では、仮に講習を受けなかった場合に処分もあり得る旨の発言があったと記憶しているんですけれども、現場の方では、要するに、講習を受けなかった場合の懲罰的なものが何か起こるとすれば、それはちょっと懸念材料であるという話があると思うんですが、この点について、大臣、萩生田大臣と当然見解が同じだったり違ったりすると思うので、この講習を奨励する中で、講習を受けなかった場合の対応というので、今考えていらっしゃることがあればお願いをします。

大臣)
 公立学校の教師の研修を考えるに当たりまして、やっぱり一番大事なのは、意欲と主体性を尊重するということが基本であると、このように考えてございます。今、指摘されました、共同さんが指摘された、研修受講の、言わば職務命令ですね、に関して、審議まとめにおいてのお話もあるんですけれども、一方的に研修を命じるのではなくて、教師と学校の管理職とが、これまでの研修受講履歴を活用しながら対話を行っていくという、しっかりとキャッチボールをしてほしいというのが私の思いです。それを踏まえて、研修の実施や受講の奨励を行うということを考えておりますので、まとめ案についても、そのようなお考えであると、私は認識してございます。その上で、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合ですね、認められない場合には、やむを得ない場合には、職務命令を通じて研修を受講させる必要が出てくることもあるかもしれないということであります。でも、そこへ行き着くまでには、相当のことをお願いして、何度も何度もお願いをした上でも嫌だと、全く意に介さないというようなことになった場合であってですね、そういう先生が、私は多く存在するとは考えておりませんので、今、具体的に想定するものじゃないのですけれども、きちっと、それに代わる研修制度というのは、研修は受けていっていただきたいなということ、これから全て計画は組んでいきたいと思ってございます。以上です。

記者)
 読売新聞さんが伺ったその特別部会の今後の検討の方向性の関係でちょっと伺いたいんですけれども、この中の議論でかなり前面に打ち出されているのが、この特別免許の活用であると。要は、外部の方ですね、アスリートであったりとか何か専門家であったりということで、大臣、今、変化の激しい時代なので、そういったものに対応が必要だということで、そういう趣旨もあるんだろうというふうに思うんですけれども。一方で、教員免許の養成課程であるとか教職課程という、専門家を育てるという前提でですね、教員の養成というのは行われてきていると思うので、その点に関して、あまり特別免許を拡大しすぎると、もちろん変化は必要なんでしょうけれども、教員の養成制度とか教員の専門性というのを脅かすんじゃないかとかですね、そういう懸念がかなり専門家から出てるんですが、その特別免許の活用とか外部人材を教員として登用していくということに関して、どの程度とかですね、どのくらい、どのような学校のイメージというのを、その、大臣として抱いておられるのかというのを伺いたいんですけれども。

大臣)
 ご質問いただきました特別免許状の制度ですけれども、これは、私が地方、県議会議員の2期目のときに始まった制度であると記憶しております。免許がなくても優れた知識・経験を有する社会人等が教員として迎えられることによって、学校教育の多様化への対応であるとか、活性化を図るために授与権者の行う教職員検定により、学校種及び教科ごとに授与する教員の免許であると。そういう定義付けをされたところで、なかなか画期的になったなと、当時そのように記憶をしております、もう36年も昔の事になったのですけれども。今おっしゃったように、絶えず変化していく学校とか社会のニーズに対応していく上では、学校の教員組織は、やはりより多様な知識経験をもって構成、そういった人材で構成されることが望ましいとは考えております。でも、こうした多様な知識経験を有する人材を活用する上で、特別免許状の制度というのは重要なんですけれども、ただ、ここに来て、年間受験数、授与件数が、調べている資料を見ましたけれど、200件程度に留まっておると。で、教職課程を経て授与される普通免許状の授与件数というのは年間20万件ですから、それに比べれば本当に低いものでありますから、私は、これによって今の制度がですね、現普通免許状のこの制度が、侵されるとか、特異な形で何か間違った変化を与えているとかいうことは、私はないというふうに、そういうふうに思ってございます。特別免許状は、都道府県教育委員会が、教科に関する専門的な知識経験や技能を有することや、教員の職務を行うに必要な熱意と識見を持っていることについて審査した上で授与されるものでありますから、非常に慎重に慎重を期して断を下していくわけでありますので、私は、現状でも差し支えないと思っております。わずか200件と思っておりませんでした、20万に対して。そういう状況でございます。何かありましたら、よく文科省内で議論をしていきたいと思います。

(了)

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