末松信介文部科学大臣記者会見録(令和3年11月10日)

令和3年11月10日(水曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

海洋研究開発機構横浜研究所、公立小学校、理化学研究所横浜地区、公立中学校夜間学級の視察について,イプシロンロケット5号機による革新的衛星技術実証2号機の打上げについて,星出宇宙飛行士が搭乗する米国民間宇宙船の帰還について,裁判員の選任資格年齢の引き下げにおける対応について,GIGAスクール構想による1人1台端末の不適切な使用について,与党で合意した現金給付について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和3年11月10日(水曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年11月10日末松信介文部科学大臣記者会見

令和3年11月10日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から3件ございます。横浜市における研究機関及び学校と江戸川区の学校視察についてでございます。一昨日、8日(月曜日)、海洋研究開発機構横浜研究所、そして横浜市立葛野小学校、そして理化学研究所の横浜地区を、また、昨日9日(火曜日)ですけれども、江戸川区にございます江戸川区立小松川第二中学校の夜間学級、いわゆる夜間中学を訪問いたしてまいりました。まず、8日の視察についてであります。海洋研究開発機構横浜研究所では、本年眞鍋淑郎博士がノーベル賞を受賞された気候変動予測研究につきまして説明をいただきました。また、南海トラフ巨大地震の事前察知に重要でありますスロースリップの観測につきまして話を伺ったところです。海洋の重要性はもちろん、グリーン社会実現や防災に関する研究開発の重要性に対しても理解が深まったものと自分なりに思ってございます。3つ目は、横浜市立葛野小学校では、医療的ケアを実施しますスペースや器具を拝見しまして、児童に対する医療的ケアの実態や学校における働き方改革の取組について話を伺い、現状や課題について意見交換を行いました。議員立法でも、医療ケアのことにつきましては、皆さんご承知の通りでございます。医療的ケア実施のための体制構築や働き方改革は、何か一つやれば解決するというものではありません。私が先頭に立って、あらゆる手立てを尽くして取り組みまして、成果を出していきたいというふうに考えてございます。頑張っていきたいと思います。4つ目は、理化学研究所横浜地区でクライオ電子顕微鏡や核磁気共鳴装置NMR等を用いた研究現場を拝見をいたしました。こうした最先端の研究機器を、国がしっかりと整備をしまして、研究者に利用してもらう体制を作ることが重要でございます。新型コロナウイルス感染症を含む最新のライフサイエンス研究への理解を深めることができたと思います。昨晩の小松川第二中学校夜間学級の視察では、戦後の混乱期の中で学校に通えなかった方々、不登校状態のまま中学校を卒業した方、義務教育を未修了の外国籍の方など、様々な方が学んでいる様子を拝見をしました。若手の先生からは、「生徒の学びたいという意欲が強く、一人一人に応じた教材研究に励んでいる」と。で、不登校だった生徒からもお話を聞きましたら、「ここで勉強したいと自分で決めて毎日笑顔で通った」と「ここに入って変わった」と「学校は楽しい場所だった」という直接の声を昨日お聞きをいたしました。この2日間の視察を通じまして、気候変動や防災、感染症対策に関する研究開発、基礎研究の強化を確実に進めていきたいと改めて感じたところでございます。また、医療的ケアの更なる充実、学校の働き方改革、夜間中学の設置・促進につきまして、意欲を新たにいたしました。引き続き、積極的に現場の声に耳を傾けまして、施策の充実に活かしてまいりたいと思います。
 もう1点、イプシロンロケット5号機による革新的衛星技術実証の2号機の打上げについてです。昨日9日(火曜日)9時55分16秒に、JAXA内之浦宇宙空間観測所より、イプシロンロケット5号機によります「革新的衛星技術実証2号機」を打上げまして、無事に成功したとの報告を受けております。今回の成功によりまして、イプシロンロケットとして5機連続、基幹ロケットとして52機連続で打上げに成功となり、着実に実績を積んだところでございます。今後、打上げられる衛星に込められた革新的な技術やアイデアが、宇宙空間での実証機会を通じまして、我が国の宇宙産業の振興に貢献できるように努力をいたしてまいりたいと思います。
 最後に、星出彰彦宇宙飛行士が搭乗するクルードラゴン宇宙船の2号機の帰還成功についてです。11月9日(火曜日)12時33分に、星出彰彦宇宙飛行士が搭乗します米国のクルードラゴン宇宙船2号機がISSから地球に無事帰還をいたしました。大任を終えての無事の帰還を心から喜ばしく思います。星出宇宙飛行士は、本年4月より約半年間にわたって、ISSに滞在をされました。滞在中に2人目となりますISS船長を務められたほか、様々な科学実験、船外活動など、日本人最長の記録を更新するなど、素晴らしく活躍をいただきました。星出宇宙飛行士の引き続きの活躍、我が国の宇宙開発利用の拡大や、今後の宇宙探査の発展につながると期待をいたしてございます。長くなりましたけれども、いろんなところを視察いたしましたので報告をさせていただきました。以上です。

記者)
 地方裁判所で行なわれる刑事裁判の裁判員制度ですけれども、来年4月から裁判員の対象年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられると、それで、それに伴いまして高校3年生の一部の生徒が対象になる可能性が出てくるかと思うんですけれども、裁判の中で凄惨な証拠資料の閲覧であるとか、日程的に受験勉強との調整、色々齟齬があろうかと思います。今後、法務省と各地の教育委員会と調整していかれるとは思うんですけれども、今現状で大臣のお考えを、文科省の対応について大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

大臣)
 国会でも若干話題になりました。自民党の中でもちょっと話が出ました。本年5月、少年法の改正がございまして、18歳以上での選挙権のある方の中から裁判員を選任されることになったことは、今、お話の通りなのですが、これによって、高校3年生の一部の生徒から裁判員に選任される可能性が出てくるため、今、幹事の産経さんがおっしゃった話というのは、課題が出てくると思っております。文科省としましては、裁判員制度を所管する法務省と十分連携をした上で、まず、教育委員会と学校現場等の意見をまず伺いたいと思っております。それを十分に伺った上で、高校生が裁判員制度に参加する際に留意しなきゃならない点と学校として配慮の在り方について検討するということが大事だと思うのです。もちろん、70歳以上であるとか高校生であるということで辞退理由にはなると思うのですけれども、しかしながら、大切な国民の一つの義務でもありますから、慎重に取り扱って考えていきたいと思っております。今、鋭意その検討を進めております。

記者)
 GIGAスクール構想を巡って、小中学生がGIGA端末を使って中傷を書き込んだり、あと、フィルタリングを突破して不適切なサイトを閲覧したりする事例が相次いでいると、報道が、複数報道されています。多くの税金を導入した事業でこうしたことが起きていることについての大臣の見解と今後の対応策、あとは端末の不適切事例に関する全国調査などのご予定がありましたらお伺いしたいです。

大臣)
 全国各地区のですね、家庭、学校現場でもこの問題が起きていることは承知をいたしております。しかしながら、ICTは鉛筆やノートのような存在になってしまいましたので、これを使って総合的な教育を行っていくという考え方には変わりはないのですけれど、どうしても、チャット機能の利用時に、子供同士でのトラブルであると、事件化した問題もありました、実際に。そして、学習に関係ない目的で端末機を利用して遊ぶという、この報道も出ておりますし、私も、直接友人の子供さんの先生からも話を聞いてございます。避けるということについては、大変難しいことなのですけれども、だからと言っても、やはり、きちんと正しいことを教えていかなきゃいけないと思います。有害情報へのアクセスの防止であるとか、チャット機能の適切な活用事例の情報発信に取り組むことが大事だと思いますけれども、一方で、やはり、文部科学省内でもよく話をするのですけれど、使い方の問題で、ICTそのものは、ツールは問題ないと。使い方が問題なので、これってどういう形で、使い方を、正しい使い方を知らしめる、教え込むということが難しいか。しかし、やらなきゃならないというところにジレンマを感じていますけれども、やっていくということです。特に、教師がですね、児童生徒の書き込みを確認できる設定にすることなんかは、やはり、あの事件を見ておりましたら、私はそのように考えてございます。いずれにしても、情報モラルの教育の充実に向けまして、きちんと教職員支援機構とも連携しまして、筑波にございましたけれども、ICT活用に関する指導者の養成研修なども必要かなと思うのですけれども、いたちごっこと言われないように、何かの形で、みんなが道理を知って道理を実行していくということが重要であると、私はそのように思います。すぐに特効薬というのはないと思うんですね。それは、見せないという、YouTubeは見せないとかそういうことでないと。しかし、そのYouTubeも有益なYouTubeがあると言われてしまったんですが、いろんな話をしていますと。省内でもそういう話が出ました。いろんなことがあったら、皆さんからも、ご意見を、また、いただきたいと思っています。

記者)
 調査については、ご予定は特にない。

大臣)
 かなりいろんな調査が行われていますので、しかも、現場においては、相当の問題が発生していることは私なりに分かりますので、今、全国調査は考えてございません。現場からの、今、意見とか、実情を、十分こちらの方に引き出したいということだけでございます。全国的な調査は考えてございません。

記者)
 与党で合意した現金給付の件なんですけども、所得制限を設けるか設けないかで自民と公明で調整中だと思うんですが、一応これは教育費名目で出すというような話もありまして、文科大臣として、所得制限を設けないと教育費名目という意味が薄れると思うんですが、この点どうお考えでしょうか。

大臣)
 今現在、さっきも閣議で総理がおられましたけれども、与党内で調整が続いているはずですし、今朝の報道ベースですけれども、石井幹事長もお持ち帰りになったという話でありますから、私は、その辺の調整をまず見守りたいと考えてございます。所得制限というのは、960万でしたか、私については、今ここでちょっとコメントは差し控えたいと思っています。双方の幹事長同士が、今、話し合いを進めておりますので、その上で、現場がこう思うということを答えたいと思います。

(了)

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大臣官房総務課広報室