末松信介文部科学大臣記者会見録(令和3年11月5日)

令和3年11月5日(金曜日)
教育、その他

キーワード

12歳未満の子供への新型コロナウイルスワクチン接種について、日本大学理事が背任容疑で逮捕された件、財政制度等審議会資料への見解、児童生徒の人権と学校の校則

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和3年11月5日(金曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年11月5日末松信介文部科学大臣記者会見

令和3年11月5日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 今日は、私の方からは、特に報告がございませんので、記者の皆様からご意見ご質問を頂戴したいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

記者)
 ファイザー社のワクチンについてなんですけれども、ファイザー社製の新型コロナワクチン接種についてです。現状の対象年齢は12歳以上となっておりますけれども、米国では5歳から11歳の接種も推奨するとして、実際に一部の報道では一部の子供に接種が始まっていると報じられております。国内でも、ファイザー社と政府間で協議が行われておると認識しておりますけれども、仮に推奨接種となった場合、学校現場では、小学生の多くが新たに対象に加わるかと思うんですが、学校現場で感染拡大の第6波も懸念されている一方でですね、子供が感染した場合は、重症化リスクが低いであるとか副反応がちょっとかわいそうだであるとかそういうような一部の保護者や学校関係者からワクチン接種を不安視する声もございますけれども、政府の方針がまだ決まっていない状況ではございますけれども、そういう不安もあるわけで、大臣のご所感を伺えればと思います。よろしくお願いいたします。

大臣)
 10月の、今ご質問される中で、10月28日、官房副長官からこういったお話、答弁も出ております。慎重なお話であったと思うんですけれども、昨日も、アメリカのコネチカット州ですか、そこで、接種される写真の入った記事もちょっと拝見をいたしました。今おっしゃられた通り、アメリカでは、5歳から11歳までの子供に対するファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの接種が推奨されて、一部の地域では接種が始まったという報道が出ております。また、保護者や教員の間に様々な声もあることも承知をいたしているところでございます。いずれにしましても、我が国におけるワクチン接種の対象者につきましては、ファイザー社によりまして、必要な薬事上の承認に向けた手続がなされた後、厚生労働省においてその有効性・安全性を確認するなど適切に対応されるものと承知をいたしているところでございます。文部科学省としては、その対応を注視しつつ、厚生労働省とよく連携をしまして、必要に応じた対応をしてまいりたいとそのように考えてございます。いずれにしても、厚労省の判断が、非常に注目するところでございます。

記者)
 日大の問題でお尋ねします。私学事業団が、先月末、日大に対して今年度の経常費補助を保留するという判断をしました。この判断についての受け止めと、年明けには最終的な判断があるかと思うんですけれども、文科省としても、どのような観点を重視しているのかお尋ねします。また関連して、日大に対して調査報告を求めていますが現状はどのような回答が来ているかについてもお聞かせください。

大臣)
 公共性が極めて高い学校法人における理事が逮捕されるという事案が発生したということは、極めて遺憾なことであります。逮捕されたのが10月7日ですよね、家宅捜索が9月8日でありましたから。それで、私立大学の経常費、大学等の経常費のこの補助金につきましては、私立学校振興助成法に基づきまして、教育条件や管理運営が適正を欠く場合等については、減額又は不交付とすることができるということになってございます。おそらく記者さんもご存知の通り、私立学校振興助成法の第5条は減額、6条は不交付ということで明記されております。それで、日本大学への経常費の補助金につきましては、先月開催されました日本私立学校振興・共済事業団の運営審議会におきまして、一次交付を保留するとの決定がなされました。これは、今回の事案の重大性に鑑みまして、今後の捜査の状況、法人の対応状況を、引き続き、確認する必要があるということで、そのように受け止めてございます。この団体につきましても法律に基づいた団体でございまして、清家さんが確か会長(注)であったというふうに記憶をいたしております。文部科学省といたしましては、日本大学に対して、法人自ら責任を持ってしっかり真相究明の調査を行うとともに、文部科学省に報告するよう、文書による行政指導を厳しく行ってございます。その対応をしっかり待ちたいというのが私の考えでございます。そういう、今、状況でございます。一刻も早くと思ってございます。捜査は、一方では行われておりますので。

記者)
 来年度の予算編成の関係で伺いたいことがあるんですけれども、先般、財務省の方の財政制度等審議会の方で、文科省の方で概算要求で要求しておられる小学校の教科担任制とスクールソーシャルワーカーとかスクールカウンセラーとか、学校関連のサポートされる職員の方とかに関してが審議対象になりまして、教科担任制に関しては、例えば小中連携とか小学校の先生の授業交換とか、そういう、要は現状のリソースを効率的に活用する方法があるのではないかというような指摘、それからスクール・サポート・スタッフと言いますか、学校関連の職員に関しては、都道府県ごとに効率性に差があるので効率性を重視した重点的な配分とかもあるのではないか、要は、今のリソースの中でのやりくりで何とかなるんじゃないかという、やや予算要求に対する否定的な見解が財務省の方から示されておりますけれども、この点、大臣としてどのようにお受け止めになるか、何か反論があればお願いします。

大臣)
 ご質問いただきました件に自分の思いも込めまして申し上げたいのですけれども、1つは、教育の質の向上を図っていく上で、また、学校の働き方改革を進めていく上では、小学校の高学年の教科担任制というのは進めなきゃならん1つの重要なテーマでございます。財政制度審議会等の資料につきましては、結構、複雑な資料でございまして。ちょっと、参考資料を拝見しました。今ご指摘のように、各国の年間授業時数のですね、比較表なんかを掲載されておりますんですが、例えば、中でも開示されている中身の話を聞きましたら、休憩時間を算入している国があるなど算定方法に各国でばらつきがあって、一概に日本が低水準であるとは言えないと考えてございます。また、諸外国の教員の業務が、主に教科指導に特化しているのと異なって、日本の教員の場合は、教科書指導と生徒指導という基本的な生活習慣を、学校においても、また、家庭においてもそれをやっていただけるような、そういった指導をやっているわけですから、相当の対応を教師もなさっていると思っておりますので、ちょっとそういった風土は違うんじゃないかなというそういう思いを、個人的に持っています。先ほども申し上げましたけれども、フランスは、小学校は10分を超える休憩時間をですね、児童を指導している授業時間に算入をしているということになっています。財政審の資料が指摘をするように、一部の学校においては、小規模校間における小小連携、あるいは小中連携や義務教育学校化とか、学級担任間の授業交換を促すことなどによりまして対応することも考えられますけれども、これは、学校の規模と、それと小小連携・小中連携と言いましても、地理的な条件が、ずいぶん離れているとかいろんな条件がございますので、困難な場合もあるということは、認識を、ぜひしていただきたいと、委員の先生方には、私はそのように考えております。そのため、文部科学省としては、今申し上げたように、各地域や学校の実情に応じた取組が可能となるように、専門性の高い授業の実施や教員の持ちコマ数の軽減といった観点に配慮しつつ、必要な教職員定数をしっかり確保していきたいということ、そのように思います。義務教育標準法を見ましても、かなり細かく数字が打ち込まれておりますので、そのことはよく念頭に置いておきたいとは思います。以上でございます。すみません、もう一つ、忘れました、ごめんなさい。大事なところでした。スクールカウンセラーのご指摘でございます。このご指摘も、財政制度審議会の資料におきまして、スクールカウンセラーの、相談1件あたりのコストを比較するということで、相談内容ごとに業務量・負担は異なるために一概に比較できないのですけれども、各都道府県ごとにバラつきがあって、必要性とか効果に応じた配分調整の余地があると、各自治体が定量的な指標を設定して効果検証を行うべきとの指摘がなされてございます。で、これらの指摘につきましては、学校規模や学校間の距離によって効率的な配置に限界があること等の地域事情が踏まえられていないということはまず考えられる一方ですね、効果検証のための指標の設定などに課題があることは事実でございます。文科省としては、これらの取組を推進していきたいというふうに今考えております。最後に、一方で教育委員会からは、スクールカウンセラーによる児童生徒へのカウンセリングや教員への助言のための時間が十分確保できないという指摘もありまして、文部科学省としては、この配置の更なる充実が実現できるように、引き続き、財政当局と折衝していきたいと思います。先だって、足立区の「こども支援センターげんき」というところに行ってきまして、5か所が設置されておるんですけれど、その1か所に行きましたけれども、非常にスクールカウンセラーさん、どの部分を担当されているか、スクールカウンセラーさんが、明確に分かりませんが、15人ほどおられるということでありますから、相当の方々に活躍をいただいているということがよく分かりました。文科省としましても、スクールカウンセラーさん、週1回、全体を配置していくのですけれども、27,500校区、中学校区ですけれども、週1回4時間のところ、週1回8時間ぐらいしたいという、その要望をしておる、折衝しておるという、そういう状況です。長くなりました。

記者)
 冒頭の幹事社の質問のワクチン接種の関連で追加でお伺いをしたいんですけども、最初の、今までの12歳以上のときの、学校で集団接種をするのかとか各地域でどれぐらい進めていいのかという部分で、多少、当初混乱があったことを記憶しておるんですけれども、今回は、5から11歳とかなり幅が広がって、かつ幼稚園から小学生・中学生・高校生と、子供から全体が接種対象になるということが想定されるとは思うんですけれども、集団接種の在り方ですとかどうやって接種を推奨していくかとか、この辺は、今後、文科省として、新たに考え方を示される予定なのか。その辺の今後の対応、厚労省と連携しているということだと思うんですけれども、何らか新しい方針が出るのかどうか、現時点でお考えがあれば伺いたいんですけれども。

大臣)
 今新しい方針が出るかということを問われれば、今のところは、新しい方針等は持っていないです。あくまで今、5歳から11歳までの子供に対するですね、子供さんに対するファイザー製の新型コロナウイルスワクチン接種については、厚労省からの考え方・方針を、まず尊重しなければいけないと、薬事の承認が必要なことでございますので。集団接種ということについては、過去の歴史をお考えをいただいた通りでございますので、かなり抑制的でなきゃならんという、私自身はそういうふうに考えてございます。いずれにしましても検討段階で、検討しておるということでありまして、新たな、こうやるという方針があるかないかといえば今のところはございません。

記者)
 10月28日に、大阪府立の高校で生徒に対して頭髪を黒く染めるよう繰り返し指導が行われ不登校になったという事案について、大阪高裁判決がありました。判決では、頭髪指導は、学校教育に広い裁量が認められ違法とは言えないということだったんですけれども、この判決についての文科省としての受け止めをまず伺わさせてください。

大臣)
 この前もご質問をいただいたと記憶をいたしてございます。今のお話の答えですけれども、高校在学中に教員からですね、髪を黒く染めることが強要されたとして、大阪府を、訴えられた訴訟ですね。28日(木曜日)ですか、大阪高裁が、指導に違法性はないとする一審の判決を支持して女性側の控訴を棄却したとの報道についてなんですけれども、このことについては、記事は承知をいたしてございます。個別の訴訟につきましては、見解をお答えするのは差し控えたいわけなのです。ただ、一般的には、校則は、学校や地域の実態に応じて各学校の適切な判断の下に必要かつ合理的な範囲内で定められるべきものでありまして、一旦定めた校則の内容についても完全固定ということはあり得ませんから、常に検証しながら、改めるところは改めていかなきゃならないということは事実でございます。ただし、校則というのは法律じゃありませんから、集団でありますから、1つのルールがあるということで、そういうお考えがありますので、その点につきましては、私は、校則というのはそういうものであるというふうに認識をいたしてございます。普通は、校則ではそういうものであるという認識をいたしてございます。今、私が申し上げたことが、私のお答えでございます。

記者)
 すみません、追加で申し訳ないのですけれど、文科省は、今年6月に、萩生田大臣のときですけれども、事務連絡で校則の見直しを促されています。一方で、校則の見直しを進めていると言いながら、今も下着の色を定めたりだとか、目視で確認するだとか、ポニーテールの結ぶ位置にまで規制をかけてくる学校がまだ存在するなど、実効性が不十分ではないかと思います。今回の衆院選でも、公約でブラック校則の見直しや生徒指導提要の見直しまで言及していた党もありましたが、政府として、文科省として、このような校則というものについて、例えば全国調査をするだとか、公立学校各校でも、ホームページの公開を文科省として促す、求めるだとか、更に踏み込んだ通知の発出などの対応を考えているかということについて教えてください。

大臣)
 校則につきましては、当然、私も、今こんな歳ですけれど子供の頃にあったわけでして、当然、矛盾を感じたりするということは事実だと思うんです。校則の見直しについては、最終的には、現場の学校長に権限があるということはご理解をぜひいただきたいと思っております。先ほど申し上げたように、絶えず変化しますから、社会も。それによって、当然、校則も変えていくということについては、私は全く否定するものでも何でもないわけなんですけれども、これが行き過ぎているかどうか云々についての合理的判断は、私はこれ、地域、学校において、私は一つの判断を加えるべきだと思ってございますので、文科省から、今現場に対してこうこうこうしなさい、ああしなさいということの意見を添えるということはございません。あくまで、社会的と言うんでしょうか、妥当性ということ、このことが大事だと、常識が大事だと思っています。

(注)「会長」と発言しましたが、正しくは「理事長」です。

(了)

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