末松信介文部科学大臣記者会見録(令和3年11月2日)

令和3年11月2日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

東京大学医科学研究所、私立学校及びこども支援センターげんきへの視察,衆議院総選挙について,児童生徒の不登校と学校制度の見直しについて,航空科学技術分野に関する研究ビジョンについて,新たな経済対策について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和3年11月2日(火曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年11月2日末松信介文部科学大臣記者会見

令和3年11月2日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 まず、冒頭から、私の方から1件でございます。先月26日(火曜日)、東京大学の医科学研究所を訪問しまして、また、29日(金曜日)には足立区の小中一貫校「新田学園」と教育支援センター、「こども支援センターげんき」というところでありますけれども、ここを訪問させていただきました。東京大学の医科学研究所でありますが、まず、東京大学医科学研究所では、感染症やワクチン開発に関する研究の状況などにつきまして説明を伺いました。藤井総長らと意見交換を行いました。その後、同研究所で学びます博士課程の学生の皆さんとも懇談をしたところでございます。東京大学医科学研究所では、古くから感染症やがんなどの疾患に関する研究開発が行われております。新型コロナウイルスに対する治療薬やワクチン開発にも取り組まれているところでございます。藤井総長らとの意見交換では、新たな感染症が発生した際に、迅速にワクチンなどの開発を開始するためには平時から長期的かつ安定的な研究体制を構築し、人材育成を進めることが重要であるとのご意見を伺ったところでございます。文部科学省としましては、本年6月、閣議決定しました「ワクチン開発・生産体制強化戦略」に基づきまして、今回の視察の成果も活かしながら、引き続き、ワクチンや治療薬の開発をはじめとする感染症研究を支援してまいりたいと考えてございます。また、博士課程の学生6名の皆さんとの懇談では、若手研究者に対する処遇に不安を抱えているという声があり大変印象的に残ってございます。博士後期課程学生は、我が国の科学技術、あるいはイノベーション活動を担う重要な存在でございます。今年度抜本強化しました博士後期課程学生への経済的支援や多様なキャリアパスの整備につきまして、着実に進めてまいりたいと考えております。次に、足立区の新田学園、足立区「こども支援センターげんき」についてであります。足立区新田学園では、小学6年生の国語科の授業や、中学3年生の社会科、技術科のプログラミングの授業を拝見をいたしました。「こども支援センターげんき」ではですね、不登校児童生徒支援の様子を拝見したところでございます。新田学園での意見交換の中では、学力向上に向けました学校や足立区の様々な工夫を伺いまして、大変勉強になりました。また、プログラミング学習も含めまして、子供たちに丁寧な指導を行うには専門的な人材の確保が重要であるということを改めて認識をしたところでございます。また、「こども支援センターげんき」との意見交換では、教育支援センターでの支援に加えまして、学校内の別室やICTを活用した学習支援、民間団体との連携等、多様な教育機会を確保することが社会的自立につながっていくというお話を伺ったところでございます。文部科学大臣として、今後とも学生の皆さんの声や教育現場の声を聞き取りまして、現状をしっかり把握をしまして、政策を進めてまいりたいと考えてございます。以上が、冒頭の私の報告でございます。

記者)
 1問質問させていただきます。先の衆議院選挙ではですね、自民単独で絶対安定多数の261、連立自公でも290あまりの議席を獲得した一方で、党三役人事にも表れていますが、要職、重鎮と目されているような方の落選や苦戦があったかと思います。大臣は、参院ということで直接改選されるお立場ではなかったものの、内閣の一員としてやはり信を問われるという立場にあったかと思います。そうした面を踏まえてですね、今回の衆院選、どうご覧になってどのように振り返るかというのをお聞かせ願えればと思います。

大臣)
 選挙について、特に選挙区のことについて、個別につきましては、ちょっと論評は差し控えたいと思うのですけれども、与党で絶対多数を得ましたけれども、自民党も276から261ということでありますし、そういう意味では、厳しいながらも、一定の信用を得たという感じは受けておりますけれども、大きな責任を感じて、与党として、教育政策は、私は文部科学大臣として教育政策を担当いたしておりますけれども、責任を持った対応が求められるなと思ってございます。兵庫県というところでありましたから、維新の躍進はすごいものを感じましたですね。

記者)
 私は、今、冒頭発言にありました、不登校の問題と学校教育の在り方について質問させていただきたいと思います。不登校の児童生徒数は、昨年度の調査で過去最多となりまして、年々深刻になっております。これについて、先週の中教審でもですね、一斉授業を原則とした現在の学校制度の見直しが必要ではないかという指摘が複数の委員から出されたところです。また、この中教審の委員が参加している総合科学技術・イノベーション会議のワーキンググループでも子供たちの多様化が取り上げられておりまして、ここでも学校制度の見直しが大きな課題として浮上しているところです。こうした不登校の増加に歯止めがかからず、それが一斉授業を基本としてきた学校制度の見直しを求める議論に今つながってきている現状があると思うんですけれども、これにつきまして、大臣の受け止めと、また、今後、学校制度の見直しにつながる議論を本格的に検討していくお考えがあるかどうか伺いたいと思います。

大臣)
 現状の今のご意見、十分念頭に置かせていただきたいと思ってございます。で、令和2年度、おっしゃる通りですね、児童生徒の問題行動とか不登校、生徒指導上の諸課題に関する調査が行われました。この結果を見ますと、小・中学校における不登校の児童生徒数が、今回、過去最多の件数となっております。憂慮すべき事態でございます。19万人以上かな、今、不登校の生徒がおられると聞いております。不登校の児童生徒の増加につきましては、児童生徒の休養の必要性を明示した教育機会確保法の趣旨の浸透の側面もありますけれども、令和2年度に、コロナ禍で生活環境の変化によりまして生活のリズムが乱れやすい状況であると。私も、色々とご意見をいただきましたら、朝5時半に起きる子がやっぱり8時に起きたりとか非常に乱れが生じているという話も聞いてございます。そういった具体の例も頂戴いたしました。登校する意欲が湧きにくいといった背景もあろうかと思います。いずれにしましても、こうした生徒指導上の諸問題が依然として大きな学校運営上の課題であり続ける中、従来の学校の在り方を改善していく必要性が様々な形で指摘されていることは承知をいたしてございます。これまで文部科学省として、不登校児童生徒への支援につきましては、スクールカウンセラーを拡充するなど、教育の相談体制のですね、充実に取り組んでまいりましたが、授業の在り方の改善も急務であると思ってございます。今おっしゃったように、制度の問題がありますけれども、現場で対応できることも私はたくさんあると思ってございます。で、こうした中、本年1月の中央教育審議会答申におきまして、全ての子供たちが安心して楽しく通える魅力ある環境を整える観点から、1つ目は、子供一人一人の特性や学習進度等を踏まえたきめ細かな指導であるとか、子供一人一人の興味・関心に応じた学習指導や課題の提供を行う「個別最適な学び」、このことはよく文部省も申し上げております。そして2つ目は、一人一人のよい点や可能性を活かし、多様な他者と協働しながら資質・能力を育成する「協働的な学び」を一体的に充実することが求められてございます。文部科学省といたしましては、こうした「令和の日本型学校教育」を実現するため、新学習指導要領を着実に実施するとともに、ICTの活用とか少人数学級を車の両輪としまして進めることによりまして、子供一人一人の学びを最大限引き出す教育に全力で取り組んでいきたいというふうに思ってございます。現場に参りまして、非常に、ICTの話も申し上げたのですけれども、確かに、授業があったときでも、おっくうな子はなかなか手が上がらなかったのですけれども、しかしながら端末を持つことによって、自分の回答を出したりとか、これは、教壇に立つ先生にとっても、全員の生徒さんをある面ではっきり把握できるというのでしょうか、どういう状況かなということも念頭に置いてあげることができるという点において、非常に公平な、ある面で公平な教育がなされている側面もございますということで利点もたくさん上がっておりました。こういう点は大事にしたいと思ってございます。

記者)
 1つフォローアップさせてください。さっき、最初に大臣、これは制度的な問題と学校現場で解決できる問題の2つがあるんじゃないかとご指摘になりました。で、その、今おっしゃられたICTの活用等は学校現場でできることなんだと思うんですけれども、一方で、制度的な部分、ここについての検討というのを、改めて、今考えていく必要があるとお考えですか。

大臣)
 あらゆる観点からやはり常に考えていくということが大事だと私は思ってございます。今はそこまでしか申し上げることはできませんです。大事なことです。

記者)
 科学技術関連でお伺いしたいんですが、昨日、航空関連の部会があったと思います。そこで今後の研究開発に関する案が出たと思いますが、それに関する受け止めと、今後のその航空関連の発展について大臣はどのように思われているかというのを教えていただけますでしょうか。

大臣)
 期待は大きいのですけれども。航空科学技術につきましては、我が国の産業振興や国際競争力の強化にとって大変重要な分野であると認識をいたしてございます。文部科学省としましては、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の有するこの研究開発力を最大限活かしながら、環境・安全技術や静粛超音速機技術の研究開発に積極的に取り組んではきております。現在、科学技術や学術審議会、航空科学技術委員会において、本年3月に策定されました、これは第6期のですね、科学技術・イノベーション基本計画を踏まえ、カーボンニュートラルや国土強靭化といった社会的課題に対応するため、今後5年間を見据えて推進すべき研究開発の方向性や具体的な研究開発課題について、今、議論をいただいております。この後、年度末に向けまして「航空科学技術分野に関する研究開発ビジョン」の最終取りまとめがなされるものと承知をいたしてございます。文部科学省といたしましては、「研究開発ビジョン」を踏まえつつ、JAXAにおける研究開発を着実に推進するなど、航空産業の振興に資する先端の研究開発を主導してまいりたいと思ってございます。特に、航空環境・安全技術の研究開発が1つ目と、2つ目は、やはり革新的な航空機技術の研究開発、3つ目は、コアエンジンの技術の研究開発というところを柱立てしてございますので、ご期待に応えられるような努力を促しております。

記者)
 昨日、岸田総理が、大型経済対策を今月中旬にも取りまとめる旨のお話をされました。文部科学省関連でどのような施策が必要とお考えか、現時点での大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 10月8日に、確か経済対策につきましてもですね、指示がございました。その後、選挙があったわけなのですけれども。「新たな経済対策」とこの補正につきましては、閣議での、今申し上げた10月8日の総理指示におきまして、まず、新型コロナ感染症の拡大防止、あるいは社会経済活動再開、未来の社会を切り拓く「新しい資本主義」という、この言葉については色々と議論がございますが、受けました。「科学技術立国」と「地方活性化」と「経済安全保障」、「子供・子育て、人への投資」、予算等の、この、今申し上げたところへの予算等の大胆な重点化と国民の安全安心確保のための防災・減災、国土強靱化が、方針が示されております。文部科学省といたしましては、この方針を踏まえまして、補正予算により推進していくべき施策につきまして、鋭意、今、検討しつついたしてございます。必要な予算の確保に向けて、関係府省とも連携してまいりたいと思ってございます。今、指示を出しているところでございます。

(了)

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大臣官房総務課広報室