末松信介文部科学大臣記者会見録(令和3年10月15日)

令和3年10月15日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

私立中学高等学校の視察、児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果、指定都市市長会による申入れについて、大学拠点接種、新型コロナウイルス禍におけるオンライン授業の取扱いについて、科学技術・イノベーションへの投資拡大のための取組について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和3年10月15日(金曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年10月15日末松信介文部科学大臣記者会見

令和3年10月15日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 最初に、私の方から冒頭、3件ご報告を申し上げたいと思います。
 1つ目は、富士見丘中学高等学校の視察につきましてでございます。昨日14日(木曜日)に、渋谷区にございます富士見丘中学高等学校を訪問をいたしました。大変有意義な視察であったと存じます。学校では、社会を生き抜く真のグローバル人材として必要な能力や資質であるグローバルコンピテンシーですね、行動特性ということです、の育成について説明を受けるとともに、実際に、海外、フィリピンの方とオンライン授業や生徒の英語によるプレゼンテーションなどを拝見をいたしたところであります。また、生徒によります探求課題発表や、吉田校長との意見交換では、プラスチックごみに係る環境問題への生徒の取組や、グローバル人材育成に力を入れる学校の姿勢に対しまして、大変感銘を受けたところでございます。本日は、午後、埼玉県の戸田市立戸田東小学校及び戸田東中学校を訪問しまして、小中の一貫教育やICTの活用、働き方改革などの取組につきまして視察や意見交換を行う予定でございます。なかなか、富士見丘中学校は、大変、クラスも12名であるクラスもございましたし、いろんな食料廃棄物について、こう活用すべきではないかということで、実際に意見交換の中では、私の方からも、日本の残飯というのは年間で足しますとアフリカ3か国に食料を賄うだけの量が出ているというそういったお話もしましたし、瀬戸内海の環境保全のことでプラスチックごみのことが、大変、今、大きな課題になっていますけれども、その取組に対して、生徒の皆さんに敬意を表したところでございます。
 次に2つ目でございます。令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査についてでございます。一昨日、令和2年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果が公表されました。調査結果におきましては、近年増加を続けておりましたいじめの認知件数が減少する一方、小中学校におきます不登校児童生徒数は、調査開始以来最多でございます。自殺をしました児童生徒数が、調査開始以来最多となるなど、新型コロナウイルス感染症によりまして学校内外の生活や環境が大きく変化をしまして、子供たちの行動等に大きな影響を与えていることが伺えるところであります。文部科学省といたしましては、成長を促す積極的な生徒指導を充実をさせるとともに、2つ目として、教育相談体制の充実、そして、いじめへの対応や自殺予防の取組の普及啓発等を図るなど、周囲の大人が子供たちのSOSを受け止めて、組織的に対応する取組がより一層促進されるよう、施策の更なる充実に努めてまいりたいと思ってございます。大変大きな課題であります。
 次に、3つ目でございます。3つ目の報告でございます。政令指定都市の市長会からの要望でございます。前回の会見でもご質問を受けました件ですけれども、先日、指定都市市長会が鰐淵政務官を訪問されまして、要望書を手交されました。私も要望書の内容を拝見をいたしまして、そのやりとりの様子についても報告を受けたところでございます。ご要望は、児童生徒が分散登校などにより自宅等でオンラインを活用した学習指導を受けた場合、「出席停止」と扱うことにつきまして、その呼び方を改められないかという内容であったと承知をいたしてございます。この点、一部の報道でも誤解があったと思うのですが、改めて正確に申し上げますが、まず、文部科学省といたしましては、分散登校などにより自宅等でオンラインを活用した学習指導を受けた児童生徒を「出席停止」と取り扱うとの方針は示してはおりません。文部科学省といたしましては、こうした児童生徒の皆さんにつきましては、指導要録上、その日数を「出席停止・忌引き等」の日数の欄に記録するよう求めているところでございます。この欄に記録をされました日数は、出席を要する日数からそもそも除外をされるため出席にも欠席にもならず、入試等においても不利益を被ることがないようにしているところで、累次にわたってお示しをしているところでございます。この点、ご要望の際にもあった通り、まだ十分に学校関係者や保護者の皆様にも伝わっていない部分があると思いますので、引き続き、周知に努めますとともに、関係者の皆様から丁寧に聞き取りをしながら、児童生徒や保護者等の皆様の不安の解消に向けて取り組んでまいりたいと、そういうふうに考えているところでございます。以上3件が私からの報告でございます。

記者)
 最初に1問質問させてください。モデルナのワクチンで稀に血栓症が起きるおそれがあるということで、10代・20代の男性には接種を見送るという動きが今あります。大学拠点接種ではモデルナワクチンを接種してきまして、今なお多くの大学で接種が進んでいる状況だと思いますけれども、今後、どのような対応をお考えかお聞かせいただければと思います。

大臣)
 今、お話の通りでありまして、モデルナのワクチン接種後ですね、ニュースとして聞いておりますのは、心筋症を発症する事象に関して、国内外におきまして、若年の男性での報告が多いということを踏まえまして、今、厚生労働省の方におきまして議論がなされていると承知をいたしております。文部科学省といたしましては、厚生労働省の動きを注視をいたしまして、政府全体の方針とともに、適切な対応を検討してまいりたいと思います。今日、先ほど出るときに聞きましたけれども、今日午後1時から3時の間に、厚労省の方で会議がなされるということを伺っております。一つ方針が示されるのではないかなということを思います。今、TBSさんがおっしゃったように、米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンの接種後、若い男性にごく稀に心筋症や心膜炎が起こるおそれがあるということで、厚労省も、この点を念頭に置きながら、今、慎重に進めているんではないかなと思っておりますので、大学の方でも、364大学が大学拠点接種実施大学校として進めて参りました。接種完了大学は、もう178大学に及んでおります。そういうことありますので、今のご趣旨、よく尊重したいと思います。

記者)
 ありがとうございます。あと、もう1点、冒頭の3件目で、文科省としては、分散登校などでオンラインでやった場合、出席停止と扱うとしていないというふうにおっしゃられたんですけど、でも結局、出席停止・忌引き等のところにカウントされるというのはどういうことなのか理解できないんですけれども。

大臣)
 私も、鰐淵政務官から、火曜日でしたか、要望をいかれるという話を直前に聞きまして、出席でもなく欠席でもないということは、責任者の方にも、責任者は私でありますけれども、お聞きをしましたら、分母から外すということなのですけれども、改めて、この指導要録を拝見をしまして、どう書くのか見せてほしいということで見ました。ここに書いてありますように、もしその場合、例えばですね、オンラインで授業を受けた場合には、オンラインを活用した授業を受けた、オンラインを活用して授業を何日という形で、ここの備考に書くことになってございます。あくまで、出席でも、そして欠席でもないというのは、「出席停止・忌引き等」の「等」に含まれるということなのです。市長さんからは、やはり出席停止という言葉が前へ出てしまうので、響きもあまり良くないではないか、誤解を与えるじゃないかという話がありました。私も、その辺のところ、やはり指導要録を記入するに当たって、こう書かれた保護者の、あるいは生徒の皆さんにとっても、どう受け止めるかということを、改めて、今、私の方も考えているところでございまして、言葉の問題でありまして、中身は全くこれに対して変わるところはございませんので、表現について、もう一度、文科省の方で、内部で検討できないかどうかということを、今、指示しているところでございます。そういうところです。

記者)
 科学技術関連で、1点、お伺いしたいんですけれども、大臣、就任会見の際に産学官の連携によって最先端技術の拡大を期待したいということをおっしゃっていたと思うのですが、具体的にどういうことをしていきたいのかというのを教えていただいてもよろしいでしょうか。

大臣)
 難しい質問でありますんですけれども、一度、ここでも申し上げたのですが、よく今は、政治的な問題で評価がいろいろとあるんですけれども、確かに、アベノミクス、積極的な財政支出、金融緩和、そして成長戦略。3つ目の成長戦略については、十分な効果・結果が得られなかったんではないかというご指摘があります。そういう意味では、現在進行形のところで政権を明け渡していったということでありまして、やはり一番の問題というのは、成長するためを、たくさん、やはり日本国内、いろんな識者の方がですね、あるいは学生さんが、それを見つける、あるいは発明するということ、提案をするという、そういうことが大事だと思うんですけれども、そのことが、一つは私の考えの中にございます。まず、産学官によってですね、今後は産民によってですね、最先端の科学技術・イノベーションへの投資の拡大をするように、政府、総理からも指示がございましたし、岸田総理からもございました。まず、我が国の研究力の強化にしっかりと取り組んでいくということ、やはり、これは10兆円の規模の大学ファンドの創設ということは、私は、今、文部科学省にとっては、一番重要な、進めなきゃならない施策の一つだと思っています。4兆5,000億まで一般会計と財投でやっていますので、あと5兆5,000億は積んでいった上で、運用益で、そういった方々に対してですね、使ってもらえるような支援をしなきゃならないと思っていますので、これを一つの大きな柱立てにしたいと思ってございます。独創的な研究を行っていただきたいと思います。それと、やはり産官学の連携によりますオールジャパン体制で進めていくということで、AIとか、あるいはバイオとか量子、材料の原料となるマテリアル、宇宙、海洋といった最先端技術の分野の振興とか、健康と医療と、安全と安心の確保と、カーボンニュートラルの実現といった社会問題の解決に貢献できる研究開発を戦略的に進めていくということが大事かなということ、そのことを思っております。私、自動運転議員連盟、会長は世耕弘成で、事務局長をやっておりますんですけれども、やはり協調分野と競争分野とがありまして、協調分野は、全国、世界各地、皆さんでいろんな技術者さんが集まって協調して組み立てていくんですけど、競争力というのは、やっぱり、競争の分野とは大変激しゅうございます。日本は、例えば制御技術は非常に強い、しかしデータ技術はやはり弱いといった点、たくさんあります。こういうところを補わないと、この、図を見ても、更にリードしていくというのは難しいということ、そのことを思います。それと、自分の、神戸には「富岳」、その前には「京」がございました。やはり、創薬については、この前もコロナウイルスの治療薬として候補を挙げるのを決める、時間というんでしょうか、非常に速かったということもございますので、多いに期待が持てる、そのことを考えておりますので、あらゆる、そういった全国各地に散らばっておるですね、そういった施設、あるいはこれから施設を整備していく中で考えていきたいと思っております。最後に、特に経常収支の一番大きな問題というのは、やっぱり医療機器と薬ですから、これは、日本の貿易収支の大きな問題になっていますので、その改善のためにも、こうした技術力をどんどん前へ進めていきたいなということ、それが私の理想でございます。

記者)
 問題行動・不登校調査に関係して、感染回避の、登校しないということについてお尋ねしたいんですけども、今回の調査で初めて、感染の不安だとか回避ということで学校に来られない児童生徒さんがどれぐらいいるかというのを調べられて、トータル3万人ぐらいに上るというのが分かったと思うんですけれども、感染拡大がずっと続いてることを考えると、実際に今、引き続き、継続して学校に来られない児童生徒さんがいるというのも現実だと思います。保護者の方にお話を伺っていると、やっぱりオンライン授業を受けられるところもあれば受けられないところもあって、これをちゃんと、全国どこでも平等に受けられるように環境を整えてほしいという声も聞くんですけども、今回、昨年として3万人に上ったという話があって、実態を、初めて分かったことを受けて、文科省は今後どういった対応を取られるか伺ってよろしいでしょうか。

大臣)
 今、お話の通り、今回の調査では、昨年度、全小学校・中学校・高等学校で35,000校において、小中学校で21,000人、高等学校で9,000人の児童生徒が感染回避を理由にしまして、一定期間登校をしなかったということであります。全体としては0.2%と聞いております。で、新型コロナウイルスの感染症への対応に当たりましては、感染症対策を徹底しつつ、児童生徒の健やかな伸びを最大限保障することが重要であるということ、それと3つ目は、このため、やむを得ずに学校に登校できない児童生徒に対して学習に著しい遅れが生じることのないように、例えば同時双方向型のWeb会議システムを活用するなど、教師による学習指導と学習状況を把握することを行うなど、各自治体や学校の積極的な取組を促しているところでございます。引き続き、足らざるところがあるとは思いますけれども、前を向いてしっかり進めていきたいということ、そのことを思ってございます。確かに、一部、十分なことが子供たちの手元に届いていない部分もありますし、こういった点についてですね、これから更に推進することを念頭に置きたいと思ってございます。

(了)

お問合せ先

大臣官房総務課広報室