末松信介文部科学大臣記者会見録(令和3年10月8日)

令和3年10月8日(金曜日)
教育、科学技術・学術

キーワード

ノーベル物理学賞等の受賞について、日本大学理事が背任容疑で逮捕された件、いじめ問題、教育関連の経済対策、教育再生実行会議の後継の在り方

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和3年10月8日(金曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年10月8日末松信介文部科学大臣記者会見

令和3年10月8日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 まず、冒頭、お話し申し上げたいことは、本日の閣議におきまして、今月5日、眞鍋淑郎プリンストン大学客員研究員・国立研究開発法人海洋開発研究機構フェローが、ノーベル物理学賞をご受賞されました。その報告をさせていただきました。今回の受賞は、信頼性の高い地球温暖化予測を実現する地球気候の物理モデルの開発など、先駆的な功績が評価されたものでございます。近年、世界中での異常気象に伴う災害が発生します。日本でも豪雨災害が多発する中で、まさに、地球温暖化の対策の礎となる研究成果でございます。眞鍋博士の海外での優れた業績は、国民にとって大きな励みとなるものでありまして、心からお祝いを申し上げます。先ほど、私からも、眞鍋先生にオンラインで直接お祝いの言葉をお伝えをさせていただきました。眞鍋先生と、ずいぶん気持ちのこもった意見を交換をできました。15分の予定でしたけれども20分ほどお話しをさせていただきまして、まだ終わらないくらい長く、話もできるような空気でございましたことをご報告申し上げます。内容も、ちょっとお伝えしてもよろしいんですか、そうですか、直接申し上げたことは、少し心温まる話としては、記者の皆さんが好奇心ということをお書きになっている社の方が多かったんですけれど、好奇心以外に、先生、何か大切に我々がするべきことはないでしょうかと申し上げましたら、それは、末松さん、好きこそものの上手なれ、私はそう言いたい、と。そのことを伝えてほしいんだと。自分の得意なことをすること、自分がやっていて楽しいことをすること、このことが、人生を豊かにするという趣旨のお話でございました。そして、健康であるっていうことが大切であると。私は、じゃあ、先生、水泳をされていたじゃないですかっていうことを言ったら、最近、水泳はされてないということでヨガをやっている。それと腕立て伏せ30回、そして歩くということをされておられるというお話でございました。そして2つ目に、若い人たちにということを申し上げましたらですね、ぜひ、気象の勉強をしてほしい、学んでほしいんだという、大学で学んでほしいんだという、そういうお話がございました。末松さんの方にも、もっとそういう方が、応援できるようなですね、入っていただけるようなそういう環境整備、つまり、もっともっと気象学を学んでもらえるそういう環境整備をしてほしいんだと。応援をしてほしいというお話でありました。本来、気象とか長期の予測・予報っていうのは、本当に有意義で、人のためになって、国民のためになって、人助けになる、非常に大事な仕事だと思っていますという、そういうお話でございました。地球の気候モデルの研究というのを、ぜひ今の日本の若い人たちに勧めてほしいということ、そのことを先生からもお話があったわけでございます。そして、今の日本の状況、特に豪雨のことを心配しておると。土壌に水分がやっぱりこう染み込んで、そして、こういったがけ崩れが多いでしょうっていうお話も出ておりました。これも、すべて気象からくるもんであるから、ぜひ、そういうことについてですね、みんなに語っていただけますようにお願い申し上げますということでございました。そういうことでありましたので、皆さんにお伝えだけさせていただきます。そしてもう1つ、お話でございますが、一昨日、ノーベル化学賞の発表がございました。受賞者の1人、ベンジャミン・リスト博士は、日本に大変関わりの深い研究者でございまして、北海道大学の世界トップレベルの国際研究拠点においても、主任研究者としてご活躍をされておられます。我が国の研究者が海外で活躍すると同時に、このような海外の優れた研究者が日本で研究をしたいと思えるような魅力的な研究環境を整備することも重要でございます。文部科学省といたしましては、引き続き、創造性豊かな若手研究者の育成・確保、そして世界的な国際研究拠点の形成に取り組みまして、我が国の研究力を総合的・抜本的に強化をしてまいりたいと、そのように願っているところでございます。私からは、冒頭の発言、以上でございます。

記者)
 1問、最初に質問させていただきます。日本最大のマンモス大学である日大、日本大学の理事2人が、昨日、背任容疑で逮捕されましたけれども、大臣として、捜査中の事件ではございますが、このことについて所感をいただければと思います。

大臣)
 日本大学の理事が、大学側の資金を外部に流出をさせまして、大学に損害を与えたとする背任容疑で逮捕されたことは報道で承知をいたしてございます。学校法人は、公的助成や税制上の優遇の措置が採られているなど、公共性が極めて高いわけであります。その学校法人の理事が逮捕されたということは、極めて遺憾なことであります。本件につきましては、先月、9月9日ですか、捜査に全面協力しつつ、事実関係も含む真相究明に向けた調査を行うとともに、責任をもって適切に対応し、報告するよう、文部科学省として指導していますので、当該法人からの報告を踏まえ、適切に対処したいと考えてございます。

記者)
 いじめ問題でお尋ねします。大津市のいじめ自殺問題から今月11日で10年となります。この問題をきっかけにいじめ防止対策推進法ができ、重大事態の対応なども行われるようになりました。しかし現在もいたましい事案は続いています。10年という節目を迎えて、大臣の受け止めとともに、いじめ問題の現状と課題認識、そして今後求められる対策についてどのようにお考えかお聞かせください。

大臣)
 今、お話、ご質問いただいて、あれから10年経ったんだなということを思い出します。平成23年に大津市の中学2年生のいじめ自殺事案が発生したことを契機といたしまして、平成25年に、今お話ありましたように、いじめ防止対策推進法が制定をされて以降、各学校や教育委員会等におきまして、いじめ防止対策推進法に基づきまして、いじめの積極的な認知や早期の組織的な対応等に取り組んでいただくよう、周知徹底を図ってきたと承知はいたしてございます。一方、いまだにいじめを背景としました自殺事案が発生をしております。町田市のことであるとか旭川のことでありますけれども、いじめによりまして児童生徒の心身等に重大な危険が生じるということは本来あってはならないことでありまして、こうした事案につきましては、大変重く受け止めております。私といたしましては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの配置の充実など、いじめに適切に対応できる体制整備の推進であるとか、いじめ防止対策推進法の周知の徹底に粘り強く取り組んでまいりたいとそのように考えてございます。

記者)
 大臣の冒頭発言にございました眞鍋先生のお話なんですけれども、受賞直後ですね、日本について、政策決定者と科学者の会話が不足しているのではないかとか、好奇心に基づいた研究がなされていない、少なくなっているといったようなお話、ご発言もされていました。非常に、日本の学術界だったり、人材育成という意味では、教育とも無縁ではないご指摘だと思うんですけれども、こういったお言葉について、大臣、どういうふうに受け止めてらっしゃるのか、また、どう今後、活かしていくのかということをお聞かせ願えますでしょうか。

大臣)
 眞鍋先生と先ほどオンラインでお話をさせていただきまして、先生のこれまでのご経験から貴重なお言葉を頂戴をいたしました。これからも先生方の現場の声を大切にしまして、文部科学行政に取り組んでいきたいと思います。我が国の研究力というのは、世界の主要国と比べて、相対的に、やはり低下している。若手研究者の雇用の不安定さとか、博士後期課程のですね、学生の経済的な不安であるとか、キャリアパスの不透明さなど、研究者を取り巻く環境は極めて厳しいということを、そのように認識をしているところでございます。私といたしまして、こうした問題にですね、しっかり対応していくことが急務であると思ってございます。現場の声に真摯に向き合って、政策を決定することが重要であると認識をいたしてございます。今後、研究者が研究に専念できる環境を創り出す、研究力の向上に向けて全力で取り組んでいきたいというふうに思ってございます。文科省の職員ともいろいろと意見交換しますけれど、やはり博士課程入りましてもね、生活がなかなかできないというような実態を見ていて、それで研究の成果を出していけ、もっと人が集まって研究を分厚くせと、それは、私は難しいことだと思うので、もっともっと文科省も強くなって、そういった整備、先頭に立つということ、このことが使命だと思っています。

記者)
 私、岸田首相が総裁選の過程でずっと言及されてきた経済対策と文科省の取組について伺いたいと思います。学校現場では、コロナ対策がずっと今も継続しておりまして、いろいろな人ですとか物ですとかにお金がかかる状態です。また、大臣は、火曜日の記者会見でICTを活用した個別最適な学びの実現ですとか、また、子育て世代への教育費の支援強化ですとか、子供の貧困対策と、いろいろ重点政策を挙げられておりまして、これ、全てが文科省の所管ではないかもしれませんけれども、いずれにせよ、こうした施策をやるためにはお金が必要になると思います。その経済対策での取組、文科省として、どのように臨むのかお考えをお聞かせください。

大臣)
 ご指摘いただきましてありがとうございます。今日、閣議がございまして、総理から新たな経済対策につきましての、総理大臣からの指示があったことはお伝え申し上げたいと思ってございます。今お話ありましたように、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で、教育活動が円滑に行えるようなコロナの感染症対策とか、ポストコロナを見据えた対策が必要であるということを認識をいたしてございます。本日の閣議で総理から指示をいただきましたその内容を踏まえて、経済対策に取り組むべき事項を速やかに検討してまいりたいと思いますけれど、今日いただきまして、お話を、この中であえて申し上げましたら、1つは、新型コロナウイルスの感染症の拡大防止の中で、ワクチンの接種であるとか、あるいは治療薬の普及を図るとともに、病床・医療人材など医療提供体制を確保するということでありますけれども、これはやはり、厚労あるいは教育、いろんなところに関わってまいります。次に、一番大事なところというのは、やはり、第3には、未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動を出すということでありますが、ここからは、「科学技術立国」、「地方活性化」、「経済安全保障」、そして、「子供・子育て、人への投資、働き方改革等」の4分野に予算、税制を大胆に重点化し、ポストコロナ社会を見据えた成長戦略を進めます。ここのところに、文科省としてのですね、この経済対策ということはやるべきことを読み取っていきたいというふうに思ってございます。ただ、ICTも全て、今申し上げたことも含まれていると、私、思いますので、重点のところはこの6番目が特に重要かと思ってございます。

記者)
 1つフォローさせてください。特に、大臣が目玉として推したいものがありましたら教えてください。

大臣)
 私は、やはり科学技術立国というところで、前政権、菅政権、安倍政権をやって、アベノミクスという言葉がありまして、やはり大胆な金融緩和とか財政出動、そして成長戦略とあったんですけれども、やはり3番目の成長戦略というのは、これがこうやった種によってこう大きく成長したということにですね、数多く示すことは十分できなくて、発展、要するに、今まだそれの途上にあるというふうに思ってございますので、そういう意味で、今、成長の種というのは、やっぱり科学技術立国の中から生まれてきますので、少しスパンが長いようですけれどもね、私は、そういう思いではなくて、しっかり予算をつけて、今日の眞鍋先生の話じゃないんですけれども、今つけることによって、長期といっても最近はすごく早いですから、もう本当に3年、4年、5年じゃずいぶん変わりますから、そういう面で、科学技術立国に私は投資すべきじゃないかと思います。あらゆる意味においては、何度も申し上げますように、GIGAスクールとかやっぱりICTというのは、子供を育てながら、人作りとはやはり、そういう環境整備という意味で申し上げたわけでございます。

記者)
 大臣、教育再生担当の大臣でもあるかと思うんですけれども、安倍政権、菅政権では、教育再生実行会議が行われていました。菅政権のときに、後継の会議を作るというお話が出ていましたけれども、岸田新政権になりまして、こういった政府との、省庁横断と言いますか、全体で議論するような会議を作るお考えがあるかということを総理とお話されたかということとですね、大臣ご自身のお考えを教えてください。

大臣)
 結論から申し上げましたら、これから総理とお話し合いを進めていくということになろうかと思ってございます。それだけなんですけれども、ただ、教育再生会議、ご指摘の通り、平成25年の1月に設置以降、8年以上にわたって、幅広く、教育政策について、12次にわたって提言をまとめていただいたことを承知をいたしております。先月17日の閣議におきまして、この教育再生実行会議を廃止をするということになりまして、今後、教育とか人材育成に関する検討を新たな会議として開催することが決定をされてございます。また、この閣議決定の中では、高等教育を中心とした教育の在り方について、国としての方向性を明確にすることや、誰もが生涯にわたって学び続け学び直しができる高等教育と社会との接続の多様化・柔軟化を推進する方策を検討することが必要ということになってございます。そういう意味で、私、省内でもいろいろと話し合いをするんですけれども、やはり、高等教育と社会とですね、接続というところの言葉というのは、私は大事にしたいと思ってございます。よく生涯学習というようなことをよく言われたんですけど、私、昔まだ県立大学に、発展的解消する前の神戸商大の三木さんという教授と話を、学長さんがおられたんですけれども、生涯学習というのは、末松さん、死ぬまで学べというわけじゃないんです、これって誤解であって、学びたいときに学ぶというのが生涯学習という意味ですから。いい年になりましたから、その言葉の意味が分かってきましたので、私も学び直しをしたいと思っております。以上です。

(了)

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