萩生田光一文部科学大臣臨時記者会見録(令和3年10月4日)

令和3年10月4日(月曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化、その他

キーワード

内閣総辞職、次期大臣の文教政策について、文教政策に対する今後の取組について、公教育と民間教育について、大臣在職期間の振り返り、学校における働き方改革、文部科学予算の確保の在り方について、閣僚人事について、文部科学行政に携わる関係者に対するメッセージ

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年10月4日(月曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の臨時記者会見の映像です。

令和3年10月4日萩生田光一文部科学大臣臨時記者会見

令和3年10月4日萩生田光一文部科学大臣臨時記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。冒頭、私からは1件です。
 先ほどの臨時閣議において内閣総辞職が決定されました。2年前の9月に文部科学大臣に就任して以来、記者会の皆様には大変お世話になりまして、改めて心から感謝を申し上げたいと思います。新しい内閣が成立するまでの間は、引き続き、大臣の職務を行うことになりますが、本日は最後の記者会見となりますのでどうぞよろしくお願いいたします。私からは以上です。

記者)
 ここ数日、大臣のお名前が、いろいろありまして、幹事としてもはらはらどきどきだったんでございますが、情報では閣内に留まられるものの文部科学大臣ではなくなられるということでございまして、前回もお伺いしたんですけれども、次の大臣にこれだけはぜひ引き継いでいただきたいというようなことがありましたら教えていただけないでしょうか。

大臣)
 文科大臣に就任して以来、様々な課題に対して全力で取り組んでまいりました。今後、更に取組が必要である課題を挙げるとすればですね、例えば、新型コロナウイルス感染症の状況が依然として予断を許さない中で、教育・科学技術・文化芸術・スポーツの各分野において、引き続き、感染症対策と学びや諸活動を両立する取組を進めていかなくてはならないと思います。教育分野では、GIGAスクール構想を更に推し進めるとともに、今後は教科書のデジタル化や教育DXを推進していく必要があると考えています。今年の通常国会では、約40年ぶりとなる公立小学校の学級編制の標準の引き下げを実現をしました。今後は、中学校の少人数学級や小・中学校の更なる少人数学級についても検討が必要だと思っております。新しい時代の学校教育を実現するため、学校の働き方改革を一層進めるとともに、小学校高学年における教科担任制の推進、教員免許更新制の発展的解消や、専門性や強みを発揮する質の高い教師を養成するための教職課程の見直し、勤務実態調査を踏まえた教員の処遇の在り方の検討などに取り組む必要があると考えています。幼児教育・保育の無償化を進めてまいりましたが、今後は幼児教育の質の更なる向上を図るため、「幼児教育スタートプラン」の検討や、少人数に対するきめ細かな指導体制を実現するための教職員の配置の改善に取り組む必要があると考えています。大学入試に関しては、「大学入試のあり方に関する検討会議」の提言を踏まえ、個別大学における入学者選抜改革を推進していくことが重要です。科学技術の分野では、大学ファンドを早期に10兆円規模に拡充し、運用益をしっかりと上げていく必要がありますし、若手研究者支援の更なる充実にも取り組むことが重要と考えています。スパコン「富岳」の利活用の更なる拡大や、ポスト「富岳」の検討も進めていく必要があります。国産ワクチンの開発や宇宙開発利用の拡大、北極域研究船の建造などについても、今後、国が主導して取り組まなければなりません。スポーツの分野では、アスリートのセカンドキャリアを確立するため、学校現場への参画等を促すことが重要と考えています。また、障害の有無に関わらず、体育・部活動や地域スポーツに参加するための環境整備に取り組む必要があると考えています。文化芸術の分野では、先般史跡指定をした高輪築堤跡のようにですね、保存の危機にある文化財を保護するため、国が積極的に関与する仕組み作りが必要だと考えています。新しく大臣になられる方にもその方なりのお考えがあるとは思いますが、私としては、今後いろいろな立場でこれら文部科学行政の課題の解決に貢献をしてまいりたいと考えています。

記者)
 記者会見では大変お世話になりました。最後、大臣ご本人のことで恐縮なんですけれども、新しい内閣で経済産業大臣になられるという旨が報道されておるんですけれども、これまでの文科行政と、ちょっとまた、全く違う分野になるかなと思うんですが、新しいところでどういった政策に取り組んでいきたいかというのを伺えればと思います。

大臣)
 まだ、就任前なので何とも分からないんですが、経済産業政策、私、正直申し上げて、特別ですね、若い時から熱心に取り組んできたわけじゃないのでまだ分からない分野たくさんあるんですが、例えば、我々文部科学行政では、原子力人材の育成などに取り組んでまいりました。発電が是か非かという単純な問題だけじゃなくて、原子力の将来的利用というものは、私は必要だと思って、この分野は文部科学大臣として責任を持ってやってまいりましたけれども、まさにそれをどう使うかというのが、今度、経産省の大きな仕事になるんじゃないかと思っています。人材を育成して技術を身に着けていただくことが産業にもつながるということを常々申し上げておりましたし、イノベーションなくして新しい産業は興らないわけですから、全く違うと言いながらですね、実は、川上には文部科学行政があって、そこから派生したものを、今度、形にしていくというのが、経済産業政策にも通じることがあるんじゃないかなと思いますので、しっかり勉強してですね、お役に立てるように頑張りたいなと思っています。GIGAスクールを進めるときには、経産省の皆さんに随分応援してもらいました。向こうの方ががつがつしていて迫力もあって、そういう意味では学ぶところがあったんじゃないかなと思いますので、これからはですね、共通する政策も数多くありますので、そこはいい意味で、文科大臣が経産大臣になったことで、政策がシームレスになって、お互いの役所が更に幅広く仕事ができるようになるとすればいい人事なんじゃないかなと思いますので、そう言ってもらえるように頑張っていきたいと思います。

記者)
 大変お疲れ様でした。いつも記者会見できちんと応じていただいてありがとうございました。私、今の先ほどの質問に関連して、公教育と民間教育の役割分担をどう考えるのかということを伺いたいと思います。日本の子供たちは世界的に見ても高い学力を持っているわけですけども、これはやっぱり、公教育だけではなくて学習塾をはじめとする民間教育の役割というのもとても大きいと思います。経済産業省は、そうした民間教育を所管されるところでもあります。多分、今日は、午前中は公教育の担当大臣で夕方か午後からは民間教育を担当されるという非常に珍しい1日ではないかと思うんですけれども、ぜひ公教育と民間教育について、役割分担などについて大臣のお考えを伺えますか。

大臣)
 民間の皆さんが教育産業に参画されることを決して否定はしません。それは、ニーズがあればそれに応えて新しい産業が興てきたんだなと思います。ただ、文部科学大臣として申し上げるならば、公教育に足らざるところがあって、それを民が補わなきゃならないという今の教育が、もし課題があるのだとすれば、ここはもう1回原点に戻ってですね、公教育を強くしていかなきゃいけないんじゃないかなと思っています。日本は、世界に稀に見るですね、義務教育制度というのは皆さんが憧れる制度です。どこの町に生まれてもどこの町で育っても等しく教育を受けることができる、そして同じレベルの教育を受けることができるというのが公教育の魅力だと思いますし、今まさに、先生方の働き方改革を、途に就いたばかりでありますけれども、もう少し先生たちに余裕が出ればですね、公教育はもっと強みを発揮するんじゃないかと。学校でもう少し解決することというのは、勉強の部分で、勉強以外のことであまりにも力を削がれてしまっていますから、そうじゃなくて、まさに子供たちの勉強・教育の部分で先生たちが向き合う時間を作ることができれば、私は、公教育は更に力をつけることができて、結果として民間のですね、塾へ行かなくてもきちんと高校受験ができる学力が身に着けられることができるようになっているはずですから、そこは、私がいなくなっても、ぜひ文科省の皆さんに、しっかり踏ん張っていただいてですね、あの時代から公教育、大きな力を付けてきたね、取り戻したねと言ってもらえるように頑張ってほしいなと思っています。

記者)
 大臣就任以来、様々なことがあったと思うんですが、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。また、改めまして、就任以来のことを振り返っていただきまして、その中でも、特にGIGAからコロナから本当にいろんなことがあったと思うんですが、特に印象深かったことについていくつか思い出せるところがあれば教えていただきたいのと、あともう1点、先生の働き方改革について今も触れられましたが、大臣がやられている中で教師のバトンというのもあったと思うんですが、教員の職場改善ですとか働き方改革という意味で、先週、埼玉県で教員の超過勤務の判決もありました。そうしたものも含めまして、今後、教員の働き方の在り方についてですね、改めてご所見をいただけますか。

大臣)
 思い起こすと本当にいろんなことがございました。特に途中からは、コロナとの戦いを続けながら子供たちの学び・スポーツや文化を守っていかなくちゃならないということに苦心をしたつもりでいます。とりわけ、昨日も実はある校長先生とお話しをしたのですけれど、私が学校行事を大切にしてほしいという呼び掛けをしてくれたことに現場の先生方は大変勇気をもらったということを言っていただいて嬉しく思いました。ややもすると、学校は勉強するところですから、授業のことばかりがクローズアップされるのですけれど、いつも申し上げているように、集団活動をしたり、好きなことも苦手なこともお付き合いをしたり、自分がやりたいこともやりたくないこともお当番が回ってくればやったりする、そういう中でやっぱり人は磨かれていくのだと思うので、そういうことを大切にしてほしいということを呼び掛けてですね、修学旅行は諦めないでほしいなんていうことをお願いしてきたことは、私なりに良かったのではないかなというふうに思っています。残念ながら、私が思っていた以上にですね、教育行政というのは地方に大きな部分が移行していますから、文科大臣はもちろん大きな大方針は決めることはできますけれど、やっぱり地方の自治体の皆さんが公教育の大切さというのを共有していただくことが大事だなということを再認識しました。誤解がなく申し上げれば、やっぱり教育行政に熱心な首長さんの自治体とそうじゃないところでは、どうしても中身に、ここで格差というとまた怒られてしまうかもしれませんけれど、内容がまだらになっているなというのは肌で感じたところなので、ここは、ぜひ文科省としても、しっかり全国に目配りをしてスタンダードをどんどん上げていくということが大事だと思いますので、そんな点をこれからも頑張っていきたいなと思います。それから、鈴木さんたちにもいろいろ応援してもらいましたけど、わいせつ教員のことをですね、一定けりをつけることができたと思います。閣法として出すことはできませんでしたが、閣法で不退転の決意を申し上げたことが議員立法にバトンをつなぐことができたんじゃないかと思っていまして、これは、これから教員を目指す人たちにとっても、また、子供たちにとっても、新しい良い制度を作れたんじゃないかと思っています。最大の決戦は、何と言っても35人学級でした。これは、本当は30人で勝負をしたかったのですけれど、お隣の役所の壁が高くですね、なかなか攻略ができませんでしたけれど、特に職員の皆さんと、とにかく子供たちにとって大切なことは引くなという思いでですね、逆に40人学級を続けるメリットが何なのか、40人学級の問題はないのか、そういったことを財務省の皆さんとも膝を交えて議論をして、文部科学省は割と優等生の役所ですから、予算編成なんていうのは一番最初に資料を提出して、締切りを必ず守るという役所で今までいたと思うのですけれど、最後まで、最終最後までですね、残って戦いを続けたということは、文科省の職員の皆さんにもこういうことはやればできるんじゃないかということを共に感じていただいたんじゃないかなと思っています。35人はまだ始まりだと思っていますので、何とか少人数学級を、更に充実をさせて、子供たちに良い教育環境というのを作っていきたいなと思っています。いずれにしましても、教育行政、科学技術、皆さんと一緒に足跡を残せたんじゃないか。番組でご迷惑をかけましたけど、身の丈を超えた2年間だったとこう思っております。

記者)
 埼玉県の。

大臣)
 そこはですね、司法の判断を尊重したいと思います。ただし、その司法の中で、やっぱり働き方、教員の皆さんの多忙については改善の必要があるということを裁判長がおっしゃったことは、これは、司法からもそういう目を向けられて、改善が求められているということは重く受け止めて、来年度、まさに実態調査をきちんとしますので、これから教員の皆さんが生き生きと仕事をしていただける労働環境、あるいは報酬の在り方、こういったものについては、しっかり検討していただくように引き継ぎをしたいと思います。

記者)
 今の埼玉地裁判決のお話等でもありましたけれども、学校の先生の働き方改革を進めるというのは、仕事の削減と同時に、何といいますか、教員を増やしたいとか予算の拡大というのも必要なんだろうというふうに考えています。それで、今大臣がおっしゃられたように、大臣経験としてですね、権限は地方にあるんだと、多くの部分はその通りだと思うんです。文部科学省のその中でできる仕事というのは、地方とか現場が仕事をしやすいような制度を整えるですとか、もしくは予算を取るというのが一番の仕事だと私は考えているんですけれども、それで、萩生田大臣は、こういう形で文部科学省の予算の拡張という意味ではかなり実績を上げられたという評価が現場ではかなりあるんですけれども、一方で、まだ足りないんじゃないかというふうにおっしゃる声もかなり私の下には届いています。大臣として、予算を取るというところをご自身としてどこまでできたというふうにお考えになっておられるのか、それから、なかなか予算が取れないというのはどうしてだというふうにお考えなのかをお聞かせいただけますでしょうか。

大臣)
 言い訳になるかもしれませんけど、教育行政・科学技術行政というのは、すぐに単年度で結果を出せないことがたくさんあります。その結果が見えてくるのは、5年後だったり10年後だったりするわけですから、そのときに最前線でその重要性がわかっている私たちがしっかり財政当局に今これを始めなければ5年後はないんだということをやっぱり説得力を持って説明していく必要があるんだと思います。そういう意味では、単年度の予算の、言うならば決戦に終始してしまって、なかなか文部科学行政予算というのは増えてこなかったというのはあったのだと思います。私は、すいません、結構がつがつしていましたので、補正予算などの、過去のいろんな意味で最高額を積み上げながらですね、政策を前に進めてきた、確かに予算があれば政策はスピードを上げることができますので、今回スピードが上がったことが結果としてどういうことにつながるのかというのをよく検証していただいて、エビデンスが大事なのでしょうから自信を持ってですね、必要な予算要求はしていくべきだろうなというふうに思っています。それと同時に、さっき地方行政との関わりを申し上げました。私、やっぱりね、子供たちは政治に声を出すことができません。自分の学校の理科の実験室がどうなっているか、他所と比べてどう違うか、図書館の蔵書が数がいくつなのか、こんなことを、自分が義務教育で、さっき等しくどこでも同じ教育が受けられると申し上げましたけれども、その子にとってはオンリーワンなのですね、その学校が。そうすると、その学校を信じてその学校で学ぶのだけど、後で、卒業したり親の転勤をしてみたら、なんだ、こんなに恵まれているところもあるのだと思うことって多分いっぱいあるんだと思います。本当に誤解を恐れず申し上げますけれど、地財措置じゃなくてですね、やっぱり義務教育に必要な経費というのは、国が責任を持ってダイレクトに補助をしていくということをしないと、今回のようなGIGAのようなものは進まないんじゃないかと。日本中どこの小学校に行っても図書館には最低限この本がありますよ、子供たちの理科の実験はですね、こういう器具を使って実験ができますよということは、残念ながら、今まで何十年にもわたって地財措置をしてきましたけれども、それぞれの自治体の様々な行政事情の中で優先順位が変わってしまって、お金には、それは理科室の実験代と書いてないですから、実験用具代と書いていないから結局違うものに使われてしまうということは、今までもずっとあったのだと思います。そのことを知らない子供たちは声を上げることができないわけですから、まさに私たちこそがですね、そういう環境を整えていくためには、今までのように全体的な予算を増やしていく、マンパワーを増やしていくと同時に、令和の時代の新しい時代の学校というものはスタンダードはこれだというものを決めたら、そこまではやっぱり国が伴走をしてあげるような仕組みをですね、作っていく必要があるかなというふうに思っていますので。ぜひ、文科省の職員にそれを引き継ぎをして踏ん張ってもらいたいなと。地財措置だとやっぱり進みませんよね。だって、パソコンだって20何年間やってきているわけだから、最低でも3人に1台は使えるようにしてあげてと言ってそのお金は計算上は出ているわけじゃないですか、国から。だけど、正しく、正しくと言ったら怒られちゃうけれど、その通りには使われてないというのが地財措置の弱みなので、これは、私、地方政治もやってきたからわかるんです。向こう側の事情もあって、今年はこれよりこっちの方が大事だとか、これを急がなきゃならないというのがあるから、その裁量権が地方自治体にあることは百もわかっているのだけど、少なくとも小学校・中学校の義務教育は、これは買ってねと言ったものは買ってもらわないと困りますということをですね、この間も声を枯らしてきたつもりでいますけれど、改めて買ってくれないのだったら直接買って渡したほうがいいかなというふうに思っていますので、こんなことも、今後の予算の上では大事なことかなと思います。

記者)
 1点だけ追加させてください。今、お話あって、地財措置よりも直接補助の方がふさわしい部分も義務教育においてはあるというお話だったと思うんですけれども、小泉改革以来、地域主権改革等でですね、義務教育国庫負担金の比率を引き下げたりとか、地財措置の部分を地方の裁量を拡大してきたというのがあると思います、政府の政策として。それは、必ずしも全てが正しかったわけではないということなんでしょうか。

大臣)
 ここで正しかったか正しくなかったかという議論をするとですね、また、その政策の是非の話になっちゃうと思うのですけれど、要は、仕組みとしては地方の裁量権を増やして地方の判断にお願いすることにしたのですけれど、よもやそのお金がそういうことに使われると思わなかったという部分もいくつもあったと思うんですね。だから、私は、ここはさっき申し上げたように、地方の自治体の事情も承知していますから、優先順位がいろいろ変わるのだけど、まさに今回の議論もそうじゃないですか、総裁選の教育費全体が少ないと。私よく地元でね、1万円しかなくて家族で何かを買いたいものをお互いに言い合ったときに、おじいちゃんは孫の1万円を俺によこせと言うかと。孫のものを買ってやってくれと言うに決まっていると。それなのに、孫に行くはずの1万円がおじいちゃんに行っちゃっているのが今の日本の行政の、正に実態じゃないかと私は思っていまして、そういうことを皆さんに申し上げてきましたので、決して、地方の裁量権を否定するわけじゃないのですけれど、もう1回言いますけれど、義務教育ですから、これは最終責任は国にありますから、どこの学校に行っても同じ環境で学べる環境を、やっぱり国の責任で作るべきかなと。今回のGIGAスクールを経験して、そう強く感じた次第です。

記者)
 大臣ありがとうございます。科学技術関係でお尋ねしたいんですけど、この2年間を振り返っていただいて、大臣、やり残したことだったり、もう少し踏み込みたかったと思うことがあったら教えてください。

大臣)
 資源に乏しい我が国が、将来にわたって成長と繁栄を遂げるためには科学技術・イノベーションを振興していくことが重要であることは申し上げるまでもありません。文科大臣に就任して以来、なるべく現場にも足を運びながら、予算の獲得も含め、我が国の科学技術の発展に全力で取り組んでまいりましたが、今後、更に注力をすべき取組を挙げるとすれば、例えば、大学ファンドを早期に10兆円規模に拡充することとともに、将来にわたって運用益をしっかりと出せるよう、今年度、着実に運用を開始すること、昨年度、大幅に拡充した博士課程後期学生への支援を一層強化していくなど、若手研究者支援の更なる充実に取り組むこと、また、スーパーコンピュータ「富岳」の利活用の更なる拡大や、ポスト「富岳」の検討を進めていくこと、新型コロナウイルス感染症に関して、他国と比べて国産ワクチンの開発が滞った反省を踏まえて、今後の国産ワクチンの研究開発を、国主導の下、安全保障政策の一環として戦略的に進めていくこと、また、国際宇宙探査「アルテミス計画」をはじめとする宇宙開発利用の強化・拡大を図ること、今年度建造に着手した北極域研究船について、令和8年度の就航に向けて着実に取組を進めていくことなどが挙げられます。私は、科学技術って国民にとってはちょっと遠い存在で、専門性が高いとすごく難しい部分があったので、これを、専門家のため、研究者のためのものじゃなくて、国民、まさに共有の研究なのだと、私たちの暮らしを前進させるためにいろんな分野で研究しているんだということをできるだけわかりやすく国民の皆さんに伝える努力をしようということを呼びかけてきました。だって、宇宙開発と言ったって、これは普通の人にはあんまり関係なくてですね、そっちの予算があるんだったらこっちで使ってくれないかと誰も国民は言うんですよ。しかし、宇宙開発の中から様々な素材が出てきたり、日々GPSでですね、目的地に間違いなく行けるようになったのは、間違いなく宇宙開発研究の結果じゃないですか。そういったことを、ぜひ、これからも国民の皆さんにわかりやすくやることと、それから、ややもすると高度な研究施設などは特定の人たちのものになってしまうんですけど、私は「富岳」を高校生にも中学生にも小学生にも開放しろということを指示をしました。これ、まさに国民の税金で作ったものなのですから、みんなが使えるようにしていく。国立競技場が大事だからといって誰にも貸さないで毎日芝刈りだけしていたって何の意味もないわけですから、そういう意味では、科学技術の分野でも、JAMSTECやJAXA、子供たちが目を輝かす素晴らしい素材をたくさん持っているので、どんどん開放し、どんどん皆さんにわかりやすく説明してですね、自分たちもいつかそこへ辿り着きたいと、子供たちが思ってもらえるような日本の科学技術研究というのをわかりやすく説明していくことがこれからも必要だと思っていますので、そんなことを期待をしたいなと思います。

記者)
 大臣、在任中いろいろな改革をされたと思うんですけれども、我々は、次の大臣がどなたかというのをやはり注目して、どういうことをされるのかと注目するんですけど、名前が挙がっている末松参議院議員の方の経歴などを見させてもらうと、あまり文科行政に対して積極的に取り組んでらっしゃった方ではなさそうな感じをお見受けするんですけども、ややもすると、改革について、積極的に大臣が取り組んでこられたことをどう継承されるかとちょっと心配な部分も出てくると思うんですが、大臣が期待されていることとか、またどういうことをされてほしいかコメントをお願いできますか。

大臣)
 後任になられる末松さんは、参議院でですね、大変重要な仕事をしてまいりました。特に、議運関係とか国対関係とか、そういう議会回しなどに汗を流されてきた仲間でありまして、確かに文科の部会で役職に就いたりとかいうそういう経歴はございませんけれど、従って、昨日、末松さんからもお電話をいただいて、いろいろ引き継ぎをしっかりお願いしますねということをおっしゃっていただきました。本当だったら私からおめでとうございますと言うべきところを向こうから連絡をくれる、そういう謙虚な方でありますので、逆に言うと、おかしな知ったかぶりをしないで、今までの路線をしっかり噛み締めていただいてやっていただけるんじゃないかということを期待していますし、また、そういうことにつないでいっていけるように、今までの取組については時間をかけてバトンタッチをしていきたいなと思いますので、しっかりやっていただけると期待しています。

記者)
 報道ベースでは参議院枠というものがあると。その参議院の推薦枠なんじゃないかという報道もありますけど、参議院枠についてどういうふうに思いますか。

大臣)
 それは人事のことなので、私、ちょっとよくわからないのですけど、一所懸命、皆さんの社なんかでも派閥枠みたいなのでやっているように、そういう計算の仕方をする場合もあるのかもしれませんし、全くそういったことに配慮しないで人事をやる場合もあるんだと思いますけれど。岸田新総裁が適材適所とおっしゃっているので、そこはなんらかの思いがあって、もっと言えば、例えば、私、経産省に行くことになっていますけれど、今まで国会へ来てから一度も経産部会で出たこともございませんので、それは、今、伊藤さんが心配しているように、向こうの記者さんも萩生田さんで大丈夫かと心配しているんじゃないですかね。それぞれみんないろんな勉強をしてきていますので、頑張ります。

記者)
 2年間、すみません、ありがとうございました。私もお伺いしたいのが、2年間を振り返りまして、これからも、文科行政、教育の現場で携っていく文科省の職員の方々や全国の教職員の方々に最後のメッセージがあれば教えていただけますか。

大臣)
 文部科学省の職員の皆さんは、すごく真面目でですね、あえてわかりやすい言葉を使うと、品のいい霞が関の職員だなと思います。従って、他省庁との争い事などはあまり好まないでですね、どこかで大人の判断をして我慢をするという役所だったんだと思います。逆に、彼らに言っているのは、言い換えれば負け癖がついていると。なんでここでね、試合終了になるんだということを、常に、私、申し上げてきましたので、さっき申し上げたように、やっぱり、もちろんそういういろんな省庁間のバランスの中で、遠慮したり我慢をしたりすることも当然政策の中ではあるけれど、やっぱり、ここ一番退いちゃいけないというものについては、もうがむしゃらに戦えということを申し上げてきましたので、少しはそういう思いというのを共有していただいていると信じていますから、ぜひ、引き続きですね、品の良さは保ちながら、しかし、ここ一番は絶対に退かないという文部科学省であっていただきたい。それが、将来の国のため、子供たちのために関する政策だったら負けないでやってもらいたいなと思っています。全国の教育者の皆さんには、この2年間ですね、大変お世話になりまして、この場を借りて御礼を申し上げたいと思います。特に、コロナ禍で現場の先生たちと共に子供たちの学びを守る、この1点で頑張ってきたつもりでございます。普段の業務以上に、せっかく働き方改革と言いながらですね、本来の業務以上に業務が発生してしまって、現場では本当にご苦労されていると思いますけれど、先生方も思いを同じにして歯を食いしばって頑張っていただいた、そんな2年間だったと思います。従って、私、報道で、留任、留任というか閣内留任と出たものですから、実は、先週、皆さんとお別れのご挨拶した後に、もうダンボールに荷物を1回入れたんですけど運び出しをするのはやめて、もしかしたらもう1回月曜日からやるのかなという思いがあったので、このコロナ禍で先生方やお子さんたちを残して自分が違うところに行くというのは本当に忍びなくてですね、申し訳ない思いなのですけれど、今まで取り組んできた感染防止策ですとか、それから学びの充実、こういったものは多分共有していただけるというふうに思いますので、ぜひ、教員という仕事は、やっぱり子供たちの出会いが、人生をも変えるぐらい影響力のある大切な素晴らしい仕事だと思います。大変なのは今わかっていますから、それをきちんと正していきたいと思いますので、ぜひ、学生の皆さんにもですね、教師を志す、その志を持って教壇に立っていただく人たちが1人でも増えてもらうことを祈っていますし、また、そのための応援を、これからもしていきたいなと思っています。
 本当に2年間お世話になりました。ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。

(了)

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大臣官房総務課広報室