萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年9月24日)

令和3年9月24日(金曜日)
教育、その他

キーワード

東京学芸大学附属中等教育学校の視察、特別支援学校設置基準の制定、「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議、都立高校入試の男女別定員制、GIGAスクール構想と文科省の組織改編、町田市女子児童が自死した件、姫路市立小学校教諭が特別支援学級児童への体罰等により懲戒免職になった件

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年9月24日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年9月24日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年9月24日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。冒頭、私から3件です。
 今週22日(水曜日)に練馬区にある東京学芸大学附属国際中等教育学校を訪問してまいりましたので報告をいたします。学校では、同校の特色である先進的な国際バカロレア教育に関する授業や課題研究発表を拝見するとともに、教師を志す学生が教育実習に取り組む様子を拝見をしてまいりました。また、学校関係者等の意見交換では、同校では、国際バカロレア教育の拠点校として、全国から教員の派遣研修や視察受け入れを行っていること、年間を通じて多くの教育実習生を受け入れ、次代を担う教師の育成に精力的に取り組んでいくことなど、国立大学附属学校として、全国のモデルとなるような先進的な取組を進めていくとともに、これからの学校教育を見据えながら教師の養成に取り組まれている様子を伺うことができました。文科省としては、今回の視察で得た成果も踏まえ、引き続き、国立大学附属学校が、その使命・役割をしっかりと果たしていくことができるように支援してまいりたいと思います。
 2件目です。本日、在籍者数の増加により慢性的な教室不足が続いている特別支援学校の教育環境を改善する観点等から、特別支援学校設置基準を制定をいたしました。本設置基準は、省内の有識者会議や中央教育審議会特別部会における議論も踏まえ、鰐淵政務官の下に設置したタスクフォースにおいて検討を続けてまいりまして、特別支援学校を設置するために必要な最低限の基準とするとともに、地域の実態に応じた適切な対応が可能となるよう弾力的かつ大綱的な規定とすることを基本方針としています。文科省としては、本設置基準の趣旨の周知徹底を図るとともに、特別支援学校の用に供する既存施設の改修事業への国庫補助率の引上げなどを通じて、引き続き、教師不足の解消に向けて集中的に取り組むための自治体による計画の策定を促してまいりたいと思います。
 最後に、この度、通信制高等学校の制度見直しに向けた検討を行うため、「『令和の日本型学校教育』の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議」を設置をし、来週28日に第1回会議を開催することとしましたのでお知らせをいたします。通信制高校は、当初、勤労青少年を前提として、自宅などにおいて「自学自習」に取り組むことを原則とした教育制度として創設されたものですが、近年は、生徒の多くが不登校経験者などの16歳から18歳までの生徒となっており、制度創設当初に想定していた生徒像とは異なる状況にあるにもかかわらず、現在の生徒の実態を踏まえた制度の見直しが十分ではなく、解決すべき課題が多いと考えております。また、近年、広域通信制高校の設置数が急激に増加をしており、一部の学校においては、不適切な学校運営や教育活動の実態が見られるところです。さらに、広域通信制高校が設置をする「サテライト施設」が、所轄庁である都道府県の圏域を越えて全国各地に設置されており、広域通信制高校に対する設置認可や監督の在り方にも課題があると考えております。文科省としては、様々な背景から通信制高校に在籍する全ての生徒が適切な高校教育を受けられるよう、直面する課題の解決に向けた制度見直しの検討を行い、検討の結果を踏まえ、関係法令の改正を含めた必要な措置を講じてまいりたいと考えております。私からは以上です。

記者)
 冒頭1件、質問させてください。私立高校入試の男女別定員制について、現在は定員1割で男女合同の順位で合格者を決める「緩和策」が導入されていますが、段階的・計画的に見直しを進める必要があるとして、まずは緩和策を拡充し、廃止時期については探ることで私立中高協会と合意に至ったとの報道がありましたが、これについて、大臣の受止めをお願いします。

大臣)
 都立高校でしょ。冒頭。私立って言ったよね。

記者)
 ごめんなさい。都立高校です、すみません。

大臣)
 21日(火曜日)にですね、東京都の教育委員会が私立学校の団体との協議会を開催をし、都立高校入試の男女別定員を段階的に見直す方針を決定したと承知しております。この方針においては、男女別定員の見直しの検討に当たって、公立中学校卒業予定者の適切な進学機会の確保が重要であること、公私間の男女別受け入れ生徒数の変化などを考慮し、段階的・計画的に見直しを進める必要があること、男女を別定員としない入学選抜の実施時期については、令和4年度入学者選抜の結果の分析などを踏まえることとし、引き続き協議することなどが合意されたと承知をしております。高校入試の実施方法等は、募集定員をどのように設定するかも含め、各都道府県教育委員会等の判断で決定するものです。今回の方針も、東京都のご判断で決定されたものと承知しておりますが、東京都におかれましては、今後とも、受験生やその保護者の思いも踏まえつつ、関係者とも協議の上、適切なご対応をいただきたいと思っています。

記者)
 GIGAスクール構想の本格実施から半年が経ったのと、それから、10月1日から、それに合わせて文科省の初中局の組織を改編されると思うんですが、それについて伺いたいと思っております。ほとんどの学校で1人1台端末は配布されまして、授業で積極的に活用し始めた学校もある一方で、家庭への持ち帰りをいまだに制限していたりとかですね、非常に、こう、まだら模様になっているのが学校現場の実態ではないかと思います。また、家庭環境による格差の問題についても、いろいろ懸念する声も出ていると思います。あともう1つは、一方で、このICTは、配備すれば終わりではなくて、そのICTの機械を文房具のように使って、新しい学びにどういうふうにつなげていくのかというのがこれからの大きな課題だと思いますので、そうした半年間の経緯の評価、現状の進捗、進展状況に対する大臣のご見解と、それから、文科省の組織改編とこの次の新しい学びへの考え方などがありましたら伺いたいと思います。

大臣)
 1人1台端末の整備については、概ね、全国の小・中学校における整備が完了したというふうに承知をしておりまして、現在、GIGAスクール構想では、環境整備から、この2学期は利活用の推進のフェーズに移行しているというふうに思います。一方で、本年4月以降、GIGAスクール構想に関する各種調査を行ったところ、例えば、非常時であっても端末の持ち帰り学習について、約64%の学校が「実施できるように準備済み」であるという一方で、約36%の学校が「実施・準備をしていない」もしくは「準備中」であること、また、ネットワーク環境について、十分な接続速度を確保できていない、ネットワーク環境の事前評価の実施予定がないといった事例が見られたことなど、今後、引き続き、改善・検討していく課題も多く見つかっております。そのため、省内に設置しているGIGA StuDX推進チームによる教育指導面での支援活動を強化するなど、積極的な利活用の促進に取り組むとともに、運用面の支援の更なる強化にも取り組んでいきたいと考えています。また、令和4年度概算要求においては、全国の自治体が、民間事業者を活用した広域的な支援センターを構築し、ヘルプデスクの開設やネットワーク環境のアセスメント及び応急対応などの支援を組織として行うための予算等を計上しています。GIGAスクール構想により実現した1人1台端末環境をフル活用することによって、全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと協働的な学びの実現に向けて、引き続き、取り組んでまいりたいと思っています。GIGAスクール構想による児童生徒の1人1台端末の実現など学校における情報環境が飛躍的に進展している中で、教育課程、指導方法、教科書など、学校教育に関する制度や運用全般について、これまでにない変化をもたらしていると思います。そのため、学校におけるICTの活用については、情報教育を担当する課のみに閉じるものではなくて、初等中等教育局を挙げて取り組む必要があるという考えから、本年10月1日より、情報教育・外国語教育課を発展的に解消し、組織再編をすることにいたしました。具体的には、新たに設ける修学支援・教材課において、端末などの情報環境整備に関する事務と通信費の支援や将来的なBYODを見据えた場合に密接な関係を有する修学支援に関する事務を一体的に行うこととしています。また、教育課程(注)において、ICTを活用した指導の推進に関する事務と各教科などにおいて個別最適な学びを充実する指導の推進に関する事務とを一体的に行うなどしています。文科省としては、今回の組織再編に伴って、GIGAスクール構想の着実な推進と学びの充実に向けて更に強力に取り組んでまいりたいと思います。正式スタートから約半年で、ご指摘のように、自治体ごと、あるいは自治体内でも学校によって、やや利用方法などまだらな点があることは現段階では認めなきゃならないと思います。要は、ミニマムスタンダードをどこまで上げていくかということが大事だと思いますので、これは4年間の計画を1年間で前倒しをしましたので、そういった意味では、なかなかですね、こっちが理想としているような準備や対応ができていない自治体があることは、現段階では否めないと私は思っていますので、以前もここでお話しましたけども、今年は煽りに煽ってですね、急げ急げと言うことがかえって次なるトラブルを生むと思いますので、ここは、まず上手に利用していただくということをしっかりこの1年進めていきたいし、その中で先進的な良い取組というのはどんどん出てきますから、こういったものを横展開して、できるだけ国全体のですね、利用のスタンダードというものを高めていくということが極めて必要だと思います。先週、最北端の稚内の中学校にお邪魔しましたけれど、本当に上手に使っていました。それで、我々が思う以上にですね、個別最適な授業というのを現場でやっていらっしゃっていて、そしてそういう中では、例えばやや不登校気味のですね、学校になかなか来づらくなった子たちが、学校には来るんだけど教室の中まで入れない子たちを、別教室で、これは、遠隔で同じ授業をリアルタイムにやったりして、そういうのは想定を超える利用方法だったというふうに思っていまして、良い点もどんどん出てきていると思います。他方、町田市のいじめ事案にありますように、逆に先進市ほどですね、言うならば、自分たちはできるという過信があって、細かい点での注意事項を怠ってしまっている点もあるんじゃないかと思っていますので、どんどん先に行くところは行ってもらいたいけれども、しかし、文科省が出している通知やチェックリストをよく見ていただいて、同じことを、全国で同じことが、最低限のことはきちんとできて安全性などもしっかり高めていくということが必要だと思っていますので、これから後半に向けて、できることをしっかりしっかりやっていきたいなと思います。

記者)
 1つだけフォローさせてください。今、大臣がおっしゃった、全国である程度同じレベルのものが最低できなければいけないというのは、これは、いつ頃、年度内にそれを完了することが。

大臣)
 今年が初年度ですからね。だから、来年からは少し景色を変えていきたいと思っています。他方、私、デジタル庁の設置のときからずっと申し上げていますけれど、やっぱり、通信は地域格差があることは否めません。これは大変申し訳ないけれど、文科省だけで解決できません。総務省やデジタル庁を含めてインフラの整備をしてもらわなきゃならないわけです。ルーターを貸し出せばそれで解決するという簡単なものじゃない地域も日本国内には数多くあるわけですから、私、これはやっぱりデジタル化社会を目指し、そして最も大切な子供たちの学び環境を整えるということであればですね、この通信網の整備、あるいはその利用法の対価をどうするか。義務教育期間の子供たちがこういった通信を使うことに関しては、今、盛んに私の所属する党でも新しい総裁の皆さんが討論していまして。こういうときに限ってですね、ずいぶん子供たちに理解を示してくれて、OECDの中でも教育費が最低だとか、あるいはGDPの3%に満たないって、そんなこと今まで僕が声を枯らして言ってきたことをですね、やっとわかっていただいたんじゃないかなというふうに思っていますので、次、期待をしながらですね、しっかりそういう環境を整えて、子供たちの学びを整えていきたい、環境をよくしていきたいなと思います。

記者)
 今お話しにも出てきた町田市のいじめの事案で、1点、お伺いします。先日の町田市長の会見で、第三者委員会を作り直すということは表明されたんですけれども、市長の発言の中で、新しく作り直す委員でご遺族のご意見を聞くことがない旨であったり、推薦を受けることはない旨であったりを発言されておりました。先日、文科省から出された事務連絡にもあったと思うんですけども、重大事態のガイドラインでは、被害者側の意向も踏まえた調査になることを担保するようにきちんと記載もされていて、被害者側に寄り添うことが求められている中で、市長の姿勢というのは、ちょっとガイドラインとはそぐわないんじゃないかなと思うんですけれども、これについて、大臣のお考えを伺えますでしょうか。

大臣)
 22日、町田市長が会見の中で、市長部局に新たな調査委員会を立ち上げ、再調査を行うことを明らかにしたことについては承知をしております。いじめ防止対策推進法においては、当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるとき、地方公共団体の長は、重大事態調査の結果について再調査を行うことができるとされており、今回、町田市長が発表された市長部局による再調査は、これに相当するものだというふうに思っております。会見の中でですね、第三者調査委員会の調査のやり方について一部触れているところがあるやに承知していますけれど、これは、やっぱり設置をするに当たって公平性をしっかり担保していただくということで、必ず、もちろん被害者のご家族の皆さんに寄り添っていただくことは大事だと思うんですけれども、この人を委員に入れてくれとかですね、そういったことで委員構成が変わっていくということになると、これまた違った判断になる可能性もあるので、そこは、私、町田市の判断を尊重したいと思います。いずれにしても、ヒアリングなどをする機会は、きっとその委員の人たちの中で考えがあれば当然あることだと思いますから、それを、あらかじめ首長の方がやるとかやらないとか決めることもおかしなことだと思いますので、今後の推移を見守っていきたいなと思っています。

記者)
 続けて、今の町田市のいじめの関係で、今ご発言ありましたけれども、市長会見の中で、遺書の提出がなければ法的措置も検討したい旨をちょっと触れていらっしゃったかと思うんですけれども、こういった点について、遺族と寄り添った対応といえるのかとどうかというところと、文科省として、今後、引き続き、指導だったり職員の派遣を検討していらっしゃるかどうかを伺いたいのが1点と、あともう1点、これは地方で起きていることなんですけれども、姫路市の特別支援学級で、暴言を吐いていた教師の件というものが報じられていたかと思います。パラリンピックの開催年となる今年にこうした事案があったわけですけれども、子供たちが安心して学べるように現場への呼びかけを伺えたらと思います。よろしくお願いいたします。

大臣)
 ごめんなさい。私、会見を全て発言を承知していませんのでちょっとよくわからないんです。NHKのニュースを見た段階なので。ただ、いろんなアプローチの仕方はあると思うんですけれど、少なくとも常設の第三者委員会を常に持っていた町田市さんが、それでは調査不十分だという判断の下で新しい調査委員会を作るという判断をしたことは、遺族の皆さんに寄り添った対応の第一歩だと私は思いますので、今後の第三者委員会でのしっかりとした調査の内容というのを共に見ていきたいなと思っております。それから、兵庫県の姫路市の小学校で特別支援学級を担任していた男性教員が、暴言や体罰を繰り返していたとして、懲戒免職の処分を受けたことは承知しています。で、地方公務員法による懲戒処分については、個別の事案に応じて任命権者である教育委員会の権限と責任において判断・対応がされるものでありますが、児童生徒を守り育てる立場にある教師が児童生徒に対して暴言や体罰を行うなど、子供を傷つける行為を行うことは断じて許されないと考えております。しばらく、長期と言いますか複数年にわたってこういう言動があったというふうに報道でも承知をしておりますけれども、懲戒免職にするというのは、教育委員会もかなりの決定的な根拠があって決断をしたんだと思いますので、いずれにしてもですね、特別支援学校であってもなくてもですね、子供たちへの体罰等々についてはしっかり教育委員会で把握をしていただいて、学校現場における適切な対応と、教育委員会による厳正な対処について今までも指導してきましたけれども、引き続き、学校や教師が社会からの信頼を得られるようにしっかりと取り組んでいきたいなと思っています。

(注)「教育課程」と発言しましたが、正しくは「教育課程課」です。

(了)

お問合せ先

大臣官房総務課広報室