萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年9月21日)

令和3年9月21日(火曜日)
教育、科学技術・学術

キーワード

いじめ防止対策推進法等に基づくいじめに関する対応について、大学における安全保障貿易管理に関する調査結果について、町田市女子児童が自死した件、日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターの調査坑道の掘削、教科書発行者からの訂正申請

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年9月21日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年9月21日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年9月21日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から1件です。今般、いじめの対応に不適切な点があったのではないかと報じられる事案が複数生じております。かねてから申し上げている通り、いじめは決して許されないものであり、各学校や教育委員会等においては、いじめ防止対策推進法等に基づく適切な対応が求められています。いじめに関する対応については、これまでも行政説明会や研修会等の機会を通じて周知徹底を図ってまいりましたが、いじめの周知や重大事態への対応など、いじめ防止対策推進法やガイドライン等に則った適切な対応が行われるよう、取組の徹底を促すための事務連絡を、本日発出をいたします。事務連絡では、いじめに関する対応に当たって、いじめの積極的な認知と早期の組織的な対応が求められていること、重大事態の対応には、いじめ防止対策推進法やいじめの重大事態の調査に関するガイドライン等に基づく適切な対応が必要であること、いじめ事案を認知してから対応するのみならず、未然防止に取り組むことが重要であることについて示しており、いじめ防止対策推進法等に基づいた適切な対応がなされるよう、改めて周知をするものです。各学校や自治体等におかれては、本事務連絡の趣旨を踏まえ、適切な対応を一層徹底していただきたいと思いますが、引き続き、文部科学省としても、行政説明や研修会等の機会も通じて、しっかり必要な指導・助言などの対応をしてまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 先日、文科省と経産省で調査をした、日本で学ぶ留学生が帰国をする際に機微な技術情報などが持ち出されるのを禁じる注意喚起を行っていない大学が全体で6割を超える結果ということがありました。これについて大臣の受止めと文科省として講じるべき対策があれば教えてください。

大臣)
 報道にある調査は、外為法を踏まえた安全保障貿易管理に関して、大学の体制整備などの状況を把握し徹底を促すため、2014年度より毎年、2019年度からは経産省との合同で実施しているものです。安全保障貿易管理の管理上、留学生の卒業時や研究者の帰国の際には、外為法遵守についての注意喚起の実施や誓約書の取得などが奨励されております。本年実施した調査においては、外国人留学生・研究者などの帰国時にそのような注意喚起をしていない大学が、国立大学で約42%、公立大学で約72%、私立大学で約67%、全体で約61%になることがわかりました。大学は、科学技術・イノベーションの発展に資する研究の遂行を担う一方で、外為法に基づく機微技術流出防止との両立を図ることが必要です。今回の調査結果を見ると、安全保障貿易管理の担当部署の設置や内部規定の策定を実施している大学の割合が増えているなど、その体制整備は着実に進んできているところですが、大学には、更に実効性のある取組を一層進めていただく必要があると考えています。文部科学省としては、経済産業省と連携し、各種説明会での注意喚起や、体制整備の徹底を要請する通知の発出を通じて、大学における技術流出防止に向けた管理体制の強化を図ってまいりたいと思います。

記者)
 冒頭のご発言に関連して、1点、お伺いしたいんですけれども、まさに、町田市の事案が、おそらくその一つの念頭にあるかなと思うんですけれども、ご遺族が記者会見をして、その後、文科省が迅速に事実確認を行った後でも、まだご遺族が望まれているような第三者委員会の作り直しであったりとか、そういった対応が全く取られてなくてですね、ご遺族の方からすると、非常にないがしろにされているというか、対応が遅いという感覚を持たれているようなんですけれども、これに対して、文科省から改めて対応するご予定はあるか伺えますでしょうか。

大臣)
 記者会見の翌日にですね、東京都と町田市の教育委員会を文科省に呼んで様々な事情聴取・意見交換をいたしました。第三者委員会の設置についても、町田市は前向きに取り組むよう、答弁していますし、また、町田の審議会の中で、もう既にこういったやり取りがされていると思うので、ご遺族からすれば、1日1日が本当に長い時間ですから苛立ちもあるのだと思いますけど、文科省としては、これは滞っているとは思っていませんので、できるだけ速やかに体制を整えて、しっかり調査をしていただくことが必要じゃないかなと思っていまして、必要があれば、また指導したいと思います。

記者)
 前回の記者会見に重ねての質問で大変恐縮なんですけれども、大臣が視察された北海道幌延町の深地層研究センターについて、もう1点、お聞かせください。これ、500mまでの掘削を行うということで、地元で心配されているのは、研究機関が現在2028年度までとご説明があるものをですね、延長されるんじゃないかというような心配があるんですけれども、これは、掘削によって延長されるご予定があるのかないのか、お考えをお示しいただければと思います。

大臣)
 日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターの調査坑道の掘削については、北海道及び幌延町が主催をする会議において、深度を今の350mから500mまで掘削する計画について原子力機構より説明が行われて、今年7月に、北海道及び幌延町の確認をいただいたところです。原子力機構において現在実施している研究は、令和10年度までに技術基盤の整備の完了が確認されるよう進めるとしており、深度500mの掘削及び研究についても、同じく令和10年度までに実施されるものと承知しております。文科省としては、引き続き、経済産業省と連携し、令和10年度までに技術基盤の整備が完了されるよう原子力機構を監督をしてまいりたいと思います。

記者)
 延長はないという理解でよろしいですか。

大臣)
 基本的には10年度までに全て終わるという前提でやっていますけれど、その、もっとやってほしいということですか。

記者)
 予定通り。

大臣)
 基本的には10年度で終わるのですけれど、他方、ご承知のように、幌延町にとってこの研究施設って多くの研究者が往来したりですね、また、外来される方たちのビジットセンターなども子供たちには非常に人気があるものなので、町長さんとお話する中で、研究そのものはもちろんどこかで線引きをしなきゃならないのですけれど、その後も、何らかの形で施設を有効利用するようなこともいろいろ考えたいとはおっしゃっていましたので、そこは、10年度までの掘削・研究と、その後のことは、また柔軟に対応したいと思います。町にとって一番良い方法を、我々としては、寄り添っていきたいなと思っています。

記者)
 2点、伺います。まず、大臣が冒頭おっしゃった事務連絡の関係ですけれども、この事務連絡の内容について、例えばICT端末が不適切な利用をされているとか、不適正な管理がされているといった実態の調査するようにといった趣旨が含まれているのかどうか、これを確認させてください。もう1点は、歴史教科書の訂正申請の件ですが、先日、市民団体の方が記者会見をされて、こういった、国会議員からの質問主意書に対する閣議決定を受けて訂正申請という形が常態化するようなことがあると検定制度そのものが形骸化してしまうというご指摘をされています。この批判について、大臣、どうお考えかお聞かせください。

大臣)
 これまでの町田市教育委員会等からの事実確認によると、児童全員が同じパスワードを使用していたなど、文科省のセキュリティポリシーガイドライン等に照らして不適切な利用がされていたと考えています。今後、町田市教育委員会等からの状況報告も踏まえた上で、パスワードの適切な運用を含め、端末の安全な利用について、全国の教育委員会に対し、様々な場を通じて改めてガイドラインやチェックリスト等の周知・徹底を図るとともに、事業者等とも連携をして、チャット機能などの適切な活用事例などの周知を行いたいと思います。コロナ禍にある学校の状況などを踏まえて、現時点では、緊急の全国調査などを行うことは考えておりませんが、省内のGIGAStuDX推進チームが、全国の教育委員会へのプッシュ型の支援や情報収集・発信をしているところでありまして、学校現場の悩みや課題などに対応する中で、端末のトラブルについても実態の把握に努めてまいりたいと考えていますが、今回の通知の中で、特別このことを際立ててお知らせするということは、現段階では、考えていません。
 本年4月に質問主意書に対する答弁書として、「従軍慰安婦」や「強制連行」との用語に関する政府見解が示されました。このことを受け、関連する記載がある教科書の発行者から訂正申請がなされたものについて、教科書の検定調査審議会の審査を経て、今月8日付けで承認したところです。この点を含め、教科書の記述としては、教科書検定調査審議会の審査を経て、教科書検定基準に基づいた訂正が適切になされたと思っておりまして、従来から申し上げているように、こういった従軍慰安婦の問題だけじゃなくて、歴史的に解釈が分かれていたりする事柄というのはいくつかあると思います。あるいは、前にも例示しましたけれども、その後の調査によって事実関係が変わってきて、それを政府がきちんと認定をする場合があると思います。例で挙げましたけど、うちのスポーツ庁の長官は、オリンピックが終わったときには銀メダリストでしたけど、その後のドーピング検査によって数年後に金メダリストになりましたから、その直後に発行された教科書の中では、室伏さんというのは銀メダリストと書いてあるのですけれど、これは当然、金メダリストになった段階でそのことを周知をするということも必要だと思うので。国会の質問主意書というツールを使って、たまたまこういう事実関係の確認を政府がしたまでであって、どういうシステムにしろですね、事実が明らかになった段階で、それをその政府がオフィシャルコメントとしてきちんと発信した以上は、そういったことを教科書会社の皆さん伝えるのは、我々としての使命だと思っていますので。それをもって、検定制度が形骸化をするということじゃなくて、今申し上げたように、そういうことが起きたとしても、更に調査審議会で、きちんと審査を、もう一度加えますので、そこはご心配のことはないというふうに思っています。

記者)
 今日、教科書検定の関係で、事業者が国家賠償請求訴訟を午前中に提出したということで、裁判所の記者クラブの方で会見したようですけれども、これについて、大臣、何かコメントがあればいただきたいんですけれども。

大臣)
 ちょっと事実関係を承知してないのでコメントは控えたいと思うのですけれど、就任以来、このことについては、事業者が直接ということはありませんでしたけれど、関係者の皆さんからいろんな申し出がございました。私としては、適切な対応をしてきたつもりでございますし、また、その中で、確かに言われてみれば、検定の尺度としてですね、もう少し柔軟でもいいんじゃないかなということも、ちゃんと省内でも整理をしたつもりでございますので、それをもって国家賠償と言うと、ちょっと大げさな話かなという気もしますし、現職の文科大臣ですから、いろいろ配慮して申し上げていないこともありますけれど、やっぱり教科書検定ってルールに則ってやるべきだというふうに思っておりまして。果たして、訴訟を起こすだけのですね、一点の曇りもない対応だったのかということは、関係者の皆さんにもよく確認をした方がいいんじゃないかという思いもございます。

(了)

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