萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年9月17日)

令和3年9月17日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センター及び公立中学校の視察、教育再生実行会議の廃止等、町田市女子児童が自死した件、民間人だけが搭乗する米国民間宇宙船の地球周回軌道への打上げ、自民党総裁選、複数の学校でワクチン接種の有無を児童生徒に挙手等により確認していた件

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年9月17日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年9月17日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年9月17日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。冒頭、私から2件です。
 一昨日から昨日にかけまして、北海道に出張しました。国立研究開発法人日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センター及び稚内市立稚内東中学校の2か所を訪問いたしました。一昨日、日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターでは、野々村幌延町長等との意見交換を行い、調査坑道を500mに拡張する計画の確認を含む、これまでの地元のご理解とご協力に感謝を申し上げた後、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術の確立に向けた研究開発の実施状況について視察をしました。高レベル放射性廃棄物の処分に当たっては、科学的知見に基づく安全な技術の確立と国民の理解の醸成が不可欠であり、同センターにおける研究開発が着実に進むよう、文科省としては、引き続き、経産省と連携し、原子力機構を指導してまいりたいと思っております。また昨日は、稚内市立稚内東中学校を訪問し、ICT機器を活用した授業の様子を視察するとともに、工藤市長、表教育長等と意見交換を行いました。同校では、感染症対策として、1クラスを2教室に分けてオンラインでつないで授業を実施するなど、密集を回避する工夫をしながら、子供たちの学びの保障に取り組んでおられる姿を拝見し、先生方の工夫とご尽力を改めて実感する機会となり、感謝の意を伝えて参りました。私としては、今回の視察の経験も活かし、文科省として、子供たちの学びと健康を守るため、教育委員会や学校の取組を、引き続き、支援していくことに力を尽くしてまいりたいと思います。
 もう1点ですが、教育再生実行会議は、平成25年1月の設置以降、8年以上にもわたって、幅広い教育政策について議論を行い、これまで12次にわたる提言をまとめてまいりました。また、今月3日には、これまでの提言のフォローアップも行ったことで、その役割を一定終えたと考えております。一方、先日の会見でも、「総理の下で、教育や人材育成に関して議論をする場は今後も必要」ということを申し上げておりましたが、本日の閣議において、主に、教育再生実行会議を廃止をすること、今後、教育や人材育成に関する検討を行う新たな会議を開催することを決定をいたしました。なお、教育再生実行会議の廃止の日は、形式的には新たな会議が設置された日となります。新たな会議の開催は、新しい総理の下で行うこととなると思いますが、教育や人材育成に関して省庁横断的な立場からの議論や取組が不可欠ですので、今後も政府全体でしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。私からは以上です。

記者)
 質問させていただきます。町田市でいじめを訴えて小学6年生の女子児童が自殺をした件で、先日、事実関係の確認をした翌日以降に、新たにわかった事実があれば教えてください。また、それを受けて、文科省として速やかに、端末の扱いなどで改善すべき点があったのか、また、全国的に同様の事態が起きていないか、今後調査する予定があるか教えてください。お願いします。

大臣)
 今週の14日(火曜日)にですね、町田市教育委員会及び東京都教育委員会に文部科学省にお越しいただいて、本事案についての事実確認等を行いました。町田市教育委員会からは、学校及び教育委員会におけるこれまでの対応経緯など、現時点で把握している状況についてご説明をいただき、文部科学省からは、いじめ防止対策推進法等に基づく、適切な調査の実施を行うことや、何よりもご遺族へ寄り添った対応をとることなどについて、指導・助言を行いました。いろんな話をする中で、端末の使用状況等について事実確認を行ったところ、令和元年度から、市の独自の授業によって、当該学校に小学校6年生には1人1台に足りる端末の整備がされていたということです。同市としては、先進的にこのICT教育を進めておりましたので、市内3校のモデル校を指定をして、その中の1校が当該学校だったということです。ちょっとびっくりしたのは、当時、パスワードが、児童全員が同じものを使用していたということでありまして、そのようなことが明らかになりました。こうしたパスワードの運用は、文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」において、平成29年から累次にわたって指導してきている内容でありまして、他人に知られないように取り扱うとされていることに照らしても、不適切と言わざるを得ないものと考えています。文科省としては、これまでも端末の本格運用に際しての留意事項を整理したチェックリストを作成・公表するとともに、セキュリティガイドラインの改訂などの取組も進めてきたところですが、今回、明らかになった事実も踏まえ、まずはパスワードの適切な運用について、各教育委員会に対して、改めて周知・徹底を図っていくこととしたいと思っております。また、誤解を恐れず申し上げますけれど、先進市に限りますとね、どうしても自分たちは早くからやっているという慣れがあって、まさに令和3年から始まったGIGAスクールの中で、すごく細かいチェックリストや様々な指導をしてきたのですけれど、もしかするとそんなことはわかっていると、言うならば思いの中で、今までやってきているからということでこういう穴が開いているとすると、これは大変なことになりますので、関係各所ともしっかり連携しながらですね、改めて、原点に戻って、安全性の確保について努力をしていきたいと思っています。町田市教育委員会及び東京都教育委員会から事実確認ができていない事項もありますので、引き続き、状況報告を求めた上で、1人1台端末が教育現場で安全に活用されるように、今後も必要な取組を行ってまいりたいと思っています。

記者)
 宇宙関連で1件、お伺いしたいんですけども、昨日、スペースX社が、民間人だけが乗り込む宇宙船を地球周回軌道へ打ち上げることに成功しました。それに関して、大臣の受止めをお願いします。

大臣)
 すごいね。昨日、米国の民間事業者が、民間人のみが乗り込む宇宙船を宇宙周回軌道に打ち上げたことが報道されております。承知しています。宇宙旅行の実現に向けた取組が一層活発化してきたというふうに感じております。文科省では、本年6月に、宇宙旅行等の宇宙輸送ビジネスの実現に資する「革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会」の中間取りまとめを公表しました。このロードマップの実現を目指す経費について、令和4年度の概算要求をしたところです。文科省としては、こうした民間の宇宙旅客輸送事業への関心の高まりも踏まえ、官民連携により、抜本的な低コスト化を目指した革新的将来宇宙輸送システムの実現に向けて、技術的支援も含めて、引き続き、しっかりと取り組んでまいりたいと思っています。今回のクルードラゴンは、言うならば再利用をしたロケットということで、こういうことでどんどんコストが下がっていくことになるのだと思います。旅行は、私も良いと思うのですけれど、あまりこれ、宇宙旅行のために宇宙研究開発をしているのかという間違ったメッセージになるとですね、これは、富裕層の皆さんはそういうのを楽しみにしているかもしれないけれど、一般の人たちにして見れば、また遠い存在になってしまうので、そこは、我が国としては、もちろんそういう技術的な支援をしっかりしながら、人も物もですね、宇宙に行ける時代というのを目指していきたいと思いますけれども、まずはその安全性等、技術面でですね、日本の良さをしっかり発揮していくということに力を入れていこうということを関係所管とも打ち合わせをしているところです。

記者)
 町田のいじめについて、2点、伺います。大臣、冒頭で、パスワード・IDの管理等について、改めて適正に行うよう教委に周知、徹底を図っていく趣旨のお話をされましたが、これは、通知という形で正式に行われるのでしょうか。あと、端末が、現時点で事実としては確定してないわけですけども、いじめ等に使われていないかどうかというのを、各地の実態を含めて調査するお考えがあるかどうかお聞かせください。

大臣)
 今回の件は、学校教育関係の皆さんは全て承知をし、また、注目している案件だと思いますので、まず、足元をしっかり見直していただいて、今まで文部科学省が累次にわたってお願いしてきた、言うならばガイドラインの見直しをしっかりやってもらうその旨の通知は、当然必要だと思うのですが、本件に限らずですね、今回のことを機に様々心配されることがもしあるとすれば、この際、少し深掘りをして、そういうことも併せて全国の皆さんと共有していこうというふうに考えておりますので、とりあえずGIGAスクール関連都道府県会議のオンライン会議が、今日たまたまですね、今日予定しておりましたので、パスワードの適切な運用については指導させていただきますけれども、これからも累次にわたって適切に指導は続けていきたいなと思っております。また、納入をしていただく、ハードを納入していただく業者あるいはそのOSの業者、こういった皆さんも、形についてよくわかっていらっしゃるので、納入時にですね、子供たちが使うことを前提に納めていることはわかっているわけですから、そういう意味で、言わずもがなでお互い様だというふうに思っているところももう1回確認をしてですね、徹底していこうということをさっき相談をしました。

記者)
 今日、自民党総裁選の告示がされましたけど、大臣、ご支持される方がいらっしゃれば挙げていただきたいのと、理由を述べていただきたいなと思います。お願いします。

大臣)
 今日から自民党の総裁選がスタートすることは承知していますが、文科大臣としての記者会見ですので、この場で詳細は控えさせていただきたいと思いますし、どういう方が立候補されるのか、どういう考えなのか、まだ詳しく承知していませんのでしっかり見極めていきたいなと思います。

記者)
 冒頭発言にございました幌延の視察についてお聞きしたいんですけれども、幌延に関しては500m、確か研究期間の延長などについても地元でも説明が足りないという声もあがっていました。で、北海道、直接、文部科学省とは関連ないかもしれませんが、現在、北海道では、核のごみの受入れ予定地を巡っても揺れています。原子力の研究開発及び活用とですね、住民理解についてどのように進めていけばいいのか、大臣の見解を教えてください。

大臣)
 日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターにつきましては、今まで350mだった調査坑道を、あともう少し、500mまで掘らせてもらうという計画について、地元の皆さんと話し合いを続けてまいりまして、7月に地元幌延町の確認をいただき、また、議会等々もですね、承認をいただいたと承知しています。そのタイミングを見て、私一度ですね、お邪魔をしようということでその時期を図ってまいりました。町長さんたちとも直接、また議長さんたちともお会いをしてですね、この場所については、中間処理施設にもしない、最終処分場もしないということは、研究を始めるときからの約束であります。従って、今回500m掘るから何かフェーズが変わるのかという心配をされている町民の方もいらっしゃるので、そういったことは全くないということを、私が、町長と直接お会いをしてですね、そのことは議会にも報告をしていただきたいということで、改めて、安全のために安心のためにですね、訪問したつもりでおります。いずれにしましても、ここは、あくまで坑道の研究施設でありますので、直ちに処分場とは、直接の関係と言いますか、ここに何かが持ち込まれるということは将来に渡っても絶対にないわけですけれど、しかしどこかに、こういったものの必要性というものは変わらないわけでありまして、それは今後ですね、やっぱり地元の皆さんとの了解、理解というもの、また安全性を科学的にもしっかり示していくということが必要だと思いますので、そこは、例えこの場所以外でそういうことが起こったとしても、そこは丁寧に常に行っていくということが大事だと思いますので、その姿勢は、文科省としては変わりません。

記者)
 ワクチン接種についてお尋ねするんですけれども、先日、国立市の市立中学校で、生徒がワクチンを接種したかを手を挙げさせて確認したという事案があって、何か、他の地域でもいくつかあるみたいなんですけれども、文科省が別に手取り足取り言うことではないし、差別につながるようなことは絶対しないようにというのは大臣も再三おっしゃっていると思うんですけど、ここまでいろんな地域であると、改めて周知が必要なのかなと思う部分もあるんですが、これについての大臣の受止めをお願いします。

大臣)
 結構手取り足取り言っているんですけれどね。学校において、担任の教員等が新型コロナウイルスワクチンを接種したかどうかを生徒に挙手をさせるなどして確認したという事実、国立市に限らず夏休みの終わりぐらいからちょっと複数ございまして、話題になりました。新型コロナウイルスの接種を受けるか受けないかについては本人の希望でありますし、また、保護者の同意を前提にしておりますので、学校において、接種の有無によって差別やいじめが起きたりすることがないよう指導や配慮を行うことが重要と考えています。クラスで挙手による確認など接種の有無を他の生徒などがいる場で確認するといったことは、このような点に照らして懸念がありまして、接種の有無を把握する場合は、プライバシーに配慮した方法を取ることが重要だと思います。教育委員会等の学校の設置者においては、引き続き、新型コロナウイルスワクチンの接種の有無によって、学校において差別やいじめが起きないよう、適切な対応をしっかり現場にも周知をしていきたいと思っています。今までもしてきたつもりでいます。

(了)

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大臣官房総務課広報室