萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年9月7日)

令和3年9月7日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化、その他

キーワード

GIGAスクール特別講座~南極は地球環境を見守るセンサーだ!~、子供の目の健康を守るための啓発資料、今後の国立競技場の運営管理について、学校での抗原簡易検査キットの使用について、文化庁の京都移転、衆議院議員の実刑判決について、オンライン学習と出席の扱いについて、都立学校におけるPCR検査キットの配布について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年9月7日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年9月7日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年9月7日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。冒頭、私からは2件です。
 本日午後、GIGAスクール特別講座の第2弾として、「南極は地球環境を見守るセンサーだ!」を実施することをお知らせをいたします。また、今回の講座を実施するに当たり、本日、私も、東京都板橋区立板橋第五中学校を訪問しますので、併せてご報告をいたします。今回の講座では、板橋第五中学校をはじめとする全国10校の中学校の生徒さんに、南極昭和基地の越冬隊員の皆さんと直接対話をしていただく機会を設けるとともに、もちろん、それ以外の全国の学校からも、GIGAスクール構想で整備したICT端末などから参加していただくことを予定しております。本日の講座を私も楽しみにしており、今回の講座を通じて、子供たちの地球環境や気候変動への関心の向上、また、環境教育への動機付けなどの機会となることを大いに期待をしております。
 2件目です。この度、公益社団法人日本眼科医会において、子供の目の健康を守るための啓発資料を作成していただきました。その作成には文部科学省も協力しておりますが、この啓発資料は、デジタル端末を使用する際の留意点をキャラクター、「ギガっこ」「デジたん」なのですけれども、これを交えながら「目の健康を守るルール」として子供たちに端的に伝えるものとなっております。また、留意点の1つである「30分画面を見たら1回は、20秒以上、遠くを見て目を休めること」については、学校やご家庭で「遠く」としてどこを見るかについて話し合って決めることを啓発するマンガを作成していただきました。このような資料を参考に、例えば、クラスで遠くを見る具体的な対象を決めるプロセスを通じて、遠くを見ることの習慣付けや、目の健康の大切さへの理解が深まることを期待をしております。文科省としては、教育委員会等に対して啓発資料を周知するとともに、引き続き、子供たちの目の健康を守るための取組を進めてまいりたいと思います。

記者)
 1点質問させてください。パラリンピックが、一昨日、閉幕しましたけれども、国立競技場の利用について、まだはっきりした方針が定まっていないかと思うんですけれども、運営主体をどうするのかとか施設そのものをどういうふうに使っていくのか、現時点での見通しをお示しいただければと思います。

大臣)
 東京大会後における国立競技場の運営管理の在り方については、関係閣僚会議において、「周辺地域の整備と調和のとれた民間事業への移行を図ること」とされています。これは、スタジアムの持続的な運営を行うため、民間のノウハウを競技場運営に反映させ、スポーツはもとより、文化イベントでも活用したり、コスト削減にも努めたりすることで、スタジアム全体で収益性を高める趣旨と承知しておりまして、その具体化にあっては、令和元年11月の関係閣僚会議において、大会終了後はですね、文科省を中心に、引き続き、検討を進めることとされております。しかしながら、その後に生じた新型コロナウイルス感染症拡大により、民間事業者等も大きな影響を受けていることから、こうしたコロナ禍の影響も含めて、民間事業者等の感触や反応などを丁寧に確認しながら、関係閣僚会議の方針を踏まえて、ビジネスプランの公募に向けた取組を着実に進めてまいりたいと考えています。

記者)
 学校の抗原検査の簡易キットの活用でお尋ねします。先週、立憲民主党の議員の方が申入れにこられた中で、検査キットの活用を中止するようなことを要望されたりしたかなと思います。多分、背景に、文科省として、これを補助的に活用するという部分であったりとか、決して子供に積極的に使うというものではないという、あくまでセーフティネット的な役割があるという部分がもしかしたら伝わりきっていないのかなと思ったりした部分もあったので、改めて、活用の方針と、併せて、最初の立憲民主党からの申入れに対する大臣のお考えがあればお願いします。

大臣)
 立憲民主党の幹部の皆さんからの申入れが、先週9月2日にございました。せっかくですから、私自身、直接お受取をしてお話をしようということで意見交換をしました。現状の厳しい感染状況の中で、学校や地域での感染拡大を防ぎつつ、子供たちの学びを継続していくという認識は、これはもう与野党なくですね、お互いに共通していたと思っています。ただ、今ご指摘があったように、ご要望のほとんどの中身はもう既にやっていることだったので、国会議員の人でもわかってないとすると、現場に正しく伝わっていないんじゃないかという危機感を、私は正直覚えました。そういう意味では、ご提案のあった先生方に一つ一つ丁寧に説明をして、ああ、そうだったのかと。たぶん、向こうも納得はしていただいたり安心していただいたりしたのですけれど、その中で、抗原簡易検査キットについては、この記者会見でも申し上げているように、まずは教職員の使用を基本としています。その上で、児童生徒については、体調不良時は速やかに帰宅させるということが大原則ですから、わざわざそのキットを使って検査をする必要はないわけです。あるいは、ところがですね、やっぱりご家庭の様々な事情によって、例えば親御さんが迎えに来れなかったり、来れたとしても近所の診療所が開いている時間に子供が帰れないということが明らかにわかっているのに、ただ単に保健室で寝て待っているということではいけないんじゃないかと思って。そういうときには、基本、4年生以上については、この簡易キットを補完的に使って、あらかじめ検査をしていく方が診療もスムーズにいくのではないかということで現場にお渡しをしました。従って、なんとなくイメージとしては、全ての子供たちが鼻に綿棒を入れてやるんじゃないかというようなことをご指摘されたのですけれど、それはイメージしていませんということと、それから、綿棒型じゃなくて唾液型の方が子供たちにとってはいいんじゃないかというご提案があったので、ただ、これ、もともと文科省で直接購入したのではなくて、厚労省の方でストックがあったものをどうやって使うかという中で、まずは、大学に配らせていただいた後に小中学校・幼稚園にも置いておこうということになりましたので、今後、購入するときに、そういった方がよければまた検討しますというふうにお伺いしたんですが、専門家の意見を聞くと、唾液型と綿棒の粘膜型だと、粘膜型の方がやっぱり精度が高いということなのですね。従って、その辺も含めて、今後、検討したいと思いますが、いずれにしても、それは補完的に使うものでありますので、ぜひご理解をいただきたいということでお伝えをしたところであります。あの、先ほど申し上げたように、同僚の国会の皆さんでもなかなかご理解いただいていないとすると、教職員のワクチンを進めてくれということで随分きつく言われましたのでそれずっとやってきていますよと。ただ、当初打たないと思っていた、打つ意思がなかった先生方がここへ来てやっぱり打っておいたほうがいいというふうに意識が変わって、その人たちが、各自治体でですね、簡単に言うと順番待ちで一番後ろに並んでくださいということがないように配慮していただくべく、これは、厚労省とも総務省とも相談をして各自治体にもお願いしていますし、また、大学の拠点接種でもそういったご近所の教員関係の皆さんの希望があれば受入をするというようなこともやっていますよということをよく説明しましたらご理解をいただいたんじゃないかなと思っています。

記者)
 文化庁の京都移転についてお伺いします。移転先の改修を進める京都府がですね、追加の耐震補強工事なんかが必要になって、完成が2022年8月下旬から12月下旬にずれ込むという見通しを先日明らかにしたんですけれども、政府はですね、22年度中の京都での業務開始を目指すということで閣議決定されていると思うんですが、4か月完成が遅れてもですね、予定通りの移転というもの、業務開始というのは可能というふうにお考えでしょうか。

大臣)
 それは、大家さんの方で、うちは引っ越す側ですから、大家さんの方で引っ越しの環境を整えていただければね、いくらでも可能だと思いますけれど、その、竣工しても、中の設備とか内装とかはそこから工事をしなきゃならないということもありますから、そこは、京都府や京都市さんとよく相談しながらやっていきたいなと思っていまして。私も、ちょっと報道を見ましたけれど、別に文化庁が遅らせているわけでもなんでもなくてですね、引っ越し先の準備が整わないということなので、そこは物理的に工期を縮めてもらったりとかですね、あるいは同じ工事の仕方でも、例えばアクセスフロアを先に整備してパソコンや通信回線などが先に使えるようになるとか、電気照明やエアコンは先にやってくれるとか、そういうことを段取っていただけるんでしたらできるだけ早めに引越しはできると思うんですけど、それが終わらないのに人だけ行けと言われてもこれはちょっと仕事になりませんので、そこはよく相談しながら対応していきたいなと思います。

記者)
 あと関連で、来年度予算の概算要求で文化庁の移転費用というのを計上していると思うんですけど、予算編成のプロセスをですね、考えると、いつまでに文化庁としては、移転のその時期というもの、目処を示すべきだというふうに大臣はお考えでしょうか。

大臣)
 これもう、当然、引っ越す用意をして予算を要求しているわけですから、引っ越しができないと困ってしまうので、我々としては、京都で新たな業務を、内容も含めてですね、しっかりやっていきたいという気持ち全く変わりはございませんので、いつ頃と言われると、これは、こっちが決めるのはすごく難しくないですか、京都に取材してくれない。環境が整えば引っ越します。そして、1日も早くしっかり業務をやりたいという気持ちには変わりはありませんし、そのための概算要求をしっかりやっているという状況です。

記者)
 先ほど、東京地裁で秋本司衆議院議員に懲役4年の実刑判決というのがありました。一方、今後ですね、総裁選・衆院選等ですね、政治日程もいろいろ進んでいくかと思われますが、そういった中でのこの実刑判決ということをですね、与党の議員であったわけですけれども、今後の影響など含めてご感想があれば教えてください。

大臣)
 裁判結果、今、私、初めて聞きました。昨日まで、彼、様々な報道番組などで無罪を主張していましたし、そういう意味では仲間として、彼の発言というのを、ある意味、信頼をしていたのですけれど、司法がそういう判断をしたとすればですね、今後、きちんと、その中でまた事実関係の確認というのをしていくんだろうと思っています。もちろん、かつて自由民主党に所属をした国会議員の方がそういうことになれば、それは、個人の問題だといって切り捨てるのではなくて、やっぱり、党としてもきっと重く受け止めて対応していくことになると思いますけれど、裁判と言いますか、今後、司法の中で様々なやり取りが、事実関係があると思いますので、それをまずは見守っていきたいなと思います。

記者)
 先ほどお話あった新国立の関係でお願いします。国立競技場では、東京大会で陸上競技などが行われましたけれども、残念ながら無観客となってしまいまして、一方で、将来的な世界陸上の話もあるかと思います。大臣、以前、トラックをですね、陸上トラックを残すのも一つの方策というふうに発言をされましたが、現状では、球技専用なのかトラックを残すのかということが未定で業者の方からは不安の声もあります。この東京大会を終えて、現時点での大臣のお考えを改めてお願いします。

大臣)
 文部科学省としては、国際陸上競技連盟のセバスチャン・コー会長の「世界陸上を国立競技場で開催したい」というご意見を参考にしながら、民間事業者等の感触や反応などを確認して、丁寧に検討を進めてまいりたいと考えておりまして、その考えには変わりはございません。なお、東京大会で使用されたサブトラックは、大会組織委員会が神宮外苑のご厚意で土地をお借りして仮設で設置したものですから、これは、元に戻して返却しなくてはなりません。そうしますと、以前もちょっと申し上げたように、第一種の公認陸上競技場の資格を失うわけですから、私はセバスチャン・コー会長とも会談をしたときに、やっぱり、これからの陸上環境を整える上では、今までのような施設の隣接に全く同じ400mのトラックを整理するというのは、特に、都市では難しいのではないかと。もう少しそこを緩和をして、ぜひ、少し離れたところでも、サブトラックはウォーミングアップのためのトラックですから、少し離れたところでも十分に対応できるようなことを、今後、柔軟に考えていくべきじゃないかということを提案をしました。コー会長からは個人的には好感触を得ていますし、また、今、世界陸上連盟の方でも様々な検討をしていると思いますので、仮に少し離れたところで一定の整理をしたものがサブトラックとして認められるのだとすれば、国立競技場で世界陸上を開催することも可能だと思います。しかし、その場合、トラックが残っていなかったら何の意味もないわけですから、そこは、現在ですね、民間事業者の皆さんとも意見交換しながら、国立競技場に将来も陸上競技ができるトラックを残すことというのは、私は、このオリンピック・パラリンピックを経験して、多くの国民の皆さんが直接現場に行けませんでしたけれど、紛れもなく、この2021年の、20年大会のレガシーとして、国立競技場はですね、現状のまましばらく使うことの方が国民の理解を得れるんじゃないか。直ちに膨大な費用をかけてですね、トラックを剥いで、そして、球技専用にすることが本当にいいのかというのは、今後、関係者の皆さんとよく相談してみたいと思います。個人的に所見をと言われれば、ぜひあの素晴らしい大会をですね、オリンピックを見れなかった皆さんに、将来、世界陸上を誘致する機会があるんだったら、そのときには満員の皆さんにあの場で陸上競技を見ていただきたいなという思いがございます。

記者)
 2点お願いします。オンライン授業の運用についてですが、2月の初中局長通知で、現状では出席停止ということになっています。今後、オンライン授業が長期化するようなことになった場合、それでいいのかという声がありますし、既に教育委員会によって対応が割れてきています。これについて大臣のお考えを伺います。もう1つが抗原検査の関連ですが、東京都教委が、今月から都立学校にPCRの簡易検査キットを配布しています。より高い精度を得られるからという理由のようですが、同様の対応も文科省としてお考えかどうかお聞かせください。

大臣)
 まず、オンラインの件ですけれども、文科省としましては、新型コロナウイルス感染症への対応としてやむを得ず学校に登校できない児童生徒の出欠の取扱いに関して、やむを得ず学校に登校できなかった日数は、指導要録上、「出席しなければならない日数」、すなわち、出席マストの日数からは除くと、除外するとされており、「欠席日数」として記録しないこと、そして、進級や進学、入試などにおいて、例えば、出席日数等により不利益を被ることがないようにすることなどをこれまでもお示しをしてきたところです。他方、こうしたやむを得ず学校に登校できない児童生徒に対しては、学習に著しい遅れが生じることのないよう、例えば同時双方向性のウェブ会議システムを活用するなどして、指導計画などを踏まえた教師による学習指導と学習状況の把握を行うことが重要であることから、各自治体や学校に対して積極的な取組を促しています。こうした取組の一環として、一定の方法によるオンラインを活用した学習指導を実施したと校長が認める場合には、その学習を適切に記録するため、「オンラインを活用した特例の授業」を行ったものとして指導要録に記録をすることとしております。現在も新型コロナウイルス感染症の感染状況が予断を許さない状況が続いておりまして、教育委員会や学校関係者、保護者などに対して、改めてこうした考え方について、丁寧に説明・周知を図ってまいりたいと思います。で、ご指摘のように、自治体で判断が分かれているというのも承知していますが、これあの、4月からGIGAスクールが始まりましたけれど、今度その、学校内の環境とご自宅での通信環境が様々異なりますので、わかりやすく言うと、できる自治体もあればできない自治体もあるというのが現状です。そういう中で、一律のルールを今文科省が決めるというのは逆に混乱を与えることになるので、今申し上げたように、一番の心配は、オンラインで授業を受けているのにそれを出席扱いしてくれないと出席したことにならないんじゃないかということを、皆さん、児童や生徒や保護者が不安に思うので、それは大丈夫ですよということを、改めてしっかり通知をして、このコロナの状況の中でですね、ルールを変えるということは現時点では考えていません。
 それから、それ、報道では、私、承知をしていますけれど、これ、じゃあ日本中の高校生、日本中の中学生、あるいは日本中の小学生、PCRの簡易セットをお配りして検査体制がとれるかと言われると、これは、物理的にも極めて困難だと思います。東京都も、全ての高校生ということではなくて、多分、感染が出た場合の対応ということなのだと思うので、それは、抗原キットよりは精度が高いということは認めたいと思いますけれども、直ちにそれを全国で横展開できるかと言われると、今日のところはなかなか難しいかなと思います。将来的に国内製品がいろいろ出てきて単価を下げたりすることや、あるいは検査体制の充実が図られて非常に簡易に検査ができるような体制が更に充実していけばですね、安心のために、そういったものを整備することはぜひ検討してみたいなと思います。

(了)

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