萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年8月31日)

令和3年8月31日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化、その他

キーワード

阪神甲子園球場への出張、第12回日中韓文化大臣会合、令和4年度概算要求、学校における新型コロナウイルス感染症対策の徹底について、国産ワクチンの開発、政府与党の体制について、由利本荘市教育委員会が病院職員の子供である児童生徒のみ早退させた件

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年8月31日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年8月31日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年8月31日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。遅くなりました。冒頭、私からは3件ございます。
 一昨日から昨日にかけて出張がございました。まず、一昨日、阪神甲子園球場において、全国高校野球選手権大会における感染症対策の取組状況について日本高野連と意見交換を行うとともに、この間、大変、雨などで試合の延期もございましたけれども、関係者の皆さんに激励とねぎらいを申し上げてまいったところです。感染症対策の取組については、検温、消毒などの基本的な対策に加え、選手の健康観察やPCR検査の実施など、様々な工夫がされていると感じました。このような取組については、先日スポーツ庁に設置しました相談窓口において、今後、各競技で全国大会を開催する主催者に対して情報提供するなど、積極的に活用していきたいと思います。また、少しの時間だったのですけれど、決勝戦も拝見しました。上から観ていますとユニフォームが全く同じでどっちがどっちか分からないような兄弟校の対決でございましたが、高校球児の気持ち溢れるプレーに、大変、私自身も元気と勇気をもらいました。加えて、高野連の会長ともお話をさせていただいて、本大会で残念ながら辞退をされた、試合をできなかった宮崎商業高校と東北学院高校の野球部の皆さんへの私からの励ましのメッセージを書面でお渡しをさせていただいて、高野連を通じて学校へ届けていただくことにしました。部活動等の全国大会は子供たちの貴重な成果発表の機会ですので、地域の感染状況を踏まえた感染症対策を講じた上で、可能な限り、その機会を確保していただきたいと考えております。文科省としても、今後も、部活動をはじめとした様々な全国大会等の主催者への支援を行うなど、関係団体と連携協力を図ってまいりたいと思いますし、今回、残念ながら試合を辞退された高校と同様にですね、既に国体の開催が中止ということが報道されております。従って、例えば高校3年生、大学の推薦試験などに不利益を被らないように、なくなってしまった大会ではありますけれどもそこに出るだけの実力があったということをですね、文科省あるいはスポーツ庁を通じてきちんと証明をさせていただくスキームも、改めて、スポーツ庁の長官とも相談をよくさせていただいたところでございます。加えて、昨日は、第12回の日中韓文化大臣会合が北九州市で行われ、中国の胡和平(フー・フーピン)文化観光部長、韓国の黄熙(ファン・ヒ)文化体育観光部長官とオンラインでございましたが意見交換を行いました。この会合では、新型コロナウイルス感染症拡大の中、連携して文化芸術活動の発展・継承を守り抜くこと、東アジア文化都市事業等、日中韓の枠組での文化協力事業を引き続き推進していくこと、日中韓の文化芸術の魅力とその文化的価値を世界にも発信していくことなどについて三大臣間で一致し、その成果を盛り込んだ「北九州宣言」を発出をしました。また、今回の会合では、2022年東アジア文化都市として、日本は大分県、中国は温州市・済南市、韓国は慶州市が正式に決定をされました。これらの成果を踏まえ、日中韓三国間の文化交流を、しっかり着実に進めてまいりたいと考えているところです。
 続きまして、本日、財務省へ令和4年度概算要求書を提出をします。今回の概算要求においては、総額5兆9,161億円、対前年度6,181億円増額の要求を行います。経済が厳しくなると常に、人や科学技術への投資が躊躇されてきましたが、こういうときこそ未来の投資をしっかりしていこうとこれまでも主張してきており、令和4年度概算要求についても、こうした考えの下、教育、スポーツ、文化芸術、科学技術・イノベーションの振興に必要な要求を行うこととしております。現在、新型コロナウイルス感染症の影響により、我が国は依然として厳しい状況にありますが、文部科学省が担う教育再生や科学技術、スポーツ及び文化芸術の振興は、我が国の未来を切り拓く取組の中核であり、コロナ禍においても決して歩みを止めることは許されないものであります。文部科学省としては「未来への先行投資」を行うべく、必要な予算をしっかりと確保できるよう、財務当局との折衝に全力で取り組んでまいりたいと思います。
 最後にもう1点です。9月を迎えるに当たりまして、新型コロナウイルス感染症対策について、学校において徹底いただきたいことを改めてお伝えいたします。非常に厳しい感染状況の中、学校は新しい学期を迎えることとなりました。先日8月20日付けで教育委員会等に対して、チェックリストを活用した感染症対策の徹底をお願いいたしました。教育委員会や学校などにおいては、既に取組を進めていただいているところですが、子供たちや先生方一人一人が取り組むことができる感染症対策として、発熱などの風邪症状があり、普段と体調が少しでも異なる場合は学校を休むことを徹底していただきたいと思います。今は一人一人の行動が大切な時期であり、身の回りからの感染症対策の徹底をお願いいたします。このことが、学校や地域での感染拡大を防ぎ、教育活動を継続していくことにつながります。また、教育委員会や学校等においては、子供たちや先生方が体調が悪いときに休みやすい環境が整っているか、気を配っていただきたいと思います。現在のこの厳しい状況を乗り越え、子供たちの健康と学びを守り抜くため、文部科学省としても、関係省庁や地方自治体等と連携し、学校の感染症対策の支援、教職員ワクチン接種の促進、抗原キットの配布など様々な施策を進めてまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 1問、お願いいたします。昨日発表された概算要求でワクチンの研究開発拠点を作るということが予算計上されていますが、現状のですね、国産ワクチンの開発に対する大臣のご認識と、あと、今後に向けたご期待、決意をお聞かせ願えますでしょうか。

大臣)
 新型コロナウイルス感染症が拡大する中、文部科学省においては、治療薬やワクチン、迅速診断法の基盤となる技術の早期確立を目指し、日本医療研究開発機構等による支援の充実を通じて研究開発を加速してまいりました。一方で、感染症研究の学問分野としての層の薄さ、安全保障政策の一環としての戦略的な研究費配分や産官学での連携体制が不十分であるなど、ワクチン開発に必要となる平時からの備えが不足していたと考えています。こうしたことを踏まえ、本年6月に「ワクチン開発・生産体制強化戦略」を閣議決定しました。この戦略では、取り組むべき施策として、薬事承認プロセスの迅速化や製造拠点の整備等に加えて、人材育成を含めた基礎的な研究力の向上や、今回のmRNAワクチンのような新しい手法を生み出す先進的な研究の推進などが示されており、文部科学省がこの役割を担うこととなります。このため、来年度概算要求では、「世界トップレベルの研究開発拠点」の形成に向けた新規施策に必要な予算を要求しています。具体的には、フラッグシップ拠点及びシナジー効果が期待できる複数の拠点によるオールジャパン体制の構築、免疫・ゲノムなどの関連分野を含む多様な分野融合による、新たなモダリティ開発を含めたワクチンの基盤研究等の推進、アカデミアに産業界や臨床現場を加えた「ワンチーム」による協働といった取組を進めております。他方、先日も、一部報道にありますけれども、現在のように、医学部定員の中で、一定数感染症を学ぶ学生たちを確保していこうということも新たに加えさせていただきました。元々日本は、感染症に関してはですね、多くの実績、また、知見があって、誤解を恐れず申し上げれば、世界のトップランナーとして、野口英世さんの時代から北里柴三郎さん、こういった分野ではものすごく世界貢献してきたのですけれど、逆に公衆衛生環境が良くなったためにですね、こういった伝染病を学ぶ学生さんが結果として減ってきたということがございました。従って、やっぱりこれからは計画的に必要な人材をしっかり育てていくということも国として行っていかなくちゃならないと思いますので、今回のこういったワクチン開発、あるいは治療薬の開発、これは、大学任せとか民間の製薬会社任せじゃなくて、国が戦略的に、やっぱりアンテナを高く上げてやっていく必要があるのだろうと思います。また、各国の状況を見ると、モデルナなんていうのは象徴的ですけど、米国の安全保障と一体となって開発が行われています。こういったあるべきお手本となる部分というのは、しっかり我々も学ばせていただいてですね、文科省として、今後の予算編成過程において、関係府省と協力し、我が国の安全保障政策の一環として、国産ワクチンの研究開発に必要な安定的な財源を確保できるように努めてまいりたいと思っております。

記者)
 この場をお借りして伺うのも恐縮なのですが、自民党の総裁選の構図も見えてまいりまして、今日には二階幹事長交代検討という報道も出ています。コロナ対応に当たる政府与党の体制が変わるかもしれないという局面になっていますが、大臣の総裁選のご対応も含めてですね、こうした体制の在り方についてご所見を伺えればと思います。

大臣)
 党のことは党の方で考えていると思いますし、私、報道でしか分かりませんので、逆に、噂されていた政策責任者の方がやっぱりこういうときに出るべきじゃないという判断もされたことも承知していますので。別段、このコロナ禍でですね、司令塔が変わるということではないんじゃないかなと思っています。いろいろ、昨日からいろんな報道が出ていますから興味深く見ていますけれど、直接は関与していないのでコメントは控えさせていただきたいと思います。

記者)
 秋田県の由利本荘市でですね、病院の職員の子供たちを小中学校から一斉に早退させたという件について伺います。由利本荘市の総合病院で職員のコロナ感染が分かりまして、多くの職員はPCR検査の対象になったと。それを受けて、市の教育委員会が、職員のお子さんを市内の小中学校から一斉に早退させたと、させるよう通知したということです。医療従事者の方々のお子さんに対する風評の問題というのはこれまでもあったと思うんですけれども、自治体の教育委員会がこうした対応・措置をとったということについて、受け止めと対応があれば教えてください。

大臣)
 ご指摘の件につきましては、由利組合総合病院に勤務する職員がPCR検査の対象者となったとの情報を受けた市教育委員会並びに学校が、病院職員の子供である児童生徒のみを早退させた事案というふうに承知しています。その対応自体はですね、「同居の家族等が濃厚接触者等としてPCR検査の対象となった場合」は出席停止とするという、あらかじめ作られている市のガイドラインに沿ったものと聞いておりますが、各地域での対応の基準や考え方については、あらかじめ保護者への周知や公表をしておくことが望ましいと考えておりまして、突然ですね、親の職業で帰れと言われれば、これは子供もびっくりするでしょうし、また、友達たちもですね、違和感を、きっと感じるのだと思いますので、そのことがいじめなどにつながることがないようにですね、今回、市の方、教育委員会の方でも、不適切な対応があったと反省を述べているようでございますので、いずれにしても、本件の由利本荘市に限らず、各教育委員会において、保健所等と緊密に連携をとるほか、医療従事者への差別や偏見につながることのないよう児童生徒への指導を行うなど、丁寧に対応を進めていただきたいと考えているところです。

記者)
 冒頭にご紹介いただいた高校野球の辞退された宮崎商業高校と東北学院に激励のメッセージを送られたということですが、これは、具体的にどういったことを発言されたのかと。

大臣)
 察するに、苦渋の選択だったと思うのですね。従って、試合そのものはできなかったわけですけれど、甲子園出場の権利を得たことは事実でありますので、それを感染拡大防止に配慮して自ら辞退をしたということに対して、何か、感謝というか奨励というか、そういったことの、当初、賞状のようなものを出そうかと思って高野連と相談したんですけれどそれもちょっと大げさだし、しかし、そういう気持ちは文科省としてありがたいということなので、書面で、堅い紙の書面でですね、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、いろんな制限がかかって、せっかく甲子園出場になったのに悔しい思いの中で辞退をしたと。それが、誰にもあることなので、ぜひ、責められることじゃないということや、今まで直向きに練習してチームの仲間と一緒に勝ち取ったこの権利、参加したという誇りはですね、決してなくなるものじゃないので、これからまた新たな目標に向かって頑張ってくださいというような趣旨のことを、私の名前で送らせていただいた次第です。

記者)
 すみません。せっかくなので文章を。もし可能だったら提供いただけると。

大臣)
 じゃあ、後ほど事務方から。

記者)
 先ほどの教育新聞さんのご質問に関連してですが、コロナ感染者への差別が許されないということは法務省等が再三にわたって啓発しておりますが、子供さんの感染者数が急増する状況では、学校現場でも、そういった教育啓発の強化が必要になってくるんじゃないかと思いますが、大臣のお考えを伺います。

大臣)
 本格的に、明日から2学期が始まる学校が増えると思います。子供たちの感染リスクをゼロにすることはできないというふうに思います。そういう中では、もしかすると子供たちから感染、あるいは家族からの感染を危惧しなきゃならない環境というのは出てくると思いますので、この夏休み中、各教育委員会としっかり連携とりながら、その場合の対応については様々なシミュレーションをもってまいりました。で、要はですね、誰もが感染する可能性があるということを改めて教育の場でも徹底していただいて、それが、直ちに差別などにつながることのないように、このことは教育上も極めて必要な視点だというふうに思いますので、新学期を迎えるに当たって、そのことは徹底していただきたいと思います。他方、先ほど教員の皆さんも具合が悪いときは休んで欲しいというお話をしましたけれど、なかなか、その現場としては、休むということに対して躊躇があって、他の教員の皆さんへの負担をかけるとか、また、そのことがかえって子供たちに不安を与えるというようなことで、休むことを躊躇する傾向がないとは言えない環境にありますので。これは、本当にですね、大体その後で感染があったという報道を聞くと、よくよく調べると実は熱があったという、言うならば、症状があって、しかし、現場に行ってしまったという話が非常にこの間多かったので。ここはですね、やっぱり、お互い一人一人できることをしっかりやってもらうことが感染拡大を防ぐことになるのだと思いますので、改めて今日を機に、徹底をしてまいりたいなと思っているところでございます。ぜひこのコロナを経験して、子供たちには、こういった誰もが起こり得ることについてですね、正しく理解する力、判断力というのをつけてもらうことも大事だと思いますので、この2学期、ぜひ学校現場でですね、お互いに協力し合って、しかし、それでも感染はリスクはゼロにすることはできませんので、そのときには、やっぱり皆さんが支え合って、学校現場を運営していくことを、子供も教員の皆さんも心がけてもらえるような、そういった指導をしっかりお願いしていきたいなと思っています。

(了)

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