萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年8月20日)

令和3年8月20日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化、その他

キーワード

イタリア及び米国への出張について、新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について、夏休み明けの児童生徒等の自殺予防、星出宇宙飛行士による船外活動、イプシロンロケット5号機の打上げ、新学期に向けた新型コロナウイルス感染症対策の徹底、部活動全国大会等の安全・安心な開催に向けた支援方策、東京オリンピックの開催を契機とした文化発信について、旭川市女子生徒が遺体で見つかった件、東京オリンピックにおける日本選手団の活躍について、高校野球選手権大会参加校が感染者の発見を理由に出場辞退したことについて

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年8月20日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年8月20日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年8月20日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。今日、冒頭、私からは、久しぶりなので6件あります。その分、質問時間、十分用意をさせてもらいましたのでご協力をお願いいたします。
 8月5日から12日までの8日間、イタリア及び米国を訪問しましたので、報告します。まず、イタリアのトリエステでは、G20の研究担当大臣会合に出席をしました。この会合は、G20の枠組みにおいて初めて開催されるものであり、コロナ禍により加速した高等教育や研究分野におけるデジタルトランスフォーメーションへの対応について活発な議論が行われました。私からは、研究施設のリモート化やスマート化、スパコン「富岳」を始めとした次世代情報インフラの整備など、研究のデジタルトランスフォーメーションに向けた取組、また、大学における遠隔教育のための環境整備や、面接授業とオンライン教育を効果的に組み合わせたハイブリッド型教育などの推進、加えて、世界と伍する研究大学の実現に向けた10兆円規模の大学ファンドの創設などについて紹介し、各国と知見を共有しました。次に、米国のハワイ州では、「えひめ丸」の事故慰霊碑の訪問、ホノルルの補習授業校関係者との懇談、またすばる望遠鏡やTMT建設予定地のあるマウナケア山頂域の視察、ハワイ州知事との会談などを行いました。今回の外国訪問では、会議への出席だけではなく、G20議長国イタリアのメッサ大臣や前議長国サウジアラビアのハマド大臣など、各国のカウンターパートと直接お会いをして様々なお話をすることができ、改めて、人と人との直接対面で接することの重要性を実感しました。また、ハワイと日本との特別な関係を再認識するとともに、「えひめ丸」事故から20年の節目に、文部科学大臣による慰霊碑での献花・黙祷を行うことができました。今回の出張の成果を、今後の文部科学行政に最大限活用してまいりたいと思います。
 2件目です。1人1台端末環境などにより学びの在り方が大きく変わる中、本年1月から有識者会議において、新しい時代にふさわしい学校施設の在り方についてご議論いただき、本日、中間報告を公表するに至りました。中間報告では、新しい時代の学校施設の姿として、情報端末等を常時活用可能な大きさの教室用机を配置できる空間や、多目的スペースの整備・活用、複合化・共用化による地域や社会との共創空間の整備、脱炭素社会の実現に貢献する学校施設のZEB化などの方向性が提言されています。また、こうした姿を実現するために、長寿命化改修等を実施する中で、教育環境の向上と老朽化対策を一体的に推進することとし、国における方策として、国庫補助単価や財政支援制度の見直し・充実、学校施設整備の情報発信プラットフォームの構築などの具体的な方策についても提言をいただいております。文科省としては、本報告を踏まえた予算要求を検討するとともに、有識者会議において、引き続き、精力的な検討を進めていただきたいと考えております。
 3件目です。長期休業明けには、児童生徒等の自殺者数が増加する傾向にあります。こうした現状に鑑みて、昨日、自殺予防についての私からのメッセージを文部科学省のホームページやSNSにて発信をしました。具体的には、児童生徒や学生等に対し、悩みや不安を抱えていても決して一人ではなく、家族や先生、スクールカウンセラー、周りの友達など誰にでもいいので悩みを話してみてほしいこと、周囲に相談しづらいときには、24時間子供SOSダイヤルや各地域・各大学等の相談窓口など、電話やメール、ネットといった様々な相談ツールを活用してほしいこと、もし周りに元気がない友達がいたら、積極的に声をかけてあげてほしいことを発信するメッセージとなっております。また、保護者や学校関係者等におかれても、子供の態度に表れる微妙なサインに注意を払っていただき、子供たちの不安や悩みの声に耳を傾けていただきたいと思います。文科省としても、児童生徒や学生等の命を守るため、引き続き、自殺予防の取組に尽くしてまいりたいと思います。
 4件目です。8月24日(火曜日)21時半頃よりですね、約7時間にわたって、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在中の星出彰彦宇宙飛行士による船外活動が実施される予定です。今回の船外活動では、ISSにおける新型太陽電池の設置に向けた準備作業などが計画されており、予定通り実施されれば、日本人による船外活動の最長時間記録が更新されることになります。加えて、10月1日に、革新的衛星技術実証2号機を搭載したイプシロンロケット5号機を打ち上げることを決定しましたので報告をしたいと思います。この新しい衛星により、大学や企業等が開発した技術の宇宙空間での実証を進めてまいります。星出宇宙飛行士のミッションやロケット打上げなど多くの挑戦を通じ、今後とも、宇宙開発の意義や成果が国民の皆様に伝わること、また、宇宙利用の拡大につながる様々な成果がもたらされることを期待をしております。
 5件目です。現在、全国的に新型コロナウイルスの新規感染者数が増加しており、これまでに経験したことがない感染拡大の局面を迎えております。学校は、このような大変厳しい状況の中、新しい学期を迎えます。学校における感染症対策について、警戒度を格段に高める必要があることから、現時点における対策についてお伝えをします。学校は、学習機会や学力の保障のみならず、全人的な発達・成長を保障する役割や、子供たちの居場所、セーフティネットとして身体的、精神的な健康を保障するという福祉的な役割も担っており、地域社会にとって重要な機関です。その役割の重要性は、新型コロナウイルス感染症が拡大している中においても変わるものではありません。このため、国から全国一斉の臨時休業を要請することは考えておりません。また、地域一斉の臨時休業については、児童生徒等の学びの保障や心身への影響等の観点を考慮し、学校の設置者において慎重な検討が必要であると考えております。一方で、学校における感染拡大を防ぐため、学校内の感染状況等に基づき、設置者の判断により、感染が広がっている恐れの範囲に応じて、保健所等と相談の上、学級単位や学年単位など必要な範囲で臨時休業を行うことは当然考えられます。学校での感染症対策については、本日発出予定の事務連絡で改めて示すチェックリストも参考に、今一度、基本的な感染症対策の取組状況を点検し、感染症対策を講じてもなお感染リスクの高い活動の実施の見直しや、教室における換気の強化などに取り組んでいただきたいと思います。また、学校設置者におかれましては、保健所との連携体制、学校医・学校薬剤師と連携した学校の保健管理体制について再点検をしていただいて、例えば、仮に複数の感染者が出た場合における検査までの手順、濃厚接触者の範囲の考え方、出席停止や、学級や学年単位の一部臨時休業、学校全体の臨時休業を行う場合の考え方などについてあらかじめご確認をいただきたいと思います。加えて、臨時休業や出席停止などにより、やむを得ず学校に登校できない児童生徒に対して、ICTの活用等により学習指導を行う場合の準備もお願いをします。また、学校で教育活動を継続するには、教職員の安全を可能な限り確保し、教職員から児童生徒への感染を防ぐことも不可欠です。そのため、教職員のワクチン接種について、これまでも取り組んでいただいておりますが、教職員でこれから接種を希望される方には、できるだけ早く接種を済ませていただくよう各自治体においてご配慮をお願いしたいと思っています。ちなみに、これ、夏休み前から各自治体と連携して取り組んでまいりまして、一番感染が広がっている東京都においては、当初希望した特別支援学校・小・中・高の先生全てが、8月中には2回目の接種を終わるという予定で、今、接種を進めております。今、私が申し上げたのは、当初希望しなかった先生方が、ここへきてやっぱり接種をしておこうということで手を挙げた時に、一番後ろに並んでくださいということでは時間が過ぎてしまいますので、これを、ぜひ配慮してくれということを、今日付けで、改めて、発信をしてまいりたいと思います。こうした観点から、各地方自治体におかれては、教職員の接種希望者に対する特段の配慮をしていただくようにお願いをします。その一環として、大学拠点接種を実施する大学におかれては、地域の教育委員会や学校法人が大学拠点接種会場での接種を希望する場合には、ぜひ積極的なご協力をいただきたいと思います。さらに、武田モデルナ社のワクチンを使用する大規模接種会場の運営にあたっては、教育委員会や私学担当部局がワクチン担当部局と連携し、協力をし、教職員の接種が少しでも早く進むよう取組をお願いしたいと思います。文科省としては、関係省庁と連携して、児童生徒等や教職員の感染状況に最大限の注意を払い、状況に応じて機動的に対応を行い、学校における感染拡大の防止に努めてまいりたいと思います。
 最後にですね、文科省では、これまで、子供たちの成果発表の機会、これは重要だ、貴重だということで、確保することを求めてまいりましたが、全国規模のスポーツ大会等において、代替措置も含めて、可能な限り、開催していただくように主催者に対して様々な形で支援をしてまいりました。しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染症のこれまでにない拡大局面において、大会主催者の皆様も、情報収集や大会の日程・会場の変更などの検討に苦慮している状況がございます。こうした大会主催者を支えるため、この度、スポーツ庁に相談窓口を設置するとともに、選手の健康観察や参加者へのPCR検査など、開催に向けて必要な感染拡大防止の取組のための支援を進めていくことといたしました。文科省としては、こうした新たな取組を通じて、今後とも子供たちの全国的なスポーツ大会等の安全安心な開催に向けて、引き続き、支援をしてまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 2点、ご質問させてください。東京五輪についてなんですけれども、五輪そのものはスポーツの祭典だと思うんですれども、その国の文化を発信するという大きな機会であったというふうに思います。ただ、コロナでですね、ご存知の通り、当初思い描いていたもの、開催方式にはならなかったと思うんですけれども、五輪を通じた文化の発信というのは十分にできたのかどうなのか、大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 オリンピックはですね、文化の祭典でもあるこの2020年東京大会を契機とする文化発信として、「日本博」を始めとする文化プログラムの開催などの取組を進めてまいりました。令和2年度からは、文化芸術活動がコロナ禍の影響を大きく受けたことを踏まえ、我が国の文化芸術活動や発信の動きを止めることがないように、文化芸術団体による公演のオンライン配信などの積極的な取組、文化施設の感染対策・配信環境整備などへの支援を行ってまいります。さらに、今月17日には、オンライン上で「バーチャル日本博」を開催するなど、場所を問わず日本の文化芸術を体験いただける環境を作っております、これらの取組を通じて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大という当初予想していなかった制約の中でも最大限の文化発信に向けて、できる限りの努力をしてきたものと考えておりますが、ご指摘のように、このオリンピック期間中に日本文化がしっかり発信できたのかと問われればですね、これは、非常に残念な結果だったと思います。日本博でも、縮小したり中止をしたイベントもたくさんありますし、そもそも本来だったら、外国から多くのお客様を迎えて、このオリンピック開催期間中に、競技観戦のみならず、せっかくだから日本の様々な文化に触れていただく受け皿を作っていこうというのが当初の目的だったので、例えば幹事社さんの北海道に足を運んでもらうようなことも、当然、期待をし、イメージをしていたのですけれど、そういうことができなかったことは、極めて残念だというふうに思っています。ただ、選手の皆さんも、選手村から出られない状況の中でもですね、日本の、言うなら、対応っていうものには大変高い評価を頂いて、また来たいということを、皆さんが異口同音におっしゃっていただいていることを聞いて大変嬉しく思いますし、次の機会は、もしかすると選手じゃなくてですね、一般の外国人観光客として日本のいいところをまた見ていただくようなきっかけにもなるのかなということは期待をしていきたいなと、そんなふうに思っています。

記者)
 ありがとうございます。もう1点お願いします。旭川市でですね、いじめで自殺した疑いのある中学2年生の生徒さんのご遺族が手記を公表されました。何回もいじめがあったというふうに学校と教育委員会に訴えたということで。しかし、非常に、対応に不信感を記しておられます。こうした中で現時点での大臣の受け止めとですね、今後、文部科学省として直接ご対応なさる考えはあるのかお聞かせください。

大臣)
 一昨日ですね、当該生徒の保護者の代理人弁護団が会見を行って、当該生徒の実名や写真、あるいはご遺族の手記を公開されたと承知しております。本事案に関しては、現在、旭川市教育委員会に設置された第三者委員会において調査が進められておりますが、適切に一つ一つの事実が究明されることを願っております。これまで、文科省としても、調査を進めるにあたり、旭川市及び北海道教育委員会に対して、御遺族の意向を踏まえながら迅速かつ適切にいじめの重大事態の調査が行われるように継続的に指導・助言を行ってきたところです。これ、過去の会見の中でも、やっぱり、スピード感を持って対応すべきだということは、私、申し上げてまいりましたので、担当の方では、北海道の当局とは連絡を常に取り合いながらやっています。ただ、一方、第三者委員会が設置をされて、そこがまた静かな環境の中でいろんな調査をしておりますので、今の段階で文科省として現地に乗り出して加速をお願いするというよりは、もう十分、第三者委員会の皆さんも理解していると思いますので、引き続き、両教育委員会から状況を求めながらですね、必要があれば、改めて現地に赴いたり、あるいは直接お話を聞くことも含めて、今は第三者委員会の結論を待ちたいなとそう思っているところでございます。

記者)
 先ほど冒頭発言にございましたコロナ対策の通知について伺いたいと思います。今もご説明いただいた中で国からの一斉休校は考えていないというお話があった一方で、設置者の判断で、感染の拡大の範囲で、必要な範囲で、臨時休校は考えられるという、踏み込んだ部分もご発言の中にあったと思うんですけれども、これ、地域によって感染状況は違うわけですが、大臣のメッセージとしてはですね、今までの緊急事態宣言では感染対策を徹底してくれということで学校は開き続けるということを原則にしていたと思うんです。ただ、学校現場の話を聞くとですね、やっぱりもう、できることは、できる感染対策はもうやっているよという声が非常に強いと思うんですね。その中で、今、必要な範囲で臨時休校が考えられるというご発言というのは、要するに、大臣のメッセージとしては、これまで通りの対応だけではなくて、デルタ株で非常に状況が厳しくなっているのでこれまでよりももう1歩踏み込んだ一斉休校ないしは部分的にしろ臨時休業についてですね、踏み込んだ考え方を真剣に検討してくれというところにメッセージの力点があるのか、その辺りのですね、大臣の今のご発言が目指す方向性というものをもう少し砕いてご説明いただけないでしょうか。

大臣)
 先ほども申し上げましたけれど、現在、全国的に新規感染者数が増加をして、これまで経験をしたことがない感染拡大の局面にあり、大変厳しい状況にあると思っています。そのために、学校では、感染症対策について、警戒度を格段に高める必要があると考えております。で、従来から一斉休校については、文科省として再びお願いすることはないということは申し上げておりましたけれども、ご質問者もおっしゃったように、感染状況は地域によって異なります。従って、例えば、自治体内での感染が非常に激化、劇的に増えている場合ですとか、あるいは地元の医療体制の状況などいろいろ考慮しなきゃならない指標というものがあると思いますので、そういった意味で、仮に、感染が発症した場合には、先ほど申し上げたように、学級閉鎖・学年閉鎖・学校閉鎖というオプションもあらかじめ用意しておかなきゃいけないということは、この度、改めて発信をさせていただきたいと思っています。今までもその類似の話はしているのですけれど、警戒度をお互いに高めましょうということを呼びかけたいなと思っています。その上で、その次の段階として、仮にお休みになった場合に、子供たちの学びの保障の体制がちゃんとできていますかということもこの機会にきちんと確認をして、タブレットについては、配布は終わっていますけれど、以前ちょっとお話したように、残念ながら、インフラ整備について、なかなか私たちが期待した以上に、期待した通りに整備がなされていない自治体があるのも実態としてありますので、また、あの、例えばカメラの数ですとかね、こういったものも含めて、足元をちょっと確認してくださいねということを、今日の段階で、チェックリストをしっかり発信をしていこうと思っています。学校の設置者の判断で、一定程度、分散登校をするとか、あるいは学校によっては閉鎖をするという判断をすることは、今後、残念ながら想定をしていかなきゃいけないことだというふうに思いますけれど、他方、やっぱり、学校の持つ力というのは、ただ単に授業を行うだけではなくてですね、やっぱり子供たちにとって大切な場所だと思いますので、基本的には、ぜひ学校を開くという前提ですけれど、しかし、状況に応じて柔軟な対応をしていただくということをしっかり地方自治体と共有していきたいと思います。で、これ、お互いに初めてのフェーズに入ってきましたので、悩む場面もあると思いますので、これあの、文科省としても、しっかり相談に乗りながらですね、対応していきたいし、また、それぞれの都道府県・市町村の保健部局とも連携しながら判断を間違えのないようにしていきたい、そう考えております。

記者)
 今の質問にちょっと関連してなんですけれども、一斉休校はこの状況でもやらないということで冒頭発言がございましたけれども、これまで一斉休校しない理由として、メリットデメリットを考えたときにデメリットが大きいんじゃないかというようなお話だったと思うんですけれども、このデルタ株の感染拡大を受けても、現状としても、萩生田大臣としてはそのような認識だということでよろしいのかというのが1点とですね、それから各地で夏休みを延長するという動きが広がっています。これは、事実上の一斉休校に近い措置だと思うんですけれども、今のお話ですと、例えば学級閉鎖とか学校閉鎖とか、必要な範囲でやってほしいというのがこれまでの方針で、今後もそうだということですが、この、事実上の一斉休校である夏休みの延長というのが各地で広がっていることについてどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

大臣)
 後段の夏休みについてはですね、これも設置者の判断で柔軟な対応ができることになっていますので、これ、夏休みの時期もまた違うわけですよね。もうすでに来週から学校が始まる自治体も数多くありますし、9月を過ぎてから新学期という自治体もありますので、そこは元々時間軸が違うところがあるので、その中で各自治体が感染状況などを鑑みて、しばらく様子を見たいということで夏休みの延長を判断するんだとすれば、それは尊重したいと思っています。そういう柔軟な対応をしなきゃならない理由はですね、感染状況は全国で一律じゃないものですから、ここはしっかり状況別に対応して、できる限り、学びの機会を守っていく、学校という大切な要素をしっかり守っていくことは共有していきたいと思うのですけれど、他方ですね、先の質問にありましたように、従来株と違って、やっぱりデルタは感染力が強くて、子供たちが、重篤化はしてないのですけれども、無症状などで感染が広がるケースというのは否めないと思います。従って、繰り返しになりますけれど、今まで以上に、言うならば警戒態勢を高めていただいて、後ほど、実は午後にですね、改めて官邸で関係閣僚で会議をやることになっているのですが、既に高校までお配りした検査キットをですね、小中学校にも配備をして、例えば、当日、保健室で熱があるお子さんに関しては、直ちに抗体検査を行うような、そういう環境もバックアップをしていきたいと思っておりまして。意識を高めてですね、慎重な対応をしていきたいと思っています。

記者)
 すいません。一斉休校をしない理由というのは、改めてになるんですけれど、どのように考えてらっしゃいますでしょうか。

大臣)
 昨年の3月の段階は、全く未知のウイルス、未だに、未知な部分はたくさんあるのですけれど、そういう中で一斉休校という判断をしましたけれども、この1年半、いろんなことを経験をし、知見も積み上げてきた中で、感染状況によって対応策が変わっていくということを政府全体として判断しておりますので。従って、緊急事態宣言が出ている地域、まん延防止策が出ている地域、出ていない地域があるわけですから、学校も同じようにですね、地域の事情に合わせて判断を変えていくということで、国としての一斉休校は行わない、当然、一斉休校を行った場合のメリットとデメリットというのは今までと同じものがあると思います。やっぱり、3か月間のお休みで、子供たち、いろいろ精神的にも病むところもあったと思いますので、そういった意味では、学校の持つ力というものはしっかり確保していきたいなと思っています。

記者)
 オリンピックの話で恐縮なんですけれども、東京オリンピックにおいて、日本選手団は、過去最高のメダルを獲得するなど、素晴らしい活躍をしました。その要因について、大臣はどのように考えておられるかと、また、今後の選手強化をどのように進めていかれるか、そして来週からいよいよパラリンピックが始まりますけれども、大臣の所見をお願いいたします。

大臣)
 東京オリンピックにおいて、日本選手団は、過去最多のメダル獲得を含め、多くの快挙を成し遂げる大活躍だったこと、大変嬉しく思っております。また、出場された選手の皆さんが懸命にプレーする姿や、対戦相手を称える姿など、勝敗だけではなくて、スポーツが持つ価値を多くの国民に伝えてくれたと思います。日本選手団の活躍は、選手の皆さんがこれまで積み重ねてこられたトレーニングの成果を発揮された結果であると考えておりますし、その上で、これまで文部科学省としても、JOCと協働しながらですね、競技団体の中長期の強化戦略プランの策定・実行を支援をしてまいりました。また、選手強化に係る予算の充実を図るとともに、メダル獲得の可能性の高い競技に対する重点的な支援の実施、あるいは、ナショナルトレーニングセンターの機能強化や大会中に選手が最終調整を行う「サポート拠点」の設置などアスリートがパフォーマンスを最大限発揮できるような環境整備を行ってきたところです。今回のような素晴らしい成績が一過性で終わらないように、しっかり検証を行い、引き続き、支援を行ってまいりたいと思いますが、ただ単にお金をかけてメダルを取ればそれを成功だと言うのは、これはあまりにも短絡的な話でありまして、例えば、あまり強化費は出していないのに、スケートボードやボルダリングなど、本当に皆さんが、サーフィンもそうですよね、新しい競技で大活躍されたこともあるわけですから、ややもすると組織の団体が、決められた練習方法とか型にはまった価値観で選手育成や支援をしていくことを、実はそれはもう、時代の変化に合っていないんじゃないかということもきっとあると思うので。単なる予算を増やすんだみたいな話じゃなくて、このオリンピックレガシーとして、やっぱり、どうあったら強い選手を育てることができるのか、また、勝負に勝つことができるのかということは、いろんな団体でいろんな角度から見直す必要があるんじゃないかなと思っています。昨日たまたま、バスケットの女子のキャプテン・代表選手、2人がお見えになってですね、報告を受けたのですけれど、バスケットボールが、男女を通じて、オリンピックでメダルを取るのは初めてのことです。体格では、全然、外国選手に敵わないぐらい日本人選手は小さい、小さいと言いながら高田選手は僕より大きかったですけれど、しかしですね、そういうものを乗り越えられる日本のチームワークだとか技術力だとか、そういった日本ならではの力というものもこのオリンピックを通じて発信ができたんじゃないかと思うので。ただ単にナショナルトレーニングセンターに巨額の投資をして施設を作ればそれでいいのだということではなくて、ハードとソフト両面でどうやって選手を支えていくか。で、そのバスケットの選手たちも、企業に所属していたり自分で会社を興して生活費は稼いでいかなきゃならないとか、いろんな問題があります。企業の皆さんが企業スポーツとして支えていただいているスポーツに対しては何の支援もないわけですから、こういったものが、ある程度、このオリンピックを経験して考えていかないと、かつてその、陸上で、旭化成なんていうのは非常に強い会社でしたけれど、もう陸上部を辞めちゃったわけですね。これは、会社全体から考えると会社本来の業務と違うところでなかなかそういうことができないという、時代の変化とともに企業側の事情も変わってくるので、こういったものもしっかり見直して、どうしたらスポーツ選手がスポーツを続けることができるのかというのもしっかり考えていきたいなと思います。今日、採火式を行って、いよいよ来週、パラリンピックも始まりますので、感染防止にしっかり力を入れながら、文科省としても、選手のサポートをして、また、再び感動と勇気を振りまいていただけるんじゃないかということを期待して、しっかりエールを送ってまいりたいなと、そんなふうに思っています。

記者)
 冒頭発言で、スポ庁にスポーツ大会の相談窓口を設けるお話がありましたけれども、高校野球でですね、選手がコロナに感染した宮崎商業と東北学院が出場を辞退したということがあったと思います。で、大会本部や高野連も明確に何人感染したら出場できないとか、そういったルールというのは特にないようで学校が判断したということだと聞いています。東北学院大なんかは、陽性が1人だけでも辞退をしたという、苦渋の決断だったかと思うんですが、以前に鳥取の米子松蔭高校の話なんかもありましたけど、今回の非常に異例な事態について大臣の受け止めをお聞かせください。

大臣)
 夏の甲子園、今、大会が続いておりますけれども、大会主催者が定める感染対策ガイドラインでは集団感染と判断された後の対応について明確な規定がないことは、事実として承知しております。本ガイドラインでは、代表校から感染者が判明した場合は、主催者の設置する緊急対策本部において、当該校から状況を確認し、その感染人数や感染経路などの状況に基づきチーム内での集団感染が疑われるかどうかという点を重視しつつ、当該校の意向も踏まえながら、大会参加の可否を判断すると規定をされております。お尋ねの集団感染と判断された後の対応について、本ガイドラインで明確な規定がないことに関してですが、これは大会主催者においても、仮に集団感染となった場合であっても、一律に出場停止としてしまうのではなく、感染人数や広がりなどの個々の具体の状況を丁寧に確認し、出場の可否を判断できるように配慮されたものと考えており、そうした規定についての一つの判断だと思っております。受け止めはと言われればですね、誰もが感染するリスクはあるわけですから、そういう中で選ばれたメンバーの中で感染者が出たことをもってですね、出場を辞退しなきゃならないという判断をしたのは、学校側としても苦渋の判断だったと私も思いますし、また、感染した選手もですね、やっぱりチームメイトに対して、何か後ろめたさなどを感じるんじゃないかということをすごく心配していまして。ただ、きっと、皆さんできちんと話し合って方向性を決めていただいたのだと思うので、私は残念ですけれど、それはそういう判断だったと思うのです。後に、スポーツ庁としても、そういったことを、できるだけポジティブに、辞めるんじゃなくて、辞退をするんじゃなくて、続けることができる方法ということで相談窓口などを作らせていただいたつもりでおりますので、さっそく、高野連としては、試合開始の2時間前に登録選手の交代を可能とするという新しいルールを作っていただいたと報告を聞いております。それぞれの、野球部にしても何部にしてもですね、控えの選手やメンバーに入れなかった選手も大勢いるわけですから、仮にそういう事態になったときに、柔軟にですね、同じ学校の生徒でメンバーチェンジが可能になって試合をすることができるような環境というのは、ぜひ積極的に見出していただきたいなと思っております。
 ごめん、旭化成は、陸上はなくなっていなくて。エスビーと日清がなくなっているということで、ごめんなさい。

(了)

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