萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年7月20日)

令和3年7月20日(火曜日)
教育、スポーツ、文化、その他

キーワード

令和2年度文部科学白書、デジタルトランスフォーメーション時代に対応した著作権制度・政策の在り方について、部活動大会等における生徒の参加機会の確保について、東京2020オリンピック競技大会開会式クリエーターによる過去のいじめ問題について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年7月20日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年7月20日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年7月20日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私からは3件です。本日、令和2年度文部科学白書を閣議で配布をいたしました。今回の白書では、特集として3つのテーマを取り上げています。1つ目の「新型コロナウイルス感染症禍における文部科学省の取組」では、文部科学省がこれまでに実施してきた新型コロナウイルス感染症への対応、2つ目の「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」では、本年1月の中央教育審議会答申の内容を中心とし、これからの初等中等教育の目指すべき改革の方向性と具体的な方策、3つ目の「研究力向上のための若手研究者への支援」では、10兆円規模の大学ファンドの創設や、それに先駆けた博士後期課程学生支援の抜本的な拡充について紹介をしております。また今回は、記載内容・分量の厳選や、解説動画の作成など、読み手にとって分かりやすい白書の作成やその有効活用を目指した改善も実施することとしております。文科省としては、今回の白書で取り上げている施策をはじめ、文部科学行政の更なる充実を図っていきたいと考えております。
 2件目ですが、著作権法については、社会の変化に着実に対応するため、これまで累次にわたる制度改正を重ねてまいりましたが、昨今の急激なデジタル化により誰もがコンテンツの創作を行い、様々なユーザーがコンテンツを容易に利用し、更なる創作が行われるようになるなどの環境の変化に対応することが急務であります。このため、昨日、デジタルトランスフォーメーション時代に対応した著作権制度・政策の在り方について、文化審議会著作権分科会に出席し、直接諮問を行いました。DX時代においては、社会の変化や技術の進展に対応し、クリエイターの権利保護・適切な対価還元と利用円滑化の両立を図ることを基本としながら、コンテンツ創作の好循環を最大化していくことが重要です。文化芸術をはじめ、我が国の発展の基盤となる著作権制度・政策を総合的にご提案いただきたく、文化審議会における積極的なご議論を期待をしております。
 3件目です。鳥取県の米子松蔭高校が、夏の甲子園大会の予選となる県大会において、学校関係者の感染をもって大会の規定により出場を辞退した件について、私からスポーツ庁に指示をし、日本高野連を通じて、鳥取県の高野連に対して、生徒の貴重な成果発表の機会を確保するという観点からの対応をお願いをしてまいりました。その後、昨日夕方、大会主催者である鳥取県高野連の理事会において、対戦校の理解も得た上で、米子松蔭高校の再試合が正式に認められたと伺っております。私としましては、これまでも、部活動をはじめとした子供たちの貴重な成果発表の場となる大会の開催や生徒の参加について、大会主催者や都道府県教育委員会等に対し、適切な配慮をお願いをしてまいりました。今回の決定に対し、まずは鳥取県高野連の対応に感謝するとともに、選手たちにとって、改めて貴重な舞台が設けられたことを大変喜ばしく思っております。他方、高校野球に限らず、今後開催される他の部活動大会においても、同様の事案が発生しないようにすることも重要であるため、各大会における生徒の参加の可否について、それぞれの主催者において適切なご判断をいただけるように、今までも出してきましたが、改めて、大会主催者等に対して本日通知を発出したいと考えております。文部科学省としては、コロナ禍であっても、可能な限り、子供たちの貴重な成果発表の場を確保することの重要性を関係の皆様に十分ご理解いただけるよう周知徹底に努めるとともに、引き続き、部活動を含めた子供たちの健やかな学びの確保のために関係団体等との連携協力を図ってまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 1点質問させていただきたいなと思います。今お話のございました米子松蔭の件なんですけれども、文部科学省というかスポーツ庁の方のQAの方では、基本的に、感染者が出た場合はその参加は認められないんじゃないかというような考え方だと思うんですけれども、濃厚接触者であるとか校内感染者であるとかってのは非常にグレーな部分で、今回、まさにその部分が出たというふうに思っているんですけれども。この辺り、通知を改めて出すということですが、基本的に、適切な判断をということだと思うんですね。個別の事案で、主催者とかがかなり迷ったりとか判断迷ったりすることもあると思うんですが、その辺り、個別に相談があれば、スポーツ庁として対応していくお考えあるのかというのが1点と、オリンピックが並行して開催されますけれども、そちらの方は、濃厚接触者であっても一定の要件の下に参加が可能だというようなルールになっていると思うんですが、その辺りの齟齬が今回あるという点も、なんというか議論になった一因だと思うんですけど、その辺りのバランスというのは、大臣、どのようにお考えでしょうか。

大臣)
 各種競技大会における出場校の参加の可否については、新規の感染状況や競技の特性に応じて、大会主催者において、学校や保健所が協議を行った結果などを踏まえてですね、個別事案ごとに適切に判断していただくものと考えています。その際、文科省としては、大会への参加が生徒にとってこれまでの練習の成果を発揮できる貴重な機会であることを踏まえ、丁寧に状況を把握した上で、ご判断いただきたいと思っております。なお、大会の安全な開催に当たっては、スポーツ庁・文化庁において、全国大会等における感染拡大予防ガイドラインにも定めておりますところでありますが、大会主催者においては、国のガイドラインや各競技団体が策定しているガイドラインも踏まえ、十分な感染症対策を講じていただきたいと考えております。今回の件は、県の高野連がですね、独自に作ったガイドラインの中で出場を見合わせてほしいというような判断に至ったと承知していますけれど、これ、私、何度もこの場で、去年からですね、例えば陽性患者が出た場合は保健当局とまず相談をして濃厚接触者の特定をしてもらってください、と。その場合、その当該学校区域の県内とか市内の感染状況も踏まえた上で、そういった専門家の判断で、必要があれば学級閉鎖あるいは学年、それが他のクラスにも及ぶということであれば学年閉鎖という、そういう基準は今までも示してきましたので、これは部活動であっても当然学校行事の一環でありますから、私は、本来、県の教育委員会の方がもう少し相談に乗ってあげてもよかったんじゃないかなっていうふうに思っているんですね。実は、誤解を恐れず申し上げますけれど、高野連っていう組織は高体連に入っていない、ある意味、独立性の高い組織なものですから、従って、その独自のルールっていうのがもしかするとあったのかもしれません。そこはちょっと私も確認していないのですが、同様のことが実は全国で起きていまして。今月末に静岡県で行われる小学生の水泳全国大会、これ、主催者はあくまでNPO法人なのですが、スポーツ庁も後援していますし、もっと言えば36年間続いていて、小学生にとっては、もうまさに小学生のオリンピックのようなですね、権威ある大会なのですけれども、緊急事態宣言の出ている東京や沖縄からの出席がかなわないという事態が生じましたので、こういったことについても詳しく説明をさせてもらいました。なぜこういうことが起こるかっていうと、主催者がNPO法人なものですから、我々が通知を都道府県の教育委員会や市町村に出しても、なかなかそれが主催者まで届いてないっていうことが今回分かりましたので、高野連も、もしかしたら届いていなかったのかもしれません。必ずしも一律の対応っていうのはなかなか想定できないと思うんですね。それは、感染が広がっている自治体内で行われている大会なのかそうじゃないのかってことも含めいろんな事情があったと思いますけれども、そこは、私、今までも文科省としてしっかりガイドライン、通知を出してきたつもりでおりますので、改めて、今回のようにですね、例えば野球部員と全く接触をしてないであろう学校関係者が陽性が出たことによって、直ちにその野球部の試合ができなくなるっていう判断は、私は、正しい判断ではなかったんじゃないかと思います。保健所等と連携をとって、一定の専門家の解説を聞く時間っていうのは、試合日程などのいろんな事情もあったのでしょうけれど、もう少し丁寧にやっていただければこういうトラブルにはならなかったんじゃないかなと思っていまして。今後、さらにこういうことがないように、できる限り分かりやすい通知を発出をしてまいりたいなと思っています。今日、改めて発出をしたいと思います。

記者)
 すみません、五輪との、五輪のルールとのバランスというのはどう考えますでしょうか。高校生や中学生にとっても、その人にとっては生涯一度きりの大会ということも考えられるわけですけれども。

大臣)
 オリンピックの方は、IOCで国際的なルールを決めてこの大会に臨んでらっしゃるので、アマチュアスポーツの場合はそれと全く同じ対応ができるかというと環境的にも難しいところはあると思いますけれど、基本的には、できる限り、発表の機会をしっかり確保するということを前提に、各都道府県の教育委員会とも連携してまいりたいと思いますし、困ったときには、スポーツ庁・文科省に相談をしていただいてですね、対応を考えていただきたいなと思っています。抗体検査のキットですとか、あるいはそういったもの、移動のためのバスの利用ですとか、補正予算も含めて用意をしておりますので、そういったものを活用いただきたいなと思っています。

記者)
 米子の件で1点教えてください。スポーツ庁に対して大臣の方から指示をされたということですが、これ、いつ頃どのような形でされたのか教えてください。

大臣)
 日曜日の段階で各方面からの連絡が入りましたので、秘書官を通じて、ぜひ事実関係を、まずしてほしいと。それで、どうもこれは、我々が望んでいる方法とは違うんじゃないかと。特に、試合開始直前まで保健所が開かなかったことによって、衛生当局のコメントも指導も全くない中で判断を下してしまったというのはやや問題があるのではないかということをもう一度確認をしてほしいということを申し上げました。で、鳥取県の高野連側は、試合の事情もきっとあったのだと思いますけれど、私、ちょっと関係者に失礼なこと言っちゃったんですけれど、学校数がそんなに多いわけじゃないので、東京などのように1校試合がずれると大変なことになるようなことは、うまくやりくりができるんじゃないかということも含めてですね、試合の入替、時間の入替、第1試合と第2試合を入れ替えて検査結果や指導を待つとか、そういうことができなかったのかということも含めて確認をした上でですね、できるならばどういうルールになっているか確認をした上で、この場合は、ちょっとまだ、本当に出場辞退をするまでの責任が、原因というか実情があるのかということをもう一度確認した上でですね、可能ならば、再試合を模索してもらいたいということをお願いしたところです。

記者)
 オリパラの開会式の楽曲制作に参加していたミュージシャンの小山田圭吾さんについてです。過去の雑誌に掲載されたインタビューでいじめ加害の体験が載っていて、で、批判が相次いで、楽曲担当の辞任を申し出て、昨日、受理されたかと思います。インタビューの内容は、30年近く前の話とは言え、改めて、世間のいじめに対する厳しい視線というか、が浮き彫りになったのかなというふうに思うんですけれども、直接の所管は組織委員会だとは思うんですが、教育を所管する大臣として受け止めがあれば教えてください。

大臣)
 まず、教育を所管する大臣として、いじめは決して許されないことであり、いじめをなくすためにはその意識を社会全体で共有していくことが必要であると考えております。小山田さんの過去の言動については、私は直接承知はしていません。今、報道などで明らかになっているものを承知しているだけですけれど、いずれにしましても、組織委員会が最終的な判断を、本人の辞任を受け入れてこういう形になったので、それ以上のコメントは控えさせていただきたいと思いますが、時代がどう変わろうとですね、いじめはあってはならない、これを、文科省としてはしっかり貫いていきたいと思っています。

記者)
 冒頭発言にありました文部科学白書についてお尋ねします。改めて、白書で特に力を入れた点について大臣のお考えをお聞かせください。また、わいせつ教員対策への記述も充実させていますが、その狙いについてもお聞かせください。

大臣)
 冒頭も申し上げましたけれども、大きく3つのテーマを特集として取り上げております。加えて、読み手にとって分かりやすい白書の作成、その有効活用を目指した改善に力を入れて参りまして、ただ厚ければいいというのではなくてですね、コンパクトで中身の濃いものというものを今回チャレンジをしてみました。記載内容を厳選するための全体のページ数を削減すると同時にですね、QRコードを付けて、そして、そこから動画だとか参考資料なんかを読み解いてもらうような新しい仕組みを入れさせていただきましたので、DX時代の新しい白書ということを、文科省として先頭を走らせていただいたという自負がございます。これからも改善につなげていきたいなと思っています。お尋ねのあった教員による子供に対するわいせつな行為の対応については、これも大きな社会問題で、先の国会で、議員立法ですけれども法律も成立しましたし、私も、就任以来、このことは様々な施策の変更をしてですね、文科省としてできる改善というのをしてきたつもりでございますので、改めて、その重要性を、国民の皆さんにも発信をさせていただくとともに、子供を守り育てる立場にある教員が子供にわいせつな行為を行うことは断じてあってはならないという、この意思をですね、明確にさせていただいたところだというふうに思っておるところでございます。そういう思いを持って作らせてもらいました。特に、令和の学校という新しいスタイルで、GIGAスクールですとか少人数学級ですとか、まさに大きくフェーズが変わった年でもありますので、そういったことも、ぜひ、引き続きですね、政策を前に進めていけるように、今日、閣僚の皆さんにも改めてお願いをしたところです。

(了)

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