萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年7月16日)

令和3年7月16日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

透明マスクの教育現場における活用に関する検討について、私立小学校の視察、こども霞が関見学デー、GIGAスクール特別講座~南極は地球環境を見守るセンサーだ!~、幼児教育の在り方について、大臣によるオンライン特別授業、全国的な学力調査のCBT化検討ワーキンググループ、研究用原子炉JRR-3による医療用RIの製造

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年7月16日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年7月16日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年7月16日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 私からは4件です。この度、教師の表情が見えやすい透明マスクの教育現場における活用について、聴覚特別支援学校及び幼稚園において効果検証を行いましたので報告します。小学校就学前の幼い子供や聴覚に障害のある子供などについては、表情の口の動きがコミュニケーション手段として大きな役割を果たしているところです。新型コロナウイルス感染症対策として、マスクの着用が日常化している中、学校現場では、これまでも場面に応じたマウスシールドの着用などの工夫をしていただいているところですが、飛沫防止を第一に考えつつ、表情や口の動きの見える透明マスクを活用したいという声も上がっており、国会でも同趣旨の質問をいただいてきたところです。まずは、今回の検証を行うべきとの考えから、担当部署に指示をし、鼻や口元が覆われ、顔に密着する透明マスクを開発されたユニ・チャーム株式会社にご協力をいただいて、今週14日と15日の2日間、幼稚園15園、聴覚特別支援学校4校において、指導上の効果に関する検証を行いました。広く参考になる結果については、まとまり次第、共有したいと考えておりますが、文科省としては、今回ご協力いただいた学校とユニ・チャーム株式会社に感謝するとともに、こうした感染症の影響下での指導の充実に検証結果を活用してまいりたいと思っております。
 2件目です。今週14日(水曜日)に、神奈川県の鎌倉市にあります私立清泉小学校を訪問しましたので、この場を借りてご報告を申し上げます。同校では、動物の飼育活動や自然教室における作物栽培などの体験活動、日記などを通じた書く指導など、特色のある取組についてお話を伺うとともに、英語やプログラミングなどの授業の様子を拝見しました。特に、動物の飼育活動は、児童が主体となって話合いや作業を行うなど、有意義な取組で大変参考になりました。今回の視察を通じて把握した学校の取組なども参考にしながら、多様な児童生徒一人一人の興味・関心等に応じ意欲を高め、やりたいことを深められる学びの提供に向けて今後とも取組を進めてまいりたいと思います。
 3件目なのですが、昨年中止になりました「こども霞が関見学デー」なのですけど、今年は、感染症対策を十分に講じた上で、来月の18日・19日に開催をしますが、今回、各省庁の実施プログラムが決まりましたので報告をします。実施プログラム数は252であり、オンラインも活用して全国各地の子供たちが参加できるプログラムを多数用意しています。文科省のプログラムについては、私と子供たちの交流・懇談をはじめ、93のプログラムを実施をします。文科省としては、新型コロナウイルスの影響下の厳しい時期だからこそ、親子の触れ合いを深めつつ、子供たちが夏休みに広く社会を知る機会を提供したいと考えています。文科省も、全てが対面ではなくて、17会場でオンライン79、また、併用しながらやることにしております。
 4件目ですが、文科省では、先日、「GIGAスクール特別講座~君も宇宙へ!~」を実施し、多く児童に参加・視聴いただいて大変好評でした。この度、第2弾として、「南極は地球環境を見守るセンサーだ!」を実施しますのでお知らせをいたします。今回は、夏休み明けの9月7日(火曜日)、授業が行われている14時から15時頃に昭和基地とつないで実施をします。越冬隊員と直接会話ができる中学校を10校程度募集するとともに、それ以外の学校からもGIGAスクール端末等で、隊長からの出題に答えたり、質問したりできるようにする予定です。内容としては、南極特有の自然環境を活かした実験や、上空の気象観測の実演などを行う予定です。これらを通じ、子供たちの地球環境や気候変動への関心、環境教育の動機付けの機会となることを期待しています。また、中学生の学習内容を想定していますが、もちろん、小学生、また、高校生の方の参加も大歓迎でございまして、告知をしていきたいと思っています。参加方法や学習内容等の詳細については、現在調整中であり、内容の確定後、各教育委員会へ事務連絡をお送りいたします。1人1台端末やネットワークを有効活用し、ぜひ多くの学校に積極的に参加いただきたいと思います。私からは以上です。

記者)
 幹事社からは冒頭1問質問させていただきたいなと思います。先日発表がございました幼稚園、保育所と小学校の連携、認可、接続に関してなんですけれども、こちら、考え方としてですね、全ての5歳児に一定の学びの基盤を身に着けていただきたいというような狙いだというふうに伺っているのですけれども、幼稚園の教育要領と言いますか、その中では、あんまりがちがちに縛らないという形をとっていると思います。それで、それがその、就学前教育の多様性というか、そういうものを保障しているというか、そういうのがいいんだというような方もいらっしゃいます。それから、小学校の小1とのギャップと言いますか、小1プロブレムと言いますか、そういったものは、あくまで、解消はですね、就学前というよりも義務教育で、全ての子が受ける義務教育の方でその対策をすべきなんじゃないかと。就学前は通わない可能性もあるので、そちらで対策をするのはどうなんだろうっていう意見もあるんですけど、この辺りのご懸念というか、そこに、大臣どのようにお考えでしょうか。

大臣)
 先週、中央教育審議会の初等中等教育分科会に設置をされた「幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」では、地域や家庭の環境に関わらず、全ての子供が格差なく質の高い学びへ接続できるよう、学びや生活の基盤を保障するための方策などについて検討していただく予定です。現行の幼稚園教育要領や保育園の保育指針等では、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の明確化など、学校種や施設の類型を越えて子供の成長を支える手がかりが共通に整理されています。これを踏まえ、現在既に、幼児期の教育と小学校教育双方の関係者の協力によって教育の充実を図る取組が進められているところですが、特に幼児期の教育に関しては、どのように教育の質をどう高めるかがイメージしにくく、接続期のカリキュラムの参考になる資料が少ないとの声があるところです。このため、特別委員会においては、五感を通じて学ぶ時期である幼児期の特性を踏まえ、こうした声に応えるためご議論をいただくことに期待をしているものであり、ご心配のようなですね、画一的な内容を求めたりするものではなく、子供一人一人の体験の幅を広げ、質を高めるため、各園の創意工夫が最大限発揮される内容となるような議論をお願いしたいと考えておりまして。この前、私、これ発表したときにも申し上げたように、全てを幼稚園化しようとかですね、幼児教育の指導要領を保育園にもはめ込もうとかそんなこと考えてるわけじゃ全くなくて、それぞれ個性あるいろんな子供たちの学びや遊びがあると思うのですけれど、その中で、小学校入学とのスムーズな移行ができるように、この部分だけは5歳児やっときましょうねっていう、いくつかのものを取り出してですね、それをまた上手に、保育園や幼稚園や認定こども園や、あるいは無認可保育園やあるいは保育園に行ってないお子さんたちもいらっしゃるわけですから、ご家庭でもそこに触れてもらえるようなものを何か作っていこうということなので。やや義務教育の前倒しみたいなことをおっしゃる方がいるんですけど、そんな迫力じゃなくてですね、本当に1年間、もっと言えば1日のうちのほんのわずかなことで、こういったことは、5歳児になったらできるようにしようねとか知っておこうねっていうようなことをしっかり身に着けてもらうことが大事だと思っていますので、イメージとしては、そういうことをしっかり話し合いをしてもらいたいと思っています。小学校入学後に果たすべき義務教育の役割は変わらないと思っていますので、そこはそこで、充実を図っていきたいと思います。

記者)
 私からは2問お願いいたします。1点目はGIGAスクールの件です。今週、舞鶴市中舞鶴小学校と山梨大学教育学部附属小学校の2校でオンライン授業が行われ、萩生田大臣が特別講師として参加されましたが、1人1台のタブレットの教育効果について、ご自身が講師として教える立場に立ったということでどういった手応えを感じられたのかということと、あと、その上で、更に課題など、感じられたところがありましたら教えてください。もう1点目は、先ほどGIGAスクールの特別講座第2弾、南極というお話がありましたけれども、こちらその、宇宙、そして次は南極ということで、いろいろGIGAスクールでやれることあると思うんですけど、あえて南極でまたやろうと思われた理由について教えてください。よろしくお願いします。

大臣)
 文部科学省の公式YouTubeチャンネルでの小学校社会科教育支援動画「国会ってどんなところ?」というのを作りましたので、これを教材として使っていただくべく、各教育委員会を通じて皆さんに配信しています。文科省と小学校、ウェブ会議システムで接続して、今回、小学校6年生からの質問に私が答える形で授業に参加をさせていただきました。児童からはですね、衆議院と参議院の違いですとか、国会等の話合いで悩むことなどの質問がありまして、楽しかったです。丁寧に説明をさせていただいたつもりです。児童はGIGAスクール構想で整備したタブレットを活用して授業を受けており、コロナ禍においても、空間を超えて東京の文部科学省から授業を届けることができました。授業の最後に、私からはですね、児童には、「コロナ禍において失ったものは多いけれども、得ることができたものにも目を向けてみよう」というメッセージを伝えたところです。1人1台端末は個別最適な学びと協働的な学びを実現する上で必要なものであり、リアルな体験を通じて学ぶことや、教師や子供たちの様子を直接確認し指導することとあわせて取り組むことが重要であると認識しています。こうした考え方の下、ICTの積極的な活用を通じ、具体的には、音声や動画などを含んだデジタル教材により子供たちの興味・関心を高めること、教師が一人一人の反応や考えを即時に把握しながらきめ細かな指導を行うこと、多様な意見や考えに触れたり協働して学習に取り組んだりすることなどを効果的に行うことができると考えています。一方で、1人1台端末を活用した学びは多くの学校にとって初めての取組となることから、試行錯誤が大切であると考えております。文科省では、「GIGA StuDX推進チーム」において、優れた活用事例の情報発信を行うとともに、学校現場が抱える課題や悩みを把握しているところであり、今後とも必要な助言などを実施してまいりたいと考えております。なお、今回の授業では一時的にネットワーク環境が不安定となって音声が聞こえにくいときがありました。ネットワーク環境の事前評価を実施し、課題があることが判明した場合などに、ネットワーク増強や契約の見直し、運用の工夫などの改善が図れるように支援をしてまいりたいと思っています。国会ということを学んだ直後にですね、文部科学大臣と直接推理をするというのは、たぶん子供たちにとってリアルな体験だったと思います。より興味を持ってもらったんだと思います。じゃあ全てのですね、小学校に、私が授業で参加できるかというとこれはちょっと難しいので、こういう取組を、また映像として他の学校でも使ってもらったりすることでですね、子供たちにそれぞれのテーマを身近に、リアルに感じてもらうという意味では、このGIGAスクールの効果というのは大きなものがあるんじゃないかなと思っております。なんで南極にしたかと言いますと、別に特別な事情があるわけじゃないのですけれど、宇宙の次はどうしようかと考えて、本当は夏ですから海をやりたかったのですけれど、海底からの通信はやっぱりちょっと難しそうなんですね、通信環境が。本当はしんかい6000(注)とかで6000mの海の底から子供たちに呼び掛けと授業をやってみたいなと思ったんですけど、これは今検討中で、JAMSTECがきっと何とかすると思いますが、そういう意味では、南極はですね、時差も非常に短くて、ちょうど5時間目の授業のときに向こうが朝を迎えるんです。それで、オゾンホールが確認されている地域でありますので、地球上で気候変動の影響が顕著に表れている地域の一つでもあることから、子供たちが環境問題を自分事として捉えるのに適切な地域じゃないかなと思いました。このような南極を舞台に、今回は授業時間内に開催することを踏まえ、昭和基地特有の自然環境を活かした実験や観測隊が長年継続している気象観測などに関するクイズについて、子供たち同士で考えたり、それを発表し合ってもらうことを予定しています。南極昭和基地から見える自然や実験を通じて、端末やインターネットの活用促進のみならず、地球環境や気候変動への関心が高まるなど、環境教育の動機付けの機会になることを期待しています。ただ、ブリザードがあるらしいので、そうなっちゃうと外でとても配信ができないのでその場合はどうしようかなとか、こんなこともいろいろ局では考えておりますので。そういうまさに生きた自然を子供たちに体験をしてもらって、遠い南極から授業をしていただくことで環境問題に関心を持ってもらったり、そういうことができるんだって、GIGAスクールということを、楽しみをぜひ味わってもらえたらありがたいなと思っています。どんどん続けていきます、いろんなことを。

記者)
 日が経ってしまって恐縮なのですが、全国学力テストのCBT化についてお伺いします。今月12日に文科省の有識者会議のワーキンググループで最終取りまとめがありまして、その中で令和6年度から導入していくというようなことが盛り込まれたと思うんですけども、改めてCBTにしていくということの意義とですね、この取りまとめを受けての、文科省としての政策の進め方についてお考えをお聞かせ下さい。

大臣)
 12日(月曜日)に開催された「全国的な学力調査のCBT化検討ワーキンググループ」においては、同ワーキンググループとして「最終まとめ」(案)が議論され、主査一任になったと承知しています。この「最終まとめ」(案)においては、全国学力・学習状況調査のCBT化の実現に向けて、試行・検証により課題の抽出とその解決を繰り返し、段階的に規模・内容を拡充していくこと、また、令和6年度から、順次、CBTを導入していくこと、CBTへの移行と安定的な事業運営のための国立教育政策研究所の体制を強化すること、学校での円滑な実施に向け、技術面から各学校や教職員のサポートが必要であることなどについて盛り込まれているところです。また、同日の会議において、将来的な技術発展の可能性や、政府全体のデジタル化の動きも踏まえ、CBT化に必要なネットワーク環境の整備・改善などの取組が今後より一層進められることに、期待についても指摘をされたと承知しています。文科省としては、提言を踏まえ、着実なCBT化の実現に向けて、試行・検証を段階的に実施すると共にですね、問題開発に含めた、詳細な調査設計の検討やCBTシステムの機能開発などの必要な取組を進めてまいりたいと思っております。CBTを活用することによって、今までのですね、例えば輸送・採点等々のコストを下げることもできますし、短時間にですね、テストの結果を直ちにフィードバックをして授業などに活用することもできると思っていまして、そういったデジタル社会にふさわしいですね、新しい試験の在り方として期待をしているところでございます。ただ、これ次の課題なのですけれど、全国一斉に、同じ時間に同じ学年を全てつなぐと画面が上手に動かなかったりなんていう課題がありますので、これはまさしく、この秋にデジタル省ができてですね、真のデジタル化社会を日本が目指すとすれば、そのくらいのことは当たり前に、同じ時間に同じ配信ができて同じ試験を受けることができるような環境というのは、これは文科省としてはちょっと限界があるのですけれど、国としてやっぱりそういう課題は解決していってもらえばより充実したテストになるんじゃないかなということを期待しています。

記者)
 科学技術関連でお伺いしたいんですけれども、日本原子力研究開発機構が研究用原子炉JRR-3で放射線医療器具や医薬品の製造を行うという報道があったんですけれども、それに関する事実確認と、文科省としては、今後の取組や大臣の受け止めなどお伺いしてもよろしいでしょうか。

大臣)
 これは、ちょうど参議院の決算委員会などでも重要性について指摘をされたところでございますけれども、本年2月に運転を再開した、日本原子力研究開発機構の保有する研究用原子炉JRR-3、茨城県の東海村にございますけれども、において7月12日からの運転期間中に、民間企業との共同で医療用のRI(ラジオアイソトープ)を製造を開始すると聞いています。医療用のRIは、特にがん治療用などで国内ニーズも高い中、我が国では東日本大震災以降、その全てを海外に依存してきましたが、今般のJRR-3での製造再開は、医療用のRIの国産化及び安定供給に向けた重要な一歩だと考えております。引き続き、原子力機構をはじめとする関係機関において取組が着実に進められていくことを期待しているところです。

(注))「しんかい6000」と発言しましたが、正しくは「しんかい6500」です。

(了)

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大臣官房総務課広報室