萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年7月13日)

令和3年7月13日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

長崎大学及び公立小学校への視察、映画「深海のサバイバル!」タイアップ、新型コロナワクチンの大学拠点接種、教員免許更新制、大学入試のあり方に関する検討会議による提言、米国の民間企業による宇宙船の試験飛行成功について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年7月13日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年7月13日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年7月13日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私から2件です。昨日、長崎県に出張しまして、長崎大学及び長崎市立桜町小学校の2か所を訪問しました。長崎大学では、エボラウイルスやラッサウイルスなど病原性の高い病原体を使用した研究が実施可能なBSL4施設の整備状況と、感染症研究の豊富な実績を有する熱帯医学研究所などを視察し、関係者の皆さんとの意見交換を行いました。政府では、今回の新型コロナウイルスに関する国産ワクチンは未だ実用化できていないことを踏まえ、先月、「ワクチン開発・生産体制強化戦略」を取りまとめました。文科省としては、今回の視察の成果も活かし、国家戦略の下で関係省庁と連携し、引き続き、ワクチン開発をはじめとした感染症研究などの取組を支援してまいりたいと思います。また、長崎市立桜町小学校では、本年度から小中学校における1人1台端末環境下での学びが本格的にスタートしたことを踏まえ、田上長崎市長、橋田教育長等とICTを活用した教育を進めるにあたっての課題等について意見交換を行った後、授業の様子を見させていただきました。授業では、様々な教科で子供たちがタブレットを積極的に活用している様子を拝見させていただくとともに、こうした活用を支えるためのネットワーク環境の強化の必要性等について意見交換をしました。これら今回の学校現場の視察で把握した課題等も踏まえつつ、学校でのICT活用が積極的に推進されるよう、優れた活用事例等を情報発信するなど、文科省として更なる支援に努めてまいりたいと思います。
 2件目ですが、今般、文部科学省では、海洋分野の研究開発に関する施策について、国民に広く理解・普及を図ることを目的として、8月13日から上映される映画「深海のサバイバル!」とタイアップを行うことにしました。タイアップでは、「“深海”まだ知らない世界がそこにある ~2021年から国連海洋科学の10年が始まっています~」という文部科学省の施策メッセージを掲載した同映画のポスターを作成し、全国の幼稚園、小学校、特別支援学校などに配布をします。この映画では、主人公とその仲間たちが、潜水艦に乗って深海を冒険し、持ち前の勇気とアイデアで様々な困難に立ち向かっていく姿が描かれており、深海調査の監修にはJAMSTECの研究者らが参加をしております。本タイアップを通じて、子供たちに深海の魅力や海洋研究の面白さを伝え、興味関心を高めていただきたいと考えております。私からは以上です。

記者)
 1点伺いたいなと思います。大学拠点接種に関してなんですけれども、多くの大学がワクチンの供給の停滞を受けまして、予定よりも接種が遅れるというのをホームページ等でアナウンスしているところなんですけれども、これ、どのくらいのタイミングで接種が再開できるというか開始できるかというのは、後期の授業でどれだけ対面をやるかとか、それから、今後、自治体の方が早く接種できるとなれば、大学拠点接種の申請を取り下げたほうがいいんじゃないかとかですね、そういう、いろいろ大学の方も判断しなきゃいけない部分があると思うんですが、この辺り、供給再開といいますか、開始できる見通しというのがどうなっているのか。それから、考え方として、留学される方は早期に打つというようなお話もあったかと思うんですが、これ、拠点接種が止まってしまうとそういう方が困る可能性もあると思うんですが、その辺はいかがお考えでしょうか。

大臣)
 まず、大学の拠点接種について、今週から接種を開始する目処が立っている大学は19大学でありまして、これまでに開始されている大学を通算すると143大学で、今、接種が行われている状況にございます。7月2日にですね、河野大臣からは、専用の申請サイトに申請を行った者のうち、厚生労働省が確認済みの会場については、ワクチンの供給に支障が生じない限り、当初申請をいただいた人数、スケジュールで実施できるように、ワクチンの供給の手続が進められる一方、申請を行ったが確認済みとなっていない会場については、順次、確認作業を行った上で、8月2日の週からワクチンの配送を始め、基本的には8月9日の週以降から接種を始めることになるとの発表があったと承知をしております。モデルナ社のワクチンの1日の配送可能量には限界があって、全体のワクチンの供給量や配送計画との兼ね合いの中でこのような状況になっていると承知していますが、河野大臣もおっしゃっている通り、大学拠点接種に必要なワクチンの総量は確保されています。文科省としても、5日、各大学等に対して今後のスケジュールについての連絡を行っておりまして、接種時期が8月9日以降になるという状況も踏まえて、各大学等が希望する接種時期等、各大学等からの相談内容の精査を行い、適切な時期・人数で接種を開始し、一人でも多く学生等へワクチンが届くことができるように調整を進めてまいりたいと思います。で、そのスケジュール感で言うと、後期の授業には2回目の接種は終えることができると、今、申請をいただいている大学についてはそういう状況にあるのだと思います。また、留学生についてはですね、こちらから会場を紹介していますので、留学予定者のうち、ワクチン接種支援事業について、昨日までの段階で累計2,600件、2,600人ですね、の接種希望の申請がありまして、そのうち約1,900件について、既に接種会場を紹介し接種が行われているところです。引き続き、この夏に渡航する留学予定者がワクチン接種を理由に留学を断念し人生において貴重なチャンスを失わないように接種を進めてまいりたいと思いますし、1,000人規模ですから、これ、全国で実施している学校、お住まいを確認した上でこちらの大学へ行ってくださいということを文科省の方で紹介をしていますので、希望しているのに打てないというような事態はまだ聞いておりませんので、その辺は呑み込んでいただけると思っております。そういうチャンスが失われないように、しっかりやっていきたいなと思っています。

記者)
 念のため確認なんですが、今のお話ですと、現段階で申請している大学においては、9月末までに2回の接種を終えることが可能だというふうに政府としては考えてらっしゃるということでしょうか。

大臣)
 政府というか、文部科学省としては考えています。

記者)
 免許更新制で伺いたいんですけれども、週末から週明けにかけて、文科省で廃止の方針が固まったんじゃないかという報道がいくつか出てると思うんですけれども、今、審議会が、ちょうど部会が続いている最中でお答えは難しいと思うんですが、この廃止というのも選択肢になっているのか、であったりとか、あるいは廃止、そもそも廃止についての大臣のお考えというか、で、お話しいただける部分でお願いをしたいなと思います。

大臣)
 まず、教員免許更新制の廃止を文部科学省が固めたという趣旨の記事が掲載されたことは承知していますけれど、教員免許更新制については、本年3月12日にですね、中央教育審議会に対して、必要な教師数の確保とその資質能力の確保が両立できるように、何らかの前提を置くことのない抜本的な検討を行っていただくよう諮問をさせていただいて、現在、まさに委員の皆様が真剣なご議論をいただいている途上でありまして、方向性について結論を導き出すというような、そういう方向にはまだ至っていないものと承知しています。文科省としては、中教審での議論もしっかりと見守りつつ、スピード感を持って制度改革を進めていくことを考えており、現段階で教員免許更新制の廃止を固めたという事実はございません。私自身は、研修の必要性は十分分かるのですけれど、更新制と紐付けることによって研修が本当にいいものになっているかどうかということも含めて、中教審の皆さんにいろいろ精査していただくことをお願いをしている立場なので、あらかじめ、言うならば、私の結論的な思いを申し上げるのは控えたいと思うのですけれど、いずれにしましても、中教審の皆さんの答申を待って方向性を決めたいと思います。それで、廃止だけ書いている社もあるのですけれど、要は、研修の必要性は全く変わっていないものですから、そこは改めて強調しておきたいなと思います。

記者)
 先週の話で恐縮なんですけど、大学入試のあり方検討会議の提言の件で伺わせてください。提言では、記述式問題の出題ですとか総合的な英語力評価ですとか、多様な背景を持つ学生の受入れなどを行った大学にインセンティブを付与すべきだという提言になっています。これなんですけど、文科省としては、具体的にどのようにインセンティブを付与するのかと、また、いつからこのインセンティブを付与するのかと、もう次の、今年度中の入試からということなのか、ということを伺いたいのと、先週の会見で、大臣、皆さんが決めたルールなので自分の学校は関係ないということがあってはならないというふうにおっしゃっていました。これは、全ての大学があり方検討会議が提言した記述式とか英語力評価ですとか、その他のいろいろな入試改革をやるべきであるというお考えということでしょうか。

大臣)
 まず、大学入学者選抜と大学教育の一体的な改革について、他大学の模範となるような先導的な取組を推進することが重要であって、改革意欲のある大学への後押しになるようなインセンティブを付与することの必要性について検討会議で共通認識になったことは承知をしています。これは、あくまで私が答申を受けた段階にそういう項目があったということで、文科省が直ちにですね、これを財政的な支援も含めて、来年度メニューを組み立てるという段階では今まだないと思います。どういう支援の仕方があるのか、何を持って改革意欲を高く評価するのかということも含めてですね、そこは慎重な対応をしていきたいと思うのですけれど、そういった意味で、方法論についてこれから様々な議論をしていきたいと思います。優れた取組を幅広く普及させていくためには、例えば国立大学の運営費交付金ですとか、私学助成などの基盤的経費を活用する手法が望ましいという意見が会議の中では大勢だったと承知していますので、何か新たなメニューを作って、何か補助金を出すとかそういうイメージではなくてですね、新しい入試改革に向かって皆で気持ちも新たにスタートしようと。その中で、ちゃんと頑張っているところは、横展開できるようなそういう応援をしていこうということだと思います。私から申し上げたのは、いずれにしましても、今回、1年半かけて皆さんで会議をしてきました。前回も私が中止したときに、結局やっぱり反対だったみたいな意見が後から出てきて、ある意味、大臣の言う通りだというご同意をいただいたことはありがたかったのですけれど、それだったら前の会議の中で何で言わなかったんですかという思いがあったものですから。今回は、とにかくオープンで皆さんに、全てネット配信などもして会議をやってきたわけですから、そこには、あらゆる大学受験のステークホルダーの皆さんが加わったと思うんですね。多少の意見の違いは団体や学校によっては当然あるのは承知をしていますから、全て同じことをやれということじゃなくて、この4技能、英語の4技能が大事だよねということや、記述式を評価することも大事だよねということは皆さんが認めたのだとすれば、どういう形にしろ何らかの形でそういったものを入試に盛り込んだり、あるいは入試に盛り込まないんだったら在籍中の4年間でしっかりその部分を伸ばすというようなことをカリキュラムの中に入れていただくことも大事なんじゃないかなと思っていまして。それを、全ての大学に同じように、例えば外部の英語試験を使いなさいとか、そういうことを誘導するつもりは全くありません。一つの方法としてそういうこともありますし、あるいは、各大学が独自の、事前の、何て言うんですかね、模試のような形で試験を行うこと、予備試験みたいなことを行うことも可能だと思いますし、あるいは推薦型などでは少し時間があるわけですから、そういうときに小論文を書いていただくようなことを手法に取り入れるなど、方法はいろいろあると思いますので、それを一律に全て義務付けるようなことを考えているわけじゃありません。

記者)
 宇宙関連で一つお伺いしたいんですけれども、先日、米国のヴァージン・ギャラクティック社が、開発中の宇宙船で試験飛行を行い成功したというニュースがありました。それに関して、大臣としての受止めと、今後増えるであろう宇宙旅行への期待だったり日本が貢献すべきことなどについて教えてください。

大臣)
 米国の民間事業者が独自に開発した宇宙船の試験飛行が成功したということは承知しておりまして、宇宙旅行の事業化を目指した取組が活発化していると感じております。文科省では、本年6月に、民間事業者による二地点間高速輸送や、宇宙旅行等の宇宙輸送ビジネスの実現に資する革新的な将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会の中間取りまとめを公表したところです。また、当省の取組に呼応して、本年5月に、宇宙旅客輸送事業を民間で進めていくために、産業界やアカデミアから成る協議会が発足をしているところでございます。先日、野口宇宙飛行士が帰還をされて表敬に寄っていただいたときに、いろんなお話をして、まだまだ若い者に負けずに機会があればまだ飛びたいと言う意欲を示す一方で、将来のセカンドキャリアとして宇宙ツアーのコンダクターなんかもいいかなというような、そんな話を私との話の中でしました。まさに、日本にはそういった知見もあるんだというふうに思いますので、将来多くの皆さんが宇宙へ旅行に行くような時代が来たときにですね、日本の持っている様々な知見を活かして、そうした旅客業、輸送事業のですね、民間の皆さんのお手伝いをすることも可能なのではないかという期待はしています。文科省としては、こうした民間での宇宙旅客輸送事業への関心の高まりも踏まえつつ、官民連携により、抜本的な低コスト化などを目指した革新的将来宇宙輸送システムの実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。ただこれ、聞いたら、そんなに長い時間じゃないですね。無重力状態を何分か体験するということなので、こういったものが今後どういうふうに普及していくのかというのは、ちょっと我々は理解し難いところがあるので、民間の皆さんの取組を見守っていきたいなと思います。

(了)

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