萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年7月9日)

令和3年7月9日(金曜日)
教育、スポーツ、その他

キーワード

大学入試のあり方に関する検討会議による提言、中央教育審議会初等中等教育分科会「幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」、八街市の児童死傷事故を受けた通学路の合同点検について、緊急事態宣言下における部活動の大会や修学旅行の実施について、東京オリンピックの観戦について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年7月9日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年7月9日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年7月9日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 今日はまた、ちょっと多くて4件です。まず、最初にですね、一昨年11月及び12月の「大学入試英語成績提供システム」や大学入学共通テストにおける記述式問題の導入見送りを受け、私の下に「大学入試のあり方に関する検討会議」を設置をし、これまで約1年半の審議を重ねてまいりましたが、昨日、三島座長から提言を受け取りました。検討会議では、外部識者からのヒアリング、初の取組となる選抜区分ごとの詳細な実態調査、また、全大学・全学部へのアンケート調査、広く国民からのウェブサイトによる意見募集などの結果を踏まえつつ、過去の問題点の分析と今後に向けた在り方の検討を両輪としながら提言を取りまとめていただきました。座長をはじめ委員の先生方には、これまでの長期間にわたる精力的なご審議に深く感謝を申し上げたいと思います。文部科学省では、本提言を踏まえ、大学・高等学校関係者から成る「大学入学者選抜協議会」を開催し、関係機関・団体との必要な調整を行い、速やかに大学入試に係る予定の通知・公表を行ってまいります。その上で、中長期的な課題も含め、関係機関・団体とも連携しつつ、確実な実現を図り、大学入学者選抜の改善を推進してまいります。また、提言では、「文部科学省においては、今回の事態が受験者等に与えた影響を真摯に受け止め、提言に盛り込んだ大学入学者選抜に係る意思決定のあり方に示された諸観点については、今後、広く、他の施策においても生かされることを強く求める」とされたところです。私としては、これをしっかり受け止め、今後の政策に活かしていく所存です。また、昨日、事務方トップの事務次官に対し、今回の提言を踏まえ、今後の施策遂行に当たるよう指導を行ったところでございます。
 2件目です。昨日、中央教育審議会初等中等教育分科会に「幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」が設置されました。先日、私から「幼児教育スタートプラン」を発表しましたが、この特別委員会では、幼児教育スタートプランを踏まえ、幼児教育の質の向上と小学校教育との接続について、専門的見地からご議論いただきたいと考えています。具体的には、全ての5歳児に、その多様性に配慮しつつ生活・学習基盤を保障するための方策、また、各地域において幼児教育を着実に推進するための体制の整備、3つ目として、保護者や地域の教育力を引き出すための方策、保育人材の資質能力の向上などを検討していただく予定です。議論に当たっては、画一的な内容を求めるのではなく、子供一人一人の体験の幅を広げるため、各園の創意工夫が最大限発揮される内容となるよう期待しております。なお、この特別委員会の委員には、無藤隆・白梅学園大学名誉教授など幼児教育の研究者に加え、脳科学、言語発達など多様な分野の専門家、また、小学校教育関係者、自治体の関係者、幼稚園・認定こども園・保育所の園長、大学生などを任命する予定であるとともに、オブザーバーとして、内閣府や厚生労働省にも参画をいただく予定です。文部科学省としても、この特別委員会の議論を踏まえ、幼児教育スタートプランの具体化に取り組み、今後の施策に反映してまいりたいと思います。
 3件目です。先月28日に千葉県八街市で発生した痛ましい事故を踏まえ、文部科学省としては、国土交通省や警察庁と協力をして検討を進めてきたところですが、本日付で各都道府県教育委員会等に対して通知を発出し、通学路における合同点検の実施について依頼をしました。通学路の交通安全の確保については、平成24年の亀岡市での事故を受け、既に各自治体において、教育委員会・学校・PTA・警察・道路管理者等による合同点検体制が構築され、定期的な点検が実施されています。このため、今回の依頼は、八街市の事故に鑑み、危険箇所の取りまとめにあたって、見通しの良い道路や幹線道路の抜け道になっている道路など車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入が多い箇所、また、過去に事故に至らなくともヒヤリハットの事例があった箇所、それから、保護者や見守り活動者、地域住民などから市町村への改善要請がもう既に過去からあった箇所などの観点を含めたものになっているかをご確認いただいて、対策が必要な箇所を抽出していただくものです。今回の合同点検は、全ての通学路に対する一斉の再点検を改めて求めているものではなくて、既に先ほど述べた観点で合同点検等を行っていただいている自治体や八街市の事故を受けて追加的に点検を行った自治体などについて、その蓄積をご活用いただくことを考えています。なお、国土交通省、警察庁からも、本日付で関係機関宛てに通知が発出されております。合同点検の詳細につきましては、この後、事務方から説明をさせていただきたいと思います。
 最後に、政府においては、昨日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、緊急事態措置区域に東京都を追加する決定を行うなど新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐための最大限の努力を続けているところです。こうした中、文部科学省では、学校教育活動の一環として行われる部活動等についても、中高生等が参加する全国大会、あるいはコンクールなどが安全・安心に開催されるよう、大会等の前後も含めて留意していただきたい事項をガイドラインにまとめて掲示するなどの対策をこれまでも講じてきました。こうした感染症対策の徹底を図った上で、生徒の貴重な成果発表の機会となる部活動の大会等については、来週以降もできる限り練習などの開催をしていただくとともに、大会参加に向けた日常の活動、ちょっとごめんなさい、来週以降もできる限り開催していただくとともに、参加に向けた日常の練習などの活動についても、継続できるようご配慮いただきたいと考えています。このため、部活等における留意事項や先月策定したガイドライン等に基づき、適切な対策を講じていただくよう、本日中に、改めて大会主催者と各都道府県に対して周知を行う予定です。また、今後、修学旅行等の実施を予定している学校も少なくないと思いますが、修学旅行なども言うまでもなく有意義な教育活動であり、子供たちにとってかけがえのない貴重な思い出となるものです。その実施については、各学校や学校設置者において、感染状況等を踏まえ、適切にご判断いただくものでありますが、ご判断に当たっては、その教育的意義や児童生徒の心情等を踏まえ、適切な感染防止策を十分に講じた上で、その実施についての特段のご配慮をお願いしたいと考えています。文科省としては、引き続き、児童生徒等にとって安全・安心な教育活動の実施に向けて、連携をしながら協力をし取り組んでまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 1点質問させていただきます。冒頭発言ございました大学入試のあり方検討会議の件なんですけれども、この中で、英語民間試験、それから記述式というのが焦点になっていたわけですが、それは各大学のほうに利用を促していくと、インセンティブも含めて考えていくというような提言がなされております。で、英語民間試験に関しては、全国の会場が限られているですとかですね、それから、この間、受験料がかなり上がっている検定試験もございます。もともとの問題である経済的格差・地域的格差という部分に関しては、今もって現状として存在してるわけですが、この辺りはどのようにお考えになるか、対処していかれるか。それから、記述式に関しても、できない理由としては私立の大学が多いわけですが、こちらは2月に一斉に試験をやって早く合否判定をしなきゃいけないという制約がございます。これが、結局、採用するに当たってですね、障害になっているわけですけれども、これに何か対処していくお考えというのはございますでしょうか。

大臣)
 今回の提言は、大学入学共通テストの枠組みで、国が認定した資格・検定試験の成績を一元的に提供するといった一律の仕組みは採らず、各大学の個別選抜で活用することとした上で、大学に対して、資格・検定試験を利用しない選抜区分を設ける、あるいは当該大学の定める活用方法において資格・検定試験と個別学力検査のいずれか有利となる方を選択的に使えるようにするなど、資格・検定試験のスコアを有しない志願者が不利にならないような配慮を求めるものになっています。すなわち、有効活用することは否定しませんでしたけれど、それを受けなければそこの大学へチャレンジできないという仕組みは困る、と。ですから、きちんと複数の道を作ってくれということを今回求めたところです。また、国のイニシアティブにより、関係者から成る恒常的な協議体を設置をしました。この中でですね、試験団体等とも、低所得者層の検定料の減免、今までもやってきましたけれど、引き続き、こういう話合いや、それから一昨年のときにも大きく問題になった、結局、民間の皆さんは、民間の会場を借り上げることによって試験料にそれが付加されるという問題がありましたので、高校会場での設定の推進、それからもうこういう時代ですから、オンラインで受検できるシステムの整備などですね、しっかり議論をしていただいて協力を求めることが提言されておりますので、地理的・経済的事情への配慮の問題については、これらを通じた取組をしっかり進めていかなければならないといというふうに考えています。なお、各大学の個別選抜における、アドミッション・ポリシーに基づく資格・検定試験スコアの活用については、長年にわたり、関係者の合意に基づいて大学入学者選抜実施要項に盛り込まれており、現に相当数の大学がこれらのスコアを用いた選抜を実施している実績があるものであり、また、日頃から英語学習をしている者の学習成果が入試においても評価されるようになることから、英語力を高めたいと努力している受験者にとっての利点も大きいものと考えますので、一律に、逆に禁止をするということもあえて適切ではないというふう思ったところでございます。前回の制度は、3年生の2回の試験のスコアで共通テストに紐付けるということだったのですけれど、これは、高校3年間の中で自分がチャレンジした一番良い結果をですね、提出するという方法も、当然、今後は認められてくることになると思うので、ご指摘の経済的な格差によって試験を受ける機会がないような人たちが不利になるというようなことは一定程度は解決はできるんじゃないかと期待しています。あの、これで終わりじゃなくて継続的な会議体も持ちましたので、その中でさらなる課題があれば、しっかり穴埋めをしていきたいなと思っています。記述式につきましては、基本的に、限られた受験日程の中で同等のものを全て求めるというのは非常に難しいということが明らかになりましたけれど、例えば総合推薦型のようにあらかじめ時間があるものについては、こういったものを大いに活用してもらうことも極めて大事ですし、また、今回、コロナ禍でですね、なかなか面接ができなかったようなことも、コロナ禍で、想定外で経験をすることになりました。そういった中で、ご本人の主体性ですとか、あるいは小論文による自分の主張ですとか、こういった読解力も含めた記述式の在り方というのは、各大学が工夫をしていただいて、それは何らかの形でですね、それは盛り込んでいただくことが望ましいという、そういう提言をいただいておりますので、それに合わせて各大学もご協力いただけると思います。私が非常に力を込めて申し上げたのは、やっぱり皆さんで決めたルールですから、自分の学校は関係ないんだというようなことはあってはならないと思います。従って、この令和2年から3年にかけて、これだけ時間をかけて、全ての関係者の皆さん、それは代表者ということになるかもしれないけれど、それぞれの組織を代表する皆さんが入ってこれだけ丁寧な議論をして方向性を決めたからにはですね、やっぱりその方向性をしっかり噛み砕いて協力していただく、強調していただくことが極めて大事だと思っていまして。そういったことも、しっかり文科省としてもウォッチしていきたいと思いますし、去年、受験前に、対面授業の比率などを公表しました。これは、学校からは非常に評判が悪かったんですけれど、受験生からは非常に評判が良かったものですから、やっぱり受験の姿勢というものはですね、これからいろんな意味で、その学校にたどり着かないと気がつかなかったことというのはたくさんあったんですけれど、少なくともそのミニマム、スタンダードで皆が決めたことはきちんとやっているということは、必要があれば公表なども含めてですね、各学校の責任感を共に共有していっていただきたいなと思っているところです。

記者)
 冒頭発言に関係して2点、手短に伺いたいんですけども。まず、八街の件では、狙いというか、まさに今回抜け道になっていたり、PTAの方が再三改善を要望していたりしたことを受けて悲劇をもう一度起こさないしようという狙いだったと思うんですけど、その辺の狙いを、大臣のお言葉でもう一度ご説明いただけますでしょうか。

大臣)
 今回の合同点検においては、学校がリストアップした危険箇所を基に、教育委員会が道路管理者や地元警察等が一体となって、対策を講ずべき箇所を「対策必要箇所」として抽出した上で、対策案を検討・作成するものであります。具体的な対策については、例えば、学校における通学路の変更、道路管理者による道路環境整備、地元警察による交通規制などが考えられますが、各地域・各箇所においてそれぞれ効果的な対策を検討いただくものと考えています。また、対策の実施に当たっては、ハード面の整備などその内容により一定の期間を要することから、ソフト対策も含めて対策を検討し、可能なものから速やかに実施することも必要だと考えています。今回の合同点検により、新たに「対策必要箇所」として抽出された箇所に対する効果的な対策実施について、道路管理者や地元警察署の協力を得られるよう、国土交通省及び警察庁から、本日付で関係機関宛てに通知しているところであり、各地域において、関係者が連携して必要な対策を進めていただくことをお願いをしております。今までも、ここは危ないよねということを指摘されて、しかし何らかの理由で、途中で対策が途切れてしまっているものというのはたくさんあったのだと思うので、そこを今回はきっちり深掘りをして、そして関係各省庁とも連携をしながら対応策を考えていくという、いわゆるワンランク上の支援策をしていこうということを国が踏み込んだわけですから、そこを、もう1回しっかり見ていただいて、声を上げていただきたいなと思っています。

記者)
 ありがとうございます。それで、4点目にいただいた部活動の件なんですけども、これは、要するに東京では緊急事態宣言が発令されたりする状況になると思うんですけれども、緊急事態宣言下にあっても、大規模な大会とか、あるいはそれに付随する部活動の活動なんかはなるべく制限をせずに行ってほしいという、そういう感じの趣旨になるんでしょうか。

大臣)
 昨年もそういう努力をしました。そして、この間、何度も緊急事態やまん延防止措置の期間を経ながらもですね、あえて区分するとすれば、大学生の部活動ではクラスターというのがいくつか散見されましたけれども、中学生や高校生の部活動で練習や大会を通じてのクラスターというのは実際に我々は報告を多くは受けていません。どちらかというとその後の、例えば宿泊等々などにおいて一定程度そういう問題があったと思うので、ここは、ぜひ環境をしっかり保っていただいて、要するに、屋外でしたら一定の距離を保つ、小さな、例えば吹奏楽などでは音楽室ではなくて体育館で練習をするとかですね、こういった現場での工夫をしていただきながら、子供たちの発表の機会を失うことなく学校現場は努力していただきたいと思っています。今唯一あるのは、例えば全国大会などは県境をまたいで移動しなきゃならないので、そういった場合には、列車などの方がきっと安いのでしょうけれど、ここはもう、例えばバブル方式で、バスなどでの移動をしていただくということを求めていきたいと思っていますし、今まだ調整中ですけれども、そういった財政的な支援もですね、考えていきたいなと。せっかく、中学時代、小学生もそうでしょうし高校生もそうでしょうけれども、自分たちが一生懸命成果を求めてやってきたことを、発表の機会を失うことのないようにしたいと思っておりますので、そこは、もちろん感染予防に配慮することは前提なのですけれども、基本的には全国大会等々の大会は予定通り実施をさせていただきたいと思いますし、緊急事態宣言のあった自治体からだけは代表者が出せないということがないようにですね、そこは、関係団体、ぜひ協力して対応していただきたいなというのが今日の通知の大きな趣旨です。

記者)
 東京オリンピックについてお伺いします。昨日、一都三県、無観客での開催ということと、あと、有観客の地域ですが、茨城県では学校連携観戦のみ見れるということが決まりました。直接のご担当ではないところ恐縮ですが、教育と、それからスポーツを所管するお立場での受止めをお願いいたします。

大臣)
 前回の会見でも申し上げましたけれども、スポーツを所管する大臣としては、せっかく国内でオリンピック・パラリンピックが、パラリンピックはまだ決まっていませんけれど、オリンピックが開催される絶好の機会にですね、多くの国民の皆さんに、会場で直接競技を観戦していただきたいという思いがございましたが、現在の感染状況、医療状況を踏まえ、安全・安心を最優先に検討した結果、このような方向を決めたことはやむを得なかったと思います。少し残念ではありますけれど、ここはぜひご理解をいただいて協力をお願いしたいなというふうに思っております。茨城県は、茨城県がまん防の地域でもない中で、日頃もそういったスポーツなどの活動をしている中でですね、知事が県の責任において、子供たちだけは会場に入れたいということを提案をされているのだと思うので、そこはそれぞれ、全体の大きな方針としては緊急事態宣言やまん防区域では子供たちの学校観戦は控えるという方向を出しましたけれども、一方、そうじゃない地域で、幸い会場になっているところで、様々な工夫をしながらですね、そういう機会を設けるということに対しては、それはもう、茨城県の判断を尊重したいなと思っています。

(了)

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