萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年7月2日)

令和3年7月2日(金曜日)
教育、その他

キーワード

八街市の児童死傷事故を受けた通学路の安全確保について、「公立小学校へのスクールバスの導入に関する勉強会」からの緊急決議書、旭川医科大学長の解任について、教育職員の勤務時間及び業務量の適切な管理

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年7月2日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年7月2日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年7月2日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。ちょっとバランス悪くてすみません。今日は冒頭なしです。すみません。

記者)
 八街の交通事故の関係で2点伺いたいなと思います。1点目は、昨日ですね、国会議員の方々がおいでになってスクールバスの導入促進というのを、申出をされたと思うんですけれども、今回の事故もそうなんですが、全国的には、少子化によってですね、学校統廃合なんかも進んでいて、スクールバスの導入促進というのは一つの重要な観点かなというふうに考えているんですけども、大臣、このスクールバスの導入、どのようにお考えでしょうか。

大臣)
 まず、児童生徒の登下校時の安全を確保することは、子供たちが安心して学校生活を送る上で不可欠であるというふうに考えております。文科省としては、登下校時の安全対策として、子供たちに対する実践的な安全教育の推進や地域ぐるみでの見守り活動の充実、集団登下校等の取組を推進しているところです。今回、スクールバス導入について提言があったことは承知をしていますが、スクールバスについては、安全対策としての一定の効果は考えられる一方、それぞれの地域によって、交通事情等の状況、あるいは運転手ですとか駐車場スペースなどの確保に関する論点もあると認識しておりまして、各学校や各地域の具体的なニーズを踏まえた検討が必要と考えております。一方、この要望は、全ての公立学校にスクールバスという提言でございまして、今ご指摘があったように合併等によってですね、通学時間・距離が延びてしまった場合には、へき地等対策ということで、既に実施している自治体もあるのは承知していまして、それは一つの有効な手段だと思いますけれど、それと与党の方からご要望いただいたものはやや似て非なるものだというふうに承知しております。

記者)
 それともう1点なんですが、昨日、この事故に関連して、通学路の安全対策といいますか、というようなお話、総理の方から指示があったと思うんですけれども、安全対策は具体的にどのようなものかというのはちょっとわからないんですが、数年前にですね、文科省の方で、例えば登下校の見守りとか登校指導みたいなものというのは学校が担うべき業務ではないというような整理をされておられたと思うんですけれども、教員の働き方改革を進めていく中でその登下校の安全を図っていくと、これ、両立はなかなか難しい課題だと思うんですが、これはどう図っていくお考えでしょうか。

大臣)
 通学時の安全の確保については、学校だけでなく、保護者や道路管理者・警察等の関係機関、また、自治体や地域の関係団体等との連携により実施することが重要だと考えています。通学路の点検についても、各自治体において、教育委員会・学校、道路管理者、警察による通学路の合同点検を実施をし、継続的に危険箇所を点検する体制を構築し、危険箇所に対する対策を進めていただいているところです。これは、不断の見直しをしていただいていますけれども、それでもある意味、想定外のことも起こるわけですから、そういう意味では常に注視することが大事なのですが、それを学校現場のみにですね、お願いをするというのはやや無理があると思います。やっぱり、道路管理者等々、警察などとも一緒になってですね、この際、しっかりとした見直しをしていただくことが大事なので、学校の先生方に全ての通学路の安全点検を、こういうことが起きたので再点検せよというようなことではなくてですね、やっぱり、関係の皆さんがお集まりになって、きちんと対応していただくことが大事だと思います。今回の事故を受け、児童生徒の安全確保のための効果的・効率的な点検の実施方策及びそれを踏まえた学校の実効的な安全対策について検討してまいりたいと文科省としても思っております。その際、例えば、スクールガード等の外部人材の力をお借りするなど、教員の必要以上の負担とならないような点検の方策もしっかり検討してまいりたいと思います。

記者)
 八街で、引き続きというか確認で伺いたいんですけども、総理の方、関係閣僚会議のご発言だと総点検を行うというふうに聞こえたんですけども、例えば今回の事故を受けて、緊急で何か点検を行ったり行うよう指示を出したりとか、そういったご予定は今のところあるのかどうかというのをお尋ねしたかったんですけれども。

大臣)
 普段から点検はしていると思いますので。ただ、こういう想定を超えた、見通しが良くて道幅があってというところでもこういう事故が起きたので、それはそれで、それぞれの自治体、学校でですね、改めて足元を見直していただくことは必要なのですけれど、いわゆる全国一斉通学路総点検を文部科学省が直ちに指示をするという、そういう段階ではないと思っております。

事務方)
 今、関係省庁とやり方も含めて、文科省だけでというのではなくてですね。

大臣)
 京都、亀岡市のときに、ある意味、全国一斉のですね、通学路の再点検というのをして、それでマップを作ったり危険箇所をやったりして、かなり各自治体、各学校で充実はしてきているのですけれど、今回の路線はですね、例えば交差点は危険箇所に指定されていたのですが、道路そのものはですね、教育委員会は、当時は危険とは指定をしていなかった。しかし、父兄の皆さんとか卒業生の親御さんからは、歩道があった方がいいよねということは常々聞いていたということなので、こういうことを、もう1回、それぞれの学校で見直していただくということは必要だと思うのですけれど、関係省庁とよく連携を取りながら対応を考えていきたいと思います。

記者)
 旭川医大の学長をめぐる解任の件なんですけども。今回、大臣の一連の騒動に関する所感をお伺いしたいのと、あともう1つ、やはり学長をめぐる、北海道大もそうでしたけども、学長をめぐる騒動がいろいろ起きてまして、これ、背景には2014年、平成26年の学校教育法と国立大学法人法の改正で、学長に権限を集中させたということがあるんじゃないかという指摘もありまして。で、やはり、旭川学長だと14年ぐらい学長にいらっしゃったということで、なかなか組織のガバメントを考える上でも、この長期政権というのは、弊害が生じる可能性が大いにあるのかなと感じているんですが、この法改正をしたことも含めて、ちょっとご見解というか、ご対応も含めてお願いいたします。

大臣)
 まず、先日、旭川医科大学の学長選考会議の議長であります西川さんから、文科大臣宛てに解任申出が文書で文科省に届いたところです。文科省としては、まずはこの解任申出の内容等をしっかり確認した上で、学生の教育、診療、研究などに影響がでないように、できる限り速やかに対応してまいりたいと思っております。これは、制度上の問題かと言われるとやっぱり個人の問題に大きく依存するんじゃないかと私は思っていますが、必ずしもですね、えっと何年だっけ、これ6年(注)だよね、原則。とりあえず、6年という原則、任期が決まっていて、その再任を妨げないということで。再任をするかどうかは学長選考会議で行なうべきだと思うんですね。その学長選考会議を選ぶメンバーが、学長が選ぶんだから学長寄りになるんじゃないかという危惧が多分おありだと思うのですけれど、そこは、やっぱりそれぞれの法人がですね、自分たちのルール作りっていうのをきちんとしていただく必要があると思っていまして。例えば、今回、旭川医大は、こういうことが起きたことが、仮に長い間、学長が続いたことによって権力が集中したということの反省があるのだとすれば、そこはルールを旭川医大が変えていけばよろしいんじゃないかと思うんですね。要するに6年で、2期までで、それ以上の再任は認めないとかね。そういうことは、文科省が全ての大学法人に対して期限で切るっていうのはちょっといかがなものかなと思うので、残念ですけれど、こういう、学内でこういうことがあるということは本当に残念だと思っていますので、それぞれの法人で、ぜひルールの見直しっていうのは、必要があれば検討いただいたらどうかなと思います。

記者)
 大臣に給特法の関連で改めてお考えをお伺いしたいと思います。今、埼玉県で、教員の超過勤務に関する訴訟が行なわれているわけですが、この焦点となっている給特法について、教育現場では今の教員の勤務実態を反映してないというような指摘があります。この給特法について、改めて大臣のお考えをお伺いしたいのと、文科省として、教員の今の勤務実態、勤務状況の改善ですとか働き方改革について、どのような取組をお考えなのかっていうのを改めてお伺いしたいと思います。

大臣)
 まず、給特法について、様々なご指摘があることは承知をしておりますが、係争中の事案についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。その上で、一般論で申し上げれば、現状において、給特法制定当時を大きく超える時間外勤務があるっていうことは認識をしております。こうした状況を踏まえて、一昨年に給特法が改正され、同法に基づく教職員の勤務時間等に関する「指針」において、「超勤4項目」以外の業務を行なう時間も含めて教育職員が学校教育活動に関する業務を行なっている時間として外形的に把握することができる時間を「在校等時間」として管理すべきものとし、各教育委員会において学校の教育職員の在校等時間の上限などに関する方針を定めるべきこととしたところであります。文科省としては、この趣旨に則った勤務時間や業務量の管理が行なわれるように、引き続き、各教育委員会に対して周知徹底を図ってまいりたいと思います。また同時に、学校における働き方改革を進めていくことが重要だと思います。具体的には、平成31年1月の中教審の答申で、これまで学校・教師が担ってきた代表的な業務について、基本的には学校以外が担う業務と、学校の業務ですけれども必ずしも教師が担う必要のない業務と、教師の業務ですけれども負担軽減が可能な業務に3分類をして、教師の業務の適正化を図ることが提言されておりまして、昨年7月には、文科省としても、教諭や事務職員の標準的な職務の例をお示しし、教諭等の標準的な職務の明確化を図るように各教育委員会に対して取組を促しているところです。さらに、教師の負担軽減につながるように、公立小学校における35人学級の実現をはじめとした教職員定数の改善、また、外部人材の活用や部活動の改革、教員免許更新制の検証・見直し、また、小学校高学年からの教科担任制、こういった好事例の展開や学校向けの調査の精選・削減などの様々な取組を組み合わせて、しっかり取り組んでまいりたいと思います。総じて、今の公立の小学校・中学校、先生方、大変長い長時間勤務になっている実態は承知していますので、これを変えていかないとですね、やっぱり次なる担い手が出てこないと思っておりまして、ここが正念場だというふうに思っております。ぜひ憧れの職業としてですね、若い人たちが教職を志すことができるように、ぜひ勤務体系も含めてですね、改革を進めていきたいと思っておるところです。

(注)「6年」と発言しましたが、正しくは「上限6年」です。

(了)

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