萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年6月29日)

令和3年6月29日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

宇宙基本計画工程表改訂に向けた重点事項、GIGAスクール特別講座~君も宇宙へ!~、スーパーコンピュータ「富岳」のスパコンランキング3期連続1位獲得、文化芸術関係者への職域接種、OECD幼児教育・保育白書、新型コロナワクチンの大学拠点接種、幹部人事、下校中の児童の列にトラックが突っ込んだ事故について、公立中学校の少人数学級

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年6月29日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年6月29日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年6月29日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。今日ちょっと盛り沢山です。
 まず、本日、宇宙開発戦略本部会合が開催され、「宇宙基本計画」の着実な実行に向けて、宇宙基本計画工程表改訂に向けた重点事項が決定されました。文科省としては、今回の重点事項を踏まえ、まず、アルテミス計画への参画による深宇宙探査に必要な技術開発や宇宙人、失礼、ごめんなさい、日本人宇宙飛行士の活躍機会の確保、人類初の火星圏からのサンプルリターン実現に向け、2024年の打上げを目指す火星衛星探査計画等の宇宙科学・探査、3番目として、2022年度中に完成したH3ロケットの開発や、その先を見据えた抜本的な低コスト化等を目指した革新的将来宇宙輸送システムの研究開発、4点目として、衛星コンステレーション等の将来のニーズを踏まえた衛星の開発や、人材育成などに取り組んでまいります。これらの取組を通じて、我が国が自立した宇宙利用大国となることを目指すとともに、宇宙開発の意義や成果を国民の皆さんに丁寧に発信し、多くの国民に夢や希望を与えるような取組を進めてまいりたいと思います。
 2つ目です。6月11日に「GIGAスクール特別講座~君も宇宙へ!~」の実施日を7月6日(火曜日)とご案内しましたが、今般、国際宇宙ステーションとの時差を踏まえ、その実施時間を17時35分から45分程度と決定しましたのでお知らせをいたします。失礼、17時35分から18時20分までの45分程度と決定しましたのでお知らせをいたします。特別講義のテーマは、「宇宙での水や食べ物の動き方と食事の仕方」です。最初に、地上の油井宇宙飛行士から宇宙における様々な現象について質問するので、参加する児童には端末を活用して画面上の選択肢に投票してもらいます。その後、ISSに滞在中の宇宙飛行士、星出さんから、実演を交えて回答を披露するほか、事前に募集した児童からの質問やメッセージへ回答する予定です。教育委員会や学校には、1人1台端末等を活用しながら、子供たちの宇宙への夢や希望を育む機会となる本特別講座をぜひご活用いただきたいと思います。
 3点目ですが、スーパーコンピュータ「富岳」が、昨日夜に国際学会で発表されたスーパーコンピュータの性能を競うランキングにおいて、昨年6月と11月に続き、3期連続で4部門世界1位を獲得しましたのでご報告します。関係者の皆様のご尽力に敬意を表したいと思います。「富岳」は、世界最高水準の計算能力、高い消費電力性能、高い汎用性などを目標として開発し、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、幅広い研究に活用されています。今後、「富岳」を産学官で幅広く活用していただいて、我が国の社会的・科学的課題の解決につながる画期的な成果が創出されるように支援をしてまいります。また、「富岳」を国民共有の財産として、学生や児童生徒にも世界最高水準の性能を体験していただくなど、次世代を担う人材の育成にも活用をしてまいりたいと思います。
 続きまして、4件目なのですが、この度、フリーランスや小規模団体が多い文化芸術関係者の方々に対し、文化庁と日本芸術文化振興会等の文化関係独立行政法人が連携をして、職域接種の一環として、7月5日(月曜日)から国立劇場にて3,200名の方にワクチン接種を行うこととしました。また、8月中旬以降には、国立新美術館にて15,000名の文化芸術関係者の方々にワクチン接種を行うことを計画しています。新型コロナウイルス感染症により、稽古や公演の中止など、大変ご苦労されている文化芸術関係者の方々に対し、少しでも早くワクチン接種の機会を提供することで、安全に文化芸術活動が再開できるように文科省としてもしっかり準備を進めてまいりたいと思います。
 最後、5点目なのですが、昨日、OECDから、「OECD幼児教育・保育白書第6部」が公表されました。同白書は、質の高い幼児教育の機会の拡大に寄与するための研究調査報告書であり、今回は、カリキュラムの基準、人材確保・資質向上などに焦点が当てられています。具体的には、教育の出発点として幼児教育を重視をし、幼児教育段階と小学校段階との円滑な接続を実現することが重要であること、幼時期は「遊び」を通じて学ぶことが望ましく、全ての保育人材が「遊び」を通じた教育実践を具体化できるように更なる支援が必要であること、保育人材への研修の機会の確保が、質の向上のみならず、離職率の低下等にも関連していることなどが報告されています。こうした点については、文部科学省としても考えを同じくするものであり、今後、こうした国際調査の成果も活用して、先日私から発表した「幼児教育スタートプラン」の具体化を進め、国内施策の充実を図るとともに、国際的な幼児教育の質の向上にも貢献してまいります。なお、9月10日には、東京大学の発達保育実践政策学センターの主催で同白書に関するシンポジウムが開催され、OECD教育・スキル局の担当責任者からその内容に関する説明をいただく予定でございます。私からは以上です。

記者)
 1問お願いします。コロナなんですけれども、ワクチンでモデルナの職域接種の申請が25日からストップしているかと思うんですけれども、大学のワクチン確保に向けてですね、関係省庁と連携して調整されるというお話をこの前されていたかと思うんですが、25日の閣議後会見の時点では363大学から相談があって288大学が既に申請ということなんですが、その288の接種、大学の接種のワクチンの確保の目処ですとか、申請に至っていない残り75大学の申請の目処などは立ちそうか、あと今後、その大学拠点接種の受付についてどのような方針で臨まれるかというのをお聞かせください。

大臣)
 大学の拠点接種ですが、今、ご指摘のあった288大学については問題なく準備を進めさせていただきたいと思います。昨日28日の12時までに、文部科学省に対して424大学から相談が来ておりまして、そのうち、392大学が既に申請を行ったと承知をしております。さらにこのうち、先週から接種を開始したのは29大学、今週から接種を開始する目処が立っている大学は41大学となっております。申請サイトは、ご指摘の通り一時休止しておりますが、文科省としては、引き続き、各大学等などからの相談内容の精査を行い、全体のワクチンの供給量の中で、ワクチン接種を希望する一人でも多くの大学生等へワクチンを届けられるよう、関係省庁と調整を行いたいと考えているところでございます。

記者)
 その288大学については、もうワクチンが確保されている状態ということになるんでしょうか。

大臣)
 先週もちょっと詳しく説明しましたけれど、各大学が、例えば職員数、学生数プラス社会貢献数の申請といいますか、相談をしてくれているのですけれど、地域接種もかなり加速をしてきましたので、河野大臣とも調整する中で、例えば会場にならない大学の職員ですとか、あるいは地元の公立の小中学校の先生などなど、教育関係者の接種は引き続き進めてほしいけれども、簡単に言うと、近所の皆さん・住民の皆さんは行政の接種会場の方に誘導していただいた方がいろんな意味で混乱が避けるんじゃないかということで、そういう精査をしながらですね、他方、学生さんも全ての、100%が希望しているわけじゃないので、そういうアンケートをちゃんと取りながら、できるだけ現実に近い数字を詰めながら、その浮いた分はまた他の大学へと流用していますので。この段階で、あまり私が自信を持ってですね、大学接種は大丈夫ですと言うとまたこれ間違ったメッセージになるといけないので、基本的には、私、大事なこれ接種事業だと思っておりますので、ご相談をいただいている大学の皆さんには、ぜひ真摯に対応させていただいて、できる限り希望に沿うようにしたいという状況でございます。先週の段階の問題はすでにクリアしたと承知をしています。

記者)
 7月1日付の幹部人事について少しお伺いしたいんですけれども、今回、科学技術系の方が非常に多く異動されていたと思うんですけれども、今、科学技術関連ですと、大学ファンドだったり宇宙関連だったり、大型のものが、政策が動く中で、今回の人事の総括だったり、期待することなどを教えてください。お願いします。

大臣)
 文部科学省は、菅内閣における最重要課題の一つである「教育再生」実現のため、諸施策の推進をはじめ、教育分野のデジタル化のためのGIGAスクール構想の実現、科学技術・イノベーションの推進に向けた取組など、喫緊の課題を着実に実施する必要があります。このため、今回、適材適所を基本とした人事を行ったところであり、これにより、ご指摘の大学ファンドや宇宙開発を含む文部科学省の諸課題への対応を、より一層強力に推進してまいりたいと思っています。特に、新たに科学技術・学術政策局長に就任する千原由幸氏につきましては、今年度から始まった第6期科学技術・イノベーション基本計画に基づく諸政策の着実な推進に加え、本年10月に予定されている研究系部局の組織再編を契機とした科学技術・イノベーション政策の推進体制強化に向けて、全力で取り組んでもらいたいと考えております。ここ1~2年、科学技術分野で様々な事業が横展開をされていることは、多分、感じていただいていると思いますので、このトレンドを失うことなくですね、政策をしっかり幅広に前に進めていきたいと思っていますので、科学技術系の皆さんについては、もう本当にそれぞれポジションをしっかり守っていただいて、成果を出していただくということを強く、今、お願いしているところです。

記者)
 昨日、千葉県で起きた事故についてお伺いしたいと思います。昨日、飲酒運転で児童が巻き込まれる悲惨な事故が起きましたが、これについての率直な大臣の受止めと、飲酒運転での事故というのは、いくら児童が気をつけていても学校や保護者が啓発しても、防ぎきれないところはあると思うんですけども、改めて登下校の交通安全についてどのように取り組まれるかお願いいたします。

大臣)
 昨日、千葉県八街市の路上で、下校中の小学生の列にトラックが突っ込み、2名が死亡、3名が重傷を負うという痛ましい事故が発生をしました。この事故により2名の児童が亡くなられたことに心よりお悔やみを申し上げるとともに、怪我をされた児童には1日も早い回復をお祈り申し上げたいと思います。また、被害に遭われた児童のご家族にも心からのお見舞いを申し上げます。今回の事故の詳細については、現在調査中と聞いておりますが、千葉県教育委員会からの現時点での報告によると、トラックの運転手からはアルコールが検出されたということでありまして。これ、朝なら前日の夜のアルコールが依存をしていたということも考えられるんですけれど夕刻ですからね。ですから、これが事実だとすれば、本当に怒りを禁じ得ないというふうに思っております。文科省としては、かねてより、学校・警察・道路管理者等が合同で小学校の通学路の危険箇所を点検する体制を構築し、継続的に危険箇所に対する対策を行うように求めているところですが、事故の詳細に関する調査結果も踏まえて、今後、関係省庁と連携しながら、通学中の交通事故をなくすためのさらなる取組について検討していきたいと考えております。私も、現場の映像や写真を見まして、多分、両脇がずっと田んぼが続く、多分、農業振興道路のような、本来のいわゆる街道とは違う性格の道路なんじゃないかなと思うんですけれど、多分、時間帯によっては車が通らなかったりするんでしょうけれど、現場の皆さんからいろいろお聞きをすると、街道が混んでいるときの裏道などで使われる業務車もあるということなので。道路幅もちゃんとある道路なんですけど、何と言いましても、運転手さんが酒気帯びだったということであれば、これはまた事情が違うと思いますけれども、仮に今後ですね、通学路としての危険性というものを自治体の方でしっかり考えていただくならば、国も寄り添って、対応策はしっかりやっていきたいなと思っています。

記者)
 先般、閣議決定されました骨太の方針の関係で伺いたいなと思っているんですけれども。原案の中にはなかった中学校も含めた指導体制の検討ということで35人学級も含めたということだと思うんですけれども、これが最終的に盛り込まれたということなんですが、これはあの、かねてから大臣も中学校も含めたということをおっしゃられていたと思うんですけれども、これが盛り込まれたことに関する受止めとですね、それから、この原案から最終的なものになるまでに何か盛り込んでいただくような働きかけというものをですね、文部科学省として何かなさったのかどうか。それから、中学校の少人数に関しては、昨年度の予算編成で、一応、財務省がですね、認めていただけなかったというところがあると思うんですけれども、来年度の予算編成でですね、何か足掛かりになるようなものも含めて要求されるお考えがあるのかどうか、その辺りを教えていただければと思います。

大臣)
 まず、大久保さんは原案を見たの。
 原案に入っていたか入ってないかをここで申し上げるのもどうかと思うんですけれど、毎度、困難は極めていることは事実でございますが、骨太の方針については、与党の皆さんもですね、大変なご意見をいただいて、最終的には、「中学校も含め、」の文言を加えた上で、学校の望ましい教育環境や指導体制の在り方を検討する旨が記載され、先日、閣議決定することができました。これまでも申し上げてきましたが、一人一人に応じたきめの細かな指導は、小学校のみならず中学校においてもその必要性に変わりはないと認識しており、今後、小学校における学級編制の標準の引下げを計画的に実施する中で、しっかりと効果を検証し、中学校を含め、学校の望ましい指導体制の在り方について検討してまいりたいと思っております。もう既に、我々の思いというのは、去年、明確に世の中にも示していますし、それは他の省庁の皆さんもご理解いただいていると思うので、ここはもう正面から堂々とですね、必要性を主張して、必要な手続をやっていきたいと思います。確かに、去年は中学校まで手を、及ばなかったのですけれど、実際には、教員確保について、やっぱり計画的に進めなきゃならないので、小学校と中学校の先生は資格が違うとはいえ、やっぱりその公立学校のような先生確保ということを考えると、同時にロケットスタートを、逆にできたかなということは、今、本当にできたかなということは逆に心配するところがありますので、もし仮に小学校から段階的にやっていくということであれば、まだ別に中学校まで到達していませんから、そういう意味では、しっかり計画を前に進めていきたいなと思っています。夏の概算要求の段階で必要な調査等々あればですね、それは、しっかり要求をしていきたいなと思っていますけど、いずれにしても、将来の学校の姿というものは常に未来像を国民の皆さんにお示ししていますし、35人でとどまらないという意思も示しているところでございますので、その決意にしっかり準じて対応していきたいなと思っています。

記者)
 追加なんですけれども、そういう意味では、その、来年度からいきなりですね、中学校も35人というところではなくて、将来も見通してというようなお考えということでしょうか。

大臣)
 この6月の段階では、あんまり手の内をお話しするとまた難しい課題が出てくると思うので。志は、多分、ご理解いただいていると思いますので、その志に向けて真っすぐしっかり進んでいきたいと思っています。

記者)
 先ほど冒頭で、フリーランスや文化芸術団体への職域接種についてお話しされました。こちらについて1点お伺いいたします。およそ18,000人への職域接種を計画されていると思うんですが、職域接種申込停止ということもあるんですが、この18,000人については、既に確保済みと考えていいのかということと、やはり、フリーランスの方への接種というのは、1会場1,000人以上ということもあったので非常に大変な状況だったと思うんですが、その辺りどのように配慮されたのかも含めて教えてください。

大臣)
 基本的にはですね、これはモデルナの状況がこういうふうになって、一度申請を止めるという前から準備をずっとしてきたことなので、今、冒頭私が申し上げたようなスケール感で事業を進めることは十分心配なくやれると思っております。既に、文化芸術団体156団体から接種希望を聞いておりますので、それにあった数字を用意をさせていただいているつもりでございます。今回、昨年からのコロナ禍で、こういう文化芸術に携わる方っていうのは勤務体系が様々で、ややもするとこう隙間に入ってしまう人たちもいるので、そういう人たちにも声をかけようということで今回やらせていただきました。こういうこと、別にワクチンだけじゃなくて、こういうことが進むことで、私たちは文化に携わっている従事者ですよということの顔が見えてくることは、今後いろんな事業をやる上でも非常にメリットがあると思いますので、そういった精神的な思いも込めてですね、この事業に、ぜひ使っていただいて、接種の機会を増やしていっていただきたいなと思っています。

記者)
 幹事社さんの大学拠点接種の質問で一応確認だったんですけども、相談はしてて、結局申請できなかった大学さんがいくつかあるということだと思うんですけども、その大学さんは、今後、どういうケアをしていく予定になるのかというところ伺えればなと思います。あの、個別に取材していると、やっぱり一旦停止したんなら諦めざるをえないかなという私立の大学さんとかも聞かれたりしたんですけど、相談をすれば何らか光明があるのか、それとも受付自体を停止しているからしばらくは難しいのか、その辺を伺えますでしょうか。

大臣)
 受付っていうのは、要するに文科省と相談した後に厚労省に受付してくださいというスキームを皆さんにお願いをしているので、少なくとも文科省に相談をされている段階では、さっき申し上げたように、いろんなやりくりをしながら期待に応えられるように、可能性を模索していきたいなと思っています。あの、端から申請締切でもう申請できませんよということで相談をも乗らないという姿勢は示すつもりはありませんので、そこは、さっき申し上げたいろんな計算式の中で、ワクチンを確保できる可能性っていうのもいろいろ計算しながらやっていますので、もしそういう学校があれば相談はしていただきたいなと思っています。それと、会場になれなかった大学は、ご近所の大学等々の紹介のマッチングも、今、進めていますので、そういうことでできる限り救済していきたいと思います。

(了)

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大臣官房総務課広報室