萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年6月18日)

令和3年6月18日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

新型コロナワクチンの大学拠点接種、旭川医科大学長からの辞任の意向及び不正な報酬の支払いに関する報道について、統合イノベーション戦略2021

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年6月18日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年6月18日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年6月18日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私からは1件です。大学拠点接種については、昨日の12時までに文部科学省に対して261大学から相談が来ており、そのうち、174大学が既に申請を行ったと聞いています。このうち、現時点で、21日から接種開始の目途が立っているのは16大学となっており、このほか、21の週から接種開始に向けて、調整している大学が数大学あると聞いていますが、なお、各大学に状況を確認しているところです。21日からワクチン接種を開始する大学の事例として、これまで発表した東北大学、広島大学、弘前大学のほか、例えば福島大学は、近隣の鳴門教育大学の学生・教職員及び留学予定者の接種を実施をする予定、また、神戸市看護大学が近隣の神戸市外国語大学の学生・教職員への接種を実施予定となっているなど。

事務方)
 福島大学ではなく徳島大学です。

大臣)
 失礼、徳島大学ね、ごめんなさい。徳島大学が、鳴門教育大学です。失礼しました。具体的な大学名については、本日中に資料を配布しますので、詳細については事務方にお尋ねいただきたいと思います。また、昨日、厚生労働大臣より、大学・短期大学・高等専門学校・専門学校でのワクチン接種に対する新たな支援策が発表されました。この支援策では、外部の医療機関が出張して実施する職域接種のうち、文部科学省が定める地域貢献を行う大学等に対し一定の経費補助を行うこととされており、具体的な要件等については、今後、厚生労働省と調整してまいりますが、こうした支援策を活用しながら、各大学等における「大学拠点接種」の取組を進めてまいりたいと思います。文科省としては、各大学等が近隣の教育関係者等への接種を実施することにより、地域に対して貢献することが重要だと認識しており、大学拠点接種において、それぞれの大学が単体で接種を行うのではなく、近隣の教育関係者等にも接種を行う拠点となるよう、文部科学省としても強く要請しながら、各大学等と一体となって取組を進めてまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 2点質問させていただきます。1点目はワクチン接種です。今、ご発表がありましたけれども、21日から16大学、144大学が申請しているということですけれども、文科省のワクチン支援チームが発足してちょうど今日で2週間になるかと思うんですが、この大学数と言いますか、大学の準備のスピード感、これは、現時点で、大臣、どのように捉えられていらっしゃるでしょうか。

大臣)
 限られたスタッフでですね、大変皆さん熱心に取組をしていただき、また、全国の大学等の個別のやりとりをしなくてはならないので、かなり詳細なやりとりがあって、多分現場は負担をかけているのだと思います。それに加えて、留学生のスキームを発表しましたので、そういった留学予定者からの個別の相談もありますので、まさに、現場は大変な状況にありますけれども、既に、21日から16大学プラスαがスタートする予定でございまして、スピード感としては、この21日の週に複数の大学がスタートできてよかったんじゃないかなと思っています。で、やっぱり大事なことは、職域接種とは異なる性質・性格・役割を持つ使命を持つ接種会場だということを大学にも共有していただいてですね、設置をされている自治体とも連携をとりながら、ぜひ公益性の高い接種にご協力をいただきたいと思っているところです。

記者)
 もう1点なんですが、旭川医科大学の吉田学長がですね、昨日、文科省に辞任届を提出したと聞いてます。この辞任届の扱いについてどうされるか。特に、吉田学長には学長特別補佐への不正支出の疑いなどもありますけれども、こうした疑惑が残ったままでの辞任というのはどうでしょうかと、その受止めも併せて教えてください。

大臣)
 旭川医科大学の吉田学長から任命権者である私に、私宛にですね、昨日6月17日、辞任届が郵送で届きました。今後、旭川医科大学の学長選考会議の見解を確認した上で、辞職を認めるかどうかの判断をしてまいりたいと思います。私としては、旭川医科大学学長選考会議の見解を踏まえ、吉田学長からの辞任届の扱いについて、適切に判断したいと考えております。旭川医科大学の学長に関して、同大学の事務局に指示をし、元「学長特別補佐」に対し、契約が切れた後も報酬を支払っていたという報道があったことは承知しております。文科省としては、大学に対してですね、速やかに事実関係を明らかにするようにお願いをしております。その結果、仮に当該事案に係る不正な支払が明らかになった場合は、文科省として適切に対応してまいりたいと思っています。

記者)
 統合イノベーション戦略2021が閣議決定されたと思うのですが、文科省としての取組についてお伺いできればと思います。お願いします。

大臣)
 「統合イノベーション戦略2021」が閣議決定をされました。その中では、10兆円規模の大学ファンドを活用した世界と伍する研究大学の実現や、博士課程学生を含む若手研究者への支援、地域の中核となる大学振興に向けたパッケージの策定など研究力の強化、戦略的に重要な技術領域における優越性の確保など、持続可能で強靭な社会への変革、また、AI、バイオテクノロジー、量子技術、マテリアル、宇宙、海洋、健康・医療などの分野別戦略の推進などが盛り込まれています。文科省としても、これらの取組は極めて重要と考えており、本戦略を踏まえ、関連施策を着実に推進してまいりたいと思います。あの、かつてリーマンショックの後にですね、研究開発投資が停滞をしたというこういう経験をしましたので、昨年来、私、声高にですね、こういうときこそ、人への投資、研究への投資を怠ることなくやるべきだということを申し上げてきて、政府もその価値観を共有していただいてよかったなと思っています。コロナ禍でその轍を踏まないようにですね、関係府省と連携しながら、しっかり予算を確保し、また、有効にそれを実行に移していきたいと思っているところです。

記者)
 大学拠点接種で、1点、伺いたいんですけれども、慶應大学の伊藤学長の方がですね、学生向けのメッセージとして、接種後に飲み会とか旅行とか、そういう羽目を外すようなことはせず、あくまで学業であったり課外活動を加速化させるためにワクチン接種が必要なんだということをメッセージで伝えられていたんですけども、文科省の姿勢はホームページに公表されてると思うんですが、大臣としては、何かメッセージを出されたりとか、あるいは義務ではないワクチンを若年層にどうやって広げていくかというのはなかなか難しい問題であると思うんですが、この点で、大臣から発信されるご予定等はありますでしょうか。

大臣)
 新型コロナワクチンについて、慶應義塾大学の伊藤塾長がビデオメッセージで、ワクチン接種は食事会や飲み会や旅行のためにするわけではなく、安全な学習・研究・課外活動や留学環境を整えるために行うものだと発信されたことは承知していますし、大変心強く思います。文科省としても、大学等を拠点とした接種会場において新型コロナワクチンの接種が進み、学生や教職員等が安心・安全に大学へ通うことができるようにすることが重要だと考えています。また、ワクチン接種をしたとしてもですね、他人への感染がどの程度予防できるのかは今の時点ではわかっていないことが多いわけですし、また、ワクチン接種が進む段階では、ワクチンを接種した人と接種してない人が共に社会生活を営んでいくことになることから、引き続き、感染予防対策を継続していくことが大事だと思っています。加えて、ワクチン接種は被接種者本人の同意が必要であり、どこの会場で接種を受けるのかも含め、本人の希望に基づくことが大前提です。そのため、周囲の圧力で接種が強制されることがあってはならないというふうに思っておりまして、以上のような新型コロナワクチンの接種に関する考え方について、先日、文科省のホームページにも掲載しており、今後ともこのような考え方を機会をとらえて発信をしていきたいと思います。私が動画でやるのがいいのかどうかを含めて、いずれにしても、ここで大学がですね、接種会場になるという新しいフェーズを迎えるわけですから、その意義というものを、やっぱり大学の皆さんにもしっかり共有していただくということがすごく大事だと思いますので、この塾長の言葉は、慶應の学生に対してだけの言葉じゃなくて、大学接種会場になった全ての大学が、同じ思いで、他の大学の職員や学生に対しても同じ思いで接してもらうことが大事だというふうに思っております。

記者)
 同じくワクチン接種の関係なんですけれども、地域貢献が大事だということで、大臣としても、冒頭、強く要請していきたいというようなお話がありましたけれども、その現状、各大学の対応を取材している立場としては、地域貢献の在り方に対して一定の温度差があるというふうに感じるのが事実なんです。で、医学部が、例えばあると、医学部は設置基準がかなり厳しいものがありますし、医学部があったりとか医療系の医療機関と連携がうまく取れているような大学というのは、ある意味恵まれている大学だと思いますので、そうではない大学の方からなかなか難しいという声も上がっています。で、そういったところを受け入れるというのが、多分、この拠点接種の意義なんだろうと思いますけれども、そのあたりの、地域貢献とか大学連携の在り方ですね、強く要請というのは、具体的にどういうことを言っていくということなんでしょうか。

大臣)
 文部科学省としては、自大学の教職員・学生のみならず、自大学以外の大学・短大・専門学校の教職員・学生等や、近隣の幼稚園、小・中学校、高等学校など、特別支援学校などの教育関係者・職員等に対してワクチン接種を行い、地域に貢献していただくことが大学の拠点接種としての基本的な考え方であると認識しており、こういった旨はですね、各大学等に対してしっかり通知をしてきたというふうに承知をしております。他方、短期間で、まずは会場が確保できるのか、打ち手が用意できるのか、そういったことで、先を走れるところが、今、第1グループで来週21日からスタートするのですけれど、この間はそういったですね、大学が会場になりますよという大きな趣旨をなかなか十分理解しないで、していただけなくて先行していた部分も否めないと思います。従って、メディアの皆さんがいろいろ大学に問い合わせすると、うちは職員と自校の生徒が終わったら会場は閉鎖しますよという返事をするということを、私も聞いてちょっとびっくりしましたので、改めて、今申し上げたですね、おっしゃる通りで、なぜその大学だけ会場になったのかと、たまたま医学部や歯学部、看護学部があってスタッフが用意できたからそこが会場になれて、自校の職員と学生だけが打てるということで大学の差別化があっては、私はならないと思います。そこは、そういう環境が整った大学が、今申し上げた、会場になり得ない近隣の大学や専門学校あるいは教育関係者の皆さんを受け入れますよということをイメージして、私としては、この事業を進めてきた思いがございます。先ほど、新たな支援策を皆さんに申し上げましたけれども、例えば自前で先生が用意できない場合は、他所の、例えば派遣会社などを通じてお願いするわけですよね。そうすると、そこにはフィーを払わなくてはならないので、国から支給される1回当たり2,070円だけでは、自校の生徒は賄えたとしても、他所から来た人までどんどん打てば打つほど費用負担が膨らむわけじゃないですか。これじゃあ地域貢献ができ辛いので、その出っ張った分はちゃんと国として補償しましょうということを閣僚の中でも相談をして、昨日、発表させていただいた、プラス大学の接種会場であって、他所から先生たちを呼んで接種をする場合については、これは、費用をですね、上乗せを見ようということにしました。ということは、自校の学生以外の人もその学校に来て打つことを前提にやっているわけですから、こういったことをよく理解をしていただいてですね、あの、必ずしも地域貢献のパターンは一つじゃないと思うのですね。既に、いろんな学校からいろんな提案が来ていまして、後ほど所管の方から詳しく説明しますけれども、さっきお話したように、隣の大学と一緒にやりますとかですね、あるいは近隣住民の皆さんの受入れをしますですとか、それから、後ほど発表がありますけれど、例えば関西のある大学は、吹田市の接種に協力をして幼稚園の教職員への支援をやりますとか、それから近隣の高等学校・専門学校の教職員の接種拡大、留学生の受入れをしますとか、いろいろメニューは様々なので、ボリューム感としては若干でこぼこがあるかもしれないけれど、やっぱりこういうことをやってもらってこそ初めて大学の接種会場だと私は思いますので、そのことは、これからも強くお願いをしていきたいと思っています。それで、仮にこのワクチン接種が終わったときにですね、どういう大学がどういう対応をしていただいたのかというのは、これは、国民もすごく興味があると思いますから、例えば良い例ばかりじゃなくてですね、本当に閉めてしまう大学が、私はないと信じていますけれど、仮にあったとしたら、それはそういう大学なんだなということを皆さんに知ってもらう必要があるんじゃないかなとそう思っておりますので。ここはぜひ、課題と言いますか、問題意識を強く持って、そうじゃないとその学校の学生だけが得をするよねと、その学校のアピールになるよねというためにやっているんじゃないので、まさしく大学というのはそういう役割が私はあると思いますので、それこそ民間の企業との違いだと思うので、職域接種というカテゴリーから少し横出しをしてもらって、大学の地域貢献のための接種会場にしたので、そのことは、改めて今、手を挙げていただいている大学の皆さんにも徹底して、引き続き、ご協力をお願いしていきたいと思っております。

記者)
 今、大臣がおっしゃられたようなそういう要請というのは、相談があったり申請がきた段階で、今おっしゃられたようなことは各大学に伝えておられるという理解でよろしいんでしょうか。

大臣)
 文書をもっても伝えていますし、相談があったときにも伝えていますし、それから、必ずしもこちらがメニューを用意しているわけじゃないのですけれども、自治体からの要請もあります。で、今、まだ現在進行中なので、例えば手を挙げたのだけれど会場になりえない大学というのは出てくるはずですよ、そうしたらその大学の近隣の会場になっている大学はここだということを、文科省が間に入ってマッチングをしてですね、ぜひその大学と連携をとりながら職員や学生の受入れをしてくれということは、追々、また追っかけてお願いをしていこうと思っています。

(了)

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大臣官房総務課広報室