萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年5月21日)

令和3年5月21日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

NASA長官とのオンライン会談、私立中学高等学校への視察、中国の無人探査機による火星探査及びロケットの海上落下について、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種への医学部生の動員について、新型コロナウイルス感染拡大とオンライン授業について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年5月21日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年5月21日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年5月21日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 私から冒頭、2件です。まず、今朝、今月新たにNASAの長官に就任されたビル・ネルソン氏と、国際パートナーの中で初めてオンライン会談を行いました。会談では、アルテミス計画をはじめ、国際宇宙ステーション計画や宇宙科学、地球観測などの日米宇宙協力分野において更なる協力を推進していくことについて確認をしました。ネルソン長官は、米国議会議員として、長い間、宇宙政策に携わられるとともに、宇宙飛行の経験もあり、今後、宇宙施策において強いリーダーシップを発揮されるものと期待しており、共に日米宇宙協力をより強固なものにしていきたいと考えております。
 2件目なのですが、今週の水曜日に、世田谷区にある佼成学園女子中学高等学校を訪問しました。いつも通り、学校なので、メディアの皆さんには後の報告でお許しいただきたいと思います。学校では、スーパーグローバルハイスクールの指定期間中、平成26年から平成30年までの5年間でありましたけれども、その取組による成果と課題、それを踏まえた現在の取組などについて説明を受けるとともに、実際に外国人教師による英語中心の授業を拝見をしました。学校の皆さんとの意見交換では、海外留学を目指して入学したにもかかわらず、コロナ禍により海外留学やフィールドワークができていないこと、また、そのような生徒に日本国内での代替措置を講じるなど、現場の大変困難な状況と先生方のご努力を知ることができ、大変貴重な機会でした。文科省としては、視察を通じて、学校現場の実情及び課題を把握するとともに、視察した学校の取組のエッセンスやノウハウも参考にしながら、今後ともしっかり高等学校の改革を進めてまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 先日、中国の火星探査機が、無事、火星に着陸しました。一方で、大型ロケットが制御不能となって、一部は大気圏再突入して地球に落下するというニュースもありました。で、中国で宇宙開発が進む一方で、安全面で課題があると思いますが、大臣としてのご所感をお聞かせいただけますでしょうか。お願いします。

大臣)
 中国においては、無人探査機による火星探査が進められるなど、宇宙開発を活発化させていることは承知しています。一方、先日、中国が打ち上げたロケットの一部が制御不能な状態で海上に落下する事案が生じています。特定国の具体的な取組について、論評することは差し控えますが、一般論として、宇宙開発は、国際的なルールの下で適切に対応していくことが重要と考えており、宇宙開発を行う各国がこうしたルールの下で適切に対応していくことを期待しています。さすがに、大気圏で燃えることなくですね、機体の一部がどこかに落ちるという、どこかが直前までわからないというのは、ちょっと宇宙開発をやる国としては、ちょっとびっくりしますし、今までも、宇宙デブリの問題についてもですね、国際社会からも様々な指摘をされていますので、あの、一生懸命取り組むことは、我々も良としたいと思いますけれども、安全対策などをしっかりやっていただくことが、中国に限らず、どの国でも必要なのだろうなと思っております。

記者)
 新型コロナのワクチン接種の打ち手確保の関係でお伺いしたいんですが。大阪の吉村知事、市長の方から、医学生も打ち手で活用してはどうかという話があり、河野大臣の方でも、ネットメディアのインタビューなんですが、医学生というのも検討の選択肢にあるということをおっしゃっておりまして。医学生がワクチンの接種の打ち手になれるかという問題自体は厚労省の範疇だと思うんですが、学生がこのワクチン接種の現場に立つということそのものの、教育的な部分での、なんというかお考えですとか、という部分は文科省の範疇かなと思うので、大臣のお考えで聞かせていただける範囲で伺ってもよろしいでしょうか。

大臣)
 文科省においては、これまで医師、歯科医師及び看護師について、附属病院を置く各国立・公立・私立大学長や看護系学部を有する各国立・私立大学長に対して、仮に自治体などからですね、新型コロナウイルス接種への協力依頼があった場合には、可能な限り、協力をお願いして参りました。指導医の監督下での臨床実習以外では医行為が認められていない、医師の資格を有していない医学部生のワクチン接種の是非について、私も報道を見て、逆にちょっとそうなのかなと思ったのですけれど、まず大前提として、文部科学省から医学部に対してですね、学生をぜひ接種に活用してくれというお願いをした事実はございません。で、仮に医学生の皆さんに協力をいただくとすれば、唯一、教育実習の一環としての接種は法律上認められているわけですから、それは、物理的には、もしぎりぎり詰めていけば可能だと思うのですけれど、その場合は、例えばですね、自治体で予約した人がですね、突然会場に来たら、この会場は医学生の会場で実習をやらせていただいていますなんて看板に書いてあったら、それは、その場でちょっと躊躇する方も中にはいらっしゃると思うので、仮に医学生を活用するということであれば、かなり念入りなスキームを作らないと国民の皆さんも納得しないと思うし、医学生に対しても申し訳ないと思いますので。あの、決して将来的な活用を否定するつもりはありませんけれど、現段階では、我々としては承知をしてないお話であります。なお、医学生のワクチン接種についての検討を進める場合には、医学生に直ちに制止・介入ができる適切な一定数の指導医が必要になりますので、結局、打たない先生がそこに何人もいなきゃならないという事態になります。それから、ワクチン接種を行う医学部生に対する研修をさらにしなきゃならない、大学における臨床実習計画を見直さなきゃならない、薬害・医療事故が起きた場合の責任の所在などの課題を整理する必要があるというふう思っておりますので、直ちにということではないのだと思います。まず、医療に携わるあらゆる人たちが、ぜひこの事態を共有していただいて、積極的に協力していただくことが大切なんじゃないかなと思いますので、そんなことを期待したいと思います。

記者)
 大阪市のオンライン学習のことでお伺いしたいんですけども。松井市長は、24日までオンライン学習というふうにおっしゃいましたけれども、そもそも、やはり感染がかなり広まったとはいえ、子供たち同士の感染がそんなに広がってるというエビデンスがない中で、ああやって急にオンライン学習というふうに打ち出したことで教育現場はかなり混乱したんだと思います。私も現場を取材しているわけじゃないので同僚から聞いている範囲ですが、かなり混乱したと思います。そもそもこの対応について、大臣、どういうふうにお考えで、松井市長とどういうふうに、文科省としてやりとりされていたのか、文科省としてどういうお願いをしていたのか、改めて教えてもらえますか。

大臣)
 文科省として、特別、大阪市に対してお願いをしたことはございません。全国に同じお願いをですね、徹底していますので。もちろん、変異株などが拡大している事態を考えたら、安易に考えてはいけないので慎重な対応が必要なのですけれど、他方、やっぱり、学校を閉めるというのは最後の手段であって、それは社会的にも大きな影響があります。また、昨年の色んな検証をする中でですね、子供たちに与える、授業が遅れるとかいうこと以外にもですね、心身共に様々な影響があるということを心配していますので、できる限り、学校は感染状況に応じて頑張ってほしいなと思っています。大阪市は大阪市さんなりに、特に医療崩壊と言われるぐらい、非常に切羽詰まった状況の中でですね、少しでも感染拡大を抑止をしたいという思いの中で、一時的に学校をオンラインを活用したものに転換していこうということを教育委員会と市長の間できっとお話をされたのだと思います。したがって、設置者である自治体の判断で行うことは結構ですし、正直申し上げて、4月の段階でですね、全国でまだパソコンやタブレットの配布が済んでないという自治体も64自治体あった中で、大阪市さんが早めに準備をしていたのだとすればそれはそれで良かったことだと思うのですけれど、しかし、いきなりオンラインで授業をやるということの難しさっていうのは、多分、それぞれの学校現場でもきっとあったのだと思いますので、そういう不安の声が漏れてきたじゃないかなと思っています。私が市長と話したのは、学校を閉鎖するんじゃなくて、どうしても、基礎疾患があったり家族にそういう人がいる場合で、学校に来ることに躊躇されている人たちは在宅からオンラインで参加をしていいですと。それから、学校に来る、来たいと、居場所がないという子供たち対しては学校を開けておくと。それから、給食は一緒に食べると。そういう提案をされましたので、それはそれぞれの設置者である自治体の判断を尊重しますよと、ただし、仮にですね、授業時間等が十分に確保されない場合は、それはまた緊急事態が解除された後にしっかりフォローしてほしいですねと、そんなやりとりはありましたけれど。私も記事を見ましたけれど、学校によってはなかなか準備不足で、そんなこと言われてもオンラインで子供たちが納得する授業が十分できなかったという実態が、もしあるとすれば、そこはしっかりフォローして差し上げてほしいなというふうに思います。

記者)
 その関連でお伺いしたいんですが、大臣、この報道を読まれているかわからないんですが、昨日の報道で、淀川区の木川南小学校の校長先生が、実名で、オンライン学習を急に始めたことでだいぶ混乱したと。その、止めてくれとか、その他色々実名でその提言をされたようなんですね、松井市長に。この提言に対して、市の方針と違うので、松井市長がですね、もしそういう市の方針に従えないなら組織を出るべきだみたいな発言をされているんですね。このやりとりというか、この現場の状況について、大臣はどういうふうに。

大臣)
 コロナ禍で色々お互いにストレスもあるでしょうけれど、大事な子供たちの教育ですから、そこは、校長先生は校長先生で、現場を預かっている責任者として、様々な不具合について意見具申をおっしゃったのだと思いますので。本来一義的に、現場の報告をするのは教育委員会にするべきであって、いきなり市長にするからなんかこういうやりとりになっちゃったんじゃないかなという気はしますけどね。それは何なんだろう、手紙を出したの、直訴したの。

記者)
 そうですね。直訴して、教育長にも直訴して。

大臣)
 メディアに対してもそんな感じなの。

記者)
 いや、メディアに対してというよりは、直接、市長と教育長に。

大臣)
 現場の先生は、私は首長さんに色んなことを、意見をおっしゃることは決して悪いことだとは思いませんよ。ただ、大阪市は大阪市で考えた上での結果だと思うので、そこがやってみてこういう不具合があったんですよということの報告だとすれば、それは耳を傾けて、また改善していったらどうですかね。

記者)
 先ほどのオンライン授業の関連なんですけれども、松井市長の方からオンライン授業を授業日数に含めてくれないかというお電話があったと思うんですけれども、出席日数だとか授業時数だとか、色々カウントの仕方は違うかと思うんですけれども、それに対してどのようにご回答されたのか教えてください。

大臣)
 臨時休業や出席停止などにより、やむを得ず学校に登校できない児童生徒に対しては、例えば同時双方向型のWeb会議システムを活用するなどして、指導計画などを踏まえた教師による学習指導と学習状況の把握を行うことが重要です。また、児童生徒が自宅等で行った学習の状況や成果は学校における学習評価に反映できること、自宅等における学習が一定の要件を満たしており再指導不要と校長が判断した場合、再度、学校における対面指導を取り扱わないことが可能であること、また、一定の方法によるオンラインを活用した学習の指導を実施したと校長が認める場合には、オンラインを活用した特例の授業として指導要録に記録すること、登校再開後は、例えば学習内容の定着が不十分な場合など、必要に応じて、補充のための授業や補習などの措置を講じることについて、今年2月にも通知をしておりますが、その概略についてお問い合わせがありましたので松井市長に直接お伝えをしました。

(了)

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