萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年4月30日)

令和3年4月30日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化

キーワード

松山英樹選手に対する内閣総理大臣顕彰、第3回北極科学大臣会合(ASM3)、緊急事態宣言下における文化芸術活動・スポーツイベント等のキャンセル料支援の拡充について、公立中学校への近視実態調査等の視察、「与党わいせつ教員根絶立法検討ワーキングチーム」について、東京オリンピック・パラリンピックと日本博について、小惑星「リュウグウ」のサンプル分析について、特別免許状の活用について、公立小学校の防球ネットが倒れ児童が死傷した件

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年4月30日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年4月30日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年4月30日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。私からは、冒頭4件ございます。
 男子ゴルフの松山英樹選手に対する内閣総理大臣顕彰式が先ほど行われ、私も陪席をしました。松山選手は、男子ゴルフの4大メジャー大会の1つであるマスターズ・トーナメントにおいて、日本人初となる優勝を成し遂げ、我が国のスポーツの振興に大きく貢献されました。また、東日本大震災以降、常に被災地に寄り添って復興を願っておられる松山選手の今回の優勝は、震災発災後10年の節目となる被災地への励ましとなるとともに、国民に大きな希望を与えるものです。これらの功績により内閣総理大臣顕彰が行なわれたところです。松山選手におかれましては、今後行われる大会においても大いにご活躍いただき、引き続き、国民に夢と希望を与えていただけることを期待をしております。
 2件目です。来月8日・9日の2日間、第3回北極科学大臣会合、ASM3をアジアで初めて開催します。私が、アイスランドのアルフレッズドッティル教育科学文化大臣とともに共同議長を務めます。これまでで最多となる35の国と団体が参加する予定です。今回は緊急事態宣言下で開催となるため、各国大臣はオンライン参加する予定です。今回のテーマは、「持続可能な北極のための知識」です。北極は、地球上で最も温暖化が進行しているものの、観測データの空白域となっており、北極域の環境変化を理解し、対応するために、継続的なデータの蓄積が求められています。このため、国際連携により、観測・研究や若手人材の育成を加速できるよう、議論を取りまとめたいと考えております。我が国も、今年度から北極域研究船の建造に着手します。ASM3での議論を踏まえ、今後、同船を北極域の国際研究プラットフォームとして活用し、北極域におけるデータの充実に貢献をしてまいりたいと思います。
 3件目ですが、今回の緊急事態宣言を受け、その対象地域においては、多くの文化芸術・スポーツイベントが中止や延期、無観客開催を決定しており、厳しい状況に置かれているものと承知しております。令和2年度第3次補正予算の「ARTS for the future !」においては、緊急事態宣言を受けた公演等の中止に伴う費用を支援することとしておりますが、文化芸術が置かれた厳しい状況を踏まえると、キャンセル料支援について更なる拡充を図ることとしました。具体的には、現在は対象外経費としている事務所費等の固定費も支援対象に追加することとします。また、任意団体や、美術館・博物館の企画展等について、キャンセル料支援の別枠とするとともに、支援上限を1団体当たりではなく、1公演等当たり2,500万円として、支援上限を事実上撤廃することとしました。また、スポーツイベントについても、令和2年度第3次補正予算の「ポストコロナに向けた全国規模のスポーツイベント等の開催支援事業」においてキャンセル料の支援を行っておりますが、文化芸術イベントと同様に上限額を1試合当たり2,500万円に拡充することとしました。今後、これらの内容を事業の仕組みに速やかに反映することにより、文化芸術・スポーツ関係者に一層充実した支援を届けられるように取り組んでまいりたいと思います。
 最後に、今週28日(水曜日)に近視実態調査やその他の学校生活の様子を八王子市立ひよどり山中学校に視察に参りました。学校では、今年度、文部科学省の近視実態調査として行われた子供の目の検査の様子、また、中学1、2年生の授業でICT機器を用いた指導を行っている様子などを視察するとともに、校長先生をはじめ教職員の皆様と意見交換を行うことができました。近視実態調査では実際の検査の様子を拝見し、子供たちの目の健康を守っていく必要性を再確認いたしました。また、授業見学や先生方との意見交換においては、ICTを活用する際の課題や、それに対する対応などについて、現場の先生方のご努力を知ることができ大変貴重な機会でした。文科省としては、このような調査を継続的に実施するなどにより、子供たちの目の健康を守るための取組や諸施策に活かしてまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 与党のわいせつ教員の根絶立法ワーキングチームが、先日、条文案を野党に示しました。連休明けにも国会に提出することを目指しているということですが、文科大臣が定めるとされている基本方針についての受止めについてお願いします。

大臣)
 子供を守り育てる立場にある教員が子供にわいせつな行為を行うことは決してあってはならないことであり、与党ワーキングチームでも、このような思いを共有し、ご議論を深めていただいていることは、極めて重要であると考えています。ご指摘の新法の内容について、現時点で私が政府の立場でコメントすることは差し控えたいと思いますが、様々な関係者からのヒアリングも行いながら、なされてきたご議論が反映され、取りまとめたものと承知をしています。今後、新法が国会に提出され、成立することとなれば、免許状再授与に当たって教育委員会間で取扱いに差が生じないようにすることを含め、新法を適切に運用するべく、基本指針等の策定や、これに基づいた取組等について、教育委員会等の関係者とも十分相談しながら検討し、この問題の厳正な対応を進めてまいりたいと考えています。

記者)
 文化庁がですね、全体統括している日本博についてなんですけれども。28日に本年度の採択事業が決定したということで発表があったんですけれども、日本博なんですが、そもそも東京オリパラを契機に、競技会場のないですね、地方の方への訪日外国人等を送り出すというところのですね、目的もあったかと思うんですけれども。今回、海外からのオリパラの観戦客、観光客が見込めないという中で、目的とか散らし方というものを一定変えざるを得ないところもあるかと思うんですが、大臣は、現状認識、どういうふうにお考えでしょうか。

大臣)
 おっしゃるように、日本博をスタートするときの大きなタイミング、時機的な目的の一つに、オリンピック開催に合わせて来日をするであろう多くの外国人観光客にですね、東京や主たる競技会場のみならず、周辺の自治体などにもですね、足を運んでいただくようなことも期待をしながらスタートしたことは事実だと思いますけれど、そもそも去年の段階でオリンピックが延期になってしまって、日本博だけが規模を縮小しながら続けたという経緯があります。で、外国人の皆さんに直接ご覧いただくことはなくてもですね、日本国民の皆さんが自国の文化に改めて接することによって、その素晴らしさに対してですね、認識を新たにされた多くの素晴らしい声が届きましたので、そういった意味で歩みを止めないで続けているということでございまして、外国人が来ないんじゃないかという意見は率直にお受けしなきゃいけないと思うのですけれど、一方ですね、去年、本来やる予定で準備をされて、コロナで延期になって今年の開催になって、皆さんそれなりの準備をしながら今日まで来ていただいておりますので、その発表の機会をできる限り確保していくことと、先ほど申し上げたように、国内、日本人の皆さんにも、なかなか接することがなかった、そういった日本の素晴らしい文化に触れていただいてですね、日本の良さを知っていただく良い機会にしていただければよろしいのではないかなと思っておりますので、その、大きな目的を失ったので実施の正当性がなくなったのではないかみたいなことに対しては、ぜひ広い視野でですね、対応していただければなと思います。

記者)
 宇宙関連で1つお伺いしたいのですが。先日、JAXAが小惑星「リュウグウ」から持ち帰った試料から水と有機物の痕跡が見つかったという発表がされていましたが、それに関して、大臣の受け止めをお聞かせください。

大臣)
 27日に、JAXAが、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」から採取をし、地球に届けたサンプルの分析を行った結果、水や有機物などに関連する特徴を検出するなど、いくつかの研究成果を発表したと報告を受けております。今後、14か国109の大学と研究機関から総勢269名の研究者が参加をし、サンプルの初期分析が行なわれることになります。さらに分析が進むことにより、惑星の形成過程や生命の起源・進化などの謎を解明するための新たな知見が得られることを期待をしております。現段階では、まだ、水・有機物という特定はできていないようなので、今後、調査を進めていただいて、その結果を、また期待をしたいなと思って、受け止めと言われればわくわくしております。

記者)
 文化芸術支援についてお尋ねします。今回の拡充はキャンセル料支援の拡充ということだと思うんですが、これ、これまで同様、文化芸術の活動を行なうことを前提とした補助かと思うんですけれども、コロナ禍が長引く中でですね、団体も個人も体力を失っていて活動すらできないという声を関係者からよく耳にします。こういう声に応えるために、活動前提の補助金だけじゃなく、補助金や給付金などの形で支援を行なう考えはおありではありませんでしょうか。

大臣)
 今回の緊急事態宣言を受けてですね、今回は短期間で集中してという政府の方針にスポーツや文化の団体の皆さんもご理解をいただいて、ご協力をしていただくことになりました。したがって、前回とは若干フェーズが違うということで、我々も本来のキャンセル料、すなわち、前回まではマイナスをゼロに近づける、あるいはゼロにするというところまでの応援しかできなかったんですけれど、ご指摘のようにですね、各団体、特に、文化・スポーツは、この間、クラスターを出さないように、施設の改良を行なったり、あるいは入退場の在り方ですとか、感染拡大防止にものすごく力を入れて努力をしていただいているにも関わらず、今回もまた閉鎖あるいは無観客の対象になったことに、おっしゃるように精神的にもですね、非常に疲れを見せているというのは正直なところだと思います。したがって、今回は、マイナスをゼロにじゃなくて、さらに固定的な費用についてもしっかり上乗せをして支援をしていこうということにしましたので、11日までの間、数日間の開催を予定していたスポーツや文化団体においては、まずは、そういった支援をさせていただきたいと思います。他方、大規模のみならずですね、色んな文化団体たちが、今までこの1年以上に及ぶコロナ禍で大変疲弊していることは文化庁も十分承知をしていますので、直ちに、今、ご指摘のあったような給付金というような形になるかどうかはともかくとして、支援はですね、寄り添ってしっかりやっていく、必要なメニューも引き続き考えていくということで、この緊急事態をとりあえず終わらせようというふうに思っているところです。

記者)
 話が変わって、特別免許についてお伺いしたんですけれども。27日の中教審の特別部会の方で、五輪出場の経験者であるとか、博士号の取得者については、授与基準を緩和する方針というのが文科省の方から示されたと思うんですけれども、多様な人材を教育現場で活躍してほしいというのはずっと大臣もおっしゃってたと思うんですが、この方針の今後活用とか普及であったりとか、あるいは更なる改革を推進していくという部分についてお考えをお聞かせください。

大臣)
 絶えず変化していく学校や社会のニーズに柔軟に対応するために、多様な専門性や背景を持つ人材を活用することは極めて重要だと考えております。特別免許状の活用は、平成30年度現在、全国で200件程度の活用にとどまっており、私立高校や英語・看護という教科に偏った授与状況になっています。こうした状況を改善し、公立小中学校も含めた活用を更に促進するため、平成26年に策定した特別免許状の授与に係る指針の改訂案を、27日の中教審の部会に示したところです。改訂案では、今お話しのあった、オリンピック等の国際大会に出場経験のあるアスリートの皆さんですとか、国際的なコンクールの参加者、博士号取得者など専門的な分野での実績を有する者や、特別非常勤講師制度を活用して兼業・副業等により勤務した者などへの免許状の活用が進むよう、審査基準や手続の緩和を示したところです。今後、中教審の委員の意見も踏まえ、近日中に改訂された指針を、都道府県教育委員会に対して示し、多様な人材の活用を促進をしてまいりたいと思っているところです。

記者)
 宮城県白石市の小学校で防球ネットが倒れて、児童が亡くなるという痛ましい事故がありました。文科省も緊急点検するよう要請しました。一方で、学校の先生による目視などで、どこまで安全性が確認できるのかという課題もあるかと思います。こういった設備の安全性確保についてどのようにすべきか、大臣のお考えをお聞かせいただいてよろしいでしょうか。

大臣)
 27日、宮城県白石市の小学校で、誠に遺憾ながら、校庭に設置された防球ネットの木製支柱が折れて児童2名に当たり、1名が死亡、1名が重症を負う痛ましい事故が発生をいたしました。亡くなられた児童に心からお悔やみを申し上げますとともに、怪我をされた児童の1日も早い回復をお祈り申し上げたいと思います。また、被害に遭われたご家族にも、心よりお見舞を申し上げます。学校は、子供たちが1日の大半を過ごす場として、安全で安心な場所でなければなりません。このため、文科省では、これまでも学校設置者に対して定期的な点検を実施し、必要な修繕等を行なうことなどを、学校における事故防止について留意点を示し、適切な措置を講じるようお願いをしてきたところですが、今回のような事故が起こってしまったことは極めて残念に感じております。今回の事故を受け、文科省においては、全国の小中学校等を所管する設置者に対し、28日付で通知を発出をし、防球ネットの緊急点検を行い、必要に応じて使用禁止や修繕等の適切な措置を講じること、各学校において事故の発生防止に努めるとともに、教職員に対して、事件や事故発生時における対応の周知徹底等を行なうことを要請をしました。文科省としては、このような事故が二度と起こることがないように、より一層、各学校の設置者において、学校の安全確保が確実に実施されるように万全を期してまいりたいと思います。一方、通知において要請した緊急点検は、学校を設置・管理する責任を有する学校設置者に対して実施を求めているものです。このため、例えば、目視や触診によって明らかに危険な場所などは、学校の教職員が点検し、使用禁止等の措置を講ずることも想定されますが、学校の点検だけでは安全性が確認できない場合は、学校設置者において専門的な見地から点検を実施することが考えられます。文科省としては、子供たちの安全が確保されるよう、学校設置者に対して速やかな点検実施を求めてまいりたいと思います。一昨年、プールのブロック塀が倒れて、悲惨な事件がありました。今回の防球ネットもそうなのですけれど、これ、いずれも開設時の標準的な設備じゃなくて、後から運用面で、設置者の判断で追加をした施設なのですね。したがって、素材をどうするとか、例えばこれ、国の補助などがあるものであると、多分、決められたメーカーの一定程度の基準以上のものを使いなさいっていうようなことが基準にあるのですけれど、多分現場で考えた結果、当時、限られた費用の中で鉄やアルミのポールが使えなくて、木の柱でやろうということで平成の初期に設置をされたのだと思うのですね。で、前段のブロックと同じように、この手の、緊急避難的に良かれと思って、当時の安全を高めるための頑張っていただいたことが、結果として後にですね、こういうことになるのは極めて残念なので。業者の点検というのもやっているやに報告を受けていますけれど、やっぱり点検項目、もう一度しっかり俯瞰をしてですね、二度とこういう事件・事故が起きないようにしたいと思いますので、改めて文科省としても、できる通知はきめ細かくもう1回確認をして対応をしていきたいなとそう思っております。

(了)

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