萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年4月20日)

令和3年4月20日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

文化財保護法の一部を改正する法律、日米首脳会談における日米科学技術協力について、菅総理と野口宇宙飛行士との交信イベント、GIGAスクール構想、「与党わいせつ教員根絶立法検討ワーキングチーム」について、新型コロナウイルスの感染拡大と学校の休業等について、星出宇宙飛行士が搭乗する米国民間宇宙船クルードラゴンの打上げ、今後の宇宙開発について、新型コロナウイルスの感染拡大と大学病院からの看護師派遣

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年4月20日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年4月20日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年4月20日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私からは3件ございます。まず、今国会に提出していた「文化財保護法の一部を改正する法律案」ですが、先週16日の参議院本会議において全会一致で可決され、成立をいたしました。今回の法改正は、幅広く文化財の裾野を広げて保存・活用を図るため、無形文化財及び無形の民俗文化財の登録制度を新設するとともに、地方公共団体による文化財の登録制度を定めるものです。この登録制度の活用により、無形の文化財を幅広く保存・活用していくとともに、地域の皆様にもこの機会に地域の文化財を確認し、その素晴らしさを再発見していただくことを期待をしております。今回の法改正は、オール・ジャパンで我が国の文化を大事にしようという、まさにキックオフだと思います。これを契機として、文化財保護の取組を更に深化させていきたいと考えております。
 2件目ですが、4月16日に日米首脳会談が行われ、日米首脳共同声明と「野心、脱炭素化及びクリーンエネルギーに関する日米気候パートナーシップ」、また「日米競争力・強靱性パートナーシップ」が発出されました。これらの文書においては、アルテミス計画、小惑星探査などを含む民生宇宙協力、量子科学技術分野における、共同研究や研究者交流を通じた研究機関間の連携強化、スーパーコンピュータ「富岳」によるシミュレーションデータを含む、感染防止対策に関するデータや実践的な知見の共有、将来のパンデミックに備えたNIH、AMEDの間での連携の強化、畜電池や革新原子力を含むクリーンエネルギー技術に関するイノベーション、開発や普及における連携・支援等に関する日米科学技術協力が盛り込まれました。日米同盟は日本外交の基軸であり、新型コロナウイルス感染症対策や気候変動によるグローバルな脅威に対処し、競争力を強化するため、米国と緊密に連携していくことが重要です。文科省としても、同文書の内容も踏まえ、引き続き、日米科学技術協力の維持・強化に努めてまいりたいと思います。
 最後に、本日午後8時から、首相官邸において、菅総理大臣とともに国際宇宙ステーションに滞在中の野口聡一宇宙飛行士との交信イベントを開催する予定です。野口宇宙飛行士は、昨年11月に米国のクルードラゴン宇宙船初号機に搭乗し、ISSでの長期滞在を開始して以来、様々な科学実験や船外活動など素晴らしい活躍をされており、来週の4月29日には地球に帰還する予定です。今回、野口宇宙飛行士から、宇宙での貴重な経験について直接お伺いできることを大変楽しみにしております。私からは以上です。

記者)
 GIGAスクールについてお伺いします。端末の配備を急ピッチで進めて、納期の前倒しなどを実現した一方で、保護者らに聞くと、端末は家に置きっ放しになっていて、去年のような休校状況にならなければ使用する予定がないという学校もあるようです。せっかくの端末をいかに使用するかが次なる課題となる中、配備して終わりではなく、端末がどのように活用されているかの調査などを行う予定はございますでしょうか。また、授業や家庭での活用を促進するためにどのように取り組まれますか。

大臣)
 GIGAスクール構想については、当初4年の整備予定を大幅に前倒しして取り組むことで、概ね全国の小中学校における整備完了の目途が立ちました。今月から「GIGAスクール元年」を迎えて本格運用がスタートした現在、文部科学省では、整備されたICT端末の積極的な利活用の促進を強力に推進しています。具体的には、学校現場や地方自治体等に対して、1人1台端末を効果的かつ安全・安心に活用されるよう準備すること、端末を活用することの意義などについて、教職員への研修や保護者等への情報提供を十分に行うことなどの留意事項を整理したチェックリストや、保護者等との間で確認・共有していくことが望ましいポイントなどを提供するとともに、ICT活用に関する専門的な助言や研修支援などを行う「ICT活用教育アドバイザー」の派遣などを通じた支援を行っています。さらに、1人1台端末を活用した学びは、多くの学校にとって初めての取組となることから、本年4月に省内に設置した「GIGA StuDX推進チーム」の体制を大幅に強化をし、優れた活用事例等を全国に向けて情報発信するなど、教育指導面での支援活動も本格的に展開しています。昨日も皆さんに公開しましたけれど、眼科医会はじめ、医師会の皆さんにも入っていただいて、例えばその、タブレットが子供たちの視力に与える影響などについても今後注視をしていきたいと思っていまして。まだ、新学期が始まって2週間ですから、冒頭ご指摘のあったような学校はもしかしたらあるのかもしれませんけれど、ここは、それぞれの自治体、設置者、また、校長の判断でですね、計画的に利用していただけるものと思っていますので、まず、1学期は少しちょっと様子を見てですね、我々も色んな情報提供して、特に、昨日もお話があったのですけれど、30分使ったら20秒遠くを見ようというようなことなども含めてですね、改めてその使い方についてのスタンダートをきちんと定めてですね、現場の皆さんにお伝えをしていきたいなと思います。ご紹介のあった、家に置きっ放しっていうのは、もしそういう学校があったら教えてください。文科省としては、今月から本格運用が開始されたことを踏まえて、まず、学校現場においてぜひ有効な利用の方法をしっかり考えていただいて、また、支援も引き続きしていきたいと思いますので、利用状況などを適切に把握しながら、GIGAスクールの実現に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

記者)
 与党のプロジェクトチームが、今、考え方を整理しているわいせつ教員対策について伺いたいと思います。与党の説明によりますと、児童生徒に対するわいせつ行為を「児童生徒性暴力」という新しい定義を使いまして、その基本方針を文部科学大臣が定めて、その上で教育委員会の採用権者に裁量的拒絶権というのを持たせるという、かなり知恵を絞った形の建付けになっています。昨日もそのプロジェクトチームが開かれまして、その後の説明によりますと、野党からも概ねの支持を受けたということで、今、文面の調整を、法案文の調整等をしているということでありまして、連休明けにも法案をまとめていきたいというお話、ご説明でした。この取組について大臣の受止めと、あと、期待などありましたらまず伺えないでしょうか。

大臣)
 与党の皆さんが、ワーキングチームを作って、非常に精力的に法制化に向けた準備をしていることは十分承知をしています。子供を守り育てる立場にある教員が子供にわいせつな行為を行うことは決してあってはならないことであり、このワーキングチームでもこのような思いを共有して議論を進めていただいていることは、極めて重要だというふうに思っております。我々文部科学省は、将来的にわいせつ教員を再び教壇に立たせないという免許法に視点を置いて法改正を目指していましたけれども、機会あるごとにご報告しているように、法制上の壁があるということで、与党チームの皆さんは、そこを理解した上で、ならばということで、免許の再発行はやむを得ないけれど、その人を再び採用するかどうかの権限を、失礼、免許の発行そのものをですね、裁量権を持って止めることができないかっていうことに視点を置いて、今、議論を進めているというふうに承知をしております。いずれにしましても、わいせつ教員を現場から排除していこうというこのマインドは大事だと思いますので、仮に与野党で合意をし、また、法制上、課題がクリアされるのだとすれば、それは、一つ良いことだと思うのですけれど、色々難しい点もあるんじゃないかなって。というのは、要するに一律じゃないものですからね、そうなったときに、他所の自治体では再び免許が出されてこの自治体では出さないと、その違いは何なんだっていうことがあっても困ると思いますし、国にその部分だけ基準をと言われても、これは、地方教育行政や教員免許法との関係を考えるとそんなに簡単なルール作りではないんじゃないかなっていうことをちょっと心配していまして。ただ、他方ですね、これだけやっぱり社会的にみんなが包囲網を作って考えていこうっていうこの動きは歓迎すべきことだと思うので、すでに文科省が取り組んでいる40年に延長したですね、過去のリストの検索ツールの活用ですとか、情報交換ですとか、こういったことを総合的に考えると大きく前進をしてきているんじゃないかなと思いますので、引き続き、その与党の取組は注視をしていきたいなと、期待を持って注視をしていきたいなと思っています。

記者)
 1つだけちょっとフォローアップさせてください。今、大臣がご指摘になったように、法制にする場合に、なかなか、ルールをどこに定めるかとか、誰が基本指針を、どういう形で作っていくかという難しい問題もあると思うんです。一方で、与党は、この法案は連休明けにもまとめて今国会のうちに成立させようということを前提に進めています。そういう、スケジュールとして非常に急いでいる状態なんですけども、この点についてはいかがでしょうか。

大臣)
 一日も早く法制化はするべきだと思っていますので、それが閣法であり議員立法であれですね、成立の方向に向かうのだとすれば、それは、決して問題はないんじゃないですかね。ただ、再交付の裁量権の拒絶権っていうのが入っていましたけど、さっき申し上げたように、これを各都道府県でバランスよくどうやって発信するのか。例えば、それを判断する人たちをどうやって選ぶのかなど、いよいよ、運用面では課題が出ると思うので、そういったこともシミュレーションしながらたぶん皆さん頑張っていただいていると思いますので。あの、もちろん、スピード感を持ってやることは大いに結構だと思いますけれど、結果として、私たちが考えていた法制度のアプローチとは違うので、穴は開いてしまうわけですよね、また。全てを拒否することができないので。そこはまた、よく法案が出てきた段階で考えていきたいなと思います。

記者)
 昨日の尾身茂会長の発言についてなんですが、学校の方にも、どんどん感染が拡がるようになれば、学校閉鎖は当然考えられますと発言されたということで、学校閉鎖の可能性に言及した。また、松井大阪市長もですね、大阪に緊急事態宣言が出たら、市立の小中学校を原則オンライン授業とする考えを示したと。これらの休校判断に関する見解について、文科省としての受止めをお願いいたします。

大臣)
 昨日の尾身会長の国会でのご答弁は、保育所や学校における検査の必要性を問われたことに対して、学校においても基本的な感染症対策を取ってほしいことに加え、これからの感染状況の推移を見て、学校にもどんどん感染が拡がるようになれば学校閉鎖も考えられること、検査の対象を学校まで拡げることも考えられることなど、遅滞なく判断する必要がある旨、発言されたものと承知をしております。新型コロナウイルス感染症の変異株について、厚生労働省によると、どの年齢であっても感染しやすい可能性があるとされており、文部科学省としても、子供の罹患率が低いとされていた従来株に比べ、変異株が、流行に対しては、子供への感染の拡大の一層の警戒が必要だということを常々申し上げてまいりました。学校の臨時休業は、地域の感染状況を踏まえ、学校の設置者において判断するものですが、地域一斉の臨時休業については、学びの保障や子供たちの心身への影響、また、子供を持つ医療従事者が仕事を休まざるを得なくなることなどの観点も考慮する必要があると考えます。そのため、真に必要な場合に限定し、慎重に判断すべきと考えます。文科省としては、変異株に関し、必要な対応について厚生労働省とも連携するとともに、教育委員会など学校の設置者との連携を深めてまいりたいというふうに思っております。大阪市の松井市長がですね、昨日、記者会見でお話しされていた、原則自宅でのオンライン授業に切り替える旨の発言は承知していますが、具体的な対応について、大阪市教育委員会において、現在、検討していると伺っております。今申し上げたように、学校の臨時休校というのは、やっぱり慎重にやるべきだと思っていますし、松井市長の記者会見を見る限り、学校を閉めるのではなくて、オンラインを基軸として、しかしこれ休業となれば、また親御さんたちが仕事を休んだりとかっていう二次的な対応もしなきゃならないので、そういうことも先回りして学校を開けておいて、オンラインと登校の、多分ハイブリッドというのを想定をしての発言なのではないかなと思っています。詳細は、今、確認をしているところなのでまた分かったら対応を考えたいと思っています。

記者)
 JAXAの星出宇宙飛行士が、22日にISSに向けて出発する予定でいます。野口さんとともに日本人飛行士が滞在し、ミッションを行いますが、それに対する受止めと、日本人宇宙飛行士がISSで活動する中で、文科省として、今後、宇宙開発に対する期待などを教えていただければと思います。

大臣)
 星出彰彦宇宙飛行士が搭乗する米国のクルードラゴン宇宙船2号機の打上げは、日本時間の4月22日19時11分に予定されております。星出宇宙飛行士は、長期滞在中にISS船長を務めるほか、将来の有人探査に向けた生活水の再生システムの実証実験や、無重力環境の特性を活かしたバイオ実験などのミッションに取り組まれる予定です。星出宇宙飛行士には、我が国の宇宙開発の未来を切り拓き、国民に夢を与えるような活躍をお祈りしています。また、今後の宇宙開発について、文科省としては、米国提案の「アルテミス計画」への参画機会を活用して、深宇宙探査に必要な技術開発に挑みつつ、日本人宇宙飛行士の活躍機会を確保すること、「はやぶさ2」などで培われた世界最高水準の技術力を継承・発展させ、宇宙科学・探査を推進すること、また、H3ロケットや革新的な将来宇宙輸送システムの開発を進めるとともに、先進的な衛星を開発することなどに力を入れ、引き続き、宇宙開発における我が国のプレゼンスを向上させるとともに、宇宙開発の意義を国民の皆さんにしっかりと発信し、多くの国民に夢や希望を与えるような取組を進めてまいりたいなと思っております。

記者)
 大阪のコロナなんですけれども、大阪では、今、非常に重症患者も増えていて、医療関係者が足りないという話があって、文科省でも、全国の大学病院に要請して、看護師が、実際に35人、派遣されることになったと承知しておりますけれども、各病院も、元々人員が豊富であるわけではないと思うので、そこを頑張って割いてくれて、ということだと思うんですが、大阪に行く看護師の方に、一言お話があればお願いします。

大臣)
 コロナの感性拡大に伴い、大阪府では医療逼迫が深刻化しており、特に、重症者を受け入れる大阪コロナ重症センターの看護師が不足していると承知しています。文科省においては、4月15日にまん延防止等重点措置地域外に立地する各国公私立大学病院長に対して、ICU等での勤務経験がある重症者患者に対応可能な看護師の派遣について依頼を行いました。ここが味噌でございまして、看護師さんを人数で送るんじゃなくて、即戦力になるICU対応者を選ばせてもらいました。本日までに22の大学病院から、計35名を派遣をいただけるという回答をいただき、一部の看護師は、昨日からもう大阪に入って活動していただいております。この度、看護師の派遣に応じていただいた大学病院に感謝を申し上げるとともに、文部科学省としても、今後も大学病院が国民の期待に応えられるよう、医療逼迫などの状況に応じ、大学病院の協力を要請するなど、新型コロナウイルス感染症対策にしっかり対応してまいりたいと思います。加えて、与党からも、大学病院としての役割に期待する色んな声があるんですけれど、この事態にですね、大学病院というカテゴリーで人を移動させたりすることが本当にいいのか。今回は可能な限りやってみましたけれども、やっぱり、地域地域の医療圏で果たす役割っていうのは見失ってはならないのだと思っておりまして。それは、大変なところにみんなで協力して人を派遣をしたり支えていくことは大事ですけれども、そのことによって、ご質問もありましたように、ただでさえ救急医療ですとか高度医療を担っている大学病院の機能が低下をしたり停止をしたりすることはあってはならないと思うので、そのバランスは、しっかり現場でも考えていただきながら、できる力を発揮していただきたいなと思います。皆さんには日々、ご苦労をいただいていることに改めて感謝を申し上げたいと思います。

(了)

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