萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年4月13日)

令和3年4月13日(火曜日)
教育、その他

キーワード

高等教育の修学支援新制度、大学入試センターの今後の経営について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年4月13日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年4月13日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年4月13日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 私からは1件です。この4月で「高等教育の修学支援新制度」が2年目を迎えました。この制度は、家庭の経済事情に左右されることなく、誰もが希望する質の高い高等教育を受けられるよう、真に支援を必要とする者に対し、授業料等の減免と給付型奨学金の支援を行うものです。初年度である令和2年度は、27万人に対し支援を行いました。以下に申し上げる数字については、一定の仮定に基づく推計であり、制度導入の効果については、引き続き、丁寧に分析していく必要がありますが、住民税の非課税世帯の進学率の推計値については、制度導入前の平成30年度は約40%と推計をしていたものが、制度導入後の令和2年度には約48~51%程度となり、約7~11ポイントの上昇が確認ができると推計をしているところでございます。また、新制度対象者のアンケートをしてみましたところ、新制度がなければ進学は諦めていた者が34.2%、新制度がなければ今の学校より学費や生活費がかからない学校に進学した者が26.2%との状況であり、新制度が真に支援が必要な子供たちの進学の後押しになった面があるものと考えられます。今月から在学生を対象とした募集を行いますので、新入生も含め、まだ申し込んでいない方におかれましては、積極的に活用いただきたいと思います。また、4月下旬から、来年度進学予定者向けの募集も開始します。進学を考えている高校3年生の方々には、ぜひ申請をいただきたいと思います。文部科学省としては、引き続き、支援を必要とする学生等に情報が行き渡るよう周知・広報に努めるとともに、子供たちが経済的理由により進学・修学を断念することのないよう、制度の実施を確実に進めてまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 先週金曜日に大学入試センターが発表した今後の経営についての考え方で、将来的には、共通テストの教科科目の縮小や検定料の引上げについても言及していましたが、公的資金の投入や国の支援はどうあるべきかお聞かせてください。

大臣)
 大学入試センターの運営審議会において、大学入試センターの継続的・安定的な運営に向けて取り組むべき事項等に関する提言が取りまとめられたことは承知をしております。大学入試センターの自己収入は、約9割が検定料収入であるため、今後18歳人口の減少に伴い、その収入も減少していくことが見込まれていることから、安定的な運営を図っていくための財源の確保は大きな課題であると認識しております。今回のコロナ禍での大学入試を考えてみても、大学入試のセーフティネットとして、共通テストが果たす役割は今後ますます高まるものと考えており、大学入試センターの運営審議会が取りまとめた提言にあるように、来年度以降も共通テストを安定的に実施していくためには、参加大学が支払う成績提供手数料や、参加大学への配分する試験実施経費の見直し、入試センターが保有するデータや知見を活かした新たな取組などを通じた収支や経営の改善が必要と考えております。こうした大学入試センターの事業・経営の改善や、共通テストの科目構成等の見直しについては、私の下に置かれた「大学入試のあり方に関する検討会議」における議論も踏まえ、将来にわたり安定的に共通テストを実施していくという観点から、今後しっかりとした検討を進めていくことが重要と考えています。また、文部科学省においては、これまで試験問題の作成や調査研究など共通テストの着実な実施のため、平成27年度以降、補助金を継続して投入してきており、こうした予算については、今後も引き続き、確保に努めてまいりたいと思います。

記者)
 修学支援の関係で1点、お尋ねします。今回の修学支援制度、4人世帯で380万以下が減免の対象になると思うんですが、そこから上のですね、年収のある中間層に対してですね、支援が切れてしまうということで、導入時に議論にもなっていると思うんですけれども、こちらの世帯のフォローというのはどういうふうにお考えかということをお聞かせください。

大臣)
 昨年4月から開始された高等教育の修学支援新制度は、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることを踏まえ、真に支援が必要と考えられる世帯に限って実施を始めました。一方、こうした新制度の対象範囲にかかわらず、これまでも貸与基準を満たす希望者全員に対する貸与の実現など無利子奨学金の充実を進めてきたところですが、経済的理由から奨学金の返還が困難となった方には、返還の期限を猶予したり、将来の収入に応じて返還できる制度を導入するなど、きめ細かな救済措置を講じ、高等教育への進学の支援の充実を図ってきたところです。中間所得層について、新制度の対象となる真に支援が必要な者と同様に、給付型によるさらなる支援を行うことについては、低所得者世帯以外は貸与型の奨学金の拡充により進学機会が開かれていること、高校卒業後の進路が多様であり、進学せずに働く者との公平性に留意する必要があることを十分に踏まえ、議論をする必要があります。こうした点を踏まえるとともに、新制度の実施状況の検証を行って、中間所得層に対する大学等へのアクセス状況などを見極めつつ、その機会均等について検討してまいりたいと思います。今ご指摘がありました、4人家族標準家計年収の話で、例えば、じゃあ一人親だった場合はどうなんだろうかとか、あるいは多子家庭、兄弟が大勢いる場合は全く計算式がないわけなので、ここを、今年度は少し調査をしてですね、直ちにその年収要件を下げる上げるというわけにはいかないと思うのですけれど、この、今の一律の水準の中ではなかなか拾いきれない、実態として経済的に困って進学を諦めるかもしれないっていう人たちを、さらにですね、ちゃんとカバーができるように、この1年はしっかり検討を加えていきたいなとそう思っております。

記者)
 先ほどの修学支援新制度の話なんですけれども、今の、推計とは言え、お話だと、10ポイント程度進学率が上がっていると。これは、かなり、見方にもよると思うんですけど、大きいのかなというふうにも見えるんですけれども、割と、政策が分かりやすく、結果が出たと言えるのかどうか、この辺りの評価を改めてお聞かせください。

大臣)
 当初、スタートの時点であらかじめ目標値を定めて行ったわけじゃないのですけれど、他方、計算上は、昨年度で約7~11ポイント上がったっていうのは、今ご指摘のように、政策的には、フォーカスが当たってきちんと成果が出ているんじゃないかなというふうに思っています。他方、かつての国立大学の運営費補助金の中で学校独自で行っていた支援策からは漏れてしまったということを度々国会などでも指摘されます。それは、どちらかというと、所得に関係なく、割と手厚く各学校の基準で配っていたっていうものなので、必ずしも、本来の目的と、私、違うとは思うんですけれど、今、先の質問がありましたように、そうは言っても年収だけで切ればですね、なかなか光の当たらないご家庭のお子さんもいらっしゃると思いますので、先ほど申し上げたように、さらに深掘りをしてですね、色んなシミュレーションを考えながら応援をしていきたいなと思っています。

記者)
 冒頭質問にあった共通テストの、大学入試センターの経営改善の件なんですが。大臣、3月の衆議院の文部科学委員会で、その点質問があった際に、私大のセンター利用の件に触れられて、ちょっと暴利を貪って、暴利だというふうにおっしゃっていたんですが、ちょっとその真意と、本当に暴利なのかというところを改めてお伺いできますか。

大臣)
 共通テストを利用した選抜方法は大学によって様々ですが、共通テストの成績のみで合否判定を行っている大学では、学生の募集活動や合否判定のための資料作成など、選抜を実施する手数料として、受験生から相当額の検定料を徴収しつつ、その中から大学入試センターに対して750円の成績手数料のみを納めているという実態があります。その、暴利という言葉が、ちょっともしかしたら乱暴かもしれないですけれど、私が承知している限りでは、1万円台後半から2万円台、中には3万円という受験料もあって、これ、どうして国会でああいう答弁したかと言いますと、今、私の下に行われている検討会議の中で、記述式をどうしようとか色んな議論をしている中で、なかなかその、大学そのものが、問題を作る、あるいは採点をするという作業を積極的に取り組む姿勢がちょっと感じられなかったものですから、そういう感情も含めて、ああいうきつい答弁になったのだと思います。暴利かと言われると暴利の定義が明確じゃありませんので、ここでは改めてそのことは強調しませんけれど、どう考えても、何の準備もしないで、他所でやってくれた試験で合否を決定するのにその手数料は750円で済むとすれば、かなり利率は良いんじゃないかという考えがしますので、ここは、ぜひお互いに、共通テストが良いと思って使っていただいていることは、私は、感謝を申し上げたいと思うのですけれど、仮に、そのことで一定程度の入試を済ませるのであればですね、間違っても、今後入試センターが、手数料の若干値上げを提案していきたいと思うのですけれど、それをまた学生に転嫁するっていうのはやめてもらいたいなと。受験生にそれを乗せるっていうのはやめてもらいたいなと。750円で今までは提供してきたわけですから、これが1,200円になったといって値上げを、受験料が、またさらに2,000円も3,000円も値上がるようなことがないように、朝日新聞であらかじめ記事にしておいてもらうといいと思います。

(了)

お問合せ先

大臣官房総務課広報室